火曜ドラマ【カルテット】第9話の視聴率とあらすじ!次回最終回!カルテットの行方は?!
「穴のある者」同士が集まった〈カルテット・ドーナツホール〉、宮藤官九郎演じる幹夫ともたいまさこ演じる幹夫の母、巻鏡子、彼らを巻き込んで大きな嘘をつき続けていた真紀の真の姿と、その嘘を実行するに至った真紀の複雑な事情に物語はズームインしてゆく。
3月14日に放送された火曜ドラマ【カルテット】第9話。
今回は、真紀の正体バレが主体となっている、クライマックス突入の流れ。
今回はドラマ【カルテット】9話の視聴率とあらすじ・感想を書いていきます。
【カルテット】9話の視聴率は?
カルテット9話の視聴率は11%。
前回8話の視聴率9.5%を上回り過去最高を記録、初の10%越えを達成しました。
視聴者の熱もクライマックスへ!
【カルテット】9話のあらすじと詳しい解説
警察により次々と明らかになってゆく“真紀”の正体を知らされる幹夫の母、その報告を受ける幹夫。それぞれの知っている“真紀”との違いに戸惑いが隠せない。
一方、何も知らない“真紀”たち4人は相変わらず軽井沢の別荘で、家森の「本当の名前で呼んで」といううんちくにつき合いながらも和気藹々と食卓を囲む。別府から、「家族に別荘を売りに出されるかも知れない」話を聞いて、「バイトするから」「就職してアパート借りるから」と別府を安心させようとする3人。それを別府は制止し、【カルテット】4人の存在価値を提示するような名言を吐く。
別府の言葉に3人は圧倒され、「たしかに穴が無くなったら、揚げたパンですね。」「カルテット揚げパンはいやですね。」と、別府の意志に従う。
本郷警察署では、大菅刑事(役:大倉孝二)が幹夫に、たたみかけるように“真紀”の正体を突きつけ、探る。その会話の中で幹夫は、“真紀”が、「普通の人になりたかったんだ」と気づき、そんな“巻真紀”を再び“早乙女真紀”に戻してしまった自分を責めて、途方に暮れる。その様子を見た大菅刑事は、“山本彰子”が別人になって失踪した原因を突き止めるべく、その日のうちにカルテットのメンバーが住む軽井沢の別荘へ向かう。
その晩は雨、別府がずぶ濡れになって帰ってくる。「別荘存続の説得に失敗した」ことを報告し、「祝賀会の筈が残念会に」なりかけたところに、家森が「バイト受かりました〜!」と、同じくずぶ濡れの姿で報告。
残念会になりかけた筈が一転して祝賀会となり、一同晩餐の後キッチンへ。
7話、8話でも登場した、このまさかのキッチンのシーンで、悪魔のピンポンが鳴る。大菅刑事たちの登場である。
まさかのキッチンに触れた記事
そこからは嵐のように“真紀”の“今”が崩れ始め、4人を取り巻く物語は一気に終末へと向かう。
真紀の正体を知った“カルテットドーナツホール”のメンバーたちと、幹夫たちの感情は?!
9話では前回のラストに衝撃を走らせた真紀さん「偽物説」の実体が解明されてゆきます。警察の調べにより、真紀が戸籍ごと別人であった事を知らされ、戸惑う幹夫の母と幹夫。本当の素性は富山出身の山本彰子である事、演歌歌手だった母を幼少の頃に自転車事故で亡くした事、その後引き取られた義理の父には酷い仕打ちをされながらも、賠償金2億円の受取人となって大学まで出られた事などが次々と明らかになる。
問題は、真紀改め山本彰子がなぜ、戸籍を買ってまで別人になったのか。そして、それと同時期であった義理の父の死との因果関係は?被害者と加害者、表裏一体の苦しみから抜け出す為だったのか、それとも、義理の父を殺してしまったからなのか。加害者を救う為か、罪から逃れる為か。白か黒か。その驚愕の理由は、次回までおあづけという流れで9話は終わる。
毎回話題の家森の名言、9話では「本当の名前で呼んで」!
家森が冒頭の、皆でチャーハンを食べるシーンで言った「本当の名前で呼んで」が、くしくも真紀の現状、【カルテット】9話のテーマを絶妙に提示する。
「ホッチキスはステープラー、バンドエードはばんそうこう、ポストイットは付箋紙、トイレをぱこぱこするやつはラバーカップ…ニモはかくれくまのみ。本当の名前で呼んで」という家森のうんちく。それでは、彼らにとっての“真紀さん”の本当の名前とはどれなのか?“山本彰子”なのか、“早乙女真紀”なのか、“巻真紀”なのか。
すずめが「人を好きになることって絶対裏切らないから」
祝賀会からの残念会からの祝賀会からの残念会..となってしまった原因を作った「自分の嘘」。“早乙女真紀”の夢から醒めた“真紀”は呆然としつつも気丈に3人に説明しようとする。「私嘘だったんです。〜皆を裏切って..」そこまで言いながら泣き出しそうになる“真紀”を、すずめは制止する。「裏切ってないよ。人を好きになることって絶対裏切らないから。知ってるよ、真紀さんが皆の事好きな事くらい。人を好きになるって勝手にこぼれるものでしょ?真紀さんは奏者でしょ?音楽は戻らないよ 前に進むだけだよ。心が動いたら前に進む。好きになった時、人は過去から前に進む。わたしは真紀さんが好き。」
「今信じて欲しいか信じてほしくないか、それだけ言って?」
すずめは、“真紀”という名前が、家森のいうような“本当の名前”かどうかよりも、今其処にいる「皆の知っている“真紀”」が、本当かどうかを問うたのである。皆を好きかどうか、皆に信じてほしいかどうか、前に進むのかどうか。好きであることが本当なら、その気持ちはけして、嘘になったり、後戻りしたりしないと言ったのである。
家森「人生のやり直しスイッチはもう押さない」の理由と、8話の「SAJの三段活用」からの心情変化
本来なら、家森は初回からクールなうんちくキャラ、自己保身が非常に徹底されたキャラクターであった。8話までは、「SAJの三段活用」をはじめ、「夢と現実は違う」「皆“好き”をなかったことにして生きている」と、自分の気持ちを消したり、ごまかしたりする方向性が強かった。
そんな家森が、9話では、別府に「人生やり直しするスイッチがあったら、押す人間と、押さない人間と..僕はもう、押しません。なんでだと思う?皆と出会ったから。ね? ね?」と、別府をつんつんしながら皆への愛情伝えるのである。
今まで、「冗談ですぅ〜」でなかったことになる筈だった“夢”の存在が、もしも【カルテット】の4人そのものだったとしても? 家森はこの発言を以て、けしてそれがいついつまでも“嘘”になってしまわないことを、前シーンでのすずめの「好きは裏切らない」という台詞と合わせて、証明しているようにも受け取れる。
別府をつんつんする家森のこのシーンは、9話の中でもピカイチでほっこりとした画づらとなっている。
別府が最後まで守りたい「カルテット・ドーナツホール」とは
軽井沢の別荘の存続が、別府の家族の事情で危うくなっているのを知った3人は「それぞれ安いアパート借りて」「就職するし」と、理解よく別府を安心させようとする。「このままだと将来本当にキリギリスになってしまう」という3人に対して放った別府の言葉が、【カルテット】の存在価値をビシッと提示している。
「飢え死に上等、孤独死上等じゃないですか。僕たちの名前は、カルテット・ドーナツホールですよ。穴がなかったらドーナツじゃありません。ボクは皆さんの、ちゃんとしてないところが好きなんです。たとえ世界中から責められたとしても、ボクは全力で皆さんを甘やかしますから。」
別府のこの【カルテット】への愛情表現は、その侭すずめの「好きは裏切らない」、家森の「人生のやり直しスイッチは押さない」発言と、シンクロしているようにも聞こえる。
偽の超能力で稼いでいた父に生活を翻弄された過去をもつすずめ、しじゅう家でごろごろしているがチェロだけは好きなすずめ。奥さんに離婚されたり、有栖に振られたり、すずめへの片想いもろくに伝えられない恋愛超奥手な家森。うんちくと表裏一体の名言が大得意なヴィオラの家森。謎多き熟女で、実は失踪中の偽“早乙女真紀”だったが、ヴァイオリンの腕は本物な“真紀”。昼行灯だが、言うときはビシッと言って【カルテット】をまとめる第2ヴァイオリンの別府。
彼らは複雑な事情が絡みながらも、それぞれの楽器が好きというきっかけでつながり、【カルテット】になった。人生うまくいっていない「穴の開いた者」同士だったからこそ、出会う事ができ、好きになれた。
そういう状況を肯定する意味で、すずめ、家森、別府はそれぞれの言い方で、「好きになった時、人は前に進む」「やり直しスイッチは押さない」「たとえ世界中から責められたとしても、ボクは全力で皆さんを甘やかしますから。」と言ったのではないだろうか。
有栖ちゃん、今回でお別れ?!最後までインパクトあり過ぎる狂気ぶり
株で大損してしまった来杉有栖。そこに現れたレストラン・ノクターンの店長 大二郎を見てとっさに自分のヒールを壊す。大二郎にヒールを直してもらいつつ、子猫になり、濡れ犬になり、野性的なトラにもなり、あらゆる色仕掛けで誘惑する。
大二郎の誕生日をサプライズで祝おうと、ケーキを用意していた妻の多可美と【カルテット】の4人にそれを目撃されてしまった有栖は、その後多可美に退職金を渡されて、別れの挨拶をするのだが..。身体極まって尚すがすがしい来杉有栖のポーカーフェイス的な笑顔には、一点の曇りもない。有栖の、狂気を感じる程“生”に貪欲な根性は、演じ手:吉岡里帆の、現在ブレークするに至るまでの苦労や努力が、滲み出ているようで圧巻であった。
「不思議の国に〜連れてっちゃうぞ〜 …有栖でした!」この後のこける音は、最後まで裏切らない。SMAP×SMAPで昔やっていた中居正広のコント『計算まこちゃん』を彷彿とさせる。(まこちゃんはここまで狂気じみてはいないが..笑。)
もしかして、アドリブ?
来杉有栖退場後のこける音につづき、大二郎、多可美、メンバーらと見送りながら家森が真紀に「淀君?」と聞くと、真紀は「楊貴妃..」と答えるカットが合った。この様子は、はっきりとした台詞感がなく、家森を演じる高橋一生発信のアドリブのようにも思われた。
淀君は日本三大悪女の一人、訳合って悪女の名を被る事になるが、真相は諸説あり。三大悪女という響きがなんとも有栖にぴったりだ。一方楊貴妃は世界三大美女の一人。ただ楊貴妃は玄宗皇帝をメロメロにして、国を滅ぼした人物だが、【カルテット】9話に於ける来杉有栖との関連は、薄いようにも思える。強いて言うならば、「国を滅ぼせなかった」楊貴妃の退散、というところであろうか。演出の本意を是非共知りたいカットとなった。
『スターシップ&ゴースト』?! 別府のおすすめ映画と“真紀”の乗った「星をわたる舟」
“真紀”はコーヒー牛乳を呑むすずめとキッチンで会話をしながら、すずめの聞かれる侭に、今まで多くを語らなかった“真紀”の過去の話をした。空き地で廃船に寝そべって、一晩中星を見ていた事。その廃船が浮き上がって、星をわたる舟になって、軽井沢に到着したこと。もう、漂流は十分であること。
「今はもう十分。」という“真紀”の、まだミステリアスな雰囲気の過去に、目をきらきらさせながら聞き入るすずめ。“真紀”の話している様子はまるで、現在もまだ夢の中にいるような口調であった。
【カルテット】第8話では、すずめの別府への片想い、別府の真紀への片想いに、家森のうんちく「夢と現実は違う」すずめの夢での別府の発言「ナポリタンは危険です。白い、奇麗なお洋服だから。」という台詞を被せてきた脚本の演出。
今回では、“真紀”の夢物語に対して、家森の「本当の名前」のうんちく、別府の『スターシップ&ゴースト』という映画を被せてきている。
〔まき・まき〕の構成?!筆者推測、演出の意図
もっと突っ込むならば、構成上「巻 真紀(まき・まき)」のかたち(筆者命名)で整えられていると筆者は考える。今回【カルテット】9話全体を通して、物語が〈真実/嘘〉〈本物/偽物〉〈祝賀会/残念会〉〈罪/救い〉〈白/黒〉〈過去/現在〉〈好き/嫌い〉〈まとも/まともじゃない〉〈パンツだけはく人/パンツだけはかない人〉色んな2項対立の中を、いたちごっこのようにくるくると往ったり来たりしているような構造となっている。
前半の本郷警察署の場面で大菅を前に幹夫が頭を抱えるシーンで、幹夫は「“真紀”は失踪する事で、“真紀”の母を殺した加害者の賠償金を止めたかったんだ」と大菅に訴えた。「おれの知っている真紀ちゃんはそっちを選ぶ人」だと。
それに対し大菅は、「でも貴方も騙されていたうちの一人なんですよ」と返す。このシーンでの画面の美しさ、宮藤官九郎の演技と大倉孝二の表情との対比は、普通のサスペンスとは一線を画された、何かが違う画作りとなっていた。
幹夫「おれと結婚して、山本彰子じゃなく、早乙女真紀でもなく、巻真紀になった。それが真紀ちゃんのほしかった名前だった・・そっか。真紀ちゃん普通の人になりたかったんだ。ずっとびくびくして生きてきたけど、普通の人になって生きようとして…」
大菅「そしたら今度はまさか夫が失踪して、離婚して、振り出しにもどっちゃったと。」
この一連の会話が、白い光に包まれた二人の間に流れる。
- “山本彰子”の事件的な真実を見極めようとする一人の刑事
- “真紀”の心情的な真実を見極めようとする一人の元夫。
この二人のやりとりが、まるで“早乙女 真紀”と巻 幹夫が辿ったこれまでの経緯を、夢物語のねたばらしをするようにひも解いてゆく。
進んでは戻って、戻っては進んで、白い空間の中で幹夫は、今自分がやっていることが、自分に取って、又“真紀”にとって、前に進んでいるのか、それとも後ろに戻っているのか分からなくなっている。そのような描写がうまく伝わってきて、ぞくりとしたシーンである。
また別のシーンでは、有栖が去ったノクターンのホールに家森が立つ事になった。ここにも、〔まき・まき〕の構成を見ることができる。時や状況がじゅんぐりに巡って、家森が「まともに」なったことが果たして【カルテット】にとって、又家森にとって進むことなのか、戻ることなのか、雨にずぶ濡れて帰って来た演出で、暗に描写しているようにも思える。
真紀の運命は?春になったら皆と、おにぎりを持ったリスを見る事ができるのか?!
最後の公演の前、見上げる空の色が「曇ってるね」と“真紀”はすずめに言う。白でもなく、黒でもなく、グレー。この先に待っている答えが何なのか、“真紀”にもすずめにも、【カルテット】4人のメンバー全員分からない。
「わたしも人生のやり直しスイッチは、もう押さないと思います。」「あの日カラオケボックスで会ったのは、やっぱり運命だったんじゃないかな」最後の楽屋で皆にそう言った“真紀”。
家森に髪をセットし直してもらい、別府にリスの話をしてもらい、「奇麗ですよ」と言われて照れた“真紀”は、すずめに向かってヴァイオリンを「預かっててくれる?」と聞く。すずめは最後に「本当の」誕生日を“真紀”に聞く。誕生日は「6月1日」。
それを聞いてすずめは、「(ヴァイオリンと)一緒に待ってるね」と微笑む。見送ろうとする皆を止め、「ちょっとお手洗いいってきますね」といたずらそうな笑顔を残して、“真紀”は去る。うずくまるすずめと無言でなぐさめる二人。
“真紀”は最後に思い出のつまった【カルテット】のボックスカーを眺め、刑事たちの車に乗り込むと、ラジオを消してくれるように頼む。「頭の中に、思い出したい音楽が沢山あるんです。」
【カルテット】9話まとめ
【カルテット】9話を観て、皆さんはいかがだったでしょうか。
今回は家森さんのうんちくに加えて、他の【カルテット】のメンバーからも面白名言が出ましたね。
- 「咲いても咲かなくても花は花ですよ(“真紀”)」
- 「起きても寝てても生きてる(すずめ)」
- 「つらくてもくるしくてもこころ(別府)」
別府さんのは、相田みつを を想起させます 笑。
この後すずめは、「でも一度でいいから大きなホールで演奏したいですね」と発言するのですが、果たして4人はその“夢”が叶うのか?!又、大きな「ホール」に深い脚本的意味があるのかないのか?!
次週はついに最終回!絶対に目が離せない【カルテット】の結末に乞うご期待!!
ちなみに…
⑴ 今回【カルテット】9話で演奏された曲目は、
- シューベルト作曲のアヴェマリア
- スメタナ作曲のモルダウ「我が祖国」より
でした。
アヴェマリアのアヴェ(AVE)には、「こんにちは」という意味があり、直訳すると、「マリア様こんにちは」となりますね。
又、最後の曲に「我が祖国」を選択したところに、“真紀”の複雑な運命、ひいては【カルテット】4人の数奇な出会いを想起させて、見事な演出だと思いました。
⑵ 家森が最後にやっていた「わしにもくれ!」は、ジブリアニメ「千と千尋の神隠し」に出てくる青蛙のモノマネであるという説があり、そうすると別府さんはカオナシであるという説も浮上するそうです。次回は何のパロディが出るかも、楽しみです !
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