【でっちあげ】のあらすじ、ネタバレのその後まで、感想レビューを紹介します。
実話のルポルタージュ【でっちあげ・福岡「殺人教師」事件の真相】(著者:福田ますみ)を綾野剛主演で映画化。本記事では、原作から事件の真相、その後までをネタバレしていきます。
【でっちあげ】あらすじ・ネタバレ
映画「でっちあげ」の原作【でっちあげ・福岡「殺人教師」事件の真相】のあらすじ・ネタバレを紹介します。
本作は、ノンフィクション作家・福田ますみ氏が手掛けたルポルタージュ。2003年に起こった福岡市の「教師によるいじめ」事件の真相を追った作品です。
殺人教師の実態
福岡市のA小学校に教師川上譲(仮名・46歳)が教え子の浅川裕二(仮名)に暴力をふるっていると母の和子(仮名)から抗議の連絡が入る。校長はそれを受け事を丸く収めようと川上に暴力行為を認めるように言う。和子が言う体罰に身のおぼがない川上だが、捉え方によってはそうくるかという内容。川上は、表沙汰にならぬよう一旦は体罰を認める発言をする。
事の始まりは家庭訪問。とんでもない時間に呼び出された川上は浅川宅を訪問。和子は裕二にはアメリカの血が流れていると言い、自分は帰国子女だと話す。相槌を打つ川上だったが、和子は川上が事あるごとに裕二に対して血がけがれているなどと言っていたと言い出す。
他に、耳をひきちぎろうとするなどの暴力行為によって、裕二は精神的においつめられ入院。
川上は教育委員会から停職6か月の懲戒処分される。
和子の訴えはエスカレートし民事裁判に。
マスメディアも騒ぎたて、川上は「殺人教師」呼ばわりされる。
一旦は事実を認めた川上だが、校長が己の保身のために動いていることを知り、暴力(体罰・虐待)を全面否定。長きに渡る裁判に。
和子側には多勢の弁護団がつき精神科医の記録などが証明に。川上はやっとうけおってくれた南谷弁護士とともに裁判に挑み続ける。
和子の味方になる人物がとても多い。精神科医までもが和子の側。どうしてそこまで信じられたのかが疑問ですね。れだけ真実味があったということ?
裁判内容
和子の言う体罰(暴力、いじめ)はすべてがでっちあげ。アメリカ云々もでっちあげであり、和子は日本人。アメリカで育った経歴もなし。
川上は免罪だが和子の嘘は暴かれつつも一部いじめがあったとされた。
川上の無罪は全部が証明されない。裁判はとても難しい。一度認めてしまうと覆すことは難しいというのは本当なんですね。
裁判に至った原因
「裕二の嘘」
裕二は日頃から忘れ物が多かった。和子は厳しく念押ししていた。
しかし、裕二はまた忘れ物をしてしまう。和子からの叱りに怯える裕二はとっさに川上に責任転換をする。ランドセルの中がぐちゃぐちゃになっていることも、川上のいじめによるものだと言う。和子は裕二の嘘を真実と受け止めての裁判で至ったのではないか、と記されている。
「川上の嘘」
川上が一度、罪を認めてしまったことで冤罪への道が険しくなった。
その後
途中経過:川上の停職6か月の懲戒処分が取り消しになる。
結末:川上が全くの無実、つまり冤罪だと認められた。
10年の月日が経過していた。
【でっちあげ】感想レビュー
これは小説ではなく真実という驚きの事件。メディアによる報道は、嘘をかき消してしまうという恐怖があります。外野である視聴者は、真実を見抜くことは不可能に近いと思います。こんなことが本当にあったんだ。それしかありません。モンスターペアレントの怖さをも感じる事件です。
嘘をついた人たちは自分が嘘をついたと思っているのか否か。ひとりの教師の人生をコテンパンにした事実は決して許されないと思うのですが…。裁判判決の重さがのしかかります。
映画を手掛けた三池監督は「人ごとではなく明日、あなたの身に起こるかもしれない人災」とコメントしています。意思の疎通が難しく、ひとつの出来事を違う側面から捉えると、それは罪になるかもしれない。そんな恐怖をも感じる作品でした。
