【3つの取調室〜埼玉愛犬家連続殺人事件】原作のネタバレ!風間死刑囚は冤罪?食い違う証言!

3つの取調室-埼玉愛犬家殺人事件原作

【3つの取調室〜埼玉愛犬家連続殺人事件】原作のネタバレ!食い違う3人の証言とは?

この記事のポイント
  • 「埼玉愛犬家連続殺人事件」実録ドラマの原作とは?
  • 「埼玉愛犬家連続殺人事件」とは?
  • 原作本では風間博子死刑囚の無実を主張
  • 関根・風間・中岡3人の食い違う証言の内容

実録ドラマ【3つの取調室〜埼玉愛犬家連続殺人事件】の原作

罠: 埼玉愛犬家殺人事件は日本犯罪史上最大級の大量殺人だった

深笛 義也 (著)/サイゾー刊

埼玉愛犬家殺人事件に関する記事を『女性セブン』『新潮45』に寄稿していたライター深笛義也氏によるノンフィクションです。

「風間死刑囚は無実」という共犯者の証言に焦点をあてた本書を原作に、実録ドラマ【3つの取調室〜埼玉愛犬家連続殺人事件】が放送されます。

「埼玉愛犬家連続殺人事件」とは?

「埼玉愛犬家連続殺人事件」とは…
1993年、埼玉県で愛犬家ら4人が殺害された連続殺人事件。殺人や死体損壊・遺棄の罪でペットショップ「アフリカケンネル」を営む関根げん元死刑囚とその元妻・風間博子死刑囚が逮捕された。被害者の遺体を徹底的に解体・遺棄して存在しないものとしてしまう手口から「遺体なき殺人」と呼ばれた。2009年に2人の死刑が確定するが、2017年に関根・元死刑囚が獄中で病死。東京拘置所に収監中の風間死刑囚は殺人への関与を否定、現在もなお再審請求を続けている。

「埼玉愛犬家連続殺人事件」の犯人と関係者

「埼玉愛犬家連続殺人事件」の犯人は次の3名です。

  • 関根元
    元死刑囚。殺人・死体損壊・遺棄で死刑判決を受けるが獄中で死亡する。埼玉県熊谷市のペットショップ「アフリカケンネル」の元経営者。アラスカン・マラミュートを広めた人物として業界では知られた人物だが、実は大ボラ吹き。また法外な価格で珍しいペットを売るなど詐欺まがいの商法でたびたびトラブルを起こしていた。

    風間博子
    死刑囚。関根の元妻。関根とは再婚。前夫との間に息子、関根との間に娘がいる。殺人・死体損壊・遺棄で死刑判決を受けるが、現在もなお再審請求を続けている。

    中岡洋介(仮名)
    群馬県利根郡片品村でブリーダーを目指す青年。国鉄から買った貨車を改造した「ポッポハウス」と呼ばれる家に住んでおり、関根が風間と離婚後に同居していた時期もある。死体損壊・遺棄罪で懲役3年の刑に服した。

  • 「埼玉愛犬家連続殺人事件」の被害者は次の4名です。

    山上治男(仮名)
    埼玉県行田市の産廃処理業会社役員。第1の被害者。犬を法外な価格で売りつけた関根に抗議したことからトラブルになり殺される。

    高城康伸(仮名)
    暴力団の幹部、第2の被害者。山上の行方不明事件で、関根・中岡と山上の家族の話し合いに同席する。その際、関根の犯行に気づいて強請ったために殺される。

  • 小宮山亮(仮名)
    高城の付き人。第3の被害者。

    田中泰代(仮名)
    「アフリカケンネル」従業員の母親、第4の被害者。関根の浮気相手で、関根に金を貸していた。

「埼玉愛犬家連続殺人事件」関連事件・逮捕・裁判結果の年表

発生日 関連事件・裁判
1993年
4月20日
山上治男(仮名)が行方不明になる
4月23日 山上の家族と関根・中岡が話し合い。仲介役として暴力団幹部の高城(仮名)が同席
7月21日 高城とその付き人・小宮山(仮名)が行方不明になる
8月26日 アフリカケンネルの従業員の母親・田中泰代(仮名)が行方不明になる
1994年
2月
関根の周辺で発生した4名の行方不明事件をマスコミが追い始める
12月8日 中岡が任意取り調べ中に、4名の遺体の運搬・解体・焼却を自供
12月13日 中岡の案内により、片品の山林(群馬県)から多数の骨片と山上の遺品が発見される
1995年
1月5日
関根・風間が死体損壊、遺棄容疑で逮捕される
1月8日 中岡が死体損壊、遺棄容疑で逮捕される
7月7日 浦和地裁(現・さいたま地裁)にて中岡の初公判
7月24日 浦和地裁(現・さいたま地裁)にて関根・風間の初公判
12月25日 中岡に死体損壊・遺棄で懲役3年の実刑判決(求刑・懲役3年6か月)。中岡は控訴
1995年
6月7日
東京高裁が中岡の控訴を棄却。中岡は上告せず確定
2001年
3月21日
関根と風間に、殺人・死体損壊・遺棄で死刑判決。両名とも控訴
2005年
7月11日
東京高裁が中岡の控訴を棄却。両名とも上告
2009年
6月5日
最高裁が関根と風間の上告を棄却。死刑確定
2017年
3月27日
関根が東京拘置所で死亡
参考:『罠~埼玉愛犬家殺人事件は日本犯罪史上最大級の大量殺人だった!』(サイゾー)

※4名とも行方不明当日に殺害されていたことがのちに判明する。

原作では風間死刑囚の冤罪の可能性を問う

『罠: 埼玉愛犬家殺人事件は日本犯罪史上最大級の大量殺人だった』には、関根元死刑囚の元妻で共犯とされる風間死刑囚の冤罪の可能性について書かれています。

その理由は、中岡が「風間は殺人については無実」と証言したこと、関根・風間・中岡3人の証言の食い違いなどにありました。

実録ドラマ【3つの取調室】は、タイトルの通り、別々の部屋で取り調べを受ける関根・風間・中岡3人の証言をフォーカスして構成されると思います。

関根・風間・中岡3人の食い違う証言

4つの殺人事件についての証言の食い違いを見てみましょう。

山上治男(仮名)殺人事件

「アフリカケンネル」でアラスカン・マラミュートを買ったことをきっかけに関根と親しくなった山上。産廃処理業の仕事が不振で自分で商売を始めようと考えていた。関根に利殖話を持ちかけられ、ローデシアン・リッジバックの牡牝2頭を財産をはたいて1100万円で買ったが、実際は繁殖時期を過ぎていた犬だったため、5〜10万円ほどの価値だと知った山上が関根に詐欺だと抗議。

関根は「現金650万円と車で返す」と山上に約束したが、実際は呼び出して殺した。

車に給油するように言われて中岡が席を外している間の出来事だったが、中岡はここから連続殺人事件に共犯者として巻き込まれていく。

「同じようになりたくなければ手伝え」と言われた中岡の自宅「ポッポハウス」が遺体解体現場となった。

関根の証言
中岡が山上に精神安定剤と酒を飲ませ、絞殺した。「山上に返す金がない」と風間が中岡に殺害を指示したからだ。

風間の証言
関根から「中岡が山上を絞め殺した」と聞いた。山上の車は何も知らずに運ばされた。

中岡の証言
車に給油して戻ってくると山上がぐったりしていた。関根に毒殺されたと思った。「同じようになりたくなければ」と脅され遺体の運搬や遺棄をやらされた。

高城康伸(仮名)・小宮山亮(仮名)殺人事件

山上の行方不明事件で、関根・中岡と山上の家族の話し合いに同席した暴力団幹部・高城康伸は、そのばでは関根の肩を持ち、「山上の行方を関根は知らないといっている」とおさめたが、実は関根の犯行に気づいていた。関根を強請り、金や風間の母親の土地を要求したことから事件は起きた。

関根の証言
高城の殺害を言い出したのは風間。中岡は喜んで手伝った。やるなら付き人の小宮山も一緒にやらなければダメだと言ったのは中岡。風間が高城と小宮山に酒と薬物入りのカプセルを飲ませた。小宮山は薬物では死ななかったので絞殺した。中岡に紐の片方を引くように言われたが小宮山はすでに事切れていた。

風間の証言
関根から高城の家に迎えに来いと言われて高城宅に行った。外の車の中で待っていると関根と中岡が高城の遺体を車に積む。遺体と付き人・小宮山を乗せた車を運転させられた。小宮山は車の中で関根と中岡に絞殺された。関根に命じられて解体を手伝った。

中岡の証言
関根と風間を車で高城家に送った。高城を殺したのも解体したのも関根と風間。風間は中村美律子の歌を鼻歌で歌っていた。2人の殺害を言い出したのは関根。遺体を隠すための毛布は事前に積み込まれていた。小宮山は車の中で全身を突っ張って死んだ。包丁を研いだり、遺体の焼却や遺棄を手伝わされた。

田中泰代(仮名)殺人事件

田中泰代(仮名)は「アフリカケンネル」従業員の母親で、関根の不倫相手だった。泰代を殺した関根は、「高城の向かいのババアに(犯行を)見られ、強請られたから殺した」と中岡に言い、屍姦に誘った。

実際の殺人動機は、借金と不倫。関根は泰代に借金をしており、それを返すあてがなかったことと浮気が風間にバレそうになり殺したとその動機を自供している。

関根の証言
操作当初は、「借金を返せないことと風間に浮気がバレそうになり殺した」と言っていた動機はのちに、「借金が返せないから泰代を殺そうと風間に持ちかけられた」と変わった。

中岡の証言
関根が「高城のところの向かいのババアを殺した」、高城家の犯行を見られ強請られたから殺したと言った。

この事件に関しては、風間死刑囚の殺人への関与はなしとされている。それは操作当初に関根が語った浮気と借金という動機を検察が信じたからだった。

中岡の供述も二転三転していて、風間が犯行に関与しているかのような証言もしている。またのちに「関根に遺体の処理に協力しろと言われたと供述したこともあるが、思い違いだった」と証言を翻した。

嘘をついているのは誰?

今回は、関根、風間、中岡(仮名)のおもな供述の食い違いをまとめてみましたが、とくに関根と中岡の供述はコロコロ変わっています。

関根・中岡の供述の変化は自己保身のためだと思われますが、中岡が急にいくつもの供述を覆したのには、検察との司法取引にあると書かれています。

中岡は岩橋検事から「起訴しない。してもすぐに釈放する」を条件に司法取引に応じて、この残酷な連続殺人事件の秘密を暴露したが、結局起訴され、釈放もされなかった。

約束を反故にされたことから、自供内容を変えていったという。

関根は、風間も浮気していたことを知ってから、風間を主犯とする証言を繰り返す。

また風間死刑囚の殺人罪については、関根らをマークしていたはずの警察がその後の犯行を見抜けなかった形となったことも影響していると本書。

関根と風間の公判で「風間は殺人については無実」と主張。風間については、何人も殺した関根と同じ側で死刑にされるのではなく、遺体損壊・遺棄罪のみで中岡と同じ側にいるべきではないのか。

中岡については「疑わしきは罰せず」で、風間については「疑わしきを罰する」という結果はおかしいのではないかと主張。

いったい誰がどこまで何に嘘をついているのか…。

風間死刑囚は殺人については冤罪なのか?

4人の殺人事件に関与しているものの、殺人は手がけず、遺体の損壊・遺棄のみをやらされたという中岡。彼が言うように風間が殺人について冤罪とすると、中岡が殺人に関与していると思わざるを得ないことになる。

今回は実録ドラマ【3つの取調室】で矛盾だらけの3人の供述をどう描き、どう結論づけるのか。

今、実録ドラマ化する意義や番組への反響は、放送後にアップします。

フジテレビ
RD

編集+ライター歴30年以上。さまざまな雑誌+web媒体で、エンタメ、旅行やグルメ、街ネタ、インタビュー記事を取材執筆してきました。昭和の子供時代からテレビドラマを観たり、マンガを読む時間が至福の幸せ。サスペンスやミステリーの考察が大好物です。

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