【女系家族】原作ネタバレを結末まで!山崎豊子が描くどんでん返しに仰天!

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女系家族

【女系家族】原作ネタバレを結末まで!山崎豊子が描くどんでん返しに仰天!

宮沢りえ、寺島しのぶ主演テレビ朝日【女系家族】の原作は山崎豊子の同名小説です。

女系が続く老舗問屋の主、矢島嘉蔵が死んだことで巻き起こる遺産争いを描く。

『金への執着、泥沼化、男と女』山崎豊子ワールド全開の遺産相続の結末は?

【女系家族】の原作ネタバレ、結末を紹介します。

目次

【女系家族】の原作は小説

【女系家族】(にょけいかぞく)の原作小説は、1963年に刊行された山崎豊子さんの作品。

大阪の老舗問屋を舞台にした遺産相続の物語です。
世間一般からかけ離れた生活をしてきた三姉妹と身寄りのない愛人、そして、彼女らにまつわる人間たちが遺産を巡り巻き起こす壮絶バトル。人間が持つお金への欲望、醜悪を赤裸々に描いています。

女系家族とは…女だけの系統、婿養子などの形で家系を継いでいる。

山崎豊子(やまざきとよこ)

・1924年1月2日~2013年9月29日

・山崎豊子さんの作品は映像化されている作品が多くあります。

・作品:【花のれん】【白い巨塔】【華麗なる一族】【沈まぬ太陽】【女系家族】など。

【女系家族】の 登場人物

【女系家族】原作の登場人物を紹介します。

矢島嘉蔵(やじまよしぞう/役所広司)

木綿問屋の社長。

浜田文乃(はまだふみの/宮沢りえ)

嘉蔵の愛人。

矢島藤代(やじまふじよ/寺島しのぶ)

矢島家の長女。
7年前に骨董商の一人息子、三田村晋輔のもとに嫁いだが、3年で離婚。
矢島家では、大嬢(おおいと)さん、と呼ばれている。

矢島千寿(やじまちず/水川あさみ)

矢島家の次女。婿養子をとり木綿問屋をきりもりしている。
矢島家では、なかぁさん、と呼ばれている。

矢島雛子(やじまひなこ/山本美月)

矢島家の三女。独身。お稽古事をしている。
矢島家では、こいさん、と呼ばれている。

矢島芳子(やじまよしこ/渡辺えり)

藤代らの叔母。母の妹。矢島中商店を夫と経営。

矢島良吉(やじまりょうきち/長谷川朝晴)

千寿の夫。婿養子。

矢島米次郎(やじまよねじろう)

芳子の夫。

大野宇市(おおのういち/奥田瑛二)

矢島商店の番頭。

君枝(きみえ/余貴美子)

宇市の女。

梅村芳三郎(うめみやよしさぶろう/伊藤英明)

踊りの師匠。藤代の恋人。

小森常次(松角洋平)

浪速不動産商事

戸塚太郎吉(勝矢)

矢島家の山林を管理している。山守。

出目金(でめきん/山村紅葉)

文乃の家の傍に住む煙草屋兼薬局屋の主婦。
眼が飛び出していることから“出目金”と表現。

金正六郎

雛子の見合い相手。

()内は出演者名。

【女系家族】の原作ネタバレ・上巻

【女系家族】原作上巻のネタバレを紹介します。

第一章

第一章のポイント

・矢島家の人物紹介
・主の嘉蔵が死に、葬儀が行われる。

四代続いた船場の木綿問屋の主・矢島嘉蔵が亡くなった。

嘉蔵の死に際にある女が訪れているのを見かけた嘉蔵の長女=矢島藤代は、その女のことが気になり、葬儀の際でもその女を見かける。

矢島家の歴史
・初代の時、小さな木綿糸屋を開き、その後四代を重ねて木綿問屋の老舗として繁盛。
・初代からあと三代は、跡継ぎ娘に婿養子を取る女系家族。
・嘉蔵の妻である松子もその母も家付き娘で番頭の中から婿を選んで家業を継いできた。
・嘉蔵も番頭から24の春、松子の養子婿に。
・女が偉い矢島家では、嘉蔵は影のような存在だった。
・嘉蔵の娘は三人。長女の藤代、次女の千寿、三女の雛子。
・現在、矢島問屋は千寿が婿養子の良吉と経営している。
・嘉蔵の娘である三人姉妹(藤代、千寿、雛子)は、幼い頃から部屋を分け、乳母も女中も重ならないように育てられた。

嘉蔵は「宇市に伝えてある」と言い残し息を引き取った。

宇市は、先々代から仕えている矢島家の大番頭。15年前に妻が死に、子どもがいないため独り者。

葬儀が終わり27日を過ぎる。

千寿は藤代の箪笥を開け着物をチェック。自分よりもはるかに高級な着物が閉まってある。嫁にいくときも藤代はお金をかけてもらい、持参金も用意。総額1千万。
「それなのに、まだ欲しいというのが姉さんの腹のうち」と千寿は良吉に話している。

千寿が箪笥をチェックしているのを見つけた藤代は、今後一切、手に触れないという念書を書かせる。(良吉が書く)

雛子は料理学校に通う。外の世界に触れることで、矢島家が異質な世界だと感じている。叔母の芳子の店である矢島中商店に遊びに。

芳子は松子の妹で、暖簾分けされた店を夫と切り盛りしている。
遺産のことが気になる芳子は、雛子に探りを入れるも情報はない。

第二章

第二章ポイント

・嘉蔵の遺言状が親族会で公表される。

・遺言状から愛人がいたことが発覚する。

親族会

初代の生家を代表する矢島為乃助夫婦、嘉兵衛の妻であった卯女の実家方の橋本家から一人、ほか各実家から各々一人ずつ。叔母夫婦ら10人の親族と、三姉妹、良吉、宇市の合計15人。

宇市は嘉蔵から預かっていた遺言状を読み上げる。

遺言状1

1・矢島商店の暖簾営業権は千寿に。良吉は、矢島嘉蔵を襲名。月々の利益の五割分は、藤代、千寿、雛子で三等分に。建物の奥内は共同財産とし合議で処分。
2・大阪の貸家20軒、都島区の貸家30軒は藤代に。
3・株券、骨董品は雛子に。
4・親族会に出席した各位には金拾万円ずつ。
5・それ以外の遺産は、相続人全員で協議し分割すること。
6・遺言状の保管並び執行は、大野宇市を指名する。

相続財産の目録は嘉蔵から指名された宇市が作成するとことに。

さらに、もう一通の遺言状が。

そこには、7年前から浜田文乃(32歳)という愛人がいるという告白だった。
藤代が気にしていた女は文乃だった。

この日はこれでお開きとなり次回の親族会は1か月後に。

**

宇市は文乃の家に行く。

文乃は一戸建てに住んでいて、宇市がここを始めて訪れたのは通夜の日。二度目が葬儀の日取りを知らせに来た日。

文乃は嘉蔵の写真を枕に飾り、仏にするように水と茶碗を供えていた。
宇市は嘉蔵の遺言状を見せ、本宅に一度足を運んでほしいと頼む。

宇市が帰ろうとしたとき、表具屋がやってきた。
嘉蔵が生前に預けていた掛軸を持ってきたのだ。それは、雪村の滝山水の淡彩。貴重な品。

文乃に掛軸は預かっていてほしいと宇市はいい、帰宅する。

一旦、家に帰り荷物を置き、宇市は女のもとに。女は君枝で40を過ぎている。
遺言状の話をすると、宇市には何も言い残されていないことに驚く。
長年仕えてきたのに、一千ももらえぬ宇市は複雑だ。

**

千寿は遺言状にあった、店の利益を等分することが気に入らない。良吉は、売上を誤魔化せばなんてことはないといい、千寿は納得する。

藤代は遺産相続のことを梅村芳三郎に相談すると決め、外出。

芳三郎の母、梅村芳静(よししず)は梅村流で鳴らした踊り手。母が50を過ぎ芳三郎が継いでいる。芳三郎は家元との間に出来た一人息子で、32歳。籍には入っていないが、家元の息子として通っている。稽古場を増やしして経営的手腕がずば抜けていると噂されていた。

藤代は踊りを習っており、芳三郎を頼ることに。
遺産について話し、自分の取り分が三等分に相当しているか評価してほしい、と言う。
すると、芳三郎は「まず建物を見に行こう」と。

第三章

第三章のポイント

・藤代、雛子は相続する家や骨とう品の金額を計算。

・遺産となる「雪村の滝山水の掛軸」がなくなっている。

藤代は芳三郎と相続する貸家を見て回る。

この時、芳三郎は不動産屋の小森常次を連れて来た。

家を見るうち、住人から5日前に宇市がやってきたと聞く。

藤代は文乃と宇市に対する疑惑が大きくなる。

大森の値付けでだいたいの相場を知った藤代。
「売るのなら高値で買う不動産屋を選ぶように、うちなら高値で買い取る」
という小森。

小森にそうは言われたが藤代は売る気はなく、相場額を知りたかっただけ。
一旦、芳三郎は藤代と別れ、小森と喫茶店に。

芳三郎は小森に儲け話があると持ちかけていた。小森はてっきり儲けられると思っていたので肩透かしだったが、芳三郎から礼金を受け取り帰っていく。

再び藤代のもとに戻った芳三郎は、土地と家屋の金額は9千7百万で、相続税を見込み考えていかないと、とアドバイス。

千寿と雛子の財産より、相続税がかかる土地と家屋が一番損だとも言い、藤代は「なんで自分が」と悔しくなる。

**

一方、雛子は骨董品を見るために宇市を伴い蔵に行く。
一点ずつ確かめる雛子は、値段を知るために骨董屋を呼んでいた。
骨董屋が調べ始めると藤代が「何している」とやってきた。

蔵から品を出し調べあげる骨董屋。全額で7千万程度。そこに株券をプラスすると雛子の取り分は9千6百30万。

骨董屋が帰ると雛子は芳子のもとに。骨董屋を仕込んだのは芳子の入れ知恵。
芳子は金額を聞き「雪村の滝山水の掛軸はいくら?」と。
しかし、値段表には掛軸はない。

誰かが持ちだしたのかもしれない。掛軸のことがハッキリするまで、骨董品の相続はしてはいけない、と芳子は雛子に言い聞かせる。

**

宇市は和田甚晒工場に。

生機木綿を晒しあげてローラーにかけると、手ぬぐい一本分くらいの長さが余る。それを手ぬぐいに染めて地方へ流す。宇市と和田甚はこのやり方で内緒で稼いでいた。

次に山徳綿布工場に。仕事を回すかわりにリベートを貰う。

こうして宇市はこっそりと一儲けしている。

第四章

第四章ポイント

・掛軸がないことが親族会で問題になる。

・掛軸は宇市が文乃から預かり隠している。

・文乃の妊娠が発覚する。

親族会を開く。

宇市は三姉妹を呼びに行く。

藤代は着物選びに時間をかける。
千寿は花を活けている。
雛子はぼんやりと天井を見ている。

三人はそれぞれに周到な計算と相手に対する異様な警戒心を抱いている。

芳子もやってきて親族会が開かれる。
それぞれの持ち分を具体的な数字にはじきだす。
藤代は自分の持ち分を少な目に言い、相続税がかかるから、手取りは5千万。
相続税分をふたりの財産から分けるべきだと強気。

すると、千寿は藤代が嫁に行く時莫大なお金をかけているから、その分を差し引くべき、と。

千寿は遺言状通りの遺産を受け取るというも、雛子は
「雪村の掛軸がない」と言いだす。

宇市は文乃のところにあることを言わず知らないで通す。
雛子は掛軸の行き先がハッキリするまで、相続を承知しないと告げる。

次いで、共同相続財産の分配に。
宇市の作った目録を眺める面々。芳子は「少ない」と指摘する。
鷲谷の山林があることを記していないことがバレ、宇市は「そういえば」と誤魔化す。

文乃へいくら渡すかで話し合うも、二号に渡す必要はないというのが矢島家の考え。
とにかく家に呼ぶのが先決という芳子。
芳子は掛軸を文乃が持っているのでは、と思っていたのだ。

**

宇市は文乃を訪ねる。
雪村の掛軸がないことで騒ぎになっている。今、差し出すのは騒ぎが大きくなり危険だからひとまず預かっておく、と宇市。
さらに、軸のことを訊かれても「知らぬ存ぜぬ」で通すようにと言う。

宇市はその掛軸を君枝の家に持っていき、押入にしまう。

**

藤代は芳三郎と会い、親族会の内容を伝える。
藤代が持参した財産のメモに目を通し、山林に注目する。
山林は曖昧に誤魔化すことができる。

藤代も芳三郎も宇市を疑っている。
山林と掛軸が問題、ここを探っていくべきだと芳三郎。
文乃には生前に財産を渡しているかもしれないとも。

**

文乃は本宅へ出向く。
出かける時、煙草屋と薬局を兼業している主婦が声を掛けてきた。

文乃と嘉蔵の出会い

文乃は7年前に白浜温泉で芸者をしていた。卸売業者の集まりで宴会に来た嘉蔵が、文乃に眼を止め、身寄りのない文乃に同情したのがキッカケ。
毎月5万のお手当てをもらい文乃は生活をしていた。

文乃は嘉蔵との思い出を胸に、三姉妹の待つ矢島家に。
三姉妹からあれやこれやと質問される文乃。
生前に貰い受けた物はなく、家だけをいただいた、と感謝の気持ちを伝える。
宇市が調べたところ、生前贈与はない、と。
宇市の手回しのよさを芳子は疑問に思う。

掛軸のことを問われ、文乃は「拝見したこともない」と言う。
文乃が帰ろうとすると芳子が「仏壇に詣って」と優しく声をかける。文乃が仏壇に手をあわせかけたとき、芳子が
「お待ち」と。羽織を脱ぐように文乃に言う。
仏壇に手をあわせる時は羽織を脱ぐのがしきたり。

文乃がためらっていると芳子が羽織を引きはがした。
文乃は妊娠していた。お腹を隠すために羽織を羽織っていたのだ。

妊娠4か月。
芳子は文乃が入ってきたときから気づいていたのだ。
本当に嘉蔵の子どもかと疑われる文乃だが、子どもは産むと宣言。

**

文乃が去るとそれぞれが遺産の心配をする。
ここは3人で争うよりも、文乃が子供を産むまえに、遺産分与をしようと意見が一致。

藤代は山を見てから定めると決め、宇市に早い時期に山林を下見に行きたいと言う。
すると、雛子も千寿も「行きたい」と。
「なら明後日」と即決。

宇市は狼狽する。

**

文乃と宇市は光法寺で待ち合わせ。
文乃に嘉蔵から何か預かっていないか(遺言状のこと)と訊くも、文乃は「何も預かっていない」と答える。

第五章

第五章ポイント

・三姉妹は遺産のひとつである山を見に行く。

・宇市は一千も遺産がもらえないことに腹を立てている。

・文乃はむくみがひどく具合が悪くなる。→宇市は君枝を付添人として紹介する。

・文乃の家に三姉妹が行く。

三姉妹は鷲家の山林の下見に。

宇市は三人を連れ山守(やまもり)のところに。

山守とは…山林の所有者の山主から山林を預かって管理している人のこと。
矢島家の山林の山主は戸塚太郎吉。

途中まで車でいき、宇市が戸塚を呼びにいくもなかなか戻って来ない。
電報で知らせてあるのに、おかしいと思う藤代。
そもそも、目録に鷲屋の山林をうっかりして書き忘れていたというのも怪しい。故意に書き忘れていたのでは。誰にも言われなければ一山ごっそりと着服しようとしていたのでは、と考える。

やっと太郎吉が現れ、三姉妹は宇市とともに太郎吉のあとをついて山道を歩く。
途中までくると雛子も千寿もへとへと。ここで引き返しては、と宇市と太郎吉が声をそろえる。
しかし、藤代は納得できず、さらに先にと進むことに。

藤代は「木のしるし」を見つける。それは、山も持ち主の標。山と山の境目を知らせる意味がある。
藤代がみつけたしるしは判読が難しい状態だった。

太郎吉にうちの山の境目はどこかと訊ねると、あっちの方という言い方。さらに、宇市の目録と大きさも違い、伐採をしていない山がもうひとつあると言い出した。
結局、霧がたちこめてきて山をくだることに。もうひとつあるという山を見ることはできなかった。

帰りは、三姉妹と宇市は別行動。姉妹は車で帰り、宇市は太郎吉と一杯やって帰る。

宇市と太郎吉は、伐採をして金を得ていた。それを三姉妹に知られないようにこの日はなんとか誤魔化したが、今後の作戦を練る。
他の山林の山守は融通が利かず、宇市の頼みの綱は太郎吉だけ。

そんな太郎吉は、宇市の横領を嘉蔵が知っていたのでは、と言い出す。遺言状に宇市にと何の仕分けがないことは、その証拠だ、と。
そう言われた宇市は、嘉蔵から一千ももらえぬことの不満が膨れ上がっていった。

その帰り、宇市は文乃の家に。
すると文乃の様態が悪化し医者が来ていた。
世話を焼いているのは薬局屋の女(出目金)。
文乃はむくみがひどく絶対安静の状態に。子どもを産むことにリスクがあるが、子どもを産むという文乃の決意は変わらない。

宇市は文乃が何かを隠していると勘ぐっている。そこで、これがチャンスだと、君枝を下請け先の縁故だとして、文乃の付添人にする。
こうして、君枝は文乃の家に潜入。

**

宇市から文乃の話を聞いた、藤代、雛子、千寿、芳子は、お見舞いと称して文乃の家に。
藤代らは、文乃が大切にしていた嘉蔵の写真を奪い、さらに、千寿は懇意にしている医者を呼び、文乃の診察を頼む。
宇市と雛子を隣の部屋に移動させ、嫌がる文乃を芳子、藤代、千寿は羽交い締めにして内診をさせる。
診断結果は、胎児を産む危険率は五分五分。
しかし、子どもを産むという文乃の意志は変わらない。
藤代らは、自由に産めばいい、それは私生児だ、と言い放つ。

矢島家の人間が帰ると君枝は文乃を気づかうフリ。文乃は、必要以上に詮索していくる君枝のことを疑っていた。

【女系家族】の原作ネタバレ・下巻

【女系家族】原作下巻のネタバレを紹介します。

第六章

第六章ポイント

・藤代は芳三郎と山を見に行きどれくらいになるかを計算する。

・宇市は山守と手を組みネコババしているのでは、と藤代と芳三郎。

・宇市のもとに山守から連絡が入る。→ふたりでネコババ作戦を練る。

藤代は梅村芳三郎とともに再び鷲屋の山林を見に行く。

藤代の話から宇市との山見に辻褄が合わないという芳三郎が「とにかく山見に行こう」と言い出したのがキッカケ。

ふたりは太郎吉を訪ね、山を案内してもらうことに。

芳三郎はあくどい手法で太郎吉が儲けているのでは疑っていたのだ。

その方法は……

・山林の地床だけ残し、立木を売り飛ばす。

・隣の山林保有者が、境界を侵して植林し、10年間相手が気づかずにいるとその分は隣のものになるという山林法を利用し、わざと境目標を曖昧にして、分け前を貰う。

太郎吉はシラを切る。

藤代は「もうひとつの山を見せてほしい」と言い、太郎吉はふたりをつれ「もうひとつの山」に。

ところがなかなかたどりつかず、さらに落雷が。

藤代と芳三郎めがけ、太郎吉が鎌を投げたことで、なんとか二人は無事だったが、藤代は足をねん挫してしまった。

結局、この日は「もうひとつの山」を見ることができず、下山。

藤代と芳三郎は宿に一泊する。

芳三郎によると、太郎吉は“なかなかのくせ者”。うまいこと儲けているのだろうと思案。

藤代に、もう一つの山林を見終わったら、できるだけ早くに立木を伐ってしまうよう、指示をする。

**

宇市のもとに太郎吉から速達が届く。

内容は、藤代が男と山見に来たということだ。

宇市は、藤代と男を鷲家に行かせない手だてを考える。

そこに、君枝が。

君枝は出目金がでしゃばり、それに腹を立てて文乃のところから帰ってきたのだ。

最近の文乃は「種貸し人形」を祀っていて、なにやら気がおかしくなったようだという。

宇市は君枝にもう一度、文乃のところに戻るように促す。

**

千寿は良吉から、棚卸しの際に「宇市が数を誤魔化していると感じた」と聞く。確たる証拠はないが、釈然としない良吉。

**

雛子は芳子に誘われ三越の展示会に。そこで、見合い相手と会う。相手は金正鋳物問屋の六男、金正六郎。偶然を装った芳子の策略だ。

その帰り、芳子から「見合いの事は内緒に」さらに「うちの養女に」と言われる。

**

宇市は藤代が山見に行く前に親族会を開き、相続を定めようともくろむ。

藤代の部屋にて。

ねん挫は清水の階段でこけた、という嘘をついている藤代に探りをいれる宇市。

藤代は「(親族会は)ねん挫が治るのを待ってほしい」といい、親睦会は1か月後に決まる。

藤代は、親睦会の前に芳三郎に会って策略を練るつもりでいた。

宇市が部屋から出ていくと、次に芳子、千寿、良吉が。そこで芳子は、雛子に縁談があると告げる。

第七章

第七章ポイント

・雛子が見合いをする。

・芳子は雛子を養女にしようと考えている。

雛子は両家を交え正式な見合いをする。

藤代はねん挫を言い訳に欠席。千寿夫婦と芳子夫婦が出向く。

相手は、六郎の父の金正弥曾助(70歳)、母の琴江、兄の一郎、その妻の喜代子、が。

六郎は「婿養子でも嫁をとるのでも、どちらでもいい」という考え。それを聞いた雛子は、どうするとは決めず、単純に六郎とまた会いたいと思うように。

**

宇市は太郎吉を大阪に呼びだし、作戦を練る。

藤代の連れの男が誰なのか、元夫の三田村晋輔に探りをいれたが見当外れで、何者がわからずにいる。

宇市は、税金がかからないように、1冊30万に仕切り、偽名で貯金をしておいた。14歳から72歳まで貯めた金はざっと500万。その中から30万を太郎吉に渡し、隣の山林を預かっている山守に協力させるように指示。

藤代のいう1か月が経過し宇市は親族会の開催をいそぐ。藤代は10日ほど待ってほしいというも、宇市のおしに負けて、4、5日後と決まる。

**

雛子は六郎とデート。ドライな六郎に引かれていく。
六郎の父は芳子のもとを訪れ、縁談を進めるように頭を下げる。

芳子は親族会で雛子の遺産をハッキリさせて、縁談を進めようと思う。

**

藤代は足をねん挫してから芳三郎と会っていなかった。この日、1か月を過ぎて芳三郎と密会する。

親族会があること、雛子の縁談やら宇市の話を聞いた芳三郎は、宇市が太郎吉と組んでいると確信。

そこで、登記簿を調べよう、と言い出す。さらに、藤代から鷲屋以外の山林のメモをみて思案。

立木が切られていたり、立木があっても譲渡されていたら、値打ちは10分の1。

「山林を見極めるまで、相続の件は引きのばすように」とアドバイスをする。

**

宇市は文乃を訪ねる。

親族会があるため、文乃の意思を代行する、と申し出る。

しかし、文乃は「何もいらない」と言い、君枝に宇市を送るようにと。

帰り際、文乃は「雪村の滝山水の軸」を本宅に返したのかと訊ねる。

宇一はとっさに「あれは偽物かもしれず、骨董屋で調べてもらっている」と嘘をつく。

宇市と君枝が歩いていると出目金が突如現れた。出目金は二人の関係に勘付いている様子。

君枝と宇市は休憩所に。

先々代から三代にわたって勤めながら、月給はたったの手取り6万3千円。いつかごっそりと財産をとりたいと考えていた宇市にとって、愛人の登場で遺産相続がもめることは願ってもいないことだった。

「先祖からの財産をごっそり奪ってやる」と本心を君枝に打ち明ける。

第八章

第八章ポイント

・その他の遺産分配の相談をする。

・三姉妹は山林を欲しがる。

・藤代の男=芳三郎は遺産が目当て。それに気づくも藤代は男の腕の中に……。

・藤代の逢引現場に宇市が乗り込む。

再び親族会

芳子、米治郎、雛子、藤代、千寿、良吉、宇市。

遺言状の1~3の部分は変わらず。
その他の遺産を分配するために協議する。

その他の遺産の部分。

・土地、建物

・山林

・動産(貯金、株証券)

宇市は、文乃が出産する前に決めてしまったほうがいい、と即す。

藤代も雛子も千寿も山林が欲しいと言う。

藤代は宇市の作成した目録が真実ではないと言い出し「山林を見てから決める」と。

すると宇市は自分の作成したものを疑うのかと反論。

ふたりは言い争いになり、宇市は「名誉棄損で訴える」とまで言い出した。

結局、藤代が「山林はいらない」と言うと、雛子も千寿も「確かな財産目録ができてから」と言い出した。

宇市に、キチンとした山林の目録を作成するように、と藤代。他の財産を三等分するのも次回に持ち越される。

最後に文乃が住む家は300万でそれくらいは文乃にあげる、という意見でまとまる。

そして、雪村の軸がどこにいったのか、という話に。

宇市はさりげなく、嘉蔵が文乃のためにお金にかえたのでは、と話す。

雛子は「軸はいらない、その分、山林でいただく」と言い出し、この日も遺産相続の件は決まらなかった。

**

宇市は興信所に藤代の男について依頼。

藤代の男が石田一雄だと知る。石田一雄というのは梅村芳三郎のこと。

・芳三郎は、収入も資産も相当額だが、派手な生活をおくるため、稽古場などが抵当に入っている。

・一見、女性的で優しげだが、実は金銭欲が強く、女癖も悪い。

宇市は芳三郎を尾行。

芳三郎と藤代が料亭にいることを突き止める。

**

宇市に尾行されているとは知らない二人は、遺産のことを話している。

宇市が評価した山林目録を見る芳三郎は、宇市が誤魔化し甘い汁を吸っていると断言。

太郎吉を利用し、宇市の手を封じるのが最善の方法だと。

ふたりはその会話のあとに抱き合う。

宇市は外から二人の姿を見て、密会の場に乗り込んでいく。

藤代は宇市に抗議するも、宇市と芳三郎は盃を交わす。

さらに宇市は藤代に、二人の関係は口外しないかわりに、山林の分配は任せて欲しい、と言い出した。

宇市は、藤代の取り分が多くなるよう、配慮。この計画を飲むかわりに、芳三郎は宇市に念書を書かせる。

宇市が去ると芳三郎は藤代に「念書は法的に効力があるから、疵ものの山林を渡す事はない、安心すればいい」と言い、さらに「得な相続をしたら、私の仕事に協力してほしい」と言い出した。

芳三郎は梅村流の会は実は火の車。藤代の財産が欲しいのだと打ち明ける。藤代は内心ざわざわするも、芳三郎の色気に流され承諾をする。

第九章

第九章ポイント

・宇市は偽の見取り図で、山林を自分のものにしようと企む。

宇市は君枝と会っている。

宇市は、山林の見取図が嘘ではなくするために、太郎吉の力を借りて辻褄が合うようにしていた。

念書に関しては、他の人間に広めたら、先回りして藤代が宇市と計画していたことバレるから、効力などない、と踏んでいる。

その後、宇市は千寿と良吉に山林分配表を見せ、承諾を得る。良吉は、さりげなく宇市の悪事(棚卸の件)を話すが、証拠がないため、宇市はサラリと逃れる。

**

雛子と六郎の交際は順調。雛子は家を出るには資金が必要だと考えている。そのためにも財産は必要だった。

芳子に結婚の意思を伝える雛子。芳子の養女になるのは、財産分与が終わってからと、雛子は話す。

二人が話しているところに宇市がやってきた。

例のごとく山林分配表を見せ、なんとか納得させようとする。芳子と雛子は、上の姉同様に嫁入り資金を欲しがる。雛子が席を立つと、宇市は芳子が雛子を養女にしてその財産を店の資金にしようとしていることを指摘。

うろたえる芳子は、宇市の計画を承諾することに。

雛子は芳子任せ。こうして、宇市の計画は着々と進み……。

**

宇市は自宅に戻り、通帳をながめる。さらに、山林のメモを見る。そこには、立木を伐採したり間伐したりして、つまみ食いを重ねた金額が記してある。

退職金もない宇市にとって、これらの資産を貰うことに罪の意識はなかった。

【女系家族】の原作ネタバレ・結末

【女系家族】原作の結末を紹介します。

泥沼遺産相続がいよいよ終わりへと近づきました。遺産を相続するのは誰?仰天の結末をご覧ください。

仰天の結末

藤代、千寿、雛子、芳子は屋形船でお月見。その後、馴染みの料亭に。

4人で食事をしていると宇市から電話がある。文乃が男の子を産んだという知らせだった。

文乃に呼ばれた宇市。

文乃から、親族会の前日に本宅へ挨拶に行きたい、と言われる。

宇市が君枝と出ていくのを見届け、文乃の世話をしている出目金が

「あの二人は普通の仲じゃない」と。

文乃は薄々気づいていたと、告白。

そして、出目金に子どもの出生届と本籍地の丹波に行き認知の手続きをしてほしい、と懇願する。

嘉蔵は、生前に手続きをしてくれていたのだ。

こうして出目金が文乃の子どもの出生届を出し、認知の手続きをしに丹波に。

**

文乃の子どもの名前は嘉夫(よしお)。

本宅に行くその日、出目金が書類を持って帰って来た。

文乃は書類を持ち本宅に。

すでに、宇市と三姉妹と芳子は顔を揃えている。

藤代を始めだれもが、文乃の子どもが嘉蔵の子どもだと認めない。証拠がないからだ。

文乃は「旦那さんが、亡くなる前に、認知をしておいてくれた」と認知状を宇市に渡す。

認知届には母:浜田文乃、父:矢島嘉蔵と記されていた。

このことを事前に告げなかったのは嘉蔵の意思。

「このことは誰にも言わず、子どもを出産したら、出生届を出し認知届を発効させ本宅に行くように」と告げていたのだった。

嘉夫には相続権があり、6千4百万を受け取ることができる。

藤代らが嘉夫の相続を拒否したら、裁判に持ち込むと文乃は強靭に言う。

そして、嘉蔵の遺言状があると、告げる。

宇市がそれを読み上げる。

遺言状2

文乃が持参した遺言状1~5は、冒頭部(遺言状1)と同じ。

6・文乃の胎児は私儀子供に相違なく、認知届を提出。無事出産の場合は、非嫡出子として嫡出子の2分の1の遺産を相続すること。男児の場合は、成年に達するのを待ち、矢島家の暖簾を千寿夫婦と共に継ぎ、共同経営を致す。

7・万一、文乃が死産した場合は、共同相続財産の中から五百万と文乃が住む家を渡す。

8・遺産相続後は、藤代は別居して一戸を構え、雛子は相続分を持参金および結婚費用として、他家へ嫁ぐ。養子婿を迎えて、女系を重ねることは固く戒める。

9・特定相続財産並びに共同相続財産に関する財産目録は別紙に。万一、財産目録が大野宇市の手による物と相違ある場合は、宇市の不正である。しかし、起訴などせず、横領分を返済させた上で、退職金三百万を渡す。

10・遺言状の保管執行は、宇市に代わり良吉を指名。

良吉が宇市に代わり、財産目録を広げる。

細かく記された財産は宇市のものとは明らかに違う。

宇市は自分の罪を棚に置き「一番得をしたのはあんただ」と文乃に。

千寿は「こんな人の子と一緒に暖簾を継ぐなんて」と嘆く。

芳子は目録を見て「雪村の軸」がないことを指摘。

すると、文乃が宇市に「着服したのか」と問いただす。

みなに問い詰められるも宇市はのらりくらり。

良吉は、店のものを横領していたことを指摘。

それでも宇市は認めず、遺言状の日付を問う。

遺言状の日付は「昭和34年2月18日」。

宇市が預かる遺言状より18日あとの日付だった。

遺言状のネタバレ

嘉蔵は、1月末に遺言状を書き、そのあと2月12日付で認知届を出し、18日に遺言状を書き、臨終の席で、宇市が席をはずした隙に文乃に手渡していたのだ。

文乃の子供が産まれるまでの時を稼ぐために仕組んだことだった。

文乃はここで席を立つ。

残された宇市と矢島家の面々。

藤代は遺言状を手に取り、高々と読み上げる。

藤代の声は次第に高くなり、家中に響き渡った。

こうして女系家族は終止符を打った……。

<完結>

【女系家族】原作の感想

原作小説【女系家族】は昭和時代の物語。電話はあるものの、携帯などはもちろんなく、太郎吉にいたっては「速達」という手段を取っています。現代と違う部分はありますが、お金への執着に時代は関係もなく、スラスラと読み進めることができました。

家族でありながら愛情からかけ離れた三姉妹。裕福に育った結果がこの争いとは。嘉蔵は婿養子で、妻のほうが常に偉く気持ちが和む場所がなかったのでしょう。身寄りのない文乃が嘉蔵の支えであり、癒しだった。

お金が絡むと人間はこんなにも醜くなるものかと。徐々に登場人物が本性を露わにしていく様に引き込まれる作品です。

文乃は嘉蔵を愛していたのでしょう。でも、この文乃も計算ずくだったら、と考えることもでき“お金は怖い”と思うのでした。(文乃は純粋に愛を貫いたのでしょうが……)

ドラマ【女系家族】は、2021年12月4日、5日、二夜連続でよる9時からテレビ朝日系で放送されました。

記事内画像:Amazon

女系家族

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