漫画家・編集者が登場するドラマが大量発生した理由!【リコカツ】【あのキス】など9作品も

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TBSリコカツ

今年に入り、ドラマ界にちょっと異変が起きている。人気は、刑事モノか医療モノ。それがここしばらくの定番だった。それは今も変わっていないのだろうが、そこに割って入ろうと増殖しているジャンルがある。出版社、編集者、漫画家の世界を描いた作品群が増殖しているのだ。この春クールはなんと9作品! 必ずしも主役ではないのだが、ドラマの舞台設定や役柄設定の登場率がハンパなく高いのだ。一体なぜなのか?

TBSリコカツ
https://www.tbs.co.jp/rikokatsu_tbs/ 

目次

こんなにあるぞ、出版社、編集者、漫画家が出てくる春ドラマ

4月スタートのドラマで出版社が舞台だったり、編集者、漫画家、作家が登場する作品は以下の通りだ。

番組名
出演者
シチューション
役柄
TBS「リコカツ」 北川景子 出版社勤務 ファッション誌→文芸担当
フジ「レンアイ漫画家」 片岡愛之助 出版社勤務 漫画家担当編集者
日テレ「カラフルラブ~ジェンダーレス男子に愛されています。~」 吉川愛 漫画誌編集部 編集部員
NHK「半径5メートル」 芳根京子 雑誌編集部 編集者
テレ東「理想のオトコ」 安藤政信 漫画家 漫画家
テレ東「ラブコメの掟」 栗山千明 電子コミック編集部 編集部勤務
テレ東「ソロ活女子」 江口のりこ 出版社 編集部契約社員
テレ朝「あの時キスをしておけば」 三浦翔平 漫画誌 編集者
テレ朝「コタローは1人暮らし」 横山裕 漫画家 漫画家

嘘だろーw  こんなにあるって、おかしくないですか? デジャブ感がありすぎて、不思議な感覚に陥ってしまう。きっとまだ忘れている作品があるのではないか。それにしても、こんなにネタがかぶるものだろうか。「半径5メートル」「ソロ活」「コタロー」以外は基本的には恋愛ドラマなのだが、出版社と恋愛って、あんまり関係ない、と思うんですが。

1月クールでも、菜々緒や有田哲平が編集長役を

4月クールだけでなく、1~3月クールでも、TBS「オー!マイ・ボス!」はファッション誌の編集部が舞台で、菜々緒がやり手の編集長。そのアシスタントが上白石萌音。日テレ「ウチの娘は、彼氏ができない‼︎」では、菅野美穂が小説家で、有田哲平が編集長だった。もうブームである。異常増殖である。編集者や漫画家たち。出版社みたいな地味なところが舞台になるって、何か世相を反映しているのか。

ギョーカイものはテレビが定番だったが

かつて、ギョーカイものといえば、テレビ局を舞台にしたものが定番だった。福山雅治と松嶋菜々子が豪華共演したフジ「美女か野獣」(2003年)なんかは、いかにもおしゃれで、いかにも業界っぽくて、かっこよかった。最近なら、テレ東の「バイプレイヤーズ」や「共演NG」はテレビ業界の裏側を描いてみせ、出色の出来だった。新聞社や報道関係の部署を扱うと、緊張感が生まれて、また違うのだけど、出版社はその中間を狙えるメリットはあるかもしれない。ここに至る、下地はできていた。

「校閲ガール」「重版出来」で注目されるように

思えば、出版社を舞台にした作品としては、石原さとみ主演の日テレ「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」(2016年)や黒木華のTBS「重版出来!」(2016年)など秀作があった。

映画でも松田龍平が主演した「舟を編む」(2013年)や、最近でも大泉洋が軽妙なキャラそのままに、出版業界の裏側を描いた「騙し絵の牙」でやり手の編集長を演じていた。

コロナ対策か。それともストーリー展開のしやすさか

しかし、制作関係者もこんなに被るとは、誤算に感じている人もいるのではないか。大きな理由として、「コロナ禍だから」ということがあるだろう。漫画家と編集者、編集長と部員など1対1のシーンが多いこと。「密」は避けられるという、コロナ禍特有の撮影環境確保という意味ではメリットがある。これがテレビ局が舞台だと、キャストやスタッフが多く、雑然とした「密」の状況が生まれてしまい、時節柄、見え方としてもよろしくない、という面もあるのかもしれない。

北川景子のTBS「リコカツ」にみるストーリーの展開性

一方で、テーマを拾いやすい。扱う話題に絡め、トラブルが起きれば、ストーリーを展開しやすいというのが2つ目の利点。ファッション誌の編集者から、文芸担当になった「リコカツ」の北川景子は、小説家(白洲迅)に深夜まで電話でネタ作りに振り回され、夫(永山瑛太)が焼きもちを焼いたりするわけだ。

フジ「レンアイ漫画家」では、片岡愛之助が漫画家のネタ作りに奔走

また、「レンアイ漫画家」では、正体不詳の人気漫画家、刈部誠一郎(鈴木亮平)にいい作品を書かせるために、吉岡里帆を使って、疑似恋愛のアルバイトを用意させる編集者、向後を片岡愛之助が演じている。女子向け漫画を描いている女性漫画家という設定の刈部の正体がバレないように腐心したり、ネタ作りのためなら、なんでもやる。世間一般では無謀に思えることでも、けっこうやってしまうのが編集者。ドラマにすれば、ネタは尽きないシチュエーションというわけだ。

フジテレビレンアイ漫画家

https://www.fujitv.co.jp/renaimangaka/

テレビ東京は3作品が絡む

テレビ東京に至っては、編集者、漫画家、ライターと盛りだくさんの3本ものドラマでシチュエーションがかぶっている。漫画家の安藤政信と、編集者の栗山千明と、ライターの江口のりこと、もはや、やりすぎ感もあるのだが、たまたまとは思えない重なりようである。

SNS全盛の現代だが、スマホじゃドラマになりにくい

出版社は地味なイメージなのだが

ただし、地味なのだ。出版社というのは、文字、文章を扱う仕事である。何かで編集部を訪れた経験のある方はご存知かもしれないが、報道以外のセクションは、「読む」ことに静かに格闘する世界である。

よくいえば、凛としている。悪く言えば、陰気な雰囲気。お世辞にも派手なイメージはないわけだ。

SNSのやりとりでは、味気ない?

それでも、なぜ出版社なのか、そして編集者なのか。今は、WEB時代である。ブログがあり、電子書籍がある。そこには、スマホやパソコンのやり取りではドラマになりにくいという背景があるような気がする。SNSやメールのやりとりを見せて、進行する作品は時代性を感じさせるものもあるが、実は意外に味気ない。その意味で、考え、悩み、論戦を繰り広げるアナログすぎるな編集者の仕事は、じっくりと向き合い、会話劇を作りやすい利点があるのだろう。

人気職業では◯位?

ちなみに、「人気職業ランキング」(13歳のハローワーク公式サイト、2021年4月)を見てみたが、上位はこんな感じ。

  1. 宇宙飛行士
  2. YouTuber
  3. プロスポーツ選手

編集者なんて、今時そんな上位ではないだろうと思ったが、なんと10位にランクインしていた。これも、ドラマの影響ではないか。

編集者は作家や漫画家に書かせることでしか救われない?

実は小生、出版社に勤務経験がある。作家やライターをその気にさせる。そのためにネタを探したり、身の回りの世話をしたり。「レンアイ漫画家」の片岡愛之助演じる向後さんは、かなりリアリティーを感じる。そこには、ありとあらゆる知恵が求められる。苦しい思いもするが、静かに文字と向き合い、いい作品が仕上がったとき、至福を感じたことも多々ある。

ドラマではないが、ある作品のラストシーンはこうだった。服役している人物に、獄中小説を書くように刑務所へ説得に出向く編集者がいた。「何も書くことないですよ」と渋られるのだが、「あなたは書くことでしか救われない。でも、僕も書かせることでしか救われない人間だから」。

どんな素材も扱い、ネタにできるのがドラマにおける編集者。ある意味、ネタは尽きないかもしれない。ドラマの編集者人気はどこまで続くか、注目してみよう。

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