『ブレイズメス1990』登場人物&あらすじを結末まで解説!

ブレイズメス1990/ネタバレ

小説「ブレイズメス1990」(著者;海堂尊、講談社文庫)がTBS日曜劇場の原作として話題です。

今回は『ブレイズメス1990』登場人物&あらすじを結末まで解説!について。

※小説のストーリーを解説していますのでネタバレ注意です。

目次

『ブレイズメス1990』登場人物&あらすじを結末まで解説!

ブレイズメス1990
出典amazon

バブルが終わる頃の日本の医療を描いていることから《バブル》三部作とも呼ばれるシリーズ。

『ブレイズメス1990』は、『ブラックペアン1988』に続くシリーズ第2作です。

『ブレイズメス1990』 カネの亡者 !? の天才外科医、現る。 この世でただ一人しかできない心臓手術のために、モナコには世界中から患者が集ってくる。天才外科医の名前は天城雪彦(あまぎゆきひこ)。カジノの賭け金を治療費として取り立てる放埒な天城を日本に連れ帰るよう、佐伯教授は世良に極秘のミッションを言い渡す。『ブラックペアン1988』の興奮とスケールを凌ぐ超大作。

世良がフランスへ

時は1990年、4月下旬。
主人公・世良雅志は、東城(とうじょう)大学医学部総合外科教室(通称:佐伯外科)の3年目の研修医。
国際循環器病学会に出席する垣谷講師に同伴してフランスのニースに降り立つ。
世良は、タクシー運転手のお釣りでモナコ公国の硬貨を偶然手に入れる。
そんな中、世良と垣谷は5月から佐伯外科に入局する新人研修医・駒井と会った。

世良は佐伯院長から学会に出席する心臓外科医・天城雪彦(あまぎゆきひこ)にメッセージを届けるという特命を帯びていた。 しかし天城は学会をドタキャン。世良は天城を探しにカジノに足を運び、天城を見つける。メッセージとは「東城大に心臓外科センターを作るのでセンター長に就任せよ」というオファーだった。

天城が日本へ

天城は拝金主義で、自分の手術を受けさせるために患者にギャンブルをさせていた。天城は東城大学医学部全体の根底を揺るがしかねない存在だった。それでも天城の手術を見学したに世良はその技術に引き込まれる。世良は特命を果たすため、モナコ公国の硬貨を使って天城とギャンブルをする。

結果、世良は勝利しなかったが負けもしなかった。天城は日本へ行くことを決めた。

天城が桜宮心臓外科病院設立へ

天城は東城大学医学部に招へいされた。世良は佐伯の命令で天城の身の回りの世話役となる。

天城は佐伯が自分を呼び寄せた理由を、心臓外科のナンバー2・黒崎助教授やナンバー3の垣谷講師を排除するためだと推理。佐伯が決めている後継者(高階講師?)がいるはずとにらむ…。

天城は、東城大医学部付属病院の分院で心臓手術専門病院「桜宮心臓外科病院」、通称「スリジエ・ハートセンター」を新しく設立を表明する。(スリジエはフランス語で「さくら」の意味)
心臓外科医の黒崎ら医師たちと天城の関係は険悪に…。

天城による公開手術

天城は、日本の医療関係者が目を背けていた医療と金というポイントにメスを入れ、高階の神経を逆なでする。
天城は自ら確立した術式“ダイレクト・アナストモーシス”を東京国際学会で公開手術することを宣言する。
医療で大事なのは命と天城も思っている。
だが、天城は新病院設立まではカネを大事にするという。
公開手術をするのも「宣伝」のためだった…。

公開手術の患者は世界的名車を誇るイタリア・ルキノ社の社長、ピーコックだった。
天城は、東城大学医学部の運命を賭けた公開手術を成功させる。

結末

その後、桜宮市やウエスギ・モーターズの援助も獲得した天城。
一方、世良は3年目の看護師・花房美和と公開手術近くのホテルの部屋で一夜を共過ごす。

天城は、サクラテレビのインタビューで、再来年(1992年)にスリジエ・ハートセンターを設立することを発表する。

・タイトルの意味は不明。
・blaze(ブレイズ)とは「 (激しい)炎、火炎、火事、火災、閃光(せんこう)、強い輝き、燃えるような色彩、(名声などの)発揚、連発、かっと燃え立つこと」などの意味があります。
・ブレイズメスは、心臓外科医・天城の存在そのものを表現しているかもしれません。

 

「ブレイズメス1990」の感想

小説「ブレイズメス1990」の感想です。

垣間見えた天城の思い

ブレイズメス1990」では、天城が公開手術を成功させて、スリジエハートセンター設立の夢に希望を抱くストーリー。

お金集めに貪欲な天城ですが、スリジエハートセンターを作りたいという思いは本物のように私は感じました。文庫版(初版)370ページで、天城はスリジエハートセンターを「桜宮の桜並木だ」と例えていました。

桜が植えられ続けて「桜並木」として残っていくように、桜宮市に心臓外科専門病院を作り、後を継ぐ者が運営していってほしいということでしょう。お金はあの世に持っていけないので、天城はスリジエハートセンターを残したいと思っているのだと、私は推測します。

世良の思いが天城に火をつけた?

そもそも世良の熱意に心動かされて日本に来た天城です。世良は、黒か赤でいいのに数字まで賭けて、さらにゼロに球が止まるという大逆転。世良の勇気と幸運が天城の背中を押したのでしょう。

物語は続編「スリジエセンター1991」へと続きます。果たして天城の夢であるスリジエハートセンターは実現するのか?注目ですね。

「ブレイズメス1990」の登場人物

■「ブレイズメス1990」の登場人物

  • 世良雅志(せらまさし)(演:竹内涼真)……東城大学医学部付属病院総合外科学教室(通称・佐伯外科)、3年目の研修医。大学サッカー部では6年生の秋まで活躍。医学部の運動部は5年生で引退する中、異例。ポジションはリベロ。前作の後、約1年半の外部研修の末に佐伯外科に戻った。高階がいる腹部外科グループに身を置いているが、佐伯からの特命をきっかけに、心臓外科医・天城の世話役となる。天城からはジュノ(青二才)と呼ばれている。1990年5月15日付けでスリジエ・ハートセンターの常勤医に任命される。期間は2年間。開院まではスリジエ・ハートセンター創設準備委員会委員
  • 天城雪彦(あまぎゆきひこ)(演:二宮和也)……モナコ公国にあるモンテカルロ・ハートセンターの外科部長。心臓外科医。患者を選ぶにも金を重点に置く拝金主義者。一見倫理に反する言動から周囲の反感を買うが、理路整然とした物言いで圧倒する。モナコでは患者の全財産の半分をギャンブルに賭けさせ、運の良さを見極めるというやり方で患者を選定。冠状動脈バイパス術の進化型である「ダイレクト・アナストモーシス(直接吻合法)」を世界でただ一人、実施できる。その手術により一人の患者も死なせていないことから王室より「モンテカルロのエトワール(星)」の称号を得ている。過去に公開手術で死亡者が一人出てているが、天城のせいではなかったらしい。
  • 垣谷雄次(かきたに ゆうじ)(演:内村遥)……佐伯外科の医局長で心臓血管外科グループ講師。佐伯外科のナンバー3に相当。東城大学医学部サッカー部のOBで世良とは8年先輩の関係。ニースでの天城の言動に反感を抱き、その感情を露にする。
  • 駒井亮一(こまい・りょういち)(演:?)……佐伯外科の新人医局員。九州にある薩摩大出身。入局以前に旅行と国際学会見学を兼ねて訪れたニースで世良、垣谷と出会う。陽気な性格で九州弁丸出しのお調子者。最初は天城を警戒していたが、公開手術の打ち合わせ後、天城の二番弟子になる。
  • 高階権太(たかしな ごんた)(演:小泉孝太郎)……佐伯外科の講師。腹部外科グループのトップ。専門は食道癌手術。食道自動吻合器「スナイプAZ1988」を売りにして帝華大学からやってきた医師。患者を救うことに重きをおくため、金を物差しに語る天城に反発するが、天城が語りかける言葉に圧倒されてしまう。佐伯清剛東城大学医学部付属病院院長で総合外科学教室教授。天城を招聘することで院内抗争を助長させているが、高階によって変革してから落ち着いてきた佐伯外科の現状を快く思っていないが故の行動だった。総合外科学教室は次々と専門に分かれて分派したが、それも未来を見据えた末に容認している。
  • 黒崎誠一郎(くろさき せいいちろう)(演:橋本さとし)……佐伯外科の助教授。佐伯外科のナンバー2。心臓血管外科グループのトップ。
  • 佐伯清剛(さえきせいごう)(演:内野聖陽)……東城大学医学部付属病院の院長、教授。世良を使って天城を東城大に招へいし、スリジエ・ハートセンターの設立を指示する。
  • 東城大学医学部付属病院の医師
    • 北島達也(演:松川尚瑠輝)……佐伯外科の医師。世良雅志の同期。同期の中で1番上昇志向が強く、負けず嫌い。情報通。
    • 川田(かわた)……外科医。世良の2年上の先輩。医局内の評価は低い。
    • 青木…心臓外科医。世良雅志の同期。
    • 多田…形成外科の教授。皮膚科医。
    • 平井…7年目の医師。
    • 江尻……副院長。第二内科教授。病院全体運営会議の議長。反佐伯派の急先鋒で、病院長の座を虎視眈々と狙っている。
    • 富田……麻酔科の教授。
    • 田中…麻酔科医。天城の公開手術で麻酔を担当。
  • 東城大学医学部付属病院の看護婦(看護師※)&その他
    • 藤原真琴(演:神野三鈴)……総合外科学教室病棟の婦長。2年前は手術室の婦長。次期総婦長の候補ナンバー1。
    • 猫田麻里(演:趣里)……手術室主任看護婦。オペ室のエースと謳われる器械出しの腕の持ち主。趣味は昼寝(シエスタ)。4時間以上の手術だと集中力が持たない。
    • 花房美和(演:葵わかな)……手術室看護婦。前作から世良とは親密な関係になりつつあったが、2年経った今もその関係は変わらない。だが公開手術以降に進展が見られる。
    • 松井……手術室看護婦長。
    • 榊(さかき)……総看護婦長。看護婦200名を率いるトップ。
    • 中村…臨床工学技士
    • 緒方……事務長。
    • 曾野(その)…放射線技師長。
    • 遠藤…薬局長。
  • 碧翠院(へきすいいん)桜宮病院
    • 桜宮巌雄……碧翠院桜宮病院の院長。
    • 桜宮葵……碧翠院桜宮病院の医師で桜宮巌雄の娘。桜宮病院付近の岬で世良、天城と対面する。
  • 帝華大学外科学教室
    • 鹿間(しかま)……帝華大西崎外科の助教授。医師。専門は心臓。西崎教授のお供で、フランス・ニースで開催の国際学会に参加。
    • 西崎慎治(にしざきしんじ)(演:市川猿之助/シーズン1)……日本外科学会の頂点にして帝華大外科学教室のトップ。教授。医師。
  • 維新大学
    • 菅井達夫(演:段田安則)……医学部第一外科の教授。専門は心臓バイパス術。日本胸部外科学会の重鎮。
  • セルゲイ教授……米国・マサチューセッツ医科大学の教授。有名な心臓外科医。
  • ガブリエル教授……英国・オックスフォード大学の教授。有名な心臓外科医。天城の人となりには一物を抱えた思いを抱いているが、天城のダイレクト・アナストモーシスには人一倍関心を抱き、その技術を一目みたいと渇望している。
  • アントニオ講師……ゼルゲイ教授の秘蔵っ子。
  • ミヒャエル部長……米国・サザンクロス心臓疾患専門病院の部長。
  • マリツィア・ド・セバスティアン・シロサキ・クルーピア……新進気鋭の建築家。モナコ公国を建国したマリツィア家の直系、分家第二十五代当主。公位継承権は第7位。母親が日本人なので少しだけ日本語を話す。天城に「スリジエ・ハートセンター」の設計を依頼される。桜宮病院を悪意の塔と表現して院長に怒られる。土地の発する声を聴くため野宿をするなど天才肌な面もある。
  • ボビー・ジャクソン……テキサス大学助教授。公開手術の場で術者に粘着質な質問をすることで有名。悪名高いクラッシャーであるため「マッディ・ボブ(泥沼のボブ)」の異名を持つ。高階の共同研究者であるポール博士も同様に廃人にされた。
  • ピーコック社長……世界的名車ガウディの会社、イタリア・ルキノ社代表取締役社長。天城の公開手術の患者。
  • 桐生恭一……天城の公開手術を見学に来ていた若者。小児心臓外科を希望している。天城の仲介で、サザンクロス心臓疾患専門病院のミヒャエル部長と繋がりを持つ。のちに(著者の別作品にて)バチスタ手術で100%の成功率を誇る「チーム・バチスタ」の執刀医となる。
  • その他
    • 山村所長……富士見診療所の所長。世良雅志の2か所目の研修先であり、高原の町にある。そのため、手術が全くない。
    • 広橋事務長……維新大学の事務長。
    • バベル・ハッサン……天城のオペを受けた患者。中東の産油国バザン公国の王族。篤志家。天城の日本での公開手術に対し、約5千万円の寄付をする。
    • 村雨秘書……桜宮市の釜田市長の秘書。天城の公開手術の招待客。スリジエ・ハートセンターの支援に関わる。
    • 上杉歳一会長……ウエスギ・モーターズ会長。天城の公開手術の招待客。スリジエ・ハートセンターで手術を受けるにあたり、創設のための支援金に協力する。
※補足:看護婦(男性は看護士)という呼び方は、現在は看護師で統一されています。2001年の法改正で「保健婦助産婦看護婦法」から「保健師助産師看護師法」に名称が変更されたことにより、翌2002年に性別による読み方の区別が撤廃され、男女ともに「看護師」と統一されました。
ブレイズメス1990/ネタバレ

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