30分ドラマが乱立するワケとは?「ラブコメ」「アラサー」狙いの裏側にある秘密!
ドラマの数が最近激増している。コロナ禍の巣篭もり需要も反映しているのか、全ての地上波ドラマを見ようとすると追いつかなくなってくきた。特に増えたのは30分枠の作品群だ。いずれも深夜帯に集中しているがこの春クール(4月から)は14本、1月クールでは17本もの乱立ぶり。そのうちテレビ東京は実に8本!?時代は30分ドラマなのか。
https://www.tv-tokyo.co.jp/kojidan/
テレビ東京が旗振り役?王道はアラサーのラブコメ
その名の通り「ラブコメの掟」
激増中の30分ドラマ。1時間ドラマをじっくり観るのも良いが、30分ならもっと気楽に。就寝前のひとときにリラックスして、見やすい」「お手軽」というのが最大の売りだろう。中でも定番は、いわゆるラブコメもの。そのままタイトルになっているテレビ東京「ラブコメの掟~こじらせ女子と年下男子~」。デキる女の栗山千明が実はこじらせアラサーで、恋愛指南を志願してきた小関裕太と疑似恋愛がいつの間にか、という展開はよくあるストーリーではあるが、30分で収まると実に心地いい。
「理想のオトコ」に「高嶺のハナさん」
「理想のオトコ」は、蓮佛美沙子演じる美容師と漫画家役の安藤政信の恋を描くが、こちらもアラサー女子向けだ。「高嶺のハナさん」は泉里香演じるキャリア女子が一切弱みを見せないで実は部下の弱木クン(小越勇輝)にキュンキュンしているのだ。
吉田羊に江口のりこ。芝居巧者の秀作で女性をターゲットに
「生きるとか 死ぬとか 父親とか」
そして「にぶんのいち夫婦」では主婦役の比嘉愛未が夫役の竹財輝之助の浮気を疑う、ちょっとハラハラする展開。恋愛ものだけではない。「生きるとか 死ぬとか 父親とか」では吉田羊演じるラジオパーソナリティーと父親役の國村隼との関係を軸にした家族の悲喜こもごもをユニークに、そして切なく描く秀作だ。
https://www.tv-tokyo.co.jp/solokatsu/
「ソロ活女子のススメ」
さらに「ソロ活女子のススメ」は、個性際立つ江口のりこの主演作。ひとり時間を楽しむ大人の女性の楽し方の指南書だ。この2作は吉田、江口という芝居巧者が作品のグレードをアップさせて、「お手軽」だけでない、「見応え」も十分だ。他にも青春ものの、「DIVE!」「ゆるキャン△2」などもあり、バラエティー豊富だ。ここまで紹介したのは、全てテレビ東京系列の作品である。あえてゴールデンなどで勝負せず、深夜に30分を重点配置する戦略だ。
テレビ朝日は「泣くな研修医」など3作投入
テレビ朝日系も「泣くな研修医」「コタローは1人暮らし」「ジモトに帰れないワケあり男子の14の事情」の3作品を投入している。
「ラブコメ」や「アラサー」狙いの背後にある秘密とは
昼ドラが定番だった30分ドラマの見やすさ
オールドファンには、30分ドラマといえば、昼ドラのイメージか。午後1時台、フジ系では30分ドラマが2階建てで放送されていた。「キッズウォー」みたいな家族のほのぼのもの、「牡丹と薔薇」ドロドロ愛憎ものなどが高視聴率をマーク。中村玉緒が看護師長役を演じたMBS系「いのちの現場から」なども人気があった。主婦層を中心としたターゲットが家事の合間にみる。つまり30分の見やすさ、手軽さがある。
Youtubeの試聴時間に関係
若者がテレビを見ないと言われて久しい。そしてパソコンよりもスマホ。そんな時代背景に照らせば、コンテンツとして幅を聞かせているのはYoutube。10~20分のコンテンツがほとんどだろう。だからこそ、1時間ドラマより30分ものが重宝されるのでは。
配信ビジネスにもリンク
しかもテレビ東京はParaviとリンクして制作しており、動画配信ビジネスに30分ドラマはさらに親和性が高いわけだ。局としても時代のニーズに合わせた面と動画配信ビジネスとしての両面があるワケだ。視聴者にとっても突如人気が出てバズったとしても1話から見返すのも30分ドラマなら後追いもし易いというメリットがある。
夏ドラマも30分ドラマに注目!
中村トオル&関水渚「八月は夜のバッティングセンターで。」
https://www.tv-tokyo.co.jp/hachinai89/
7月スタートの夏ドラマも注目の30分作品が続々。日本テレビ系「シンドラ」はジャニーズWESTの濱田崇裕主演作。春画制作で処刑されてしまった男が、タイムスリップして令和の漫画家に弟子入りするコメディーだ。テレビ東京は仲村トオル×関水渚による「八月は夜のバッティングセンターで。」。TBS系「サレタガワのブルー」犬飼貴丈&堀未央奈が主演。
朝ドラは15分で笑わせ、泣かせる
思えばNHKの朝ドラはたったの15分である。それでも笑い、泣き、人の心を動かせるのである。短尺の連続ドラマのニーズはまだまだ高まるのでないか。
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