【余命10年】原作ネタバレ!主人公の病名は何?作者・小坂流加の実話?

【余命10年】原作ネタバレ!

小松菜奈・坂口健太郎W主演の映画『余命10年』の原作は小坂流加さんの同名小説です。

一体どんなストーリーで、主人公の病名は何?著者の実話って本当?!

今回は【余命10年】原作のあらすじネタバレ、結末について。

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目次

【余命10年】原作ネタバレ

映画『余命10年』の原作小説のあらすじネタバレを紹介します。

20才:病気の発症

茉莉(まつり)(小松菜奈)は20才になる夏に入院した。人の死もリアルに体験した。

…茉莉と同じ病気で入院していた礼子(れいこ)と、ロビーで顔を合わせるうちに言葉を交わすようになった。

礼子は「茉莉ちゃん、人生に後悔はない?」と聞いてきた。

礼子は「ありがとう」「ごめんね」「好きです」を伝えたい人や動物にちゃんと伝えられなかったことだと茉莉に語った。

茉莉が20才の夏、礼子が亡くなった。

礼子の夫と小学生の男の子が悲しむ姿に、茉莉は自分の10年後の未来を見ているように感じた。

21才:入院中

茉莉は、余命10年の病気で入院中。病名は普通の人なら知らないだろう、臓器名と症状を組み合わせた漢字8文字のもの。国が難病指定している。

初めての発作。意識不明。大きな手術…。退院の兆しが見えない。

21才の誕生日は、病院で、朦朧(もうろう)とする意識の中で迎えた。

茉莉は短大を中退。同級生たちは社会人となっていった…。

22才:退院

入院して2年後。茉莉は、22才の春に退院できた。

残り8年。茉莉は両親や姉に申し訳ないと内心、思っている。↓

お父さんごめんなさい。
成人式の振袖着られなくて。
お母さんごめんなさい。
何一つ期待に沿えない事ばかりで。
桔梗ちゃんごめんなさい。
優しくしないでって時々思う情けない妹で。
ごめんなさい。
誰より遅く生まれたのに、誰より早く死んでしまって。
残りはあと8年。

文庫本「余命10年」15P

退院して3ヶ月。

中学時代の友人・沙苗(奈緒)に誘われて秋葉原へ。

茉莉は入院中、アニメが大好きになった。

好きなアニメキャラ(のコスプレをしている人たち)が目の前にいて興奮する茉莉。

23才:人生、楽しんだもの勝ち

8月1日に茉莉は23才になった。

茉莉は、沙苗にコスプレイベントにも連れて行ってもらった。

そのイベントで、沙苗の友人・月野という女性と親しくなった茉莉。

茉莉はコスプレイベントで【人生、楽しんだもの勝ち】という精神を学んだ。

衝撃のイベントから3ヶ月。

茉莉は漫画を描き始めた。沙苗のサイトにアップしてもらい、サイト内の掲示板で茉莉の絵を褒めるコメントがあった。

茉莉は居場所を得た感覚になった。

やがて沙苗の同人誌に何ページか漫画を掲載するのが日常になる。

イラストのサイトも立ち上げた茉莉。彼女の絵は好評を博していた。

24才(1)強くなりたい

茉莉は24才になった。

オリジナルの漫画を出版している月野の勧めもあり、茉莉はオリジナル作品を描く。

そして出版社へ持ち込んだ。

しかし結果は不採用

人気漫画家になって稼いで、家族を安心させられるかも。

社会と繋がることができるかも。

そんな茉莉の希望は打ち砕かれて、大きなショックを受けた。

強くなりたい】と茉莉は思った。

燃え尽き症候群になった茉莉はペンを置いた。

24才(2)恋なんてしない

ゴールデンウイーク。茉莉は、短大時代の友人・美弥(みや)が経営する店へ行った。

友人たちの中で一番先に結婚した美弥は、夫の亮と2人で居酒屋をオープンしたのだ。

その店に茉莉たち短大時代の友人が集まった。

しかし茉莉は話が合わなくてつまらない。羨ましくもあり、妬む気持ちが沸いた。

新入生歓迎会のコンパの時、茉莉が盛り上げてくれて「それで友人になりたいと思ったんだ」という友人たち。

短大時代、茉莉は「祭り」キャラだった。そう演じていた。悲しくても悔しくても笑った。

・・・帰った後、美弥から茉莉へ電話がきた。

夫の亮が茉莉を心配して、大学の後輩を紹介したいと提案しているらしい。

茉莉は乗り気でなかった。美弥は夫と「3人で飲もう」とだけ誘ってくれた。

茉莉は、恋なんてしたら、その人を置いて死ぬことになるから【死を恐れてしまう】と思う。

今の茉莉は、死ぬことを恐れていなかった。

だから恋なんてしない、しちゃいけないと思う。

でも「恋したい」。いや「しちゃいけない」と、気持ちが振り子のように揺れた…。

25才(1)暴飲暴食の夜

茉莉は、夏のイベントに出す同人誌を描きあげたり、コスプレも楽しんだ。

茉莉は25歳になっていた。

美弥の店が休みの日、美弥の夫・亮とともに3人でバーに行った。

「安藤さんに会ってみない?」と勧められた。

亮の2つ下の29才で、大学時代の後輩だという。

彼は設計事務所に勤務し、美弥のわがままも聞いてもらいながら、居酒屋の設計もしてくれたらしい。

安藤は心臓に障害があった。だから病気を抱える茉莉とは分かち合うことができるのでは?

…というのが美弥と亮が安藤を勧める理由だ。

茉莉は、怒りがこみ上げてきた。

内心、怒り心頭で、テーブルをひっくり返してハイヒールで蹴り飛ばしたい…

と想像したが、茉莉にできるはずもない。

茉莉は、笑ってその場をとりつくろって、今は恋をしないと断った。

美弥は明らかに不機嫌になっていた。

帰り。茉莉は一人で居酒屋に入って、暴飲暴食をしてトイレで吐いて泣いた。

翌日。茉莉は少し髪を切った。そして布を買って、衣装を作る。

いじめられた後だから、自分を甘やかして好きなことをして心を保った…。

25才(2)「ごめんね」

茉莉の姉・桔梗(黒木華)が結婚し、群馬県へ引っ越した。

茉莉は、自分がいなくなったら両親が2人暮らしになり寂しいと思う。

そう考えると、生きてあげたいと思うが、死ぬことで全て終わるから救いでもある。

死ぬことも生きることも怖い…と思い始める茉莉。

茉莉は、部屋の片づけをしているとき、日記を見つける。

そして礼子が「ありがとう」「ごめんね」「好きです」が後悔すること、と言っていたのを思いだす。

小学生まで群馬県に住んでいた茉莉たち家族。

茉莉は、群馬の姉の引っ越し先を訪問するついでに、小学生時代の親友・新谷美幸(しんたに みゆき)を訪ねた。

そして茉莉は美幸に「ごめんね」と謝った。

小学校時代。茉莉と美幸は絵を描くのが好きで、仲良しだった。

二人でお小遣いを貯めてお揃いの赤い筆箱を買って使っていた。

しかし運動会のリレー選手だった美幸は派手に転倒し、クラスを最下位にしてしまった。

そのことがきっかけでイジメのターゲットにされた。

茉莉は美幸を助けられず、筆箱も変えてしまった。

中学からバラバラになってしまったが、茉莉はずっと罪悪感を抱えていた。

茉莉が美幸へ「ごめんなさい」と謝ると、美幸はびっくりした。彼女はそんなことを覚えているのは茉莉だけと言って笑った。

実は、美幸は中学に入ってからイジメる側になっていた。

「された方は覚えているけど、した方は覚えていないのよ」とも言う美幸。

美幸は、小学生時代の茉莉が自分を気にかけていたことを気づいていた。

そして、会いに来てくれたことを感謝する美幸。

茉莉は「今は東京でOLをしている」と美幸にウソをつく。

・・・美幸に誘われた茉莉は「同窓会」に行くことに。

25才(3)「好きです」の相手

茉莉は美幸に誘われて、小学生時代の同窓会へ行った。

礼子の後悔:「ありがとう」「ごめんね」「好きです」のうち、「好きです」の相手がいるから。

それは初恋相手のタケル(山田裕貴)。

小学3年で同じクラスになって中学校で転校するまで、茉莉は一途に彼のことが好きだった。

ストレートな恋愛しかできない茉莉にとって、唯一「好きです」といえなかった相手だ。

25才(4)和人(坂口健太郎)と運命の再会

同窓会の日。茉莉はみんなにも東京でOLをしていると嘘をついた。

同窓会には真部和人(坂口健太郎)もいた。彼は今も学生のようなかっこうだった。

和人は成績も運動神経も良かったが、タケルのような人気者ではなかった。

和人は茶道の家元の息子で、修行だけしていればあとは自由の身だという。

タケルと和人は高校から一緒になり仲良くなっていた。

タケルが和人をカズと呼ぶので、茉莉もカズくんと呼ぶことになる。

茉莉が「カズくんは運動神経よかったよね」と言うと、和人は「ありがとう、茉莉ちゃん」と喜んだ。

和人は女の子を呼び捨てにしないらしい。(*注:のちに茉莉を呼び捨てにします)

帰り。タケルには結婚を考えている同棲中の彼女がいると分かり、茉莉の気持ちに区切りがついた。

とぼとぼ歩いている茉莉に、和人が話しかけた。

和人は「自分のシャツのボタンがとれかけていたのを茉莉が見つけて縫ってくれたことが小学校時代の一番の思い出」と話す。しかし茉莉は覚えていない。

2次会で時間が遅くなり、和人が茉莉を送ってくれた。

そして「明日、小学校で遊ぼう」と誘われた。

25才(5)小学校での告白

翌日。茉莉と和人は小学校へ行って、校庭で遊んだ後、校舎へ忍び込む。

和人が「見せたいものがある」と言って、図画工作室へ行く。

ベニヤ板をどかした一番奥の棚の下に、「マツリ」と彫った後が残っていた。茉莉が彫ったものだ。

そしてその横に「和人」の名前が彫られていた。

さらに相合傘がマジックで書かれていた。これは2人とも覚えがない。

茉莉の秘密を見つけて嬉しくて、和人は自分の名前も彫ったと言う。

俺のボタン縫ってくれたの嬉しかった。あの日が俺の初恋。俺は茉莉ちゃんが好きだったんだよ

と、和人は茉莉に告白した。

2人が相合傘を彫っていると、校務員や先生が来て、走って外へ逃げる2人。

茉莉は走ったためか、呼吸困難になる。公園で、和人は優しく茉莉を介抱した。

落ち着いた茉莉は、神社で一緒に食事する。商店街の懐かしのポテサラやメンチカツを食べた。

和人は家元の息子とで家を継ぐことを躊躇していた。

お茶の稽古に身が入らなかった和人。だから茉莉が絵に夢中なのが羨ましく思った、と振り返る。

茉莉は東京のOLを演じたまま、和人と別れた。

もう東京に帰ると思うと寂しかったが「これでいい」と思う茉莉。

26才(1):お茶会

夏が来て茉莉は26歳になった。

家の電話に出ると、和人からだった。誕生日おめでとうをいうために連絡をくれたのだ。

和人はお盆に東京に来るので、会う約束をする茉莉。

2人は東京観光を楽しんだ。

和人から「漫画を諦めちゃダメだ」といわれる茉莉。

そして「明日は海に行こう」と誘われた。

「水着を持っていない」と茉莉がいうと、和人が選ぶという。2人は水着売り場へ。

しかし和人がビキニを勧めてきたとき、身体の傷のことを思い出した茉莉は明日の約束を断った。

楽しかった1日。なのに、家の浴室で茉莉は泣いた。日本刀で切りつけたような手術跡が胸の谷間から腹、脇から背中にある。醜い。和人といると楽しいが、あとが辛くなる。辛いけど会いたい。死にたくないと思ってしまう茉莉…。

ある日、街のポスターで、和人の実家が茶道体験をやっていると知った茉莉。

着物を着て行ってみた。しかし体験後、慣れない着物と長時間の正座で体調を崩してしまう。

和人の母、紫(ゆかり)が茉莉を介抱してくれた。

紫は和人が辛い時に「頑張れ」と言うしかできずに悪いことをしたと話す。

そして、和人が20歳くらいの時に結婚したいと思う相手がいたことを聞かされショックを受ける茉莉。

26才(2):和人に嫌われる

茉莉は和人に嫌われようと買い物に付き合わせた。しかし、彼は嫌な顔を全くしない。

やっぱり和人が好きだと実感する茉莉。

和人が実家と付き合いがある お茶道具のおじさんに偶然会った。

茉莉は道具屋まで知ってるということは、家元の息子なことをみんな知ってると思う。

「それで平気なの?もう決めなさいよ。いつまでも逃げられないでしょう」と詰める茉莉。

これが和人の弱点だった。

「ずっと逃げたままなの?結婚したかった人も、そういう優柔不断が嫌だったんじゃない?」と、厳しい茉莉。

和人の婚約者は、和人が家元の息子ということで逃げられていた。

茉莉は、姉に負け続けた私の失敗に比べたら「かすり傷だよ」といった。

和人は怒った。跡取り息子で逃げられなくて、どんな思いをしたきたのか分からないくせに…と。

なりたくてなってんじゃないことを「わかるよ」と茉莉は言った。※茉莉の場合は不治の病のこと。

・・・茉莉は和人と喧嘩したまま帰った。もう二度と会えなくてもいいと茉莉は思った。

26才(3):友人と喧嘩

茉莉の短大時代の友人・奈緒の結婚が決まった。茉莉は仲間達と美弥の店に集まった。

サオリが茉莉に元気を出してほしいと彼氏を紹介しようとするが、茉莉が断った。

サオリは「病気だから恋しないなんて逃げだ」と思わず強く言ってしまう。

それに対して茉莉は、治療法がなくて余命10年のことを打ち明ける。

恋をしない決心も告げた茉莉。

「黙っていたのは言っても仕方がないから」と言う茉莉に、友人たちは何も言えなくなる。

茉莉は帰り道、スッキリしたと思う。けれど「みんな悪くない。ごめん」と心の中で、謝った。

26才(4):和人とのキス

突然実家に和人がやってきた。2人は仲直りし、スノーボードに行くことに。

帰り道、雪で帰れなくなり、宿泊先もなかったため、車の中で1晩すごす。

茉莉は「好きだなって思って」と、和人へ自然に告白した。

和人も「俺も好きだよ」と改めて告白。

2人は、抱きしめ合いキスをした。

身体の傷を知られたくないため、茉莉が拒否して、キス以上は進まなかった…。

和人は「同窓会で会って二度君を好きになったんだ。ほんとに、ほんとに、好きだ」と言った。

茉莉は「わかったから」と、涙を流した。嬉しくて泣いたと言う茉莉。

26才(5):ホテルへ

その年の春、和人は群馬から東京の実家に戻り、稽古にまい進する。

あるデートの日、和人はホテルを取っていると言ってきた。

茉莉は病気で手術した跡があることを告白し、和人は優しく受け入れ茉莉を抱いた。

茉莉は生の喜びを実感。それとともに死にたくない気持ちがわいた。

怖くなかった死をとても恐怖に感じるようになる。

26才(6):和人の誕生日

沙苗に和人とのことを報告すると、沙苗からも結婚すると聞き嬉しくなる茉莉。

そして沙苗からドレスを作ってくれるよう頼まれた。

7月7日、和人の誕生日。今度は茉莉がホテルを予約し、手料理を持参した。喜んで食べてくれる和人。

短冊に願い事を書いた。

和人は『ずっと2人でいれらますように』と、茉莉は『和人が幸せでありますように』と書く。

茉莉は「2人」とは書けなかった。

27才(1)茉莉、倒れる

8月。茉莉の27才の誕生日はディズニーシーで遊び、園内のホテルに宿泊した。

和人はペアリングを茉莉に贈る。ティファニーの新作だ。

茉莉はもう離れたほうがいいと思った。これ以上一緒にいれば和人を傷つけ、その愛に息が詰まって自分が死んでしまうから…。

翌日。和人の提案で秋葉原へ。茉莉の好きなものを見られて喜ぶ和人。

帰り。電車のホームで茉莉は倒れた。

入院先で、初めて両親に挨拶できた和人。入院は、3週間となった。

和人は毎日のようにお見舞いに来た。茉莉は和人の姿に玲子の夫を思い出して、ある決心をする。

27才(2)プロポーズと別れ

茉莉は和人の家に行き、和人の入れたお茶を飲む。

そして、和人は「自分が教えるから稽古に来ないか」と誘ったが、まわりくどいのをやめ、プロポーズした。

茉莉、俺と結婚しよう

しかし茉莉は自分が嘘をついていたことを和人に謝って、あと3年で死ぬこと、仕事をしていないことなどを話し、別れを告げた。

27才(3)和人と出会った意味

1週間後。

茉莉は「紅葉が綺麗だから」と姉・桔梗に誘われて、群馬へ行く。

散歩していると和人が現れる。両親に居場所を聞いてきたらしい。

結婚しよ。3年でいい。茉莉の最後の時間を俺にくれないか?」と和人。

しかし茉莉は断った。

子供が産めない身体の祭りは、和人との未来を描くこともできない。

和人と3年いたら死が怖くなってしまうのもある。寄りかかるものはいらないのだ。

和人がそれでも諦めないので、茉莉は悟った。

和人と出会った意味は、和人を生かすためにあったのだ、と。

「ちゃんと生きて!逃げないって約束したのに私のために捨てて私が嬉しいと思う?私のことちゃんと諦めてね。それで新しい人を好きになって。いい?」
「ああ、茉莉の願いなら聞くよ。約束する」

2人は抱き合って、別れた。それがお互いを見た最後だった。

あと3年、やってみるよ。和人に教えてもらったから。

生きてるのがこんなに愛しいことだって。

死ぬ準備はできた。

だからあとは精一杯、生きてみるよ。

文庫本「余命10年」312P

30才まで

茉莉は次の夏には入院し、ついにCCU(冠動脈疾患集中治療室)に入った。

そこは1本のラジオしかない。テレビも娯楽も何もない。それを味わうための体力がない人が入る場所。

茉莉は桔梗に頼んで髪を切ってもらった。長いと看護師が大変で自分も疲れるためだ。

回想)和人と別れてから茉莉は漫画を描いた。

沙苗や月野の宣伝もあり、連載3回と、単行本の発売までできた。

茉莉は沙苗のウエディングドレスも作った。

コスプレの衣装は作らなくなった。やりたいことはやり遂げたから。

礼子のアドバイスで心の声を書き溜めたノートを、退院した夏に捨てた。

場所は群馬の小学校。焼却炉の火で燃やすことができた。(回想おわり

・・・それから入院し、今までにない発作を起こし、今はCCUにいる。

発作を起こした時の【死へ引き渡される感覚】が怖かった。

もう一度あの瞬間に襲われたら今度は助からないだろう…。

余命10年と宣告されて10年。

穏やかには死ねなくて、仲の良かった両親や姉・桔梗にきつく当たってしまうこともある茉莉。

体が壊れると心まで壊れるのだ。

桔梗(黒木華)の妊娠

ある日の桔梗がお見舞いに来たときのこと。…何かいつもと違うことを感じ取った茉莉。

「何かあった?」と聞くと、桔梗は妊娠したと言う。

「茉莉も初めての甥か姪の育てるの、助けてちょうだいね」と言う桔梗。

そんな手伝いはできないと茉莉も桔梗も分かっている。けれど幸せな姉妹の会話をしたかったのだ。

桔梗の夫は、野草の本で名前を考えているらしい。

桔梗、茉莉に続く3代目。茉莉は繋がりを感じた。

茉莉は残していく両親が、おじいちゃん・おばあちゃんになることに安心した。

こうして人は繋いでいくのだと思った。

同じ病気で入院している20歳の凛子が、ぬいぐるみを2つ、茉莉にくれた。

ひとつじゃ寂しいから、と2つ。

茉莉(小松菜奈)の最期

生きることの辛さを死が救ってくれる。そう思って生きたのは「間違いではない」とは思う茉莉。

茉莉は記憶の中の和人に会いに行く。そばにいて欲しいと思う。

別れたことを後悔してないといえばウソだ。だが、痩せ衰えた今の自分を見せたくはない。

でもやっぱり「寂しい」と思う。本当は「死にたくない」と思う。

茉莉は「会いたいよ、和人」と本音では思う。

けれどその本音は誰にも明かさなかった。ぬいぐるみだけが茉莉を見ていた。

このぬいぐるみ2つは、茉莉が亡くなったあと、桔梗に渡った。2つ必要になったから。(双子が生まれたからか?)

エピローグ

茉莉の通夜。和人もやって来て一番うしろに座った。

通夜が営まれたあと、みんな隣の部屋で夕食をとるため移動する。お腹の大きい桔梗が誘導している。

茉莉の小学校時代の友人・美幸が壁際で泣いていて、桔梗が優しく体をなでる。

短大時代の友人は茉莉の母に「仲直りしたばかりなのに」と言って泣いていた。※注:彼氏を紹介すると言った友人たちに茉莉が不機嫌になったことがある。仲直りシーンの描写はない。

沙苗は茉莉の父に許可をもらい、和人を茉莉が眠る棺に案内する。

茉莉の着ている純白のドレスは沙苗が作った。

和人は茉莉の本を買って読んでいた。その漫画の主人公は和人がモデルだ。

茉莉は最後までコスプレも楽しんていた、と話す沙苗。

楽しかった思い出がたくさんあって泣けないという沙苗。打ち上げ花火の後のような心境だという。

「綺麗な花火だったんでしょうね」と和人。彼の笑顔に、茉莉の愛が届いていたことを思う沙苗。しかしその和人の存在を喜べる茉莉がいないことで、死を実感してしまう沙苗…。

沙苗が出て行くと、棺の中の茉莉と2人きりになる和人。

手を伸ばして茉莉の頬、耳、髪、そして手を包みながら話しかける。

「茉莉ちゃん。親父が次期家元として認めてくれたんだ。これからももっと頑張るよ。諦めるって約束をしたのに、3年間諦められなかった。ありがとう茉莉。茶会に出たら見合いするんだ。きっとその人と結婚するよ。そうしたら少しは安心してくれる?…さよなら茉莉」

と言って、和人は茉莉の冷たい手を離す。そして、口づけした。茉莉の頬に和人の涙がこぼれ落ちる。

8年後

8年後。和人は小学校に来ていた。校務員さんから声を掛けられる。

8年前にも女性が来てノートを焼却炉で燃やし、思い出を捨てに来たと言っていたと聞く。

茉莉も来ていたと知り驚く和人。

図画工作室に彫った名前を触り、和人は茉莉の葬儀のあと結婚しなかったことを伝える。

けれど、やっと来週結婚する。

和人は茉莉との思い出のペアリングを焼却炉に捨てた。

和人は歩み出す。彼の生きる道を。

・・・その小学校には伝説があった。

今日も少女が、図画工作室の棚の一番奥に想い人の名前を彫りに来た。

たくさんの名前が書かれ混み合っていた。

その中心には、茉莉と和人の名前がいつも寄り添っている。

(おわり)

【余命10年】主人公の病名は何?作者・小坂流加の実話?

【余命10年】の主人公・茉莉(小松菜奈)の病名は「肺動脈性肺高血圧症と思われます。

以前は原発性肺高血圧症という病名であり、漢字8文字に相当します。

作中では主人公の病名は最後まで明かされてはいませんが、作者の病名は明かされています↓

原作:小坂流加 静岡県三島市出身。四姉妹の末っ子。子どもの頃から小説を書くのが好きで、第3回講談社ティーンズハート大賞で期待賞を受賞。大学卒業後に原発性肺高血圧症を発症するが、その後も執筆活動は続け、「余命10年」でデビュー。

公式HP

明言は避けていますが、茉莉も作者と同じ病気と思われます。

となると、【余命10年】は実話なのか?

と思われる方も多いようですが、病気は架空ではないものの、物語自体はフィクションです。

ただ、創作とはいえ、著者の実体験を交えて綴った心理描写は、とても胸を打つものがあります。

特に、死は怖くない、死が救い…と思っていたのに、死にたくないと思ってしまう葛藤はとてもリアルなものだと私(筆者)は読み終わって思いました。

【余命10年】原作情報

  • 『余命10年』著者:小坂流加、出版:文芸社(2007年6月15日発行)ISBN 978-4-286-03059-3
    • ソフトカバー版(2007年12月20日発行)、ISBN 978-4-286-04631-0
    • 文庫版(2017年5月15日発行)、ISBN 978-4-286-18492-0

『余命10年』は、2017年に静岡書店大賞による「映像化したい文庫部門」大賞を受賞。監督・藤井道人、主演・小松菜奈/坂口健太郎で映画化し、2022年3月4日(金)に公開された。

著者プロフィール:小坂流加(こさか るか)…1978年7月4日 – 2017年2月27日。日本の小説家。静岡県三島市出身。 第3回講談社ティーンズハート大賞で期待賞を受賞。難病である原発性肺高血圧症を患っていたが『余命10年』の文庫版の編集が終わった直後に病状が悪化し、文庫版の刊行を待つなく2017年2月に38歳という若さで逝去した。その後、パソコンに残されていた小説『生きてさえいれば』を2018年刊行。発行部数20万部(2021年時点)

【余命10年】原作の登場人物

ヒロインと相手役

高林茉莉(たかばやし・まつり)(演:小松菜奈)…主人公。漢字8文字の国指定の難病を患い、20歳のとき余命が10年と告げられる。短大は退学。2年の入院を経て退院した。暇だったのでアニメ好きになった。特に『宇宙戦士クロスボード』(通称クロボ)のリリヤ推し。子供が産めない身体になっている。名前の由来は茉莉花(まつりか、ジャスミン)。

真部和人(まなべ かずと)(演:坂口健太郎)…茉莉の小学生時代の同級生。クラスで浮いていた存在で、休み時間は文庫本を読み、放課後は一番に帰っていた。25才の茉莉と同窓会で再会。茉莉と恋をしていく。

茉莉・和人の家族

高林桔梗(たかばやし ききょう)(演:黒木華)…茉莉の姉。優しくて華がある女性。茉莉からは「桔梗ちゃん」と呼ばれている。茉莉の病気が遺伝性だと分かった時、茉莉にだけ発症したことをまるで自分に非があったように激しく落ち込んだ。

高林百合子(演:原日出子)…茉莉の母。登山が趣味。※映画オリジナルキャラクター名。

真部紫(まなべ ゆかり)…和人の母。「桐庵流」の家元夫人。

茉莉の友人たち

藤崎沙苗(ふじさき さなえ)(演:奈緒)…茉莉の中学時代の同級生。中学の時からの美少女。漫画を描いている。同人誌にて「桜姫華」(さくら ひめか)というペンネームで活躍中。コスプレ好き。

(つきの)…元々は沙苗の友人。コスプレイベントでリリヤのコスプレをしていた女性。茉莉と出会ってすぐに打ち解ける。同人誌を出しているが、オリジナル漫画で単行本も出版している。茉莉の漫画を褒めて、同人誌発行や原稿の出版社持ち込みなどアドバイスをする。

美弥(みや)…茉莉の短大時代の友人。友人たちの中で一番先に結婚した。夫婦で居酒屋を始めており、その店に茉莉ら友人が訪れる。

新谷美幸(しんたに みゆき)茉莉の小学校時代の親友。

奈緒(なお)…茉莉の短大時代の友人。

サオリ…茉莉の短大時代の友人。奈緒と仲がいい。

三浦アキラ(演:井口理/「King Gnu」)…茉莉の友人。美弥の彼氏。※映画オリジナルキャラクター。

茉莉に影響を与えた入院患者

礼子(れいこ)…茉莉と同じ病気で入院していて、茉莉と話すようになった女性。人生に後悔したことは「ありがとう」「ごめんね」「好きです」を伝えたい人・動物にちゃんと伝えられなかったことだと茉莉に語る。茉莉が20才の夏に亡くなった。

凛子(りんこ)…茉莉と同じ病棟に入院している20歳の患者。

その他

タケル(映画版:富田タケル)(演:山田裕貴)…茉莉の小学校時代の初恋の人。明るくて元気なリーダー格だった。25才時の茉莉が同窓会で再会する。

鈴丘聡(すずおか さとし)…桔梗の恋人。のちに桔梗の夫になる。紳士的でデキる男。優しく誠実。茉莉のお見舞いに来るときは、茉莉が好きそうなCDや季節ごとにスリッパを贈ってくれた。

平田先生(演:田中哲司)…茉莉の主治医。※映画オリジナルキャラクター名。

画像出典:映画「余命10年」HP

余命10年

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