本記事は【劇場版TOKYOMER】ネタバレと感想を紹介します!
鈴木亮平主演のドラマ「TOKYO MER〜走る緊急救命室〜」(2021年、TBS)が待望の映画化。『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』のタイトルで2023年4月28日に全国公開されました。
新キャラクターとして加わったのは、ジェシー(SixTONES)演じる、TOKYO MERの研修医・潮見(しおみ)。そして、 厚労省直轄のYOKOHAMA MERとそのチーフドクターである鴨居チーフ(杏)など。
横浜ランドマークタワーで起きた放火事件での救出活動が描かれていき…。
【劇場版TOKYOMER】あらすじ(ネタバレなし)
TOKYO MERが正式運用を開始してから2年の月日が流れていた。メンバーそれぞれが月日を得て各々更なる成長を遂げていた。そんなある日、横浜みなとみらいのランドマークタワーで大規模火災が発生。地上70階の展望フロアに193名が取り残されていた。要請を受け出動したTOKYO MERは救命活動をしていく。そんな彼らの前に現れたのは横浜市に創設された厚労省直轄の救命救急チームYOKOHAMA MERだった。
展望フロアに取り残された人々を救出に向かおうとする喜多見に対してYOKOHAMA MERチーフの鴨居から待ったをかけられてしまう。TOKYO MERのモットーである「待っているだけじゃ、救えない命がある」と、対するYOKOHAMA MERのモットーは「危険を冒しては、救えない命がある」とまさに正反対の考えを持つ。
そんな中、193名の中に喜多見の妻となった千晶の姿もあった。 喜多見は医者として、夫婦として最大の決断を迫られる事になる。2年前打ち砕かれた死者ゼロと言う信念。全ての命を救い誰も死なせない為にTOKYO MERの戦いが始まる。
【劇場版TOKYOMER】ネタバレ&感想
【劇場版TOKYOMER】のポイントをネタバレしていきます。感想も随時、紹介します。
『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』のクライマックスは3つあると思います。
- YOKOHAMA MERが信念を曲げて、危険な現場に向かう場面。
- 鈴木亮平演じる喜多見チーフが妻をあきらめて子を救うか迷う場面。
- 喜多見チーフが妻をオペする場面。
この3つの場面を中心に取り上げていきます。
YOKOHAMA MERが危険な現場に向かう
YOKOHAMA MERは「危険を冒しては、救えない命がある」(安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる)という信念があります。そして厚生労働大臣の両国(徳重聡)もYOKOHAMA MERをタワーの現場に向かわせません。
でも、赤塚・東京都知事(石田ゆり子)が白金官房長官(渡辺真起子)の助けも借りて、横浜市周辺の消防隊・救急隊を集合させます。そして、地上での処置の人手が足りたため、YOKOHAMA MERはタワーに救助に向かいます。
この時の喜多見チーフが無線で助けを呼ぶ悲痛な声、音羽統括官が鴨居チーフに無線で「待っているだけじゃ、救えない命がある」思いを伝えるセリフには胸打たれます!
喜多見チーフは身重な妻を高層階に残して高齢女性を抱っこして降りていきます。そして途中の階段で、YOKOHAMA MERに高齢女性を引き渡して、喜多見自身は妻の元へ戻ります。
YOKOHAMA MERは車に戻り、高齢女性をオペをして命を救います。
鈴木亮平の究極の選択の決断は?
喜多見チーフが妻・高輪千晶(仲里依紗)のもとに戻ると、そのフロアは爆発が起きていました。千晶は喜多見チーフに帝王切開で子どもを取り出して自分を置いて逃げるよう説得します。喜多見もメスを握って妻のお腹を切ろうとするのですが……。
この場面。究極の二択ですよね。喜多見チーフの震える手、千晶の早くして!と焦らせる、必死な声。下手な役者さんが演じたらしらけるシーンですが、2人の熱演で、ぐっと引き込まれます。
映画序盤では喜多見は飛行機事故での救助にあたったことで、千晶の両親と会う時間をすっぽかすことに。千晶に愛想を尽かされ、結果として千晶は横浜の実家に帰ってしまいました。そして、夏梅(菜々緒)と会っていたときにランドマークタワーで事件に巻き込まれてしまいました。つまりケンカ別れしたまま、こんな場面になっているんですよね。
赤ちゃんだけでも……という妻の想いもわかりますが、妻を置いていけるわけないですってば!(涙)
しかし……喜多見が優先したのは医者としての判断ではなく「千晶の妻」としての判断でした。
喜多見は帝王切開を中止して、千晶を抱えて脱出を図ります。そう、妻と子ども両方を救うという決断をしました。
しかしオフィスの家具が倒れてきて、足を挟まれた喜多見は意識を失いかけます。この時、亡き妹の涼香が夢の中で「お兄ちゃんには仲間がいるでしょ」とに呼びかけました。
この場面、佐藤栞里さん演じる涼香の新撮カットだと思います。亡くなっても兄の中でずっと生き続けているキャラクターですね。
喜多見は金属音を立てて仲間を呼ぶことに——。俺はここにいるぞ!!と。
ピンチの鈴木亮平の前に現れた人物は?
意識を失いかける喜多見チーフを受け止めたのは、音羽統括官( 賀来賢人)でした。
音羽は厚生労働省MER推進部統括官・医系技官で、現在はTOKYOMERのチームを離れ、MERを全国の政令指定都市に展開する計画を進めています。この火災現場の全体指揮を執っていました。けれど、音羽は現場の指揮を都庁危機管理対策室の駒場(橋本さとし)に任せ、両国大臣の制止を振り切って「命を救ってきます」と言い残し、医者として現場に戻ったのでした。
さらに、他のTOKYO MERメンバーや千住隊長(要潤)率いるレスキューチームも喜多見チーフを助けに来た。さらに、徳丸(佐野勇斗)がスプリンクラーを復旧させた。
みんなで脱出に成功。さらにYOKOHAMA MERが最新のERカー「YO1」を提供。東京チームは千晶のオペに挑んでいきます。
このYO1には東京チームのTO1にない新生児用の保育器が備え付けられています。スペシャルドラマ「隅田川ミッション」では、音羽がYO1を設計したとと明かされています。千晶の妊娠をヒントに設計したのかもしれませんね。
妻子の命を救うオペ
TOKYO MERチームがオペ室で喜多見チーフの妻子の命を救うオペが描かれていきます。これが本作の最大のクライマックスとなるオペです。
今回は摘出した新生児まで心拍停止の状態。比奈と夏梅が新生児を蘇生しようとしていきます。
母子ともに心停止になるという緊迫したシーン。蘇生を試みて心拍をチェックすることを繰り返しても、心停止のまま。みんな涼香さんが亡くなったときのことを思い出す展開に。
劇中の映像で喜多見チーフが涼香の心マを止めて慟哭する場面が回想で挿入されるものだから、視聴しているこちら側もその当時が頭によぎります。
しかし、喜多見チーフは冷静に出血をコントロールできていると医師として判断し、チーム一丸となって蘇生に取り組みます。そこで赤ちゃんが泣きました。蘇生できたのです。
わが子の新しい命が泣く声も力になったのか、千晶の心拍も復活していきます。
喜多見は腰を抜かし、赤ちゃんが男の子であることが告げられると、泣き出しました。
妹の涼香の死亡を認識したときの涙と同じような場面ですが、今回は違います。今回は嬉し泣きです。この対比は、ドラマシリーズから見続けているファンの涙を誘いますね。(涙)
死者ゼロ&鴨居とチケット
死者ゼロです!との声で、危機管理対策室は喜びにわきます。赤塚都知事は廊下に出てからおなじみの「よっしゃ!」を出しました。
YOKOHAMA MERの鴨居チーフは、音羽にとって涼香が大切な人だったことを察して尋ねますが、音羽は涼香について何も答えません。鴨居は「自分も喜多見のように危険な現場に飛び込んでいく」と宣言。音羽は「頭痛の種は一つで十分」と苦笑。
音羽が去ったあと、鴨居チーフは10年前に音羽のために買ったアメリカ行きのチケットを破り捨てました。
鴨居チーフは元カレ・音羽にずっと思いを寄せていたのですね。でも、鴨居には大事な人がいると気づいて、思い出の品のチケットを捨てました。元カレへの未練を断ち切って、前を向く……そんな前向きなシーンだったと思います。
ラストシーンとエンドロール
後日。入院中の千晶が目を覚まします。喜多見は千晶とともに赤ちゃんのもとに行きました。
ラスト、新生児室の窓越しで、喜多見はTOKYOMERメンバーや音羽に「ありがとう」と笑顔で伝えて、エンドロールへ。
エンドロールでは全国の医療従事者たちの写真も添えられていきます。
喜多見チーフの「ありがとう」は助けてくれた仲間へのものでしたが、エンドロールをみると医療従事者への「ありがとう」の気持ちにもなりますね。
放火犯は誰?
ランドマークタワーに放火した犯人は誰ですか?
放火犯は今野浩喜が演じています。役名は不明です。配信での字幕でも放火犯とだけ表記されていました。
ランドマークタワー大規模火災の放火犯(今野浩喜)は、ビル清掃員になりすまし、タワーに侵入して24階オフィスフロアにガソリンを撒き放火しました。スプリンクラー制御室も破壊。上層階にも大量のガソリンを仕掛けて、排気ダクトを使って炎を延焼させていきます。
放火犯自身も重症の火傷を負い救助されるのですが、TOKYOMERのメンバーがオペをして命を救います。
オペの最中、上層階でも爆破していることを知った放火犯は、自分が火をつけたと明かし、自殺願望を示す発言をしていました。それもあって、研修医・潮見が助ける価値はない!とオペ中止を主張。
しかしこのオペの執刀医・弦巻比奈(中条あやみ)は目の前の命を助けることに全力を尽くすのでした。
この場面は、連ドラで喜多見チーフ(鈴木亮平)が妹を殺した恩讐でもあるエリオット椿(エリオット つばき、演:城田優) を処置して命を救う場面が思い出されますね。
ただ、大規模な放火犯が大きな火傷を負いながら医師によって救われたケースといえば、京都アニメーション放火殺人事件が浮かんでしまいますね。
実は、映画の放火犯(今野浩喜)の動機が最後まで不明です。逮捕されてどうこうという話もなかったと思います。本作は医療ドラマ、救命救急ドラマであり、犯人のクソみたいな動機なんて知らなくていいんだと筆者は解釈しました。