映画【マジック・イン・ムーンライト】3つの見所!主演は「ララランド」の…
映画【マジック・イン・ムーンライト】の見所と考察!
オススメ度:★★★☆☆
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12月1日で83歳の誕生日を迎えるコメディ映画の巨匠、ウディ・アレン。
そんな彼が、2014年にコリン・ファースとエマ・ストーンをダブル主演で迎えた映画が、今回紹介する【マジック・イン・ムーンライト】。
憎い皮肉屋を演じるコリン・ファースと、うさんくさい占い師を演じるエマ・ストーンのチグハグなやり取りに思わずクスッとしてしまう作品です。
それに加え、舞台は1920年代の南仏。華やかな衣装と美しい景色。
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映画【マジック・イン・ムーンライト】の作品情報
まずは、映画の基本情報とあらすじを紹介!
映画【マジック・イン・ムーンライト】について
制作国:イギリス/アメリカ
制作年:2014年
上映時間:97分
監督:ウディ・アレン(アニー・ホール、カイロの紫のバラ、ミッドナイト・イン・パリ、他)
キャスト:コリン・ファース、エマ・ストーン、サイモン・マクバーニー、他
ジャンル:ロマンス、コメディ映画
映画【マジック・イン・ムーンライト】のあらすじ
中国風の衣装を纏って、ツタンカーメンを使い手品をする世界的マジシャン、スタンリー・クロフォード(コリン・ファース)。
彼はある日、幼馴染のマジシャンに相談を持ちかけられる。
「キャロライン一家に住み着いている女性占い師がインチキかどうか見抜いて欲しい」
その一家は南仏に住む、ビックな金持ち。
彼らはその何でも的中させる占い師にゾッコンで、跡取りの男に至ってはプロポーズを迫るほど。
「全てにはトリックが存在する、占いなんてバカバカしい」と豪語する皮肉屋手品師スタンリーは依頼を受け、フランスに向かった。
しかし、スタンリーはインチキ占い師と決めるけてかかっていたソフィ・ベイカー(エマ・ストーン)に出会うと、状況は一変。
ソフィは彼の過去から現在のこと、至ることを言い当てていった…。
映画【マジック・イン・ムーンライト】の3つの見所!
舞台でもある「南フランス」が登場人物に負けてしまっている作品…。
今作を一言で言い表すとこんな感じです。
前向きで力強い女性と、悲観的で弱っちい男性という極端な設定とエスプリの効いたセリフで物語を展開させていくことが得意なウディ・アレン。
そんなお得意の手法を色濃く作品に入れ込んでいるせいで、ある意味美しい景色よりも、濃いキャラクターの方に目がいってしまいがち。
ただ、隠れがちとはいっても、舞台が映画に効果的な印象をもたらしているのも事実です。
それも踏まえて、3つの見所を紹介してきます!
皮肉屋で嫌味ったらしい「コリン・ファース」が見れる
大人気アクション映画「キングスマン」で紳士なスパイを演じたコリン・ファース。
生半可な若造を一流スパイに仕立てあげるなど、父性溢れる面も見せた頼れる男の姿は世界中の映画ファンから人気を博しました。
しかし、「キングスマン」が公開される少し前、「マジック・イン・ムーンライト」では、トコトンしょうもない男を演じていました。
彼の役柄を代表するような場面をいくつか挙げてみましょう。
夕暮れ時の場面。
地平線まで広がる海に向かってソフィが言ったことに対して、スタンリーは絶望的な返答をします…。
なんてきれいな景色
いずれ滅びる
引用:映画「マジック・イン・ムーンライト」
次は、スタンリーのおばさんがソフィに、彼の幼少時のことを端的話した場面。
6歳の時 地元で一番やさしい司祭様に”君だけは地獄行きだ”と言われたほどよ
引用:映画「マジック・イン・ムーンライト」
もはや子供の頃から取り返しのつかない性格だった模様。
設定上、スタンリー・クロフォードはロンドン出身のイギリス人です(演じるコリン・ファースも英国人です)。
イギリスといえば「Mr.ビーン」に代表されるような「ブラックジョーク」大国。
スタンリーは、冗談なのか冗談じゃないのかわからないような発言で苦笑を誘う笑いを得意とするイギリス人の鏡とも言うべきキャラクターです。
そんな設定+悲観的で頑固、不器用で人付き合いが苦手、笑顔を作れないという「負」のオーラで完全防備しているかのような人物が、スタンリーです。
しかし、それはあくまで「内面」の部分。
ビシッと決めたスーツ姿や、片手にマティーニを持ってソフィをエスコートする姿。
イギリス紳士を絵に書いたような「出で立ち」で私たちを魅了します。
その内面と外面のギャップは、「キングスマン」では見れない強烈なものです。
「ララランド」の主演「エマ・ストーン」の子供っぽさが見れる
世界中で、大ヒットを記録したミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」のヒロインを務めたことで有名なエマ・ストーン。
ジーンズと白シャツの地味な姿から、優雅な紺のドレスを着こなす姿など、様々な雰囲気を映画内で醸し出していました。
しかし、「マジック・イン・ムーンライト」では映画を通して「子供っぽさ」が目立ちました。
それは主に、彼女の周りの役者に関係します。
映画に出る役者達の年齢は割と高めです。
例えば、
- コリンファース(スタンリー・クロフォード):54歳
- ベイカー夫人(マーシャ・ゲイ・ハーデン):55歳
- キャロライン(エリカ・カーセン):38歳
その中で彼女は当時25歳。
同年代はほぼ皆無です。
そんな役者陣に囲まれていると彼女もかなり幼く見えてしまいます。
さらに、華奢な体型ということもあって、エレガントさというよりは、かわいらしさが目立ち、余計子供っぽく見えてしまいます。
幸か不幸かある意味目立ってしまうエマ・ストーンですが、むしろ彼女の「愛嬌の良さ」が全面に出されていて、ファンにとってはかなり見応えがあります。
映画「マジック・イン・ムーンライト」の雰囲気を彩る暖かい夕日
作品のイメージは季節や気候で決まるといっても過言ではありません。
例えば、スタンリー・キューブリック監督作品の「シャイニング」にとって、「冬」と「雪」というキーワードは非常に重要です。
映画の終盤、雪が降りしきる中、ジャック・ニコルソンが一家を追い回すという演出は、冬の凍える恐怖がダイレクトに表現された名場面です。
仮に、ジャック・ニコルソンが真夏の夜、スコールに打たれながら一家を追いかけている演出だったとしたら、キリッとした恐怖を感じることはできません。
作品のイメージは愚か、雰囲気もガラッと変わってしまいます。
では、「マジック・イン・ムーンライト」はどうでしょうか?
この作品は、夏の暖かい日差し、夕暮れが全面に押し出されています。
何度も海辺の夕暮れショットが映画内に登場し、落ち着いた雰囲気が漂っています。
まさに、この映画のイメージを決定付けている演出です。
海辺の風に当たっているような暖かさを感じれます。
キャラクターに目がいってしまいがちですが、映画の雰囲気を味わうのも有りです。
余談ですが、観る映画を選ぶ時のポイントとして、今の気持ちを「季節」に表してみるとピタッとくる作品に出会える可能性が高くなります。
【考察】”ちょこっと”映画の深みへ
映画の内容から”少し”外れて、深読みをしていきます!
ウディ・アレン監督は、自身が感じること、悩んでいることを映画内に赤裸々に押し出してきます。
しかし、それらは「現代思想について」とか「芸術の意義とは」とかそんな難しいことではありません。
全人類が考えそうなこと、つまり普遍的な悩みに関してなのです。
今回は「マジック・イン・ムーンライト」の中で映し出された”悩み”に重きを置いて、解説していきます。
「恋してしまうこと」「愛してしまうこと」は生きる上で合理的??
主人公スタンリー・クロフォードは筋金入りの合理主義者で、霊や予言など、科学で証明できないことは一切信じません。
信じないどころか、「バカなカモ」と言い放つなど、それらを信用する人をも侮辱します(痛烈な皮肉のオンパレードです)。
しかし、スタンリーは徐々にあることに気づいていきます。
ペテン師だと決めつけるソフィに対して恋心を抱いてしまいます。
彼は必死に「それがなぜか」を解こうとしますが、一向に解決しません。
あげくの果てには、自分からプロポーズしてしまいます(彼には婚約者がいますが、自分から一方的な感情を抱いたことはありません)。
結局、合理的じゃないだの、科学的に証明できない、などとソフィに対して疑いの目を向けていたスタンリー自身に説明しきりれない感情が湧いてきたのです。
ウディ・アレンが伝えようとしたことは単純明快です。
目に見えないこと、つまり理性的に判断できないことを避け続け、現実主義一辺倒でひん曲がった性格をしていると、本当に大切なものに気づけた時、後悔するよということです。
彼は、このように確信にせまるようなことをシンプルに映画に表現しています。
叶わぬ恋などと、必死に自分を理性で押し殺している人は是非、勇気づけのためにも観てみてはいかが?
ご都合主義万歳な映画!
都合が良すぎる!
思わずこう突っ込みたくなります。
ドギツイ皮肉を連発し、悲観的で希望さえ持とうとしない、相手を小馬鹿にする発言、頑固な頭…。
いくらコリン・ファースだからといってこんな男がモテるわけないだろ、と思ってしまいますが、それは間違っています。
彼には、良き理解者でもあるフィアンセがいますし、占い師のソフィからも好意を寄せられます(フィアンセを電話で振って、ソフィのもとへ一直線)。
現実的に考えれば、都合の良すぎる展開と言えます。
事実、男の願望を絵に書いたかのような映画で、男からすると理想の展開です。
しかし、その非リアルな嘘っぽい物語が、この作品の良さでもあります。
そう、まさにこれはフィクション(幻想)であって、映画なのです。
合理性なんかなくても、リアリティがなくても映画の中の世界は成り立ってしまうのです。
ただ、ストレスや嫌なことから、非現実的な世界に逃げ込める空間として私たちは楽しめることができます。
そして、ウディ・アレン監督はそこに“小さなエッセンス”として現実的な悩みを差し込み、小さな教訓を与えてくれます。
まとめ
今回は、映画「マジック・イン・ムーンライト」の見所、解説などをまとめてみました。
キツイ皮肉に苦笑しながらも、コリン・ファースとエマ・ストーンの濃いやり取りを楽しみ、美しい南仏の風景も堪能できる!
勿論、ウディ・アレンの癖も存分に詰まっている作品ですので、割と新しめの今作から入門として入ってもいかがでしょうか?
彼の代表作「アニーホール」の記事はこちら!
記事内画像出典:IMDb
参考:wikipedia
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