東野圭吾【ゲームの名は誘拐】ネタバレ・考察!亀梨和也VS渡部篤郎は原作とは違う結末に!

ゲームの名は誘拐
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東野圭吾【ゲームの名は誘拐】ネタバレ・考察!亀梨和也VS渡部篤郎は原作とは違う結末に!
連続ドラマW 東野圭吾【ゲームの名は誘拐】が6月9日からWOWOWで放送・配信スタート(全4話)。
主演は『正体』に続いて連続ドラマWに登場の亀梨和也です。
敏腕広告プランナー・佐久間駿介(亀梨和也)はクライアントの副社長・葛城(渡部篤郎)によって心血を注いだ大型プロジェクトから外されてしまいます。
佐久間は葛城に復讐するため、葛城の娘・樹理(見上愛)と共謀して狂言誘拐を企てます。

今回の亀梨さんは有能でスマートで女性にモテる広告プランナー役。イメージぴったりだね。

『正体』では脱獄囚だったし『Destiny』では無職の役だったし、今回のようにパブリックイメージを活かした役は案外少ないかもしれない。

共演のキャスト陣も豪華だね。亀梨和也VS渡部篤郎も、亀梨和也VS見上愛も楽しみだよ。

それでは、【ゲームの名は誘拐】のあらすじ、ネタバレ、考察と感想をお届けしていきます。
(放送後、随時更新します)

以下、連続ドラマW東野圭吾【ゲームの名は誘拐】1話~最終話まで、及び原作のネタバレがありますのでご注意ください。

東野圭吾【ゲームの名は誘拐】キャスト相関図!話題の『正体』に続き亀梨和也が連続ドラマWに登場!
連続ドラマW・東野圭吾原作【ゲームの名は誘拐】は敏腕プランナー・佐久間駿介が仕掛ける誘拐ゲームを巡るミステリー。亀梨和也、見上愛、渡部篤郎、他のキャストと相関図を紹介します。

【ゲームの名は誘拐】はただいま、WOWOWオンデマンドで1話を無料配信中です。
(配信期間:7月8日(月)11:00まで)
WOWOWオンデマンド『連続ドラマW東野圭吾ゲームの名は誘拐』1話
WOWOWオンデマンドでは、1話~最終話までアーカイブ配信しています。
WOWOWオンデマンド

◎この記事でわかること
連続ドラマW「ゲームの名は誘拐」
・全話のあらすじ・ネタバレ・考察と感想
・原作との違い
・見どころ

【ゲームの名は誘拐】のあらすじ・ネタバレ・考察を最終回まで

【ゲームの名は誘拐】のあらすじ・ネタバレ・考察を最終回までまとめていきます。

1話

#東野圭吾 #ゲームの名は誘拐 #亀梨和也 #KATTUN #見上愛 #渡部篤郎 #武田航平 #平山祐介 #泉澤祐希 #松村沙友理 #誘拐 #ミステリー #サスペンス #ドラマ #WOWOW #第1話

放送日:6月9日(日曜)22:00

1話のあらすじ

敏腕広告プランナーの佐久間(亀梨和也)は、クライアントの大手自動車メーカー「日星自動車」の副社長・葛城(渡部篤郎)から自身がリーダーとして心血を注いできた大型プロジェクトをこき下ろされ一方的に担当を外されてしまう。
プライドを傷つけられた佐久間は、葛城に恨みを抱いている彼の娘・樹理(見上愛)と手を組んで、葛城に復讐するため狂言誘拐を企てる。

1話のネタバレ

広告代理店「サイバープラン」の敏腕プランナー・佐久間駿介(亀梨和也)は、頭脳明晰で自信家。
仕事も恋愛もゲーム感覚でクリアすることに快感を覚える人物だ。
佐久間は、大手自動車メーカー「日星自動車」の大型プロジェクトのリーダーとして準備を進めていたが、社長の小塚(小林隆)から、プロジェクトが中止になったと告げられる。
その決定をしたのは、アメリカから帰国したばかりの日星自動車副社長・葛城勝俊(渡部篤郎)だった。
心血を注いできた仕事を突然白紙にされた佐久間は到底納得できない。
ともにプロジェクトを進めてきた日星自動車の宣伝部長・石澤(飯田基祐)に連絡するが、石澤も突然のことで戸惑っていた。
葛城に会いに日星自動車に出向くという小塚に、佐久間は強引に同行する。
葛城は、プロジェクトを白紙にした理由は宣伝効果が見込めないからと告げた。
佐久間は反論したが、葛城は、過去の佐久間の仕事を調べた上で決断したと言う。
“君の思考は極めて短絡的だ”と、佐久間の実績を理路整然と否定する葛城に佐久間のプライドは粉々になった。
そんな中、エースプランナー・加賀谷武志(平山祐介)が、佐久間のライバル・杉本智也(武田航平)の内部告発によりパワハラのスキャンダルで失脚してしまう。
加賀谷は、社内政治が下手でくすぶっていた佐久間を引き上げてくれた恩人だった。
後ろ盾を失った佐久間はいよいよ窮地に。
佐久間は、学生時代の後輩であり、経済誌の記者である湯口(泉澤祐希)に連絡し、葛城について調べてほしいと頼む。
葛城は、サイバープランとの仕事を続行させる条件としてプロジェクトから佐久間を外すように告げてきた。
小塚は新たなリーダーを杉本に決める。
帰りのタクシーの中で湯口から葛城の住所を教えてもらった佐久間は、行き先を葛城の家に変更した。
葛城邸の前に立った佐久間は、塀を乗り越えて出て来た若い女性の姿を見る。
葛城の娘・樹理(見上愛)だった。
樹理と話をしてみると、彼女は葛城が前妻と結婚していた時の愛人の娘だと言う。
母親が亡くなってからは祖母の家で育てられ、8歳の時に祖母が倒れて葛城に引き取られたが、今の妻とその娘・千春からは無視され続けてきたと話した。
今夜、千春のハンドクリームを勝手に使ったことが原因で喧嘩して突発的に家を出て来たと言う。
佐久間は樹理にホテルを取ってやって帰ろうとするが、樹理は父親とは口を利きたくないから代わりに連絡して娘はもう帰らないと伝えてほしい、できればお金を要求してほしいと言う。
そんなことをしたら誘拐と疑われると言うと、樹理は「誘拐して」と言い出した。
父親を苦しませて自分が自由になるならそのくらいの覚悟はある、と。
佐久間は樹理をホテルに置いて帰宅した。
翌朝、葛城がサイバープランを訪れた。
佐久間は娘の行方がわからないのにと驚く。
佐久間が声をかけても葛城は歯牙にもかけない。
その夜、気晴らしに真希(松村沙友理)を誘った佐久間。
真希はサイバープランの社員・上野淳子と友達で、佐久間がプロジェクトから外されたことを上野から聞いて気づかってくれた。
「どんな手を使ってでも必ず勝つ、それが佐久間駿介だって。犯罪以外だったら何でもやる。行動力の塊」
上野がそう言っていたと真希が言うと、佐久間の表情が変わる。
「急用を思い出して。この埋め合わせは必ずする。君のおかげだ」
佐久間は樹理のいるホテルに行き、今日一日の行動を聞く。
樹理はコンビニに行ったくらいで、スマホの電源も切っていると答えた。
佐久間は樹理を人質にして葛城から大金をせしめる狂言誘拐を実行することにした。
佐久間は自分の家に樹理とともに帰る。
葛城に脅迫状を送って、誘拐ゲームがスタートした。

1話の考察・感想

自信たっぷりの男佐久間駿介
自信家で仕事も恋愛もゲーム感覚でクリアすることに喜びを感じる人間、佐久間駿介。
文字だけだと鼻持ちならない人物に思えますが、亀梨さんが演じると持ち前の華やかさとスマートな身のこなし、豊かな表情がなんとも魅力的で、魅入られてしまいます。
女性社員から来月の社内報でインタビューさせてほしいと頼まれると、
「報酬弾んでもらうけど」と答え、
困惑した女性社員をじっと意味ありげに見つめます。
まるで、“報酬は君で”と言わんばかりに。
ドキドキしている彼女をしばらく見つめてから
「冗談だよ」と笑います。
なんて男!
小塚社長からプロジェクト降板を伝えられた時も最初は社長の冗談だと思って信じなかったくらい、自分に絶対的な自信を持っている人物です。
そのプライドを粉々に砕かれたからこそ、佐久間は狂言誘拐という大胆で危険なゲームに踏み切ったと言えるでしょう。
樹理から、狂言誘拐を実行することにした理由を聞かれて、佐久間は答えます。
「シンプルに葛城と勝負がしたい。どちらが上手(うわて)なのか、全てを賭けた勝負を」
果たして、佐久間は葛城に勝利することができるでしょうか。

最強の敵・葛城
葛城勝俊は会長の息子というだけでなく、海外でマーケティング技術を習得してきた百戦錬磨のやり手。
頭が切れて冷静沈着、隙を見せず情け容赦のない判断を下す葛城は、クライアントとしてもゲームの相手としても佐久間にとって最強の敵です。
自分に絶対の自信を持っているところは佐久間に似ているかもしれません。
葛城は、娘が姿を消した夜、心配そうな顔でメッセージを送ります。
「どこにいる?連絡しなさい」
翌日、娘が行方不明でも葛城は会議に姿を見せます。
その翌朝、「今日中に連絡がつかなければ、警察に連絡する」と送信。
流石に焦燥感がつのっている様子。
佐久間に対する傲岸不遜な態度とは違い、父親の顔です。
この時点でまだ既読がつきません。
そして夜、葛城のもとに佐久間からの脅迫状が届きます。
「私はいささかゲームには自信がある」
葛城に佐久間の策略は通用するのでしょうか。

無邪気さとしたたかさが混在する樹理の魅力
「副社長令嬢の言うことが聞けないの」
なんて初対面の男性に言ったり、
十分なお金を持たずに家出してカードを使おうとしたり、
樹理は子どもっぽくて世間知らず。
そうかと思うと、
「私に指図しないで」ときっぱり告げる気の強いお姫様。
ワインセラーからひと目で高価なワインを選んだことからも育ちの良さがわかります。
佐久間に「ホテルを取るよ」と言われた時の樹理の反応は印象的でした。
一瞬(え?)という顔をしますが、すぐに(それならそれで…)と腹を決めてついていったように見えます。
利用価値のある男だと判断したのかもしれません。
佐久間は終始紳士として振る舞いましたが。
樹理は気品があって無邪気でどこか幼くてお嬢様然としていますが、同時に図太さも持ち合わせている。
突然ふてぶてしい笑顔を見せたりして、油断がなりません。
また、脅迫状の文面の“ご息女”を“樹理”に直させたこだわりも気になります。
とらえどころのないミステリアスな樹理。
見上愛さんが魅力いっぱいに演じています。

2話

ゲームの名は誘拐2話

放送日:6月16日(日曜)22:00

2話のあらすじ

佐久間が送った脅迫メールを見たにもかかわらず、葛城はプロジェクトの会議に平然と姿を現わした。
ある日、佐久間は樹理に呼び出されて横須賀に赴く。
電話で葛城との接触を果たし計画が着々と進行する中で、佐久間と樹理はパートナーとしての距離が近づいていった。
そしていよいよ、身代金の受け渡しが行なわれる。

2話のネタバレ

佐久間駿介(亀梨和也)は、葛城樹理(見上愛)と共謀して狂言誘拐を企み、樹理の父であり日星自動車副社長の葛城勝俊(渡部篤郎)に脅迫メールを送る。
しかし娘が誘拐されているというのに葛城は平然とした表情で新型EVのプロモーション会議にやって来たので佐久間は訝しむ。
プロジェクトリーダーの杉本智也(武田航平)がコンセプトを説明すると、葛城は新たな注文をしてきた。
サイバープランが手掛けたゲームの中で葛城が優れていると感じた3つのゲームの企画担当者に話を聞きたい、場合によっては担当者をプロジェクトに加えると言う。
突然横須賀にいるという樹理から電話がかかってきて佐久間は席を外した。
そこへ小塚(小林隆)が来て、佐久間が企画したゲームに葛城が興味を示しているので説明の準備をしてほしいと言う。
樹理は、海外留学中の友達が横須賀の女性専用マンションの部屋を自由に使ってもいいと言ってくれていることを思い出し、そこを隠れ家にできないかと考えて今現地にいると言う。
無断で外出した樹理に佐久間が「計画中止だ」と厳しく言うと、樹理は「私はあなたの家来じゃない」と強く反発した。
葛城に呼ばれて佐久間はマスク・オブ・ユースという育成型オンラインRPGの説明をし、葛城は強く興味を惹かれたかのように見えたが、プロジェクトへの参加は佐久間ではなく加賀谷武志(平山祐介)を選んだ。
一瞬でも期待した佐久間は屈辱を覚えるが、さらに葛城との誘拐ゲームに闘志を燃やす。
再び樹理から電話が入り、友達のマンションは電気もガスも止められているので隠れ家にはならないことがわかったから迎えに来てと言う。
仕方なく佐久間は樹理が待つ横須賀のカフェへと車で向かった。
カフェで佐久間が樹理と話をしている間に、駐車場に止めた車がスプレーでいたずらされるというアクシデントに見舞われる。
佐久間は、横須賀にいることを利用して捜査をかく乱させようと考え樹理に父親に電話をかけさせた。
会話の最後に上手い具合に船の汽笛の音が入ったので、犯人のアジトは海の近くであると勘違いさせることができたはずと佐久間は満足する。
だが、樹理は父親の声を聞いたせいか動揺していた。
そっと伸ばしてきた樹理の手を佐久間はしっかりと握る。
帰り道、どうしても寄りたいところがあると樹理に頼まれ佐久間は小高い丘へ車を走らせた。
昔本当の母親に連れてきてもらったというきれいな星空が見える場所だった。
佐久間は自分の育った環境を樹理に話す。
両親が離婚して父親に引き取られたが、その父親が亡くなり、実家に戻った母親のもとへ行くことになった。
祖父母も伯父夫婦も優しかったが全員仮面をかぶっていることに気づき、自分もその場にふさわしい仮面をかぶって生きて来たのだと。
佐久間の気持ちがわかるという樹理に佐久間は思わずキスをするが、すぐにこれはストックホルム症候群で一種の錯覚なのだとつぶやく。
家に帰ってから樹理が、受け取ったお金をどうするか聞くと、佐久間は全て樹理が持っていけばいいと言う。
樹理は自分の店を持ちたいという夢があるのだと話した。
「誰かに喜ばれるような頼られるような人になりたい」と話す樹理に、「なれるよ」と言う佐久間。
「その時はお店に来てくれる?」
「それはルール違反だ」
佐久間は、現金受け渡しの準備を葛城に指示した。
葛城はサイバープランを訪れ、新型EVにおけるPR案の依頼を白紙にすると一方的に伝える。
社員たちは納得できないが取り付く島もない。
佐久間はひとりで葛城とのやり取りを遂行するつもりだったが、樹理に「私たちパートナーでしょ?これは私の戦いでもある」と言われて日本橋のビルに呼ぶ。
樹理が電話で葛城に逐一指示をし、葛城は現金を積んだ車で首都高を走る。
周回車線を走る葛城の車を、佐久間はビルの屋上から見張っていた。
突然、佐久間が「取引は中止」と樹理に伝えさせたので、葛城も、何も聞かされていない樹理も混乱する。
その時、何者かがビルの階段を上ってくる気配がした。

2話の考察・感想

佐久間が手がけたマスク・オブ・ユース
佐久間が手がけたマスク・オブ・ユースは、どんな人生を選ぶか経験によって顔が変わっていく人生ゲームで、仮面をかぶることで人生を変えることができます。
葛城は、「生き方が顔を作り、仮面で人生を変えるというのは興味深い命題だ。我々の人生そのものと言うこともできる」と感想を述べました。
リーダーだった佐久間をプロジェクトから一方的に外した時は「短絡的だ」と徹底的に打ちのめした葛城でしたが、佐久間が企画したゲームは評価したようです。
ヒアリングの最後に葛城は「君自身は満足な顔を手に入れたのかな?」と聞きます。
佐久間はイエスと答え、「ただこれは仮面かもしれませんが」と付け足します。
“仮面”は、佐久間にとって大きな意味を持つもの。
後に、複雑な家庭環境で育つ中で大人たちがかぶっている仮面に気づく話を樹理にしますが、自身も仮面を付けて生きていることを自覚しています。
佐久間がマスク・オブ・ユースについて説明するエピソードは、一見本筋とは関わりがないように見えますが、葛城と佐久間が直接相対する重要な場面です。
ここで“仮面”や“ゲーム”というワードが出てくることに意味があるのかもしれません。

車好きのつぶやきを装うのが巧みな葛城
「取引に応じる意思がある場合は下記のSNSアカウントを取得し、車好きのつぶやきを装いその意図がこちらに伝わるように投稿すること」
佐久間が送った脅迫メールの指示通り、葛城はSNSに投稿することで意思を佐久間に伝えて来ました。
「新車の購入を持ちかけられ迷ってます。まずは詳しい契約内容を聞かないと…このアカウントを見られた方、情報交換しましょう」
これはつまり、「取引の条件を詳しく教えてほしい」ということですね。
次の投稿は「新車購入の件、やっぱりこの目でモノを確認するべきですよね。傷がついていないかとか、エンジン音も聞いてみたいし」
これは、「娘の無事を確認したい」ということ。
娘を車に見立てて自分の意思と相手への要求を過不足なく伝える葛城。
ゲームに自信があるというだけのことはあります。

情緒不安定なお嬢様
無断で横須賀に行き迎えに来てと我儘を言うお嬢様。
勝気なところを見せたり、急に動揺して不安定になったり、樹理は佐久間をずっと振り回しています。
一貫しているのは、佐久間と並び立つ“パートナー”でありたいと主張すること。
佐久間に命令されること、自分抜きで計画を進められることを嫌います。
一人前の大人として扱ってほしいのでしょうけれど、その姿は駄々っ子のようにも見えます。
佐久間がこれまでつき合ってきた成熟した女性たちにはない幼さや危うさに、彼は惹かれたのでしょうか。
ペースを乱されて自分で感情をコントロールできなくなること、それは恋愛感情…?

ゲームの名は誘拐2話

星空の下で
きれいな星空を見て、佐久間が「まるで…」と言いかけると、樹理は「プラネタリウムみたいなんて言わないでよ」と先回りします。
確かに、今頭上に広がっている本物の星々を、スクリーンに投影される天体の映像に例えるのはおかしな話ですね。
たとえ都会の夜空にはプラネタリウムほど沢山の星が見えなかったとしても。
本物と、本物を模したものと。
本物って何でしょう。
星空の下で二人はキスをしますが、その感情は本物でしょうか。
佐久間はストックホルム症候群だと言います。
「犯人と人質が長時間一緒にいると互いに連帯感のような特殊な感情が芽生えるらしい、一種の錯覚だ」
まるで自分に言い聞かせるように。
「帰ろう」
佐久間は自分の感情に急ブレーキをかけたように見えました。

仮面の下の素顔
星空の下で自分が育った家庭環境について話す時の佐久間は、いつもの仮面がずれて柔らかな素顔をのぞかせていたように思います。
「寂しかった?」と樹理に聞かれて
「そうは言ってないだろ」と少し笑った表情。
普段は冷静な佐久間の心の揺れが伝わってきました。
クールなイメージと繊細な表現力を併せ持つ亀梨和也さんの真骨頂。

3話

ゲームの名は誘拐3話

放送日:6月23日(日曜)22:00

3話のあらすじ

佐久間(亀梨和也)は警察の介入を確かめる為の作戦で葛城(渡部篤郎)を翻弄し、優位に計画を進めていく。
一方、石澤(飯田基祐)から不信感を訴えられた葛城は、娘が誘拐されたことを打ち明けた。
そして再び身代金の受け渡しが行なわれることに。
予期せぬ追跡車両が現われたことで事態が混沌とする中、“誘拐ゲーム”はクライマックスを迎える。
しかしその後、事態は佐久間が予想もしない展開へと進んでいった。

3話のネタバレ

佐久間駿介(亀梨和也)と葛城樹理(見上愛)は警備員がやって来る寸前にビルの非常階段から脱出した。
佐久間が、葛城勝俊(渡部篤郎)との現金受け渡しを途中で中止したのは警察の介入を確認するためだったのだが、樹理は計画の詳細を知らされなかったことにイラつく。
佐久間は、父親とのやり取りで樹理に負担がかからないようにと配慮したこと、次は連絡役をさせないこと、次の本番も樹理の力が必要なことを伝えた。
日星自動車の仕事が白紙になってしまったため、サイバープラン社長の小塚(小林隆)は佐久間と杉本智也(武田航平)に、二人で組んでアイドルのキャンぺーンを手掛けるよう指示する。
佐久間と樹理は計画に必要なものを購入するため連れ立って出かけた。
一方、石澤(飯田基祐)から新型EVプロジェクトへの姿勢に疑問を感じると訴えられた葛城は、娘が誘拐されたことを打ち明ける。
そして、いよいよ身代金3億円の受け渡しが行なわれることに。
葛城の車を追跡する車が現れて佐久間は警察車両ではないかと疑ったが、葛城は自分は関知していないと言ってその車を振り切る。
葛城の妻・芙美子(赤間麻里子)や日星自動車の駒形支店長・中村(山崎樹範)まで巻き込んだ佐久間の計画は見事に成功し佐久間と樹理は身代金を手に入れた。
樹理は3億円が入った段ボールを横須賀の友達のマンションへと運ぶ。
二人は二度と会わないことを約束して別れた。
ところが、葛城が二日経っても樹理が家に帰らないとSNSで伝えて来た。
そして湯口(泉澤祐希)からの連絡で、葛城の娘の誘拐事件で警察が慌ただしくなっていると知り、佐久間は呆然とする。
手掛かりを求めて横須賀のマンションへ行ってみると、そこは女性専用マンションではなかった。
葛城樹里が横須賀市の公園で遺体で発見されたことが報道される。
テレビ画面に映った葛城樹里の写真は、佐久間の知っている樹理ではない、見知らぬ女性だった。

3話の考察・感想

ゲームの名は誘拐3話

佐久間の優しさ
「樹理…」
これまで「君」と呼んでいた佐久間は、情緒が不安定になってしまった樹理の肩にそっと手を置き名前を呼びます。
「辛い思いをさせて悪かった」
「見事だったよ。次の本番も君の力が必要だ」
女性の扱いに慣れている佐久間ですが、樹理への接し方には真心がこもっていて心から信頼しているように感じます。

ゲームの名は誘拐3話

佐久間と樹理のデート
作戦に必要なものを準備することが目的でしたが、渋谷や秋葉原で買い物をする二人の姿はまるでデートのようでした。
樹理はなんだか嬉しそうでしたね。
それにしてもこんなにお洒落な二人が街を歩いていたら人目を引きそうですが、大丈夫でしょうか。

佐久間さん、樹理ちゃんにメイドカフェに連れて行かれてたけど「ご主人様~」とか言われちゃったのかしら。見たいわ~!

善良な人たち
日星自動車の宣伝部長・石澤(飯田基祐)や、駒形支店長・中村(山崎樹範)のような真面目で誠実な社員の姿は、人生をゲームに見立てている者たちとの対比にもなっていますね。
社会を支える善良な人たちの姿に救われる気持ちになります。

別れの時
3億円を手に入れた二人は始めに決めたルール通りに別れます。
静かに寄り添うような音楽。
滲む街の灯り。
車中の佐久間と樹理の顔に交互に射す光と影。
「これでゲーム終了だ」
わざと冷たい言葉を告げる佐久間。
「楽しかったね。さよなら」
そう言った時の顔は本当だったと思いたい、樹理。

彼女は誰?
衝撃のラストでした。
3億円の受け取りに成功し、樹理を家に帰して“誘拐ゲーム”は華麗に幕を閉じるはずだったのに。
樹理の遺体が発見されたという報道。
テレビの画面に映し出された葛城樹里の写真は、佐久間が知らない女性でした。
では、ずっと一緒にいたあの女性は誰だったのか。
佐久間がいない間、佐久間が企画したゲーム“マスク・オブ・ユース”で遊んでいたという彼女。
「仮面で自分の人生を切り開く、最高のゲームだね」
樹理の仮面をかぶった彼女の目的は?
芝居が得意だと何度も言っていましたが、無垢な笑顔を見せたり、激しく感情を高ぶらせたり、真っすぐな瞳で「わかるよ」と言ったり、別れの場面で切ない顔を見せた彼女の姿は、本当に全て演技だったのでしょうか。

4話(最終話)

ゲームの名は誘拐4話

放送日:6月30日(日曜)22:00

4話(最終話)のあらすじ

葛城樹理の遺体が発見されたという。
だがテレビのニュースで流れた樹理の写真は、佐久間の知る樹理ではなかった。
すべては“樹理”を名乗る人物によって仕組まれていたことだったのだろうか。
彼女と再会した佐久間は思いも寄らない真実を知り愕然とする。
佐久間はすべてをかけて最後の一手を放つ。

4話(最終話)のネタバレ

佐久間駿介(亀梨和也)が葛城勝俊(渡部篤郎)への復讐のために葛城樹理(見上愛)と共謀して行った狂言誘拐は、成功裏に終わったように見えた。
ところが、葛城樹里が横須賀の公園で遺体で発見されたと報道される。
佐久間がテレビのニュースで見た樹理の写真は、見たことのない女性のものだった。
では、“樹理”と名乗っていた女性は誰だったのか。
佐久間は、杉本智也(武田航平)から葛城の様子がおかしいので車で尾行したと打ち明けられる。
身代金受け渡しの時に葛城の車の後をつけていたのは警察ではなく杉本だったのだ。
葛城が取引が終わるまで警察に連絡しなかったこと、誘拐されたのが樹理ではないと知っていたのに電話で“樹理”と呼びかけていたことなどから、佐久間はある事実にたどり着く。
佐久間は葛城に「重大な要件あり。連絡を乞う。連絡の手段は問わない。こちらは全ての真相を掴んでいる」とメールした。
すると“樹理”と名乗っていた女性が佐久間の家にやって来る。
乾杯の約束を果たしにやって来たというその女性の本当の名前は、葛城千春(見上愛)。
佐久間が推理した通り、彼女は姉の樹理を演じていたのだ。
本物の樹理(森香澄)は、千春とハンドクリームのことで揉み合いになり倒れて床に頭を打ちつけ亡くなってしまった。
驚き混乱した千春はそのまま家を飛び出してしまったのだった。
後のことはパパが何とかしてくれるだろうという甘い考えで。
そこへ偶然現れたのが佐久間駿介。
千春は父親の葛城に電話で相談して、佐久間を樹理を殺害した犯人に仕立て上げることにしたのだった。
横須賀のカフェで車にスプレーのいたずらをしたことも、丘の公園に連れて行くようにせがんだのも、遺体を埋めた現場に佐久間の痕跡を残すためだった。
千春が樹理の死に関わっていることを隠蔽するためには、佐久間が完璧に誘拐ゲームを成し遂げる必要がある。
ゲームの企画を説明させた時に葛城が能力を見込んだ通り、佐久間は見事に誘拐ゲームを成功させた。
佐久間は、自分が警察に名乗り出れば葛城と千春の計画は失敗に終わるのにと言いかけたが、いつの間にか体調が悪くなってきたことに愕然とする。
千春は、乾杯したワインに葛城から渡された薬を仕込んでいたのだった。
「何か秘策はある?」
千春は尋ねたが、佐久間はそのまま意識を失ってしまった。
自分の部屋で目を覚ました佐久間は、目の前に葛城がいることに気づく。
葛城は、「殺すなんて野蛮なことは主義に合わないし、遺体の始末がどれだけ大変か身をもって知っているからね」と言う。
佐久間が警察に捕まらない限り本当のことは話さないだろうし、自分が被害者の立場で佐久間をかばうから捕まる心配もないと話す。
ただ念のため、佐久間が窮地に追い込まれた時にどんなカードを切るか知るために死ぬかもしれないという恐怖を与えたのだった。
佐久間は彼女のことを信頼していたので反撃する手段を何も用意していなかった。
「あの新型EVを正しく世間に披露する、その時が本当の勝利だ」
葛城は、二度と千春には接触しないように言うと、
「いいゲームだった。燃えたよ」と笑顔で去っていく。
葛城は、娘の誘拐殺人事件で渦中の人物になっていた。
テレビの取材で宣伝部長の石澤(飯田基祐)は、「葛城副社長は環境問題の勉強をしていた樹理さんと新車を必ず世に送り出すと約束していたそうです」と葛城から聞いた話をして副社長がどんなに娘想いなのかを訴えた。
そのおかげで世間の葛城の評価は上々になり、新車の予約数も想定を上回った。
真面目で誠実な石澤も葛城にコマとして利用されていたのだ。
葛城は千春に、自分の言うことを聞けば将来は約束されるから二度と手をわずらわせないようにと告げる。
佐久間は、かつて千春が樹理について語った言葉を思い出して深く考え込む。
千春の大学を訪ねた佐久間は、このままで良いのかと聞く。
「君は、葛城樹理に成り切ることで、その苦しみと孤独を理解した」
「本当にこのままで良いのか?罪の意識を抱えたまま葛城に操られる毎日で」
千春は、「パパが初めて私のために動いてくれたから裏切ることはできない」と答える。
新車発表会の日がやってきた。
世間の注目を集める葛城副社長の登場とあって多くの報道陣が集まる中、意気揚々と挨拶をして控室にもどった葛城のところへ、佐久間がやって来る。
佐久間は、メイドカフェで撮影してもらったチェキを見せた。
佐久間の隣で満面の笑顔の千春。
佐久間は処分するように言ったのだが、千春がメイドカフェの壁に貼ってもらっていたのだった。
さらに、佐久間はボールペンを取り出す。
このボールペン型ボイスレコーダーに、ワインで乾杯した夜の千春との会話や翌日の葛城との会話を録音していたと告げ、この2つの証拠が合わされば言い逃れはできない、罪を認めていただけますかと話した。
そんなことをしても佐久間にとっては何の得にもならないが、千春を罪悪感と葛城の束縛から自由にしてやりたかったのだ。
窮地に追い込まれた葛城は突然発表会場の舞台に出て、サイバープランの協力による試乗体験イベントを計画していると言い、担当者として佐久間を紹介する。
生配信で見ていたサイバープランの一同は、どういうことかと驚く。
プロモーションの仕事を与えることで佐久間は自分に歯向かわないだろうという葛城の思惑だった。
しかしマイクを渡された佐久間は、葛城副社長が樹理の事件に関与していることを暴く。
驚いた報道陣に質問攻めにあった葛城は妻と千春が画策したことだと言い逃れようとするが、会場に来た千春がそれを聞いていた。
喧騒の中、佐久間が置いて行ったボールペン型ボイスレコーダーの中を葛城が確かめると、それはただのボールペンだった。
誘拐事件を追っている田辺刑事(増田修一朗)と岡島刑事(井上想良)も会場で葛城の様子を見ていた。
田辺は樹理が環境問題の勉強をした形跡がないことを掴んでいた。
発表会会場が荒れる中、岡島に電話が来る。
横須賀の遺体発見現場で葛城を目撃した人がいるという情報だった。
佐久間と千春が並んでいる前を連行される葛城。
千春は佐久間に感謝し、佐久間はお互いもう仮面をつけるのはやめにしようと告げた。
佐久間と千春は、田園調布中央警察署に自首する。
それぞれの取り調べでお互いをかばう二人。
葛城は遺体遺棄及び誘拐事件への関与で逮捕された。
3年後。
フラワーショップで働く千春の前を佐久間が静かに通り過ぎる。

4話(最終話)の考察・感想

※“樹理”と名乗っていた女性の本当の名前を書いています。

スタッフの遊び心
1話から最終話まで随所に、亀梨さんに関連する仕掛けがあります。
座長、スタッフの皆さんに愛されていますね。
・脅迫状に記載されたURLが“RealFace.com”⇒『Real Face』は所属するKAT-TUNのデビュー曲
・湯口がいるのは“週刊REAL”編集部
・佐久間駿介の車のナンバーが2006⇒KAT-TUNのデビュー年
・通報されて横須賀のカフェにやってきたパトカーのナンバーが1986⇒亀梨和也の生まれた年
・葛城夫人の携帯番号末尾が223⇒亀梨和也の誕生日
・ネットニュースに「副社長に同情する」とコメントした名前が““Turtle”(亀)

葛城副社長の失態
「いいゲームだった。燃えたよ」
誘拐ゲームを勝ち抜いて自分に陶酔しきった笑顔を見せた葛城。
ただ、彼の最終目標は自分が手がけた新車のプロモーションを成功させることでした。
「あの新型EVを正しく世間に披露する、その時が本当の勝利だ」
そのためには、社員をコマにし、亡くなった娘すら利用する男。
「私のやり方を見ておくといい」と言っていましたね。
しかし結局、誘拐ゲームと新車のPR、そのどちらも彼の敗北に終わりました。
自分のコマであったはずの千春が、敵である佐久間の隣に並んでこちらをじっと見ている中を刑事に連行されていく。
勝者と敗者の構図でした。
卑怯にも自らの罪を妻と千春に押しつけた男にはもう何の威厳もありません。
赤い布で覆われたまま最後まで車体をお披露目することができなかった新型EVは、葛城の敗北の象徴でした。
あらゆる事態を想定してシミュレーションしておく用意周到な彼がなぜ失敗したのでしょう。
それは、佐久間にとって大切なものが何なのかを見誤ったせいではないかと思います。
自分と千春が狂言誘拐に関わっていた証拠を突きつけられた葛城は、一度白紙にした新車のプロモーションの仕事を再度与えることによって、まだ佐久間をコントロールできると勘違いしていました。
佐久間の企画を“人質”にするつもりだったのでしょう。
でも、佐久間はもう自分の利益は考えていなかったのです。
葛城は、佐久間とのゲームに負けたばかりか、日星自動車という企業の信頼を失墜させ、副社長としての名誉も失いました。
犯罪者として罪を償う中で、傷つけてきた娘たちに想いを馳せることはあるでしょうか。

★“いけにえの姫ではなく
連続ドラマW 東野圭吾【ゲームの名は誘拐】最終話が放送された6月30日、同じ日の大河ドラマ「光る君へ」で見上愛さんが彰子役として登場しました。
この回のタイトルの「いけにえの姫」とは、一条天皇に入内する彰子のことです。
同じく見上愛さんが演じた葛城千春も、ある意味葛城にとってのいけにえの姫だったのかもしれません。
父親に管理され父親のために都合よく利用される存在として。
千春は葛城に電話で初めて誘拐ゲームの話をした時、
「パパは私を褒めてくれた」と嬉しそうに言いました。
しかし、若い娘を男性と二人きりにして狂言誘拐の加担をさせるだなんて、真っ当な親ならそんな危険なことはさせられないでしょう。
それでも、千春は、父親が初めて自分と向き合ってくれる状況を喜んでいました。
高級ハンドクリームを勝手に使った樹理に
「私のママが買ってくれたの。あなたにじゃなくて私に」
と取り返そうとしたことが喧嘩の原因でしたが、千春のこの強いこだわりは愛されている自信がないせいなのかもしれませんね。
愛人の子であった樹理と立場は違いますが、千春もまた親に認められるために仮面をかぶって生きてきた子でした。
そして佐久間と出会って、“樹理”という仮面をかぶることで、親から死を悼んでもらえない残酷さ、その残酷な家族の中に自分もいること、何よりも樹理の命を奪ったのは自分であることに向き合わざるをえなかったのです。
階段の下で、樹理から見た“千春”という自分自身についても考えたことでしょう。
ずっと父親にコントロールされてきた千春は、主体的にゲームに参加することが楽しかったと思います。
主従ではなく、あくまで佐久間と並び立ちたかった。
佐久間と過ごした日々で、千春は改めて自分と出会い直したのかもしれません。
子どもの頃の夢を思い出すきっかけにもなりました。
だから、家に帰ってまた父のゲームのコマに戻ってしまったのは本当に苦しかったと思います。

原作との違い

原作は、東野圭吾『ゲームの名は誘拐』(光文社文庫刊)。
2000年~2002年に連載された作品です。
ドラマ化にあたって、現代に合わせた改変がいくつかされました。
また、鈴木浩介監督によると、ドラマでは、原作とも映画版とも異なる結末を用意していて“まさか!?”という衝撃的な展開が訪れるそうです。
(随時追記します)

※原作の内容にも触れています。

原作の佐久間は葛城への脅迫状をFAXで送っていて、返事は掲示板に書き込むように指示をします。
ドラマでは、メールで脅迫状を送信し、SNSの投稿で返事をするように指示しました。

1話での一番大きな違いは、原作の樹理は携帯電話を家に置いてきたこと。
ドラマの樹理は、スマホを持ってはいますが「ずっと電源を切っている」と佐久間に話しています。
※最終話後追記
原作の樹理(千春)は携帯電話を家に置いてきたと嘘を言って、陰で父と連絡を取っていました。
ドラマの千春も、佐久間がシャワーを浴びている時など隙を見て父に電話しています。

※最終話後追記
ドラマではただ一度のキスシーンが描かれましたが、原作ではもっと深い関係になります。
原作の葛城は佐久間の毛髪を手に入れることを指示しますが、父の本音をくみ取った千春が佐久間を誘惑してその気にさせた形です。
千春が佐久間の身体から採取したものを使い葛城が実の娘の樹理の遺体に細工するという、あまりにグロテスクな所業はやりきれません。

原作とドラマで千春は同じセリフを言うんだけど意味が真逆になっていてすごいと思ったわ。ドラマはその後の佐久間のセリフも相まって二人が深い関係にはならなかったことが伝わってくるのよね。

※最終話後追記
原作の佐久間駿介は、佐久間の家で手料理を運ぶ千春を偶然密かに撮影していて、その写真を葛城への最後の切り札にしました。
原作の物語は葛城と佐久間の対峙の場面で終わっています。
勝負はドローといったところでしょうか。
しかしドラマの佐久間はいざという時保険になるものを何も持っていませんでした。
葛城の言った通りそれだけ千春を信じていたんですよね。
メイドカフェのチェキという形で二人の関係の痕跡を残しておいたのは千春でした。
千春は佐久間駿介を騙す一方で、父の傀儡(かいらい)にもなりたくなかったのでしょう。
ドラマでは、新車発表会で佐久間と葛城の対峙がもう一度訪れます。

【ゲームの名は誘拐】の見どころ

(最終回後に追記します)

佐久間と樹理の関係

「ストックホルム症候群」とは、誘拐事件や監禁事件において犯罪被害者が犯人との間に心理的なつながりを築くこと。
佐久間と樹理は誘拐犯と被害者であり、実は目的を同じくするパートナーという関係。
二人が恋愛感情を抱くことはあるのか、もしそうなったらそれは「ストックホルム症候群」という錯覚なのか。
佐久間と対等でいたいと望む樹理の気持ちが二人の関係にどう影響していくのかも、見守っていきたいと思います。

※最終話後追記
佐久間と千春の間に恋愛感情はあったのか。
愛も情もあったと思います。
でも恋かどうかは見る人それぞれの想像に任されたのではないでしょうか。
仮面をかぶることでやわらかな心を守ってきた二人。
仮面をかぶっている苦しみを分かち合い、お互い仮面を外すきっかけをくれた特別な存在なのだと思います。
佐久間は、千春の中に自分自身を見ていたような気がします。
佐久間自身はこれまで、“葛城千春にとっての佐久間駿介”のような相手には出会えなかった。
だからこそ、千春の仮面を自分ができるだけ早く取り除いてあげたかった。
佐久間からは“父性”のような包容力を感じます。
千春は守りたい存在であり、解放してあげたい存在。
佐久間もあの日、“お屋敷を抜け出したお姫様”に出会わなければ今も仮面をつけたままだったのでしょう。
千春と出会うことで誇りを取り戻したと言えるかもしれません。
そして、千春にとって、佐久間は失った羽を与えてくれた存在だったのかなと感じています。
自分に初めて向き合って守ってくれたと思っていた父は罪を自分や母に押しつけるような人でした。
本当に千春に向き合い守ってくれた人は佐久間でしたね。
警察署の前でハグをした時の二人の顔は、それまで見たことのないような優しく清々しい表情でした。

佐久間と樹理と葛城の腹の探り合い

佐久間、樹理、葛城はそれぞれ頭が良く一筋縄ではいかない人物です。
映像に表れていない部分で相手を出し抜こうとしている可能性もあります。
うまくやっていると思っていると予想外のしっぺ返しがあるのかも。
1話で佐久間と樹理が話した喫茶店のシーンは、二人とも猛スピードで考えながらどうやったら相手を利用できるかという駆け引きをしていた印象。
亀梨さんと見上さんの繊細な演技は見応えありました。
視聴者も知らぬ間に騙されているのかもしれませんが、物語に翻弄されながら最後まで楽しみたいと思います。

※最終話後追記
ゲームの目的
葛城千春の誘拐ゲームの目的は、父親への意趣返しと見せて実は姉を死なせてしまったことを隠匿することでした。
佐久間駿介は自分のプライドをくじいた葛城の鼻をあかすことが目的。
しかし葛城のゲームの全貌を知ったことで、仮面をつけてうまく生きてきたつもりの自分に向き合うことになり、佐久間の目的は、葛城から千春を解放することに変わります。
葛城は、佐久間を犯人に仕立てて真相を隠すことが目的でしたが、さらに事件を新車のプロモーションに利用しようと目論みます。
葛城にとって、佐久間駿介のゲームが成功することが肝要なので、現金受け渡しはお手並み拝見ということで内心楽しんでもいたのではないでしょうか。
ある意味神の視点になったつもりで佐久間駿介のゲームを眺めていたことでしょう。
しかし、千春が自分のコマではなく佐久間駿介のパートナーになっていたことを葛城は読めなかった。
佐久間駿介が私利私欲を捨てて動くようになったことが、葛城にとって計算違いだったのです。

誘拐ゲームの着地点は?

佐久間と樹理の二人は、葛城勝俊とのゲームに勝つことができるのでしょうか。
佐久間も葛城も頭の回転が速く隙の無い人間ですが、樹理は何を考えているのかわからない危うさがあり、お互いの駆け引きの果てに何が待っているのか予想がつきません。
「このゲームが終われば俺たちはもう二度と会うことはない。これは絶対のルールだ」と佐久間が言い、樹理も「当然でしょ」と答えました。
果たしてどんな結末が待っているのか、危険なゲームの顛末が楽しみです。

※最終話後追記
本物の星として輝く
20年以上前の名作を改めて現代に置き換えてドラマ化した意味を、最終話の終盤に感じました。
新車発表会以降の物語が、原作にないオリジナル部分でした。
葛城を自滅への道へ導いたのは佐久間の度胸と誇り、そして千春の機転です。
さて、ゲームの勝者は誰だったのか。
自由を手に入れた千春は勿論のこと、千春を守りかつ自分の誇りも守った佐久間もまた勝者と言えるのでは。
ところで、ドラマで描かれなかった3年間に何があったのでしょうか。
葛城が有罪になったことは間違いないでしょう。
佐久間と千春は罪に問われたのか、千春がフラワーショップで働くまでの経緯は、あの店は千春のものなのかそれともオーナーが別にいるのか、佐久間はサイバープランを辞めたのか、今は何をしているのか、そういったことは明らかにされていません。
描かれないことが粋だなと思います。
フラワーショップで働く千春は生き生きと輝いていました。
子どもの頃からの夢に向かって努力を重ねたんでしょうね。
希望に満ちた千春の姿に力強さを感じました。
千春は父親が操作するプラネタリウムの一部にはなりたくなかったんだと思います。
自分が輝く場所を見つけたんですね。
そして、健やかな千春の姿を見届けた佐久間はこれから何処へ行くのでしょうか。
仮面を外した佐久間駿介の後ろ姿をもう少しだけ追いかけたい気持ちになってしまいますが、エンドロールの先の彼はきっと見た人それぞれの心の中で輝き続けることでしょう。
ただひとつの星として。

※最終話後追記
最終話を見終わってからずっと余韻が続いています。
原作の鮮やかな展開を活かした脚本も演出も音楽も素晴らしかったですし、魅力的なキャストの皆さんの丁寧で繊細な演技に惹き込まれました。
特に、亀梨和也さん、見上愛さん、渡部篤郎さんの演技のぶつかり合いは見応えありました。
最終話まで見てまた1話から見直すと沢山の気づきがあるドラマだと思います。
登場人物の小さな表情の変化に注目するのも面白いですよ。
ぜひWOWOWオンデマンドでくり返しご覧ください。

記事内画像出典:連続ドラマW 東野圭吾「ゲームの名は誘拐」公式サイト