【あなたがしてくれなくても】の原作ネタバレ!みちと誠はお互い離婚して「再婚」の形で結ばれる?

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あなたがしてくれなくても 原作2

【あなたがしてくれなくても】原作ネタバレ!

ドラマ『あなたがしてくれなくても』の原作は、ハルノ晴さんが2017年より「漫画アクション」にて連載中です。

現在10巻まで刊行され、電子版を含めた累計発行部数は830万部以上に!

セックスレスをはじめ、夫婦の問題に切り込んだ話題作。

今回はドラマ【あなたがしてくれなくても】原作のあらすじネタバレを紹介します。

見逃し・全話配信は、FODにて配信中!
目次

【あなたがしてくれなくても】原作

あなたがしてくれなくても 原作

『あなたがしてくれなくても』原作マンガの情報です。

原作:「あなたがしてくれなくても」
原作者:ハルノ晴
連載:漫画アクション
コミックス:未完(2023年3月時点10巻まで)

※ドラマ【あなたがしてくれなくても】放送開始時点で、原作マンガはまだまだ連載中です。

【あなたがしてくれなくても】原作ネタバレ

原作のネタバレの前に、主な登場人物をご紹介。※ ()はドラマのキャスト

ドラマの登場人物

吉野みち(奈緒)…主人公。経理部で働く32歳。夫の陽一と2年のセックスレス状態で、悩み・不安やイラつきを抱え心が荒んでいる。精神的に追い込まれた結果、誠と悩みを共有し惹かれ合っていく。※ドラマでは営業推進部で働いている。

吉野陽一(永山瑛太)…みちの夫。無精髭を生やしている35歳。周りにあまり興味がなく、ゲームばかりしている。喫煙者で、会社の喫煙室で一緒になる先輩の三島と意気投合し、その場の勢いで体の関係を持ってしまう。※ドラマではカフェの雇われ店長で37歳。

新名誠(岩田剛典)…みちの会社の同僚で36歳。セックスレスであることをみちに打ち明けてから、戦友であり気になる存在になっていく。

新名楓(田中みな実)…誠の妻。ファッション雑誌の副編集長を務める36歳。仕事に夢中でいつも疲れているため、誠に対して冷たく、余裕がない時ほどキツく当たってしまうところがある。

三島結衣花(さとうほなみ)…陽一の会社の先輩社員で34歳。色っぽいその見た目から軽くみられることが多く、これまでは不倫関係ばかりを繰り返していた。みちの姿を見て陽一との不倫をとどまる。※ドラマでは、年齢不詳の謎の女性。

北原華(武田玲奈)…みちの後輩社員で23歳。あざと可愛いイマドキ女子。毒舌だが、みちには懐いていて、誠と付き合っていることに誰よりも早く気付くなど、鋭い観察眼を持つ。

高坂仁(宇野祥平)…陽一が働くカフェのオーナーで50歳。陽一に信頼を置いているよき理解者。※ドラマオリジナルキャラクター。

川上圭子(MEGUMI)…ファッション雑誌の編集長で楓の上司。楓に絶大なる信頼を置き、期待している。※ドラマでは41歳。

新名幸恵(大塚寧々)…誠の母。専業主婦でずっと誠の父に従い続けてきた。世間体を重視している。※ドラマでは病気で入院中。

原作の登場人物

・みち、誠の会社の人物

田中…みち、誠、華の会社の男性社員。

川上…みちと誠と華の会社の女性職員。離婚して旧姓に戻った。元・浜崎。みちに離婚の話をする。

滝川…誠の同僚。

・陽一の会社の人物

原田…陽一、三島の会社の男性社員。

・楓の出版社と関係者の人物

横井…楓の後輩で新人。

川原…楓の同期でバツイチ。

岩原シマコ…楓と横井が担当している小説家。男女の愛憎を描いている。

・みちの友達

綾乃…みちの大学時代からの親友。

・楓の家族

楓の両親…誠のことをとても良く気に入っている。仲が良い。

楓の兄…誠のことを気に入っていて、転職先が大手であることを喜んだ。

【あなたがしてくれなくても】原作のあらすじネタバレ

【あなたがしてくれなくても】原作漫画のあらすじネタバレを紹介します。

1巻のネタバレ

1巻のネタバレポイント

  • 陽一からの心無い言葉
  • セックスレスであることをみちと誠が打ち明ける
  • お互いの夫婦間では上手く行かず、耐えきれず泣くみちと抱き締める誠

第1話

“あなたとの条件はひとつだけ セックスはしない事”

同僚が出産の為、退社すると聞き「セックスしたんだ…」と羨ましくなるみち。

夫の陽一は片付けもせず、リビングでだらだらゲームをして夕飯を催促。

「子供欲しい?」と聞くと「欲しいに決まってんじゃん」「じゃあ作る?」「うん、いーよ」と返事。

その日の夜、ベッドに入り誘うみちに「疲れてるから」と手を止め、「子供作るって言ったじゃん!」には「明日するからさ」と素っ気ない返事。

「私達2年もしてないんだよ!?」「勘弁してよ」みちは泣きそうだった。

翌朝、よく寝付けなかったみちがリビングに向かうと、ソファーの上でパソコンを開いていた陽一。

みちの姿に、焦ってパソコンを閉じた。

一瞬見えたのはAVの動画画面。

「わたしとはしないくせに!」と責めると、色気はないしいつも部屋着だし腹も出ててムダ毛も放ったらかしだ、と心ない言葉を返されてしまう。

そして、出勤すると後輩の華に下着屋さんに行って欲しいと頼まれる。

送別会で上司の新名誠と近づこうと考えている華は、大人の男の好みをアドバイスしてほしいという。

しかし誠は既婚者で、本気なの?不倫になっちゃうよ?とみち。

華は全然気にしていなかった。

キラキラした派手な下着を前に動揺が隠せないみちだったが、楽だからとゴムの伸びた下着ばっかり履いてたことを反省し、自分もいい下着を買うことにした。

そして、陽一が帰宅。

朝の一件のご機嫌取りでスイーツを買って来てくれるが、全然わかってないと落ち込む。

そんなみちに、陽一は「水曜早く帰るから、しよ?」と思いがけない言葉をかける。

水曜日、少しおしゃれして出勤したみち。

華から旦那さんとデートですか?と聞かれ、仲が良いと言われる。

仲良く見えるんだ、と思うみちだったが、性生活のことなんて誰もわかるわけない、と納得。

その日は送別会で、二次会を断り帰ろうとするみち。

引き止められるも「2年振りのセックス逃せるかぁ!」と意気込み、挨拶を終え足早に帰ろうとした。

すると誠も不参加の意思を伝え、それに華も乗っかり「送って下さい」と誠を逃がさない。

しかし、誠はみちを呼び止めなぜか3人でタクシーに乗って帰ることになってしまった。

家に着いてからも甘える華をなんとかかわした誠に「モテると大変ですね」などと話していると陽一からメッセージが入る。

”ごめん急に部長に誘われて遅くなると思うから先に寝てて!”

自分にとっての今日と陽一にとっての今日の重みが全然違うことにショックを隠しきれなかった。

タクシーを降りるみち。

「私このまま女として終わるのかなぁ…?」そんなことを考えていると、誠が追いかけてくる。

みちの様子が心配だったのだ。

優しさに泣きそうになるみちに、誠は今日のお礼に一杯おごらせてと誘う。

一人でいたくなかったみちはその優しさに甘えることにした。

バーに入り、奥さんのことを心配するみちだったが、誠の妻はバリバリのキャリアウーマンで心配はいらないという。

そして、新名家には絶対ない事でのケンカをした、とセックスレスであることを打ち明けた。

困った顔をする誠に焦るみち。

「アドバイスできないや」 と言われ、優しさに甘えすぎたことが恥ずかしくなってくる。

そんなみちに「うちもセックスレスなんだよね」と思いがけない告白。

とても寂しそうな目で笑っていた…。

第2話

翌日、二日酔いのみちに華が話しかけてくる。

新名さんの事を本気になるかもしれない、というのだ。

まさかあのあと、一緒に飲んでいたなんて言えないみち。

そして、誠を見かけただけで恥ずかしくなる。

セックスレスであることをお互いに告白したあと、みちはとんでもない事をカミングアウトさせてしまったと、狂ったように喋りだし、ガブガブお酒を飲んでしまい記憶が無かった。

退散しようとするみちに話しかけ、昨日のお礼を言う誠。

戦友ができたようで勝手に喜ぶみちだった。

セックスレスについて検索すると、いろいろな対策が出てきて試そうとするみちは、つい魅惑のフェロモン香水なるものをポチってしまった。

もう一度頑張ってみようと思い、お風呂上がりに香水をつけ、化粧もし、可愛いパジャマを着て陽一に寄りかかる。

すると「大きい仕事を抱えていて、今はそれどころではない」とまた断られてしまった。

第3話

2週間待ってと言われて早一週間、みちは焦っていた。

エレベーターで誠に出くわし、お互いのことを話す。

ノー残業デーの日、華はデートだと自分の仕事を男性社員の田中に頼み帰っていく。

電車に乗ろうとしたところで、会社に急いで戻るみち。

自分と田中を重ね、見て見ぬふりは出来ない。

”華ちゃんは都合の悪いことから逃げてそれでいいのかもしれない、でも田中さんの気持ちは?”

ただその話題からも逃げて、でも好きな事はやって。

陽一からないがしろにされている自分も、振り向いてほしい!

勢いよく戻ると、そこには田中と誠の姿もあった。

手伝おうと戻ってきたみちに嬉しそうな田中。

誠が手伝っていたため、もう仕事は終わるという。

そして3人で飲みに行くこととなった。

誠「吉野さんって優しいですね」

第4話

感謝でいっぱいの田中。

最初から手伝っていれば良かったと言うみちに、わざわざ戻ってきたんだから、と誠はフォロー。

私情があったと話すみちに同感する誠だった。

酔って眠ってしまった田中を介抱し、私情について聞くみち。

誠は何度か華が田中に仕事を頼んでいるところを見かけていて、フェアじゃないと思っていた。

それは自分の母親の姿を重ねて見ていて、亭主関白な父の言う事をずっと聞いているのが見ていられなかったという。

相手の為に我慢している人がいたら力になりたい、誠の思いを聞いて別れた。

帰宅すると電気が点いていて、陽一は起きていた。

なぜか動揺するみち。

誠の思いが自分に向けられた言葉のようでドキッとしてしまった。

深い意味なんてないことはわかっていた。

しかし、誠の言葉を思い出し眠れないみちだった。

陽一との約束の日。

華から飲みに誘われるが断るみち。

「トキメキ」という言葉を聞き、気合いをいれて料理する。

帰宅した陽一はメニューを見てどこか浮かない顔。

そわそわするみちだったが、嫌な感覚が体にあった。

生理になってしまったのだ。

陽一にその事を伝えると、ホッとした表情をされる…。

第5話

義母から誕生日プレゼントのお礼の電話がかかってくる。

次は孫のプレゼントがほしい、というプレッシャーをかけられて。

ここからまたする、しない、ですれ違う2人。

みちが思い悩んでいると、家の鍵がキーケースから取れてしまい、キーケースが落ちる。

これは陽一がプレゼントしてくれたもので、全然趣味ではなかった。

その頃のことを思い出し、いつの間にか陽一は変わってしまったと思うみち。

新しいキーケースを買おうと気に入った物をポチったが、帰宅すると陽一が新しいキーケースを買ってきていた。

知り合いの革専門店の手作りで、前と同じものはもうなかった為、オーダーメイドしてくれていた。

しかし、みちはまた趣味じゃないキーケースを前に「好きな奴使いたかったなぁ…」と言ってしまう。

その言葉に陽一は「っそ」と背を向3.02けた。

その時、みちは変わったのは自分も一緒だと気づく。

まずは自分が変わらないと、と思い本当の思いをちゃんと話し合おうと陽一の元へ。

プレゼントのお礼をし、冷静に話そう?と切り出すと面倒くさそうな陽一の顔。

しょっちゅう言われるとしたくなくなるし、プレッシャーだと主張する陽一。

「プレッシャー」と言われ、みちはこの2年間何か言ったりプレッシャーを与えたりしたのか、問う。

言わなくてもわかる、そんな陽一に「結局言っても言わなくてもしないって事なんでしょ?」と言葉をぶつけると、「そんなにしたい?みち性欲強くない?」と言われてしまう。

冷静に、冷静に、と思っていたみちだったが、我慢の限界。

枕を投げつけ、陽一は出ていった。

第6話

ネットカフェで過ごしていた陽一。

今日は実家に帰ろうか、などと考えていると三島に泊まりであることがバレていた。

みちからの連絡も無視し、実家に帰った陽一。

「オレ別にみちの事、嫌いになった訳じゃないんだよなぁ…」

三島達と飲んでいる陽一は、風俗に誘われるがさすがに今の状況だと、と断る。

そんな状況を見て三島は「男の人は逃げ道があっていいなぁ。女の人はその逃げ道もない。だから不倫が多いのかな」と言い、陽一の気持ちを少しざわつかせた。

みちに連絡を取る陽一、二人は待ち合わせ場所のカフェへ。

今まで通り暮らしたい陽一。

お互い働いてそれなりの生活が出来ているし、性格も合うから今まで仲良くやってきた。

十分夫婦としてなりたっている、と陽一は話す。

しかし、みちはただHがしたい訳ではなく陽一から愛されてると感じたい、それは夫婦にとって大切じゃないか、と聞く。

「愛してるから結婚してる訳じゃん?」

「愛してたらお互い求めたいって思うのが普通じゃないの?どうして陽ちゃんは平気なの!?」

面倒臭いこの状況をどうにか切り抜けたい、陽一が発した言葉は…。

「オレ…ED…かも…」

沈黙するみち。

この状況が耐えられない陽一に「そっか、わかった」と笑顔を向けた…。

第7話

そこからは淡々とした日々が続いていた。

陽一からの意外な連絡に期待していたみちだったが、あきれる嘘で逃げ出そうとした夫を前に、何かが冷めたのだ。

なぜか楽になったと感じるみち。

会社では華が次の飲み会に再び力が入っていた。

「新名さんのどこがそんなにいい?」、と聞くと包容力があるから心を満たしてくれそう、との答えが。

体の相性がいい人と、経済力をサポートしてくれる人はすでにいるという。

心、体、お金と3つ揃っている人はなかなかいない。

それぞれを満たしてくれる人がいればいい、華の考えを聞いてみちは自分が欲張りだったこと、心も体も満たされたいなんて贅沢だった、と思う。

いつもの日常、ケンカのない穏やかな日々、それで十分!しかし、陽一はいたたまれない様子だった。

会社の飲み会に参加したみちは、調子よくお酒が進んでいた。

そこへ誠がやってくる。

最近の様子を聞かれ、ヤバめのケンカをしたが逆にさっぱりして楽になった、と笑顔で話すみち。

そして、お手洗いに向かったみちは、酔っぱらいいい気分になっていた。

そんなみちを呼び止め「楽になったって本当ですか?」と切り込んでくる誠。

「全然そんな風には見えなかったので」

その言葉に涙が出てくるみち。

誠を呼ぶ声が聞こえ、とっさに非常階段に逃げ込む二人。

涙がどんどん溢れ止まらない。

好きだから求めたくなる、でもそれは叶わない。

だったらせめて、あの時陽ちゃんが私の心に寄りそってくれてたら、違ってたのかもしれない。

「私、夫への気持ちに一線を引いたら楽になったんです。期待せずに済むから。そしたらもう、自分が傷つかずに済むと思ったんです。」

そんなみちを抱き締める誠。

“期待しなければ傷つかないなんて嘘。拒否されて、無視されて、逃げられて、心はもう壊れる寸前で。お願い、誰か助けて。”

2巻のネタバレ

2巻のあらすじネタバレのポイント

  • みちを避ける誠と、陽一を避けるようなような態度のみち
  • 陽一と三島が体の関係を持ってしまう
  • 誠も自分を犠牲にしすぎて、結婚記念日を境に楓との関係がおかしくなる

第8話

誠の肩を借り泣いていたみち。

突然「ごめんなさい」と言い残し去った誠。

帰宅したみちはベッドで横になっていた陽一の隣には行かず、ソファーで横になる。

ずっと心臓の音が鳴り響いていた。

会社でもボーッとしていたみちに、華が「何かあったのか」とニヤニヤ近づいてくる。

逃げるようにお手洗いへ向かうと、誠と出くわす。

ドキッとするみちだったが、誠は避けるようにして行ってしまう。

一方の陽一は、三島から「なーんにも言われなくなったら終わりだから」と言われ、思うところがある為焦っていた。

みちは誠に避けられたことが頭から離れず、帰って来た陽一をやり過ごし、寝室に向かおうとする。

そんなみちの手を取り「やめろよ」と言う陽一。

「他人みたいな態度だよ!!他人行儀な笑顔して、よそよそしく避けてさぁ、耐えられないんだよ!!」

「…何それ、勝手だよ。自分だけ楽に生活しようなんて、陽ちゃんこそEDだって逃げたくせに…!!私には逃げ場もないの!?陽ちゃんはずるいよ」

「オレがひどい事してるっていうのはわかってる。でもこれだけはわかって。みちの事、大切な家族だと思ってる。」

「家族でも私には必要な事なの。だって他の家族とはしないでしょ?同じ家族でもそれって全然違うよ…!」

「オレみちと離れるなんて考えてないから」

嬉しいハズの言葉が苦しい。

こんな時でも陽一は抱きしめてくれないのだから。

第9話

楓が夜遅くに帰宅。

肉野菜炒めを作っている誠だったが、楓は明日食べるから冷蔵庫に入れておいてほしいと頼む。

更に頼み事があると、大学時代の友達の出産祝いをお願いし、そのまま寝てしまうのだった。

会社では誠の声が聞こえると避けるようにしているみち。

様子が変なことに華は気づいていた。

これからも顔を合わせる以上、このままにしておけないみちは電話をかけるか悩んでいた。

誠の事を気にして何を期待しているのか、向こうにも家庭があって自分にも陽一がいるのに。

そんな時、連絡が入るが相手は陽一だった。

「何だ、陽ちゃんか…」

一方の誠は、冷蔵庫に入れっぱなしの肉野菜炒めを見つける。

そこへ疲れて帰って来た楓は、今日もご飯はいらないと言う。

出産祝いのことで聞きたいことがあったが、心ここにあらずの返事。

洗濯物を終え戻り、再び質問すると話を聞いていない。

風邪を引いてしまったのか咳をしていると、「やだー、うつさないでよ。今仕事休めないんだから」と言われるだけだった。

その頃、帰りの遅い陽一を待っていたみちだが、先に寝ることにする。

あの日からずっと別々で寝ている二人。

みちは、陽一がする気がないならもう本当に一生ないんだ…と思っていた。

第10話

突然、華から誠の奥さんについて聞かれるみち。

どうしたのかと思うと、自分に全然興味を持ってくれず、真面目な誠のようなタイプは分析と対策が必要だという。

誠が何を考えているのか、みちも知りたいくらいだった。

華が分析を続ける中、みちは誠のことを何も知らないと実感する。

一方の誠は、母から法事について連絡が入り、楓は忙しくて行けないことを伝える。

母は楓の仕事振りを尊敬していて、自分とは大違い!と話す。

そんな母をずっと可哀想だと思っていた誠。

父の機嫌ばかりを気にして何も言わず、自分を犠牲にしているようだったからだ。

誠は、だから楓に惹かれ、自立している彼女を支えていけばいいと思っていた。

思っていたのだが…。

今日も疲れて帰ってくる楓。

「嫌な事あったらいつでも言って」

気にかける誠の手を振り払い「ごめん、放っておいて」と出ていく。

誠もいつの間にか楓の顔色ばかり気にしていたことに気がつく…母のように。

会社では応接間にお茶出しを頼まれたみちが、前から誠が歩いてくるのに気づく。

また無視されたらどうしようと不安になったが、意を決して「お疲れ様です」と挨拶しながら通りすぎた。

逃げ回っていてもよくない、もともとただの会社の先輩。これでいいんだ…!みちは自分に言い聞かせた。

そして、今日も遅くなると陽一からの連絡。

避けられているのだろうか、離れるつもりないって言っていたのに、涙が出てくるみち。

「ナニもかも上手くいかない。私の人生、こんなハズじゃなかったのに…」

すると、そこへ、誠からメッセージが届く…。

第11話

誠から仕事終わりに会いたいと突然連絡が入り、驚きはしたものの嬉しいみちだったが、何の話なのか不安になる。

隣で同じくため息を付いていた華は、男のいない女子会への参加に不満を漏らしていた。

ハッキリした性格の華と気持ちがふらふらしている自分を比べてしまう。

そして、いざ誠の待つバーヘ。

隣に座り緊張を解そうとしていると、「軽率な行動を取ってしまって申し訳なかった」と謝られる。

みちを見て自分と重ねてしまったこと、自分を慰めたかったこと、それらの気持ちから抱き締めるという行為に走ってしまった、と。

だが、誠の行為が自分の為だったとしても、あの時傷付いた気持ちに気付いてくれたことが嬉しかった。

そして誠も、陽一と向き合おうとしている姿に勇気付けられ、自分ももう一度向き合うことを決意していた。

「新名さんの役に少しでも立てたならうれしいです」と笑顔で別れたが、帰りの電車では誠が抱きしめてくれた理由が他にあったのではと期待していたことに、何てバカなんだろう、と思っていた。

第12話

朝からよそよそしいみちと陽一。

陽一は家の中で気を遣わなければならないこと、前回想いを伝えたのにそれが伝わらないことに疲れ始めていた。

そんな時、出勤中の電車で三島にばったり出くわす。

そこで「…吉野君っていい意味で自分以外興味なさそうだよね」と言われた。

何を言われているのか分からなかったが、三島から奥さんもそう思ってると言われ「あなたにうちの何がわかるんですか」と返す。

一方で、疲れて寝ていた誠は楓が帰って来たことに気付かなかった。

すると楓は前回の態度について改めた。

仕事を大事にしてることはわかってるから大丈夫と励まし、週末の結婚記念日に食事に誘った。

朝のこともあって、飲みの誘いを断ったら原田に付き合いが悪いと言われ、自分は薄情なのか、と問う陽一。

驚いた原田は自分に正直でいいと言ってくれたが、正直っていいことなのか?と自問自答する。

これまで何も困っていなかったのに、自分は何も変わっていないのに、いつもの生活が壊れていく気がした。

みちが目の前で泣いているのに何もできない、抱きしめてみたところでその先の期待に応えられない。

どうしたらいいのかわからなくなっていた。

そして、喫煙所に向かうとそこには泣いている三島の姿が。

何も言わずその場を去る陽一に、三島は吉野君らしくていい、と思っていると缶ビール片手に戻ってきた。

第13話

残業の後、息抜きに飲んでいるという缶ビールを持ってきた陽一は、三島に泣いていた理由を聞くが無理して聞かなくていいよと言われあっさり引き下がる。

そんな陽一に、三島は今日が34歳の誕生日だったことを伝えた。

周りと自分から距離を置いたのにも関わらず、誰からも祝福されないことが悲しくなったのだ。

陽一は誰からも祝福されなくてもいいと言うが、そんなところが周りを傷付けていると言いわれる。

その頃、みちは誠に会い結婚記念日の週末ディナーの話を聞き、このままでは一人取り残されてしまうと不安に駈られる。

その後、喫煙所で再び会い缶ビールを飲む陽一と三島。

みちの話になり、そしてゲームの話で盛り上がりもっと飲むことに。

たばこの火をもらおうとして足を捻らせた三島はそのまま陽一に倒れこむ形に。

流れるようにキスする二人だった。

第14話

体の関係を持ってしまった2人。

ことを終えた陽一はさっさと帰る。

「やっちまった…」

陽一はしゃがみこんだ。

一方で、もうすぐ誕生日のみちは華から旦那さんから何かもらうのか、と聞かれプレゼントとかは特にない、と返す。

華はプレゼントされるからいいのに、と言い誕生日プレゼントを考えておくように伝えた。

そして、週末の土曜日、花屋にいる誠を見つけその姿に誠の奥さんが羨ましくなるみち。

一方の陽一は、喫煙所で会った三島に昨日のことは無かったことにしてほしいと頼む。

あっさり承諾する三島、陽一が意外と小心者であること、自分の男を見る目の無さを感じているが、「また」バチが当たっただけと気付く。

過去のことを思いだし、自分は幸せになれない、と思った。

帰宅した陽一はみちに小さな花束を渡す。

予想外のことで驚くみちだったが、素直に嬉しかった。

第15話

楓は後輩・横井のミスをフォローしていて、夜になってもまだ仕事をしていた。

気にかけられるが、そんなことで怒る人じゃない、と誠にディナーに行けなくなったこと、遅くなるがホテルの部屋には行けることを電話する。

誠はわかった、頑張って、としか言えなかった。

一方のみちは、職場で華にいいことがあったのではと気付かれ、陽一から花束をもらったことを話す。

華は急にプレゼントをくれるときはなにかやましいことがあったとき、と経験上の話をする。

ちょっと気にするも、そんな時誠とすれ違い、結婚記念日のことについて聞く。

しかし、誠の反応は薄く、さみしそうな顔をしていたことが気にかかった。

本当のことが言えなかった誠。

ディナーの日、夜遅くにホテルの部屋にやってきた楓を後ろから抱きしめ「どうして避けるのか」と問うが疲れてると一言。

今日だけでも今だけでもオレの為に頑張ることは出来ない?と頼むと、わかった、どうぞ、それであなたが満足するならと言いベッドで服を脱ぐ。

そんな姿を目の当たりにし、ごめん、と言って抱きしめ、楓はわかってくれてると思ってたと顔を手で覆った。

自分が悪かった、と思ったが、ただ男として必要とされている自信が欲しかっただけなのだ。

帰宅する誠、廊下の電球が切れ、隣の部屋からは夕飯のいい匂いと笑い声が聞こえてくる。

暗い廊下でなかなか鍵が開けられず、突然一人でいたくなくなった。

そんな時、頭にみちの笑顔が浮かんだ。

その頃のみちは、貰った花を飾りご機嫌。

帰って来た陽一は花一つでこんなにも変わるのか、とこれまでのことを謝る。

そこでみちの携帯が鳴る。

しかし、陽一は取らせようとせずキスし、そのままリビングのテーブルに倒れこんだ。

一方でみちに電話していた誠の顔は、泣きそうだった…。

3巻のネタバレ

3巻のあらすじポイント

  • セックスしたのに愛がないと気づいたみち
  • 誠から話を聞き、抱き締めキスを交わす2人
  • 恋人同士のような関係になりドキドキする2人
  • 誠からの告白

第16話

翌朝、目が覚め昨日のことが夢でないことに喜びを隠せないみち。

突然のことでどうしたのだろう、セックスしている最中もふと陽一に思うところもあったが、前進したんだから、と考えないことにする。

そして、携帯を確認すると誠から着信が入っていたことに気付く。

何かあったのか、とメッセージを送ると今日お時間ありますか?と返信が。

仕事終わりに待ち合わせた2人。

ベンチで誠の話を聞くと、結婚記念日に上手くいかなかったことを知る。

今まで助けられてきたのにどうしてあの時に気付けなかったのか、と落ち込んでいたが誠は詳細を話す。

「どうして上手くいかないのか」

まさか自分たちがレスになるなんて。

ずっと愛し合っていけると思っていたのに。

誠も、自分達だけは違うと思い、妻から拒否されるのは忙しいからで自分がサポートして余裕が出来れば拒否されなくなるだろうと。

そして、結婚記念日のあの日にこだわり、そのせいでこうなってしまった。

体を重ねればそこには愛があると、そう思って頑張ってきたのに、ない事に気づいてしまったのだ。

自分も同じだと気づいてしまったみち。

昨日のセックスもすれば満たされると思っていたのに、一度も陽一と目が合わず気持ちが感じられなくて虚しいだけだった。

手を震わせて笑う誠を抱き締めるみちだった…。

第17話

「私の前では無理しないで下さい」

二人はキスをする。

ドキドキが止まらないみち。

昔、陽一とよくしていた、求めあうキスだった。

そして、誠は「あなたに惹かれてる」と告白した。

頭の中にいる陽一を思い浮かべ、言っちゃダメと思うものの、「私もです」と返事をした。

帰宅して、陽一がいないことにホッとするのだった…。

第18話

翌朝、みちは陽一の顔がまともに見れず、会社で誠と顔を合わせるとドキドキが再び止まらない。

仕事終わりにみちは親友の綾乃達との食事会に行き、そこで夫婦のセックスについて話す。

子供を産んだ親友は出産してからは性欲が一番どうでも良くなり、また夫からの扱いが雑になったこともぶっちゃけ始める。

「結局、普段の行動にも自分本意な感じが出てるんだよね」

親友からの言葉が刺さったみち。

求めていた陽一とのセックスは虚しいだけで終わり、今残っているのは誠とのキスだった。

さらに誠からは仕事でのことを気遣ったメッセージも届く。

お互いに思いやる気持ちだけはなくなって欲しくないと願うのだった…。

第19話

仕事が忙しく疲れている楓は、家にも仕事を持ち帰り徹夜。

うっかり寝てしまい起きると、目の前には朝ごはんが用意されていた。

この誠の優しさが自分を責めているように感じ始める。

そんな時、再び後輩の横井がミスを犯し冷たく当たってしまった。

自分の悪いところが出ていると、結婚記念日で言ってしまったことも思い出してしまう。

”酷いことをしたらちゃんとフォローする”

帰宅後、予約の取れないお店を友達に譲って貰ったから一緒に行こうと誠に提案するが、無理しなくていいよ、友達と行っておいでと言われてしまう。

この前のことを気にしていない?と動揺するが、編集長から仕事の電話があり、話は終わってしまう。

後ろでは誠が携帯片手に微笑んでいた…。

第20話

「直帰になったので車でお送りします」

誠からの連絡に喜ぶみちは、陽一にバレないかドキドキしてしまう。

翌日、車で送ってもらうこととなり、誠と寄り道して帰ることに。

そこでは恋人同士のように手を繋いで歩く二人。

嬉しくなりはしゃぎ、誠から「素直に喜んでくれて嬉しい」と言われ、さらにテンションが上がる。

陽一はそんなこと言ってくれない、そう思ったところで自分と同じように誠も奥さんと比べているのでは、と思う。

別れ際、名残惜しいみちに突然キスする誠。

「かわいい」と言って去っていった。

もっと一緒にいたい、もっとキスしたい、もっと触れたいと求め始めている。

”これ以上進んだら全てを失うかもしれない。わかってるのに、止められる自信がない。自分がこんなにも愚かだったなんて、知らなかった”

第21話

華に不倫について責められる夢で目覚め、咳き込むみち。

誠が風邪を引いていたため、もらってきた可能性大。

お互いマスクをしていることで華に指摘され、焦ったみち。

そして、熱が出てきてしまう。

帰宅し、何も出来ないので陽一に連絡し、誠からのメッセージを読みながら寝てしまった。

帰って来た陽一に起こされ、誠からのメールが気になって焦って起きる。

しかし、体はふらふらで陽一がベッドまで運んでくれた。

久しぶりに風邪を引いたことで昔のことも思い出す。

のどが渇き起きると隣には陽一の寝顔、ベッドの下には風邪薬と飲み物が置いてあった。

翌朝、回復し陽一にお礼を言い、食事の用意をしようとすると、座ってていいと優しくされる。

胸が痛くなるが、「ありがとう」と笑顔を見せた。

第22話

原田から飲みに誘われた陽一はみちに確認すると、また遅くなるという連絡がくる。

最近帰ってくるのが遅いことが多いみちだったが、仕事が忙しいのかなと思っていた。

そこに三島がやってきて一緒に誘うも断られ、原田は彼氏でも出来たのかと騒いでいたが、気にすることなく飲みに行けると返事。

帰宅すると、みちはすでに寝ていてホッとする。

三島とセックスしてしまったあの日、家に帰ってみちの隣に横になった時、もし知られてしまったら?きっといなくなってしまう、と不安になった。

でも三島も気にしていない様子だったし、バレることはない、と思いたかった。

翌日、喫煙所で三島に会った陽一は昨日のことを話し、彼氏がいないという返事を受け、好きな人とかもいないんすか?と聞いてしまう。

ショックを受けた三島はその場を去った。

そしてみちが帰宅すると、陽一がカレーを作っていて驚く。

しかしご飯が炊けておらず、炊飯器前で二人は触れあうとパッと離れてしまう。

今はみちに触れるのが怖い陽一だが、みちがいつもと違う様子なのを変に思っていた。

第23話

社員旅行に向かったみち。

最近変わってきた陽一にどう接していいか分からず、昨日も思わず手を離してしまったことを気にするも、あの陽一の優しさが誠への気持ちにブレーキをかけていた。

バスのトイレ休憩から戻りソフトクリームを食べようとしていたが、すごい行列が出来ていて諦めようとしていた時、誠が華の分も2つ先に買ってくれていた。

そんな誠の行動に自分の気持ちが止められない。

そして、部屋割り表を確認すると一人部屋だった。

華に誘われ星空の見える階へ向かうと、そこには誠の姿も。

携帯を忘れた誠を追いかけ、自分の部屋に露天風呂が付いていたことを話すと、そのまま中に入れる流れにしてしまった。

誠の言葉にときめく。

ソフトクリームのお礼をすると、後ろから抱き締められた。

「吉野さん、好きです」

二人はまた、キスをする。

空っぽだった心が満たされていくと感じるみちは、抗うことなど出来なかった…。

4巻のネタバレ

4巻のあらすじポイント

  • セックスはしないと約束
  • 華に関係がバレるが味方に
  • 誠と楓の関係もどんどん崩れていく
  • 男の影を心配する陽一
  • 三島の過去
  • 陽一と関係を戻せそうなみちは誠と別れる決意

第24話

誠が触れるところ全て優しくて、その目にはみちしか映っていないようで、体の中から熱くなっていく。

陽一からもこんな風にもう一度愛されたかった…そう思ったみちの目からは涙が流れていた。

そんなみちを見て誠は手を止める。

涙が止まらないみちは謝り、自分の気持ちが分からなくなったことで、もう会わない方がいいのか、と思う。

しかし、誠はそれでもいいと「セックスはしない」約束をし、それほどみちが必要で側にいてほしい、と頼んだ。

承諾したみちは、自分が卑怯者であると自覚していた。

帰路で道の駅に寄り、そこでしか手に入らない砂時計を華と買いに行く。

景色を眺めていたみちの元へたくさんのお土産を抱えた華がやってきて、旦那さんにお土産買ってフォローしておかないとマズイですもんね、と言う。

フォローとは?

華は単刀直入に誠と付き合ってるかどうか聞いてきた。

第25話

何で華が知っているのか!

「どうしよう」と焦るみちだったが、華は「私、先輩の味方ですから」と落ち着かせる。

ラブラブ光線が出まくっていたというみちと誠。

いつか他の人にもバレてしまうかもしれないから、気を付けた方がいいと忠告。

そして、余計なお世話としつつも、もう一つ忠告する。

「今から進む道は誰かを深く傷つけるって事を自覚して下さい。その上で自分がどうするか、きちんと決めてから進むんです。覚悟が必要です。そうじゃなきゃ今すぐ終わらせた方がいいです」

華はそういうタイプでない二人のことを心配していた。

ハッキリと言われたことで、解散後もみちは誠の顔を見ることができず、一人で帰ることに。

すると誠から着信があり、会うことになった。

砂時計のお土産を貰ったみちの脳裏に華が言っていたことが蘇る。

このままこの関係が何年後も続くわけはなく、自分はどうするのか決めなくてはならない、と思った。

一方で陽一は、職場で原田から「妻同士が繋がっていないか?」と聞かれる。

他の社員の妻と自分の妻が繋がっていてSNSで全て筒抜けだったという原田は、なぜか焦っていた。

女か、と思う陽一だったが、最近みちが変な理由も三島とのことがバレたからでは、と焦りだす。

第26話

そのままみちを迎えに行った陽一。

バレているのか、バレていないのか、気になって仕方がなかった。

陽一の姿を見て、変わってきていることを確信しているみちは、昨日誠と一線を越えなくてよかったと思っていた。

自分の中にまだ陽一がいる以上、誠の気持ちに答えるためにもちゃんと向き合って答えを出さなければならない。

一方の誠も、みちといると満たされるが昨日の泣いている姿を思い出し、やめて良かったと思っていた。

そこへ楓が帰ってくる。

これ以上逃げるわけにはいかない、と覚悟を決めた誠は楓に「僕らって何で一緒にいるのかな?」と問う。

始めはちっともこっちを見なかった楓が、やっと目を合わせ動揺する。

急に何で?と言う楓に、ずっと考えてたと誠は気持ちをぶつけた。

「何でずっとセックスを拒むの!?」

今は仕事が忙しく、それどころじゃない楓。

楓が納得するまで、一生待っていなくてはならないのか。

ずっと鳴り響く仕事の電話。

「取りなよ」と言い去る誠に、楓は「私の事…嫌いになった?もう好きじゃない…?」と聞く。

「…わからない」

第27話

昨日の一件で、誠がどれだけ追い詰められていたか考える楓。

そこへ川原がやってきて、他雑誌へ異動になったことを聞く。

心配する楓だったが、川原は「どんなに悩んでも事実が変わるわけではない。受け止めてどう動くか」と冷静だった。

しかし、そうなれたのは色々経験したからで、旦那の不倫が発覚した時は病んだという。

この話を聞き、誠にも他に好きな人が出来たのでは?と疑う楓だったが、そんなタイプではないし女としての自信があるため考えを振り払った。

その頃、陽一は喫煙所で会った三島に「オレの嫁とSNSで連絡とってたりします?」と聞いてみた。

その言葉に傷付いた三島。

「吉野君って、他人への想像力が足りないよね…」と去る。

一方の楓は誠が帰ってくるまでに中抜けして、夕飯を作りに戻っていた。

ハンバーグを失敗した楓に誠は「無理しなくていいよ」とだけ言い、送り出す。

顔を見てもらえなかったことにショックを受ける楓だったが、自分も今まで同じことをしてきたのだと思った。

第28話

三島結衣花。

男運がなく、不倫をしていた。

新しく入ってくる男たちはみな、顔→胸という視線を送ってくる。

陽一が他の男とは違うかも、と思った出来事は初日から緊張せず胸にも一切視線を送らなかったこと。

それだけだったのに、いい男に見えたのだ。

しかし、過去の経験から不倫はもうしないと決めていた。

陽一は単純に他人に興味がなく、それを他の男とは違うと勘違いしていただけ。

そんな陽一に選ばれたみちの存在が気になった三島は、陽一の経歴等から検索しSNSを特定、気付いたころにはみちの会社近くまで来ていた。

過去にも同じようなことをしていた三島は、どうしたら愚かなループから抜け出せるのか、と考えていると「吉野せんぱーい!」との声が。

振り返るとそこにはみちの姿があった。

第29話

友達の綾乃からBBQへの誘いの連絡が入るみち。

陽一のことも誘ってくれたが、性格的に行かないであろうと考えていた。

そんな時、誠から仕事終わりに空いてる日があれば、と食事に誘われるも今はまだ二人で会わない方がいいと断る。

陽一と向き合うと決めたみち、帰宅するとポストに改修工事のお知らせが入っていた。

ベランダにあるものを全て片付けなくてはならない事態に、面倒臭がる陽一。

予想通りの反応で、その流れのままBBQの話をすると「わかった」と返事が。

まさかそんな返事が来ると思っていなかったみちは、驚きを隠せなかった。

BBQ当日、気を遣い周りともうまくやっていた陽一。

いなくなった姿追いかけると海を見ていた。

どうして来くれたのか、聞くと「みちの為。無神経に傷つけるかもしれないけど、みちを傷つけたいなんて思ってない」と

さらにセックスのことも努力すると話した。

欲しかった言葉が貰え喜ぶみちは、誠の誘いを断った…。

第30話

陽一と良い雰囲気を取り戻し始めたみち。

一方で誠は、誘いが断られていることでみちと陽一が上手くいき始めているのでは、と察し「自分はもう必要なくなったのでは」と落ち込んでいた。

さらに楓が態度を変えてきたことにイラつく誠だった。

その頃みちは、砂時計を見て「このまま陽ちゃんと上手くいったら」と、誠とちゃんと話すことを決意し、翌日に会う。

陽一と誠を両天秤にかけたままの不確かな気持ちの自分に、誠と会う資格はない。

「もう…新名さんとは会えません…!」

傍にいてくれるだけでいいと約束したのに、裏切る形となってしまった。

「わかりました。戻りましょう、ただの同僚に」

二人は、「あんな約束するんじゃなかった」と後悔しかなかった。

5巻のネタバレ

5巻のあらすじポイント

  • 忘れようと必死の2人
  • 良い雰囲気になるもすることが出来ない
  • 陽一のプレッシャー
  • 誠と楓も出来ない
  • 吉野家の旅行
  • 板挟みの陽一は旅行に行くことが出来ず、みちは会社で誠から告白される

第31話

翌朝、目を覚ましたみち。

連絡を期待していた自分がいたが、忘れるようにしなきゃと言い聞かせる。

会社の廊下ですれ違うも何の挨拶もなく、ショックを受けていると、そこに現われた華が誠と何かあったことを察知した。

別れたことを話すと「先輩が新名さんに走るほど旦那さんに不満があるのに、どうして離婚しないんですか?」と言われてしまう。

痛いところを突かれたが、一度は人生を添い遂げようと思った相手と簡単に別れられない、全てがすぐに消えるわけではない、と離婚まで考えていない自分はまだ納得できてないからだと話す。

そして、陽一から週末に姉夫婦がやって来ることを聞かされ、4人で食事をすることに。

すぐ寝ようとする陽一にみちは、今の不安な気持ちを鎮めたいと後ろから抱きつき誘う。

答える陽一、その頃、誠はみちの連絡先を削除していた…。

第32話

やっとセックスができる、そう思っていたがなぜか勃たない。

謝る陽一だったが、最後まで出来なかったことがみちはショックだった。

陽一も悩んではいるが、とてつもないプレッシャーを感じていた。

姉夫婦との食事会で親からの孫の催促は無視していいと言われるみち。

姉夫婦はお互いがいればいいと考え、子なしを選択していた。

近い未来に子供は欲しいと考えているみちは、陽一と愛し合って、その結果の子供が欲しい、早くセックスレスを終わらせたい。

そして、海での約束を守ってくれたことに感謝するのだが、その言葉は陽一へのプレッシャーを大きくするだけだった…。

第33話

みちと食事に行った夢を見て目覚めた誠。

珍しく楓が休みを取っていて、掃除をしていた。

出かけようと提案する楓に、誠は予定があると家を出ていく。

楓に対する気持ちを切り替えることができない誠は、みちを忘れることで頭がいっぱいだった。

「恋は盲目って本当だな…」

一方のみちは、陽一と旅行の計画を立てる。

この前、最後まで出来なかったことが気になっているみちは、雰囲気を変えれば気分も変わる、と前向きだった。

その頃、慣れない家事に苦戦している楓の元に誠が帰って来る。

何もできない自分に落ち込む楓は、これまでのことを謝る。

「もう仕事を理由に、誠との時間をないがしろになんてしない。夫婦としての時間を大切にしたいと思ってる。だからお願い…。私の事、嫌いにならないで…

脳裏にはみちの姿が浮かぶが、その言葉を受け入れた。

第34話

後輩の横井はTHE今時の子で、残業などせず早々に帰っていく。

自分達が入社した頃は、もっとがむしゃらだったはず。

同僚の川原とよく語り明かしていたことを思い出していると、その川原から連絡が入る。

夕飯を作りたかった楓だが、誠に断りをいれ川原の自宅へ。

体調が悪そうな川原は、妊娠したと話し産むことを決意、付き合っている相手からも結婚を申し込まれたという。

おめでたい気持ちと裏腹に、ずっと同じ目標に向かっていくと思っていた同僚の結婚と妊娠。

しかし、自分もまさか結婚するとは思っておらず、誠に出会うまでの男たちは口だけばっかりだった。

家に帰り普通に接してくれたことがただただ嬉しい楓は、夫に拒絶される辛さがわかった。

「私…いつでも大丈夫だから」

誠に抱きつき、失って気づく当たり前にあるもの、まだ取り戻せる…よね?と考えていた…。

第35話

よそよそしいみちと誠を見て華は、お節介したくなる気持ちを抑えていた。

誠はみちと顔を合わせると辛い気持ちが蘇り、今は楓の事だけを考えようと必死。

そして、楓をプロポーズしたレストランに呼び出す。

楓は川原のことを話し始めるが、誠は求めていた夫婦の時間なのに心が動かなかった。

帰宅し体が触れあい、キスする二人。

そのままベッドに倒れこむが、誠の脳裏にはみちとのことが思い出される。

その光景を振り払うかのように首を振り、ごめんと言い座り込んだ。

気にしなくていいと楓はお風呂に向かい、誠はみちの時のように気持ちが湧かず今なら楓の気持ちが分かると思った。

楓はお風呂でセックスするどころかキスで終わったことに少しショックを受けていた。

そしてお風呂上がりベランダに立つ誠の顔を見て、違う人を想っているように感じていた。

第36話

陽一は職場で行くビアガーデンのメインについて聞かれ、票の多いジンギスカンに入れたが実は食べられない。

会社の飲み会に期待している原田を横目にクールな陽一。

昔はよく他人に肩入れしていた陽一だったが、色んなことが重なり、今のようになった。

しかし、今は三島のことが気になる。

その三島は、みちを見に行って、奥さんにしたいタイプだと府に落ちていた。

あんないい人そうな奥さんをこれ以上傷付けなくて良かった、そう思い帰宅すると知らない番号からメッセージがある。

過去に不倫していた男からー。

心臓の音が止まらない三島は、’また会いたいと思って’という文字を目にし携帯を壁に投げつけた。

「会いたいじゃねぇよ…!ヤりたいの間違いじゃねぇの!?ウソでもいいから謝れよ…!」

そしてビアガーデン当日、陽一がにおいにヤられ喫煙所に避難。

そこには三島の姿があった。

気まづい陽一はこれまでの自分の生き方について振り返り反省。

「オレきっと無神経に三島さんを傷つけてきたんですよね?」

「…私女として軽く見えるかもしれない。でもね、少なくともなんの好意もない人と寝たりなんてしないから」

なぜ三島が怒っていたのか全然わかっていなかった陽一。

「オレの無神経な行動が三島さんを深く傷つけてしまってすいませんでした」

深々と謝ると、三島は”もうこの話は終わり!”と、二人の関係が戻る。

席に戻った陽一は三島にジンギスカンを食べさせられる。

“うっうまいっす”、と言い吐き出してしまった。

ぐったりして横になるが、不思議と気分は悪くなかったー。

第37話

陽一と行く旅行は華も行ったことのある場所で、近くにある庭園のライトアップがいい感じだったと教えてくれる。

イチャイチャにはもってこいと言われ焦るみちは、なぜか恥ずかしくなっていた。

その旅館は携帯を預けるシステムになっていて、陽一の顔が曇るが”いいんじゃない?”とあっさり。

最近の陽一が穏やかになったと感じるみち、”姉夫婦に会った後いい感じだったからかな”と考えていた。

“確実にいい方向に向かっている、次こそは”と思っているみち、ふいにキスをする。

そのまま倒れこむ二人だったが、どうやっても勃たなかった…。

翌日、どうしたらいいのかお互いに悩んでいると、陽一は三島に見抜かれ「言うと揉めるってわかってる事って言いにくいっすよねぇ…」と相談。

三島は「多分ちゃんとした信頼関係がある人になら伝わるよ、きっと」と言い、”私にはちゃんと伝わったから”と後押し。

仕事が押していたみち、華の申し出も断り急いで終わらせ、車で待つ陽一の元へ。

旅行を楽しみにしていたみちは、”部屋にある露天風呂に二人で入る?”と軽いノリで聞いた。

すると陽一は急ブレーキをかけ、”旅行に行っても出来ないかも”と言い出した。

この前の事は気にしてないし、気にしなくていいと、今この問題から離れたら今までの努力が水の泡になってしまうと、焦る。

だが、陽一はふと、自分の気持ちを漏らす。

「…みちはさ、オレの気持ちは無視だよね。責められるべきはオレだってわかってる。でも…したくても出来ない、したくなくてもしなきゃいけないオレの気持ち、一度でも考えた事ある?」

第38話

つらい思いさせてることもわかっている、でも、陽一も半パじゃないプレッシャーを感じていてつらかった。

自分で自分を責めて、みちにも責められて、しんどくなっている陽一。

旅館をキャンセルして帰ろうとするみちに、陽一は「一人になりたい…」と。

みちは”残してきた仕事があるから先に帰ってて”と伝え、会社に戻る。

初めて見る陽一の姿にショックを隠しきれない。

どうしてこうなったのか、何がいけなかったのか、もしレスじゃなかったら…、皆が普通に手に入れているものが遠く感じた。

会社には誰もおらず、一人涙を流していると、誰かが入ってくる。

顔を上げるとそこには誠の姿が。

見られないように俯いていると、ハンカチが差し出される。

「放っておけないじゃないですか。そんな姿見ちゃったら」

陽一と何かあったのか聞いてくる。

「ど、どうして、私新名さんを振り回して傷つけたのに…。私なんかに優しくしてくれるんですか…?」

あのまま陽一と上手くいくと思っていたが、”結局、二人を傷つけただけだったんじゃ…”そう思っていると…

「オレは傷つけられたなんて思ってないです。こんな事言うべきじゃないかもしれないけど、オレはあなたを忘れられない。

6巻のネタバレ

6巻のあらすじポイント

  • 誠の告白と別れ
  • 前進していないことに気付き、変わろうと奮起するみち
  • 頑張ることを諦めた楓の勘が当たる
  • 三島に届く不倫相手の妻からの手紙と陽一への告白
  • 楓とついに会ってしまうみち

第39話

「あぁ…。情けないな。…俺の独り言だと思って聞いてください。吉野さんと会うと妻との時間を忘れられた。考えなくて済むから、苦しまなくて済むから。そうやって居心地のいい方へ逃げてたんです」

胸が痛むみちだったが、自分ももし本気だったら陽一と離婚してでも誠を選んだはずで、”夫婦の問題からただ逃げていただけ。一緒だ”と思う。

「最初から最悪の結果になったとしても正面から妻と向き合うべきだった。あなたに別れを告げられて冷静になって、やっと心からそう思えた。吉野さんとのことがあったからこそ俺は、妻に弱い所や情けない姿をさらけ出す覚悟が出来たんです。だから俺は吉野さんに傷つけられたなんて思ってないです。…すいません。自分の言いたいことだけ勝手に…。…でもこれであなたへの気持ちにも決着がつきました。今度こそ本当に同僚に戻りましょう」

同僚として別れた二人。

“ああ…これで本当に…本当に終わったんだ”

前に進みだした誠を見て、私は?と自問自答するみち。

陽一と向き合わなければと思いながら、相手が変わるのをひたすら待っていたのは、同じことの繰り返しになるかもと怖かったから。

“そうだ、私はただ、一人でずっと嘆いているだけで、何も変わってなかったんだ”

帰宅すると、ソファーで横になっている陽一がいた。

床に座り陽一にこれまでのことを謝る。

“レスに囚われて見えてなかった、陽ちゃんの気持ち、自分のこと。もしかしたら、かかるべくしてかかったのかも。レスという呪縛に”

第40話

ソファーでそのまま眠ってしまった二人。

時間を確認して焦るが、今日が土曜日であると気付く。

“せっかく用意したのに”というみちを陽一は朝食ビュッフェに誘った。

休み明け出勤すると、華から旅行について聞かれるが”行けなかった”とは言えず、お土産を忘れてしまったことにする。

そこへ部長から昇進試験についての声がかかるが、去年大変だったことを思い出し悩む。

“どうしようか”と考えていると、ばったり出くわした田中から昇進試験を受ける話を聞き、みんな前に進んでいるんだと自分も決意を固める。

そして、陽一にも”余裕がなくなるから家事を手伝ってほしい”と提案、受け入れてくれたことで”今回はもっと頑張れそうだ”と奮起した。

ご機嫌な陽一に気づいた三島は、奥さんと上手くいってることに自分の言葉が影響したと聞き、”余計なこと言っちゃったかな…”とつぶやく。

第41話

みちは田中と華と共にレンタル自習室へ向かう。

気合いを入れ小論文を作成し帰宅すると、これまた気合いの入っている陽一はなかなか高額なステーキ肉を買ってきていた。

“一言、言おうか”と思ったみちだったが、台所に立つ陽一を見て美味しく頂くことに。

片付けもしてくれるという言葉に甘え、勉強を再開するとコーヒーも持ってきてくれるという優しさ。

相手にされないのがつまらなかったのか、陽一は先に寝室へ。

あの日以来求めてこないみちに、不思議な気持ちを抱えていた。

職場では、いい感じに接しているみちと誠を見た華は元さやに戻ったのか聞く。

しかし”同僚の頃に戻っただけ”と聞かされ、何とも言えない気持ちになっていた。

その夜、飲み会で遅くなる陽一がいないため、お風呂上がりに楽な格好でカップラーメンを手にしているみち。

“今日は解放日!”そんなことを思っていると、陽一が帰ってくる。

“こんな姿を見られたくない”と慌てて隠れるが、陽一が覗いてきたのでごみ捨てを頼んだ。

目の前にあるガラスに映った自分の姿をみて、”ひどい格好だと、どうして前は平気になっていたんだろう”と思う。

しかし、ゴミ捨てに行った陽一はみちの恥ずかしがる姿にときめいていた…。

第42話

再び自習室へ行くみち。

いつもと違う格好のことを陽一につっこまれるが、”自習室で見た人に影響された”なんて恥ずかしくて言えない。

“今まで言ってきたことなんてないのになんで気付くの!?”そう思っていると、”最近どうしたの?”と聞かれる。

「旅行の日からいつもと違う。…なんか今までの生活を捨てようとしてる?」

捨てるっていうより変わりたいと思ってる。今までと一緒だとまた同じことで喧嘩すると思う。もうそれは嫌なの。私が…私の世界が変われば、少なくとも同じ繰り返しにはならないと思って。陽ちゃんもセックス、セックス言われるより、その方が楽でしょ?あ、だからって、もう一生なくていいってわけじゃないよ!一時休戦ってことで、どうでしょう?」

「…うん」と返事はしたものの、どこかつまらなさそうな陽一だった。

“あの日から一つだけわかったこと。100%ずっとレスのことばっかりだった頭が、昇進試験で忘れられてる。きっと私も、陽ちゃんも、レスに囚われすぎてた。解決したわけじゃないけど、呪いから少し解放された気がする”

ついに試験日がやってきた。

原田と、みちの試験日について話していた陽一は、家事から解放され息苦しさからも解放されたはずなのに、どこか心に小さな不安を抱えていた。

そして、試験に合格したみち。

華からお祝いを貰い、これまた合格した田中と喜びを分かち合う。

誠とお祝いの食事に行くという田中から誘いを受けるが、みちは参加せず華が参加することに。

「先輩。もし来たくなったら、いつでも連絡してくださいね!」

「いやいや、私は…!」

「先輩!自分が誰とお祝いしたいか、ちゃんと考えてくださいね!」

“誰と?”

“そんなの考えてなかった…”そう思っていると、陽一から連絡が入る。

外食を提案されるが、みちは…。

ー…焼き肉屋に入るみち。

一人焼肉で、ビールに癒される。

“陽ちゃんに悪いことしちゃった…。でも、私は私とお祝いしたかった”

その頃、陽一はみちから一人で食事をしたい、一人で噛みしめたいと言われたことが気になっていた。

“不安が少しずつ大きくなる”

出くわした三島に飲みに誘われるが、曖昧な返事しか出来ない。

“俺から離れようとしてる?それとも誰か他の奴と一緒なのか?もし…そうだとして、俺はみちを責められる立場なのか…?”

第43話

楓は復帰した川原に会い、強烈だったつわりについて聞く。

子供のためなら頑張れる、母は強し…、楓も”仕事と家事を頑張ってて偉い”と言われるが、食事を作るのをやめたことを話す。

“両立がきつくなって”そうは言ったが、セックス出来なかったあの日から頑張るのをやめていた。

“仕事をしていると満たされて、自分を好きでいられる。ああ…、また元に戻っちゃった…”

その頃、誠は最近帰りの遅い楓が気になり”これからのことちゃんと話をしたいのに…”と思ったところで、ハッとする。

そして、会社では田中から感謝と憧れの言葉を貰う。

そんな田中に、”思っているような人間じゃない”と返す。

“吉野さんに自分の想いを伝えてから、彼女を見ても心がザワつくことがなくなった。冷静に物事を見られるようになって、ようやく気づいた。俺が楓にどれだけひどいことをしてきたか…!楓が努力してくれてるのに、あんな言葉を言わせて、他の人を想って抱くことが出来なかった。本当に謝るべきはーー…”

一方の楓は、最新号の特集の不倫について川原と話す。

“どうやって気づくのか”もう怪しいと思った時点で黒。

川原の言葉にドキッとする楓。

「悲しいかな、悪い方のカンって当たるんだよね。私も携帯見て知ったもん。でも携帯だけは見ない方がよかったな。証拠は掴めるけど、勝手に携帯を見る人って烙印押されて、こっちが悪者みたいになっちゃうからね~」

滝川と飲んでいた誠。

そこはみちと初めて話したバーで、”まさか好きになるとは”と思い出す。

滝川が帰ったあと、一人の女性に話しかけられる。

断る誠の指を見る女性。

「あら残念。ご結婚されてるのね…。いい男は大体もう人のモノよね。奥様うらやましい、優しそうな旦那さんで…」

その言葉を聞いた誠は一気に飲み干し、店を出た。

“優しそう、真面目、何度言われてきたか。そう言われるうちに、自分自身もそれを受け入れてきた。他人から貼られたレッテルに流されてた。みんな俺の何を知ってるんだろう”

酒が回りふらつく。

“こんな所で酔ってみっともない。俺は…みっともなくて、どうしようもない人間だ。真面目な人は妻以外の人を本気で好きになったりしない。優しい人は妻を傷つけたりしない…!”

帰ってこない誠を心配する楓。

そこへびしょ濡れの誠が帰宅。

“こんな姿を見られて軽蔑される”そう思っていると、タオルを持って駆けつけてくれた。

「大丈夫?」

“レッテルを貼られることを疑問に思いながら、自分は楓にレッテルを貼ってた。きっと本音で話したら俺から去っていく。彼女は俺より仕事を選ぶだろうと。でも…ちゃんと気持ちをぶつけたら、俺のために変わろうとしてくれた。…もし、俺がもっと早く楓に本音をぶつけられてたら、傷つけずに済んだのに…!”

「…ごめん、楓…」

「…誠、浮気してるでしょ?」

第44話

「…どうして…」

「…わかるわよ。妻なんだから。…でも私のせいよね…。私がずっと拒んでいたから…。誠だって男なんだから、性処理の1回や2回…」

「…彼女とはそんなんじゃないんだ。一方的に俺が彼女に精神的な支えを求めてしまったんだ。楓を裏切ってしまったことには変わりない。だから…」

「やめて!…やめて…。…もう聞きたくない。時間を頂戴…。これからのこと私に決めさせて」

「わかった。どんな結論でも受け入れるよ」

一方のみちは、華に誘われボルダリングへ。

へとへとになって帰ってくると陽一からなんで行ったのか聞かれる。

みちは昇進試験が受かったことで、”なんでもやってみようという気持ちになってきた”と話す。

「…家にいるの嫌なの?」

「いや、別に。でも外に出るのも楽しいなって」

「…ふーん。いいけど、家には絶対帰ってこいよ」

“当たり前じゃん”と、不思議に思うみちだった。

その頃の誠は、自分が今出来ることは何かを考える。

そして、転職斡旋の会社を訪れていた。

筋肉痛に苦しむみちと全然余裕の華。

一方で楓は会議どころではなく、途中退席しトイレへ。

“誠が浮気したのは私のせい。だから100%彼を責めることは出来ない。もし体だけの関係なら、許せたかもしれないのにーー…”

泣きじゃくる楓だった…。

第45話

帰宅した三島はポストからある手紙を見つける。

次の日、喫煙所で会った陽一は元気がないことが気になり、飲みに誘う。

“何かあったのか、いつもと違う”と三島を気遣う陽一に一枚の封筒を出す。

前の不倫相手の奥さんから訴えられ、もう2年も経つのにと思っていたら、その奥さんから電話が来たという。

‘岩井の妻です。内容証明、届きましたでしょうか?いまさらとお思いでしょう?私もこんなことするつもりはなかったです。…でも、最近夫と連絡を取ったでしょう?’

‘いや…あれは、雄…旦那さんから連絡が来たんです。それに会ってませんし…!’

‘それはどうでもいいんです。接触したことが許せなかったんです。私の心は2年前に死にました。2度死ぬのは耐えられません’

‘死ぬ’という言葉を使わせるほど苦しめていたことに初めて気がつき、自分は絶対幸せになれないと嘆く。

酔いすぎた三島を送る陽一。

帰ろうとすると、陽一の奥さんにも訴えられるかも、”慰謝料払えるかな”と心配する三島が。

陽一は”俺が全部悪いから俺が払う”と言い、三島は話しやすく楽しく気も使えるいい女だと宣言。

「さっき’幸せになれない’って言ってだけど、俺はそうは思いません」

三島が抱きついてくる。

「…吉野君、好き…」

第46話

三島を引き離す陽一。

「三島さん…、すいません。三島さんの気持ちには応えられないっす。俺…、妻がいないとダメなんです…」

陽一を追い出し、そして涙が止まらなかった。

“面倒くさがりのオレが、ケンカしてあがいて苦しんで、それでもみちと一緒にいる。他の人ならとっくに逃げてる”

帰宅しみちの寝顔を見た陽一はそのまま抱きしめる。

“絶対にみちを離したくない…!”

一方の楓は、疲れているはずなのに一睡もできずにいた。

誠はすでに出社していて、目から涙が溢れ落ちる。

テーブルの上で誠が忘れていった携帯が鳴っていることに気づき、パスコードを入力し中を見ようと試みるがパスワードが合わない。

“自分は何をやっているんだろう”、頭を抱える楓だった。

その頃、みちは華から”イイ女になっている”と誉められる。

嬉しくなり、いつもと同じ風景でも心が穏やかで、ヒールの音すら心地よかった。

そこへ一人の女性から、営業部の場所について話しかけられる。

“綺麗な人…”そんなことを思っていると…。

“主人の忘れ物を届けにきました。営業部、新名の妻です”と名乗られ、動揺が隠しきれない。

“急にヒールの音が鈍くなる。いつもの廊下がかすんで見える。いまはただ平静を装うので、精一杯だ”

7巻のネタバレ

7巻のあらすじポイント

  • 自分が嫌いになるみち
  • 陽一を拒否
  • 陽一とみちの出会い
  • 楓の勘
  • 陽一の本当の気持ち

第47話

楓を案内するみちだったが、動揺からか立っていられずフラつき、そのまま倒れてしまう。

休憩室に運ばれたみちが眠っている間に、田中と華がやってきて対応。

“…何この美女”と華が思っていると、誠の妻であることが判明し声をあげてしまう。

そしてその場を任された華が、”荷が重かったか…”と思っていると目を覚ますみち。

“一緒にいた人は!?”と心配するみちに、田中が対応していると報告。

“先輩、ありゃ手を引いて正解だったかも…ですね”

誠の会社を出た楓は、”あの勢いのまま会ってたら変なことを言っていたかも”と、誠がいなかったことにホッとしていた。

“失敗したくない時ほど、平静じゃなきゃだめ。女のヒステリーほど、愚かな感情はない”

帰宅するみちも、楓のことを思い出し、惨めな気持ちになっていた。

電車から急いで降りようとして足が絡まり転び、みんなに見られる。

“10㎝のヒールなんか履くから…。身の程を知れと笑われたみたい”

帰宅し、そのままシャワーへと向かい、誠と完全に終わったと思っていたのは間違いで、動揺している自分がそれを物語っていた。

“終わるわけないんだ。だって関係が終わっても、事実が消えるわけじゃないから”

様子の変なみちを気遣う陽一だったが、その優しさを拒否。

「私…自分が嫌い。大っ嫌い…」

「…俺は好きだよ…。どんなみちも」

“本当のこと知ったら、私のこと嫌いになる”

第48話

脱衣所から出てきたみち。

「ごめんね、心配かけて。今日仕事でミスしちゃって、いろんな人に迷惑かけちゃったからヘコんじゃって」

陽一を心配させないように笑顔を取り繕った。

“勢いのまま言うところだった。よかった…バカなこと言わないで”

リビングに戻ると陽一が夕食の支度をしてくれていて、一緒に食べる。

“悟られないように、今日のことを思い出さないように、明るくしなきゃ。陽ちゃんに絶対、気付かれちゃいけない”

陽一の居る寝室に入ったみちは服が反対なことを指摘され、着替えに部屋を出ようとする。

陽一は”今さら気にすることない”と、着替えを手伝う流れのままキスをし、始めようとするが昼間のこともあったみちは動揺し、“なんで今なのか”、「やっ…、やめて!!」と拒絶してしまう。

急いで謝ったが、目の前には傷ついた悲しい顔があった。

陽一はタバコを吸いに出ていく。

“拒否っちゃった…。あんなに拒まれることに、傷ついて悩んできたのに。私が陽ちゃんに、してしまった”

コンビニの前でタバコを吸っていた陽一は、男が出来たのかと疑い始める。

“んなわけねえ、絶対ねえ…!みちが俺以外の男にいくなんて、それだけは絶対ない…!だってみちだけなんだ…。みちだけは、ずっと俺と一緒にいてくれたんだから…”

第49話

ラフな格好に戻したみちは、華から”いい女も似合ってたけどその方が先輩らしい”と言われ納得。

“そう、今まで拒否されるのが私だった。それが当たり前で、ずっとそうなんだと思ってた。まさか、逆転する日がくるなんて”

一方の陽一は、原田から嫁の愚痴を聞かされキツく当たってしまう。

これまで崩れてなかったみちとのパワーバランスが、崩れようとしている。

出会った頃から変わっていなかったのに…。

二人は大学生4年と1年の時に、同じバイト先で出会った。

新しく入ったみちを指導するのが、陽一だったのだ。

仕事熱心なみちは、ふと笑った陽一に心を開き、一緒にいることも増えていった。

それが心地よかった陽一は、みちからの告白に自然と答えていた。

誕生日をすっかり忘れ、予定を入れてしまっていた陽一。

“前も同じことをしてしまっていた”と予定をキャンセルしようとすると、”先約に行ってきて!”と言ってくれる。

今まで会ってきた誰とも違うみちが、愛しく感じた。

実家では姉が結婚することになり、”親孝行のために”と聞かされ、興味のない陽一はがっかりする。

さらに姉から”今付き合ってる子を大事にした方がいい”と言われ、それは辛気臭い顔が少なくなったからだという。

「何年も素で一緒にいられる人は、そうそう出会えないよ~」と姉からの忠告。

“みちはずっと俺と一緒にいてくれて、結婚してもそれは変わらなくてレスになっても傍にいてくれて、だから、バランスが崩れることは、ない…。ないんだ…”

第50話

仕事が終わり、陽一からの返信を確認するが、来ていない。

拒否した自分が悪いが、”陽ちゃんは2年も拒否していたくせに”と思っていると、隣で華が騒ぎ出す。

なんと医者とのデートがキャンセルになり、ロックオンされたみちは一緒に飲みに行くことに。

飲みに行った先でも、陽一からの返事がないことを気にしているみちは、隣で彼氏達に連絡する華に”7股がバレたことないのか”と聞く。

華はその昔、初めての彼氏に浮気・懺悔をされ、好きだったから許した時に、彼がすごくすっきりした顔をしていて、それにものすごく腹が立ったという。

浮気されたショックは引きずるのに、自分は告白して解放。

それが嫌だったため、同じことをしてはいけないと徹底しているという。

「知ることがなければ、なかったことと一緒だから」

ドキッとしたみちは、”本当に言わなくてよかった”と思うのだった。

一方の誠は、残業しているところに滝川がやってきて、転職することを知られてしまう。

理由は言えないが、もう心は決まっていた。

残念に思う滝川は納得した上で、”直前に言うのはやめろよ”と懇意にしている人に“受け止める時間は作れ”と忠告した。

帰り道、田中のこと、そしてみちの顔が浮かぶ。

帰宅し携帯のお礼を楓にすると、気まずい空気が流れる。

そのまま夕食の支度を二人でしている時、楓から会社に行った時に”案内してくれた人が倒れた”と聞く。

「吉野さんって人」

名前に反応してしまい、器から料理をこぼしてしまう。

慌てて洗面所に向かう誠に対し、楓は胸騒ぎがしていた…。

第51話

仕事中もボーッとしてしまう楓。

“ずっと気になってた。あの日、あの雨の日、誠の告白にショックを受けて、あの時はそれ以上聞く勇気がなかったけれど、本当は聞きたいことがたくさんあった。誰と…?いつから…?今も…?誠の心を奪ったのはどんな人?あの人…なの?…ああどんな人だったっけ?特に印象に残ってないな…。本当に普通…普通の人…。吉野さんが誠の浮気相手…?本当にそうなら…私あの人のどこに負けたの…?”

そんなことを考えていると、川原がやってきて食事に誘われる。

悩んでいると、”ゆっくり話そう、どこでもいつでも付き合うから”と言ってくれ、その優しさに涙した。

一方で陽一は、みちとのことに悩んでいた。

顔を合わせないようにして、連絡も返していないが、さすがに帰らないといけない。

“拒否られた…、…ってことは、みちの気持ちが俺から離れていってるってこと?いや、すでに離れてる…?これ考え始めるとヤバいやつだ…。あぁ…もう、考えたくねえ…”

頭を抱える。

川原に全てを話した楓は、離婚は考えていないが自信がないと打ち明ける。

「誠を繋ぎとめられなかったら、どうしよう」

“よくある遊びだ”と川原は言うがあの日の誠を思い出すと、本気かもしれないと思ってしまう。

「じゃあ、このまま、何もしないで終わってもいいってこと?楓、しっかりしな!今のままでいいわけないでしょ!?ちゃんと確かめないと、本気かどうかわかんないじゃん。逃げるなんて、楓らしくないよ!」

その頃、みちは陽一から返事が来たことにホッとはしたものの、帰ってきたあとどう接したらいいか悩んでいた。

そこへ陽一が帰ってくる。

いつも通りの陽一。

“なんかあまりにもいつも通りで、まるでなんにもなかったかのよう…。…もしかして、陽ちゃんなかったことにしてる…?正直、ホッとしている自分がいる。陽ちゃんのそういうところ、はじめて良かったって思えた。ああ…本当に全部、なかったことにならないかな…”

第52話

家の更新が近づき、このまま更新することになりそうな吉野家。

“陽ちゃん本当にいつも通り。あの日のこと蒸し返して、ギクシャクしたくないんだろうけど、陽ちゃんはこれでいいの…?”

会社では更新にともない引っ越しを決めた華が、家探しに悩んでいた。

今の家に不満はないが、更新のたびに引っ越しをしているという。

同じ場所にいる方が苦手で、リセットできていいと言われた。

一方の陽一は、原田からマイホームを買わされた話を聞き、”ローンからも家からも逃げられない”という言葉にピンとくる。

みちが夕食の準備をしていると、華から物件が送られてきてなぜか”自分だったら”、と考えてしまった。

そこへ帰宅した陽一から、家の更新ではなく”マンションを買うのはどうか”と提案され、驚く。

“更新料も賃貸料ももったいないし、Wローン組めばそんなにキツくないと思った”というが、2LDK+WICの間取りを見て、どうしてこれを選んだのか聞く。

「もう間取り、これしか残ってなかった?」

「いや、みちと俺の部屋それぞれあるし、十分じゃん?」

「…子供は?子供産まれたら、部屋足りないよ?」

「え?…ああ…」

温度差を感じる。

新名家では、誠が転職しようと思っていることを、楓に伝える。

キャリアアップしたいという誠に、ホッとするが…。

“転職…?今…?この時期に…?それって…”

あの時の彼女の姿が浮かぶ。

「誠、待って!聞きたいことがあるの。ちゃんと正直に答えてほしい。誠が、あの日…、あの雨の日言ってた女性とは、今も続いてるの?」

「…続いてないよ。あれから一度も会ってない」

「…じゃあ彼女のこと、まだ想ってる?」

「いや…」

“いや…、それだけ…?想ってないって、好きじゃないって、言ってよ”

「その人って…吉野さんなんでしょ?」

第53話

「…ごめん、それは…」

「…なんで?なんでそれは言えないの?どうして…、言ってよ!ちゃんと言って!言ってってば!!どうして…私より彼女をかばうの…?

楓は泣き崩れた。

ある日、みちが華の家に行こうとすると、陽一に呼び止められマンションの見学に行こうと言われる。

“陽ちゃん子供のこと全く頭になかったってことだよね?それって…”

急には決められないと断るが、ただの見学だと押される。

“ちゃんと子供のこと話し合ってからじゃないと。もし話し合って、私の思いと全然違ったら…?怖い…”

すると陽一は”子供部屋のことだろ”と、新たな間取りを提案してくる。

そこへ陽一の母から電話が。

マンションを見に行く話をしたら、他の部屋も空いてないか聞いてほしいと。

前からみち達の近くに引っ越したいと言っていたらしく、驚いてしまう。

「ああ、大丈夫。とりあえず今は、なだめときゃいいんだよ

顔が曇るみちだった…。

そして、華の引っ越し準備を手伝いに行き、男物の下着を見つける。

“即、捨てる”と言う華は”私物は絶対置かないように”と約束していて、ルールを守れない人はサヨナラだという。

サヨナラ=別れる。

複数と付き合うには気も使うし、バレたら全員失うかもしれない。

これまでの努力を無駄にはできない。

全員を失うことは怖いが、失うことはいつも覚悟しているという。

「…でも華ちゃんは全員失っても、また次の人すぐ見つかりそう」

「えー?先輩もすぐ見つかりますよ!」

「まさか!私はきっと旦那さん失ったら、一生一人だよ~」

「あー、なるほど。先輩の遠慮がちな自信のなさって、そっからきてるんですね。でも、覚悟を決めた女ほど、強い生き物はいませんよ」

私の自信のなさ…?

“そうかも、だって、陽ちゃんを失ったら、私一生独身かもしれない。もう誰からも気にかけてもらえず、死ぬまで独身かもしれない。それでも、一人で立って、生きていけるかな…?”

その頃、誠のもとには「しばらくホテルに泊まります」という楓からのメッセージが届いていた…。

第54話

“今まで、散々、セックスレスに悩んできた。一時休戦して、解放された気がしてた。でも、思ってもなかったところから、子供の話が出て、それはセックスレスとは切り離せない問題で、結局セックスレスという呪縛から、逃れることはできないんだ”

目が覚めたみちは、隣で眠る陽一の顔を見る。

コーヒーを淹れていると陽一が起きてきて、今日マンションのことで話がしたいと伝える。

“これでもう今までみたいに逃げられない”

一方で、楓のホテルに向かった誠だったが、反応は無くそのまま帰る。

“どうして彼女をかばうの?”

そんなつもりはなかった。

“ただ彼女に、家庭を再構築してる彼女に、少しでも迷惑がかかることを、したくなかった。ただそれだけだ。それに、もし俺が彼女をかばったとして、その先に何があるっていうんだ。もう違う道を行ってるんだから”

その日の夜、みちは夕食を作りながら、もし陽一が”子供は欲しくない”って言ったらどうしよう、と考えていた。

そこへ帰宅する陽一。

どう切り出そうか悩んでいると、”マンションのことで話があるんだろ?”と聞かれる。

俺も話があるとローンのことを話されるが、首を縦に振れないみち。

「私、今のままマンション買えないよ。家って一生の買い物だよ?まずは私たちの人生プランを、話し合わなきゃいけないと思う。子供のこととか…。陽ちゃんは本当に、子供が欲しい?これって大事なことだから、正直に言ってほしい」

「まあ…いつかは…」

「いつかっていつ!?私は近いうちに…2~3年後には欲しいと思ってる。陽ちゃんは?具体的に教えて」

「……」

「お願い、教えて。陽ちゃんの本当の気持ち」

「子供は…欲しくない」

「どういうこと…?それは、近いうちにはってこと?」

「いや…近いうちとかじゃなくて…」

“本当に欲しくないんだ…”

「…」

「…ずっと、嘘ついてたんだ。どうしてそんな大事なこと、今まで黙ってたの…?なんで!?私が子供欲しいの知ってたよね!?なのに…」

“あっ…そっか…やっぱりそういうことだ。私はずっとその場しのぎで、なだめられてただけだったんだ…。何でそんなことが出来るの?夫婦ってそんなものなの…?私たちってその程度で…”

涙が止まらないみちの手を握る陽一。

「だって言ったら、俺から離れていくだろ…?俺はみちと一緒にいたくて、結婚したんだよ」

握られた手をほどき出ていくみち。

“友達の綾乃は泊めてくれるかな”そんなことを考えながらボーッと歩く。

“どんなに喧嘩してすれ違っても、同じ目的地に向かってると思ってた。だからレスになっても頑張ってきた。でも最初からそうじゃなかったの?じゃあ私、あんなにあがいて、どこに向かってたの…?”

隣の車両には、誠の姿があった…。

8巻のネタバレ

8巻のあらすじポイント

  • ずっと子供が欲しいと思えなかった陽一
  • 楓は誠の気持ちを試していたがもう愛がないことを実感する
  • 哀れな自分を見せられない楓、このままでは終わらせられなかった
  • みちと楓の直接対決
  • 離婚した同僚の話を聞き決意するみち
  • 楓の祖父の三回忌、変わらず優しい誠に今の気持ちを吐き出す楓
  • 子供を作ってもいいと言う陽一に離婚を切り出すみち

第55話

綾乃の家で目覚めたみち。

「旦那さんと何があったの?」と心配されるが、”これ以上迷惑はかけられない”と帰る。

昨日のことで”二人で生きていく選択肢もある”と考えてはいたが、それは陽一との夫婦の絆があってこそ。

これから先も同じ事をされるかもしれないし、今すでにもう信じられていない。

夫婦の絆なんて感じられなかった。

帰宅するとホッとした表情の陽一が。

「ごめん」と謝る陽一に「…何に謝ってるの?」と聞く。

「何って…。子供のこと黙っててごめん。その…みちの気持ちはわかってた。わかってたんだけど…言えなかった…。ごめん…」

「わかった」

「うん」と言えなかった。

言ってしまったら許すことになってしまう気がして。

そして、「わかった」と言われた陽一は許されたのか、まだ怒っているのか分からず悩んでいた。

みちがずっと子供を欲しがってたことはわかっていたが、自分はどうしても欲しいと思えず、最後はみちが折れてくれるんじゃないかと期待していた。

喫煙所にやってきた原田に子供のことを聞くが、なかなか気持ちの変化にはならない。

自分が折れなければならないのか、すれ違う子供を見ても鳴き声だけでイラッとしてしまう。

みちの子なら…?自分も普通の親になれるのだろうか…?

第56話

岩原シマコ著『愛のカタチ』を読む後輩・横井と、これから岩原の元へと向かう予定の楓。

横井は小説の主人公に感心し「私だったら不倫された時点で即行別れますけどね~」と話す。

ボソッと「私もそう思ってた」と言い、”それはされたことのない人のセリフ”と思う。

誠は職場でオシャレなチョコレートをお土産で貰う。

楓が好きそうだと連絡を取ろうか悩むが、打ち込んだメッセージを全て消した。

一方で打ち合わせの帰り道、楓はよく誠と待ち合わせていた場所を通りかかった。

そこで誠にメッセージを送る。

しばらくしてやってくる誠。

「…楓。本当にすまない。楓が気の済むようにしてくれていいから。俺と一緒にいるのが嫌ならホテルにいてくれて構わない。そのまま帰ってこなくても仕方ないと思ってる。本当に申し訳…」

「何それ!?どうしてそんなに冷静なの!?血相変えて’帰ってきてくれ’って懇願するんじゃないの!?何度も何度もホテルに来るんじゃないの!?このまま私がいなくなってもいいの!?」

何も言わない誠に、楓は「もういい!!」と去った。

家を出たのは誠を試したくて、あれは気の迷いだったと思いたくて。

何度も答え合わせをしても合わないことを思い知らされて、やっと心が理解していく。

私を愛してる誠は、もういないと…。

再び岩原との打ち合わせの日。

今後のことを話したいと言われ、もう少し居ることになった楓と横井。

お手洗いに立つ楓のいないところで、横井は岩原と前作の小説から人間の感情の話をする。

“愛情が深いほどその分傷ついてもがいて、時間を置いてその次に必ず来るの。憎しみと怒りが…。”

第57話

みちは会社で華とお土産で貰ったチョコレートの話をする。

陽一と一緒に食べたのだったが、チョコレートがあまり好きではない陽一がテンション高めにしているのが気まずかった。

一方で楓は、旦那さんの転勤で引っ越すという友達と会う。

そこで、誠のことが羨ましいと言われる。

“浮気してたけどね…”

「さすが楓の旦那だよね~」

“私を裏切って他の女を想ってるけどね”

友達からの言葉に思うことはあるのに、そんなことは言えなかった。

プライドが邪魔し、かわいそうだと、哀れだと思われたくないからだ。

自分はこんなに苦しんでいるのに誠はノーダメージで、自分がこのままいなくなっても誠はきっと悲しみも後悔もしない。

自分だけ完璧な夫のイメージを壊さずに。

その頃、みちは一緒に夕食を食べようとする陽一に気を使われているのがわかり、会話もしづらくなっていた。

変わろうとしている陽一を、前の自分だったら喜べたはずなのに、今は心が動かなかった。

その頃、荷物を取りに家に帰った楓は、自分のクローゼットに誠のYシャツが掛かっているのに気づき、”裏切った手で私の物に触らないでほしい”と気分を害し、早々に出ていこうとする。

そこで、誠がお土産で貰ってきたチョコレートを発見。

「何でこんなものがここに…?あっ…」

ドクンと鳴る心臓の音。

貰ったのか、あげるのか。

知らないところでまだ会っているのか。

「バカにしないで」

自分たちだけ無傷のままなんて許せない。

誠が本当のことを言わずに口を閉ざすなら…。

楓は行動に出る。

そして、華がみちにシマコ先生の新作の話をしていると電話が鳴る。

帰ろうとしていた華の代わりにみちが出る。

「そちらに吉野さんという方はいらっしゃいますでしょうか?」

「はい、私が吉野です。失礼ですが、どちら様でしょうか?」

「私、新名誠の妻です」

第58話

動揺するみち。

“話したいことがあるから、これから会えないか”と聞かれる。

どこまで知られているのか、会ってどうするのか、不安でしかないみちだったが、楓に会いに行くことに。

もし誠とのことを聞かれたら”誠心誠意謝ろう”、そう心して向かった。

待ち合わせた店で向かい合って座る二人。

楓はすぐ「夫が浮気をしていたようです。お相手はあなたですよね?」と切り出す。

あっさり認めるみちに「今でも夫と会ってますよね…?」と聞くが、「もうご主人とはお会いしてません」と言われ、信じることが出来なかった。

「…そうですよね。信じられないですよね…。本当に…申し訳ありません。」

「わからない…。どうしてあなたなの?あなたの…どこが…?」

始まりのきっかけを聞く。

みちが結婚していることに驚き、さらに相談内容が’セックスレス’だったことに怒りが高まり「たかがレスごときで…!!」と言い放つ。

すると、真っ直ぐな目で見つめてくるみち。

「たかが…じゃないです。体の関係がないことだけが辛いんじゃないんです。断られると私はもう女として見られてないの?魅力がなくなった?って…どんどん自分に自信がなくなっていくんです。それでも毎晩、淡い期待をしてベッドに入って…ドキドキして待つんです。…でも寝息が聞こえてくるだけ…。それが毎日毎日、何ヵ月も続くと…ご飯が美味しくないんです。友だちの幸せを心から喜べなくなって、空が青く見えない。一生この生活が続くのかって想像すると、未来が見えないんです。…本当はもう気付いているのかもしれません。取り戻したかったあの頃はもう戻らない。だって…あんなにも愛してくれたパートナーはもういないんだから…!…だから拒否される側にとっては、たかがじゃないんです。心も体も愛されたかったんです。」

みちを通し、誠の姿が見えた。

まさに、誠の気持ちを聞いているかのようだった…。

第59話

「だから?不倫しても仕方ないとでも?……不快だわ…」去る楓。

震えが止まらない。

「もっと言いたかったはずなのに…。傷つけてやりたかったのに…!なんで震えてるのよ…!」

自分の弱さに気付かされる。

残されたみちは震えが止まり、”あんなこと言うつもりなかったのに”と自分の強さに驚いていた。

ため息をつき帰宅するみち。

好きだった人の奥さんに会って、何事もなかったかのように夫のいる家に戻る。

“おかしい…”そう思っていた。

埋められない亀裂、もう上手くいかないとわかってるのによそよそしく一緒にいることも全部おかしい。

“本当はもう…”、と指輪を外そうとしてやめた。

そして会社で、知らない社員の名前を見つけるみち。

華から浜崎さんが川上さんに名字が変わったと聞かされた。

=離婚。

経理部の暗黙の了解のため、深くは聞かない。

すると、お手洗いでバッタリ川上と出くわした。

結婚式を手伝っていたため謝られるが、何て言っていいか悩んでいると…。

「結婚の何倍も大変っていうけど本当でした。でも終わった今となっては結婚してた時よりすごく楽に。ケンカばかりで、それでも子供の為にって我慢してたんですけど、離婚したらなんかスッキリしちゃって。落ち込んだり後悔するかなって思ってたんですけど、楽というか楽しいんです」

輝いた顔をしている川上。

失うことばかりを恐れ、一生独りかも、孤独に耐えられる?、後悔するかも、そんなことばかり考えていたみち。

そして、覚悟を決める。

「離婚したってただそれだけで、”不幸”なんかじゃないんだ…!」

帰宅し、陽一に子供の事、私たちの事で話があると伝えた。

第60話

ホテルで一人ワインを飲み酔い潰れていた楓。

自分の傷ばかり見ていたことを、まさかみちに思い知らされるとは。

そんな時、母から電話があり、祖父の三回忌に来れるかどうかの確認だった。

“誠も一緒に”との話だったので、さすがに連絡しないと、とメッセージを送る。

“行かないと変に思われる…”誠は楓との待ち合わせ場所に向かった。

“両親に会うのにギクシャクしたくない”そう思っていた楓は、いつも通りの誠にホッとした。

電車内で転職先が決まったことを報告する誠。

三輪商事という大手だった。

両親が聞いたら喜ぶ、と楓の予想通りお義母さんは大喜びだった。

帰り道、靴擦れして足が痛い楓だったが時間を気にして言い出せない。

気づいた誠は「格好悪い…かな?」とスリッパを差し出す。

そんな優しさに触れ”本当はずっと夫婦でいたかった…。このまま誠を失ってしまって本当にいいの…?誠はもう私に愛はないのかもしれない、でも私は…?”と思う。

「…誠、今までごめんなさい。」

私は誠を失いたくないー…。

第61話

幼少期の誠は、家事をなにもしない父親が不思議だった。

母は’お父さんは外で働いて、お母さんが家を守る’ことで家庭が上手くいくと、いつも話していた。

上手くいかなくなったら別々に暮らすことになって、世間様に顔が立たない、みんなを悲しませることになると、”だから結婚したらそうならないように努力するのよ”と言い聞かされてきたー。

法事の最中、そんなことを思い出していた誠はお焼香の作法が分からなくなり、間違えてしまう。

義母に香典とお菓子を渡し、お焼香のことを謝ると”作法より気持ちの方が大事なんだから”と言われ、”夫婦はこうあるべきと思い込んでいたのかもしれない”と思わされる。

“今、自分は楓のことをどう思っているのか”

振り返ると足を引きずって歩く楓が。

すぐにスリッパを差し出すと、楓がこれまでのことを謝ってくる。

「私、誠に裏切られたってそればかりだった。でも……そもそもは、そうなってしまったのは私が誠に甘えて、誠を拒み続けてたからだよね。私…レスのこと軽く見てたんだと思う。正直”たかが”って思ってた。その裏で誠がどんなに傷ついてたか、わかってなかった。本当に…ごめんなさい。…私、誠を失いたくない…!もう一度だけチャンスが欲しい…。誠の愛が戻るのを待たせて。変わった私を見て…。私…、家に帰ってもいい?」

ずっと男として必要とされる自信が欲しかったこと、楓は自分がいなくてもいいと思っていたことを思い出しながらその言葉を聞いていた。

一方の吉野家では、子供のこと、自分たちのことで話したいことがあるとみちが切り出していた。

「俺も…子供のことでみちに話があるんだ。あれから色々考えたんだけど…いいよ」

「…何が?」

「子供作ってもいいよ」

その言葉を聞き、決意が固まる。

「陽ちゃん…’作ってもいい’なんて言われて、私が喜ぶと思った?思ってたんだよね…。だから、そんな言葉が出るんだよね。私はもうその場しのぎの言葉も、妥協もいらない。だってこのまま子供を作っても、きっと…。また違うことで傷つく。私…これ以上、自分をすり減らしながら生きたくない。今までどんなに傷ついても、傷を繕いながらやってきた。それは…陽ちゃんへの愛情があったから。でも今はそれが、私の中から無くなっちゃった…。だからもう一緒にいられない。」

顔を上げ、しっかりと陽一の顔を見る。

「私と離婚してください」

9巻のネタバレ

9巻のあらすじポイント

  • 受け入れられない陽一は話し合おうとしない
  • 仕事より誠を優先する楓
  • 両親に全てを話し実家に戻ったみち
  • 誠の気持ちが分からず困惑する楓に、はっきりと気持ちを伝える

第62話

「ちょっと待って、離婚って何?なんでそんな話になってんの?俺ら子供の話してたんじゃねーの?」

「…陽ちゃん、私の話聞いてた?」

「聞いてたよ。なんでいきなり離婚なんだよ!俺、子供作っていいって言ってんじゃん!!みちの思い通りにしていいって言ってんのに、何が不満なん?もしかして好きな奴でもいんのかよ!?だから急にそんなこと言い出したんじゃねーの!?そうなんだろ!?」

“あぁ…本当にダメなんだ”、自分の想いが何にも伝わっていないことを実感する。

“好きな人もいないし、突然思い立ったわけでもない”とずっと考えて悩んでいたこと、ずっと苦しかったことを訴えた。

それはレスになってから、穏やかに過ごした日を忘れてしまうほど。

「他の人は何も関係ない。これは私と陽ちゃんの問題なの。私はもうこれからの人生、陽ちゃんと一緒に歩んでいけな…」

突然、陽一が叫び出す。

そして「離婚、離婚、離婚だ」と言い、家を飛び出した。

みちは思い直し、”陽一が納得できるはずない”と電話をかける。

もう一度話したいと伝え、帰りを待っているがなかなか帰ってこない。

“このまま話し合いに応じてくれないのでは”、不安が一瞬過ったところで陽一が帰ってくる。

ベロベロに酔っぱらっていて、抱きつきキスを迫ってくる。

突き飛ばすも、それ以上に強い力でみちの腕を離さず、痛がってもそのままで「…俺、絶対離婚なんてしねえから!!」と我を忘れているようだった…。

第63話

「陽ちゃん、手離して」

ハッとする陽一にみちは、実家に行くと伝え”酔いが醒めてからもう一度話そう”と、家を出る。

初めて陽一が怖いと思った。

実家にいきなり帰り、”離婚する”と聞いたら両親は何て思うだろうか。

ため息をつきつつ、いざインターホンを押す。

慌てて出てきた両親は、顔を見てすぐさま荷物を受け取り、中に促す。

子供の事で意見が合わず離婚しようと思っていること、これまでも色々あったと伝えるが、父に’セックスレス’は話しづらい。

そんな空気を察してか父は”まずお母さんと話しなさい”と言って、その場を離れてくれた。

母にセックスレスであること、子供の事で嘘をつかれていたこと、陽一には自分の気持ちや人生なんてどうでもいいのだろうか、と全てを吐き出す。

母に謝ろうとする言葉を遮り”私がもっと早く気付いてあげるべきだった。辛かったわね…。あなたは我慢強いから…頑張ったわね”と、優しさで包んでくれる母に、涙が溢れて止まらなかった…。

第64話

翌朝、何事もなかったかのように接してくれる両親に、感謝しかなかった。

一方の誠は、目が覚めると隣に楓がいることに何とも言えない気持ちになる。

昨日の帰り道、一緒に帰ることを決めた。

これが正しいのか分からないが、初めて楓の心からの気持ちを受け取った気がしていた。

目覚めた楓が抱きついてきたので、抱き締め返す。

これまでなかった光景に、”俺たちは変われるんだろうか、ー?”と思っていた。

会社にて。

誠の同僚の滝川が二日酔いで吐いてしまう。

掃除道具を取りに給湯室へと向かったみちは、結婚指輪を外しシンクの淵に置く。

そして、楓と約束していた誠はカップを片付けに給湯室へ行き、指輪を見つける。

第65話

“忘れ物だろう”時間がない誠は、そのままスーツの胸ポケットへ。

待ち合わせ場所に急いで向かうと楓が先に待っていた。

映画を楽しんだ二人。

そこへ楓に仕事の電話がかかってくる。

“また今までのように…”と不安になっていたが、楓は”今より大事なことなんてないから”と仕事を次の日に回した。

一方のみちは、陽一と外で会って話をすることに。

心配そうにする両親だったが、”お前が一人で答えを出せる大人になったって信じてるから”と見送ってくれた。

なかなか来ない陽一に連絡しようかと思っていると、メッセージが届く。

内容を確認し驚いていると、目の前に陽一の母親が立っていた…。

第66話

陽一から話を聞き、謝りにきた義母。

陽一は仕事でトラブルがあり約束を断ろうとしていたのだが、母親が行くというのを止めはしたが、”母親が行けばみちの意思も変わるかもしれない”とも思っていた。

そんな義母から何があったのか迫られるみちだったが、”私から離婚理由は言えません。陽一さんに聞いてください”と言って去った。

一方の誠は、仕事から帰ると楓が夕食を作っていて一緒に食べる。

食事中に楓のタブレットが鳴る。

楓は”他の人に振れる仕事を外注することにした”といい、誠との時間を大切にしたいと考えを変えていた。

しかし、ライターに頼んでいた仕事を確認すると、自分の思っていたものと少し異なりウズウズする。

だが、楓は自分の気持ちを沈めた。

その頃、仕事が終わった陽一が会社から出ると、みちが待っていた。

第67話

義母を寄越したことが許せないみち。

「卑怯だよ!お義母さんにあんなこと言わせるなんて!」

「…じゃあ、どうやったら思い直してくれるんだよ!」

どうしても離婚したくない陽一。

みちは”もっと言葉や態度で伝えてほしかった”と言い、陽一は自分なりに頑張ってきて歩み寄っていたこと、みちに落ち度はないのかと問い詰める。

“自分にも至らないところがあった”と、素直に謝るみち。

「…なんで、みちのこと好きなのに別れなきゃなんないの?俺…みちがいなきゃダメなんだよ…ただ俺の隣にいてほしいだけなのに。みちがいなきゃ、俺どう生きてきゃいいの?」

「それ…わたしのことが好きなんじゃないよ。自分のことが好きなんだよ。全部、陽ちゃんの気持ちだけ。自分が困るから、自分が寂しいから、自分が好きだから。陽ちゃんの言葉の中に、わたしがいないんだよ。夫婦なのに、誰よりも近くにいるのに」

座り込んでしまった陽一に、”もう家には帰らないこと、荷物は引っ越し業者に頼むこと”を伝え去る。

陽一はみちを引き止めることが出来なかった。

別々の場所で涙する二人。

“わたしたちはもう、同じ空を隣で見上げることは、ないんだ”

第68話

楓が目覚めると隣に誠の姿はもうなかった。

あれから一度もしてくれない誠。

家に戻ってから上手くいっていると思っていただけに、虚しさが込み上げてくる。

雑誌の見本が上がり内容を確認すると、ライターに頼んだ箇所がやっぱり気になってしまう。

仕事中もプライベートでも誠のことばかり考えているのに、誠の気持ちは少しも戻ってきてないのだろうか…?

その頃、誠は男として楓に対する気持ちが全然戻らないことに悩んでいた。

このまま戻らなかったら、せっかくやり直すと決めたのに意味がなくなる、それが怖かった。

楓と待ち合わせし、仕事を持って帰ってきていることに気づいてしまい、”俺のためにセーブしてるよね?”と聞く。

“してるよ”とハッキリ答えられるが、楓は”無理してる訳じゃなく自分で決めていることだ”と気遣う。

そこへ滝川から電話が。

断ろうとする誠を見送り、楓は”残してきた仕事が出来る!”と浮き足立ち、会社に戻る。

誠は滝川と取引先の村上が待つ店へ。

“最後だから”と、寿司か肉を取ろうとなるが誠は周りを気にしてどちらか選べない。

すると”俺は君に聞いてるの!君のために取るんだから”と言われてしまい、”自分の気持ちよりも皆が気持ちよく過ごせたら”という方を優先させてしまったことが良くなかったのか、と反省しながら帰る。

そして、眠っている楓の頬には涙の跡が…。

“自分は間違っているのだろうか?”

せっかく戻ったばかりなのに今本心を言うなんて、そう思っていたが、それが楓を傷つけていたのでは?

自分が何も変わっていないことに気付いた誠は、楓にちゃんと伝えることにした。

「楓、ありがとう。こんなにも俺のために変わってくれて。それと、ごめん。…こんなにも俺に愛情を伝えてくれてる。なのに…。…か…楓とセックス出来ないのは…男としての愛情が戻らないからなんだ。戻るかどうかもわからない。」

夫婦としてより良い選択をするために、たとえ楓を深く傷つけることになったとしても。これが俺のー…本心なんだから

10巻のネタバレ

10巻のあらすじポイント

  • 本音で話し合いすっきりした2人

  • ボロボロの陽一に離婚届を渡すみち

  • 三島と原田の言葉に何も分かろうとしてなかったことに気付かされた陽一

  • みちの引っ越し

  • 誠の退社

  • 資料室で出会う2人

第69話

「初めて誠の本音聞いた気がする」

驚く楓だったが、”これからどうしたいのか”聞いた。

「どうするか、二人で話し合って決めたい。どんなに時間がかかっても、お互いが納得するまで」

「わかった。一人一人ちゃんと考えて答えを出しましょう」

翌日、滝川にランチに誘われた誠は何が食べたいか聞かれ、ステーキと答える。

驚く滝川に”高かった?”と気にしていると、ただ誠からのリクエストが初めてだったことを喜んでいたのだ。

楓はというと、誠の本音を聞いてショックではあったものの、気持ちがわかってスッキリした部分もあった。

“本心を言わずに、また大事なところですれ違わずに済んだ”

そんなことを思っていると、横井がやって来て今月号の雑誌がバズり、実売80%という数字を叩き出したという。

楓の力あってこそ、さらに、憧れの人との仕事も決まり祝福されるのだった。

誠はランチのステーキの美味しさを噛みしめ、気持ちが軽くなったいることに気がつく。

やっと一歩を踏み出せた。

予定通り仕事が終わりそうな楓だったが、トラブルが発生し”遅くなりそう”と誠に連絡を入れる。

仲間と共に仕事を終えた楓。

“この深い時間が好き。誰もいない暗い店舗。時々すれ違うタクシー。疲れているのに変にテンションは上がっていて、ああ働いた~って思えるから。そうだ、私仕事が好きだったんだ。そして、働くことで救われてる。仕事があってよかった

第70話

マンションに一人の陽一、生活はボロボロだった。

三島は陽一が体調不良で休んでいることを聞き、原田に仕事を頼むついでに男の紹介も頼む。

条件はたった一つ’独身’であること。

一方のみちは、”一人で生きていくんだから強くならなきゃ”と、一人暮らしをする物件を回っていた。

そして、陽一に”もう一度会って書いてもらわないと…”と連絡を取るが出ない。

マンションに向かうと電気もついておらず、ドアノブには義母からのお弁当がかかっていた。

鍵を開けて中に入る。

陽一はいたものの、家の中はぐちゃぐちゃ。

「みち…、…帰ってきてくれたん…?」

弱々しい陽一だったが、”書いてほしい”と離婚届を渡す。

「オレ…書けねぇ…書きたくねぇ…」

隣にしゃがみ、”いつでもいいから書けたら連絡して”と話す。

「…1年後でも?10年後でも…?」

「うん。待つよ、ちゃんと。陽ちゃんが納得するまで」

強い意思を感じた陽一は、”帰ってくれ”と頼んだ。

自分が悪いことをしているようで陽一を見ていられなかった。

しかし、もう戻れない。

“キレイな離婚なんてないんだ”

第71話

会社に復帰した陽一は、これまで通り三島たちにも多くを語らない。

そして三島は原田から街コンを勧められる。

言われてみたので、とりあえず街コンに参加した三島だったが、周りはみんな年下で健康的、”お呼びでない場所に来てしまった”と外で煙草を吸っていた。

すると遅れてやって来た、一人の男性と知り合う。

遅くまで話し帰宅した三島は、”まさか出会いがあるなんて”と思う。

結婚指輪はしていなかった。

さらに食事の誘いの連絡が入る。

自営業でお店をやっているという金田。

話していくうちにいい感じになっていく。

だが、次の連絡が入ったとき、何か違和感を感じた三島。

「金曜日の夜は空いてますか?良かったらお食事しませんか?」

“まさか…”と思い返信。

「金曜の夜はちょっと…。日曜のお昼はいかがですか?」

返信は来ず、”やっぱりそういうことなのか?”と考えながら歩いていると、前から子供二人を自転車に乗せた金田が走ってくる。

既婚者だなんて…。

予想は的中した。

夜になり”日曜日は基本的に仕事なんです。平日だと都合がつきやすいです”と返事が。

どうして、いつもいつもいいなと思う人は既婚者なのか?呪いにでもかかっているのだろうか。

いつもは”それでもいい”と流されていたけど、もう誰も傷つけない恋愛をしたい。

“この呪いのループを断ち切らない限り、私は一生幸せになんてなれない”

そう思う三島は、ある行動に出た。

スケジュールを合わせ金田と待ち合わせ、店に入る前に切り出す。

「金田さん、奥さんとお子さんを大切にしてください。それじゃあ、さようなら」

三島の表情は明るく、”どんなに素敵でどんなに好きでも、自分のため、傷つけてしまう人のために、もう二度と流されない”と決めた。

そして、喫煙所で出くわす陽一と三島。

浮かない顔の陽一を飲みに誘うと、まさかの陽一から手を握られた…。

第72話

ふいに手を握られた三島。

「私がまだ吉野君のこと好きだって思ってる?」

手を離す陽一。

「吉野君の気持ちだけで世界が廻ってるわけじゃないんだよ。それと、軽く見ないで私のこと」

そこへ入ってくる原田。

“落ち込んでるみたいだから飲みに行ってあげて”と言い残し、三島は去りデスクに戻る。

“手を握られて一瞬ドキッとした。でも同時に怒りが込み上げてきた。ああ私はずっと、こうやって都合のいいように扱われてきたんだって。ー…でも、もう諦めない。自分を大切に生きることをー…。”

飲みに来た、陽一と原田。

原田から妻の怒りのメッセージを見せられ”…仲いいじゃん”と答えると、先日会社にみちが来ていたことを聞かれる。

何も言えないのは、三島からの言葉が刺さっていたからだ。

“俺なりに考えて、みちに寄り添ってきたつもりなのに。あれが俺の精一杯の答えだった。あれ以上、どうすればよかった?なんて言えばよかったんだ?皆そんなにわかってんの?夫婦だからって”

そんなことを考えていると、目の前にホタルイカの沖漬けが差し出される。

“陽一が好きだから”と、頼んでいてくれたのだ。

「俺、好きって言ったっけ?」

聞いたことはないが、メニューにあったら絶対に頼んでいたから。

原田の好みなんて当然知らなかったが、”俺のことはどうでもいいけど奥さんの話はとことん聞いた方がいい”と言われる。

そんな原田は、”子どもが寝たあとに妻と話して気付いたら朝だった”なんて経験をしょっちゅうしているという。

“原田でさえ…”、動揺する陽一。

みんなそんなに努力してるのか、だから相手のことを理解できるのか。

“夫婦だからわかるんじゃなくて、わかろうとするから夫婦でいられるのか”

話をちゃんと聞こうとしていなかった自分は、みちが何度も本気で伝えようとしてくれていたのに、”面倒くさい、考えたくない”という気持ちばかりが先立っていたことに気付かされる。

“知りたい”

みちが、あの時になんて言ってほしかったのかを。

第73話

みちに、”訊きたいことがある”と電話する陽一。

「…俺がさ、’子供作ってもいい’って言ったとき…。本当はなんて言ってほしかった?何が答えだった?」

「…’みちとの子供が欲しい’って言ってほしかった」

「…そっか。あのさ、もう少し考える時間が欲しい。また連絡するからそれまで待ってほしい」

みちは、”どうしてそんなことを訊くのか”不思議だった。

「…ちゃんと知りたくて。みちの気持ち」

電話を切ったみちは、”何かあったのかな?”と思う。

欲しい答えはあったが、陽一があの時そう言ってくれていても、自分の気持ちは変わらなかったはず。

“そんなの陽ちゃんの本心なわけないもん…”

答えはあって、なかったようなものだった?

そう思うと、この5年間は何だったのだろうか。

帰宅した陽一は、みちの欲しかった答えが自分から出るわけないと、いつから間違っていたのか考える。

思い出す、みちからの訴え。

“あの時から…?あんな前から…?”

陽一からの電話以来、ずっと”この5年間は何だったの?”と考えてしまっているみちは、華から駅まで一緒にと誘われるが、実家に帰っているのがバレたくなく断る。

正式に決まるまでは隠さなくてはいけない。

“離婚が決まったら、奈津子や綾乃たちにも、会社にも、親戚にも、どの人まで言えばいいんだろう…”そんなことを考えていると、ふと誠の顔が浮かぶ。

“言ってどうするの?言われたって返事に困るだけ”

翌日、ご機嫌で出社してきた華から合コンの話を聞いていると、肘があたり鞄を落としてしまう。

荷物を一緒に拾ってくれる華だったが、定期を渡してくれた瞬間に腕を捕まれる。

「ところで先輩、最寄り駅が新田駅に変わってるのはなんでですか?」

見たことないくらいの笑顔だった。

第74話

華に事情を話したみちは、華の明るさにホッとする。

そんな華は合コンで”なんにも考えてないでしょ?”と言われ、”お前に私の何がわかんの?”と思っていたばっかりだった。

「人を理解するなんて簡単にできるわけないのに」

「…そうだよね。わかんないよね、そんな簡単に。考えちゃって。もっと結婚前に話し合ってたら…、もっと本音で話してたら…、違ったのかな…?この5年間はなんだったのかなって」

華は”闇落ちしすぎ!”と、実際に結婚してみないとわからないことはあるし、付き合うまでわからなかったこともいっぱいあるし、それは結婚の方が多いと話す。

「一緒に過ごした日々がなんだったのかなんて、そんなこと考え出したら、誰とも会わず孤独に生きるしかなくないですか?そんなの人生つまんないですよ。だから先輩、そんな悲しいこと考えないでください」

華の笑顔に救われた。

一方で陽一はまた仕事を休み、三島と原田は”自分のせいでは”と、気にしていた。

病んだり、仕事をこのまま辞めたりしないか、原田は連絡しようとするが三島に止められる。

「だって私たちが何言ったって、本人が自分で這い上がって立ち上がるしかないと思うから。結局は自分にしか自分を変えられないんだから」

家で一人、ボロボロの生活を続けていた陽一。

部屋を見渡すとそこには、みちから陽一への想いが溢れていた。

当たり前すぎて気が付けなかったが、夫婦でいられるようにずっと努力してきてくれたのだと実感。

「待つよ、ちゃんと…。陽ちゃんが納得するまで」

あの時ですら、みちは自分のことを考えてくれていて、最後まで夫婦でいようとしてくれていた。

自分がもっと早く気づいていれば、もっと早く向き合えていれば、ずっと夫婦でいられたのだろうか…?

第75話

引っ越しが決まったみち。

両親の手伝いを断り新居へ向かう。

華が引っ越し祝いを持ち、手伝いにやって来てくれる。

荷物の中から陽一のシャツが出てくるとすぐ華は、”昔の男の物を置いておいたら新しい恋も入ってこないからすぐ捨てましょう”と、晴れてフリーになったみちを合コンに誘う。

華が帰り一人になって、さっき言われたことを思い出す。

“本当にフリーになるのはいつだろう。このまま離婚をだらだらと引き延ばしたくない。でもそれは、私だけの気持ち。私だって離婚を決意するまでに、たくさん時間がいった。だから今こうして次に進めてる。でも陽ちゃんはまだ納得してない。だからどんなに時間がかかっても待つの。キレイな離婚なんてない。わかってる、それでも。私はお互い納得して次に進みたいー…”

その頃、気持ちを入れ替え部屋の掃除をした陽一は、仕事も行かなければとテレビを付ける。

たまたまニュースで取り上げられていたのは、’急増している若い夫婦間のセックスレス’についてだった。

チャンネルを変えようとするが、相談者の女性の状況を耳にし’うちと一緒で自分だけが変ではない’ことにホッとする。

その女性は、自分からしたいと言うのは恥ずかしいし、はしたない女だと思われたくなくて、旦那に言えていない。

それで嫌われてしまったら、夫婦仲がこじれてしまったらそう考えると怖い。

‘一人で抱え込むのが辛いです。でもどうしていいかわかりません’

女性の訴えを聞き、テレビを消して一人考える。

“みちは直接言ってきた。…恥ずかしくなかったんかな?いや、恥ずかしいに決まってるか。初めてキスしたとき、心臓の音が俺にまで聞こえてたみちが、初めて触れ合ったとき目を開けられなかったみちが、そんなみちが、恥ずかしくないわけないじゃん。みちにとって、あの言葉たちは、行動は、いったいどれだけの勇気がいったんだろう”

そんなことをさせていた自分は、どれだけ傷つけてきたのか、どれだけ無神経な言葉や態度をとってきたのか。

“それでも二人の未来を信じて、みちは俺と5年間も夫婦でいてくれたのか…”

もうこれ以上、待たせられない、待たせちゃいけない、陽一は決意した。

第76話

誠の退職日。

楓は退職時に渡すお菓子を用意していた。

ベランダから見送り、”これであの人と会うことは二度とないのよね…”とホッとする。

誠は楓に、”気持ちが戻らない”と伝えてからは気持ちが楽になって、これからのことを前向きに考えられるようになっていた。

しかし、みちへ指輪を返せていない。

会社を去る前に伝えたいこともあるが、本当に会っていいのか、悩んでいた。

田中から”直接言っていただけてうれしいです。ちゃんとこうしてお礼が言えて”と言われ、”やっぱりー”と思うが、そこへ楓からのメッセージが届く。

メッセージを読んで、”なんて自分勝手で、今みちと二人で会ったら楓に不誠実だ”と、自分の気持ちを押さえた。

その頃みちは、”資料室にある書類を持ってきてほしい”と頼まれ、自分の仕事を華に任せ向かう。

華はみちに頼まれた資料を渡しに行く途中、誠を見かける。

挨拶する華を引き止める誠。

今日で退職することを告げ、驚く華にさらにお願いをする。

“指輪を返してほしい”、伝言し、去る。

“これでいい。これでよかったんだ…”

「新名さん!私が渡してもいいんですか?今日で最後なんですよね?本当にいいんですか?」

「…よ…く、ない…です」

華は、みちの居場所を教えた。

資料室でなかなか書類を探し出せないでいたみち。

誰かがやってきたことに気付き、挨拶だけしようとするとそこには誠の姿が。

胸が鳴る。

誠に近寄られ、持っていた書類を床に落としてしまう。

見つめ合う二人の姿がそこにはあった…。

ドラマ『あなたがしてくれなくても』放送スタート時点(2023年4月13日)で、原作漫画の最新話は「82話」(2023年4月4日発表)です。まだまだ連載中!

11巻以降のネタバレ(※カッコ内は漫画アクションの発表日)

第77話(2023/01/17)

誠は落ちた資料を拾って渡し「それからこれ…」と、指輪を返す。 

驚くみちに、”ずっと前に給湯室で見つけて返しそびれていた”と謝った。

指輪のことなどすっかり忘れていたみちは、受け取った指輪を見て”指輪はもう…”と思う。

そして誠が”転職することになって、今日で退職する”と、みちにお世話になったと伝えた。

動揺が隠せないみちは、指輪を落としてしまう。

落ちた指輪を拾おうと二人は屈み手を伸ばすと、その手が触れ合った。

その瞬間、心臓が”ドクン”と鳴り”ごめんなさい!”と言い、立ち上がるみち。

 誠は再び指輪を渡し、微笑んだ。

「吉野さん、さようなら」

迷惑と思っていたが、やっぱり直接自分から伝えたかった。

その時、みちの携帯が鳴る。 

突然のことで、動揺しっぱなしのみちが動けないでいると、誠はそのまま挨拶し去る。

引き留めたかったが、声をかけることができないまま立ちすくむみち。

そして、着信相手を確認するも陽一で、泣きそうな顔でただただドアを見つめていた。

一方の誠は、資料室を出てからもみちの事を考えていた。

たった一瞬、手が触れただけなのに。

“彼女の笑顔、彼女の体温、彼女の全部が一気によみがえった”

“忘れてなんかいなかった”と、思い知らされる。

楓のため、夫婦のために、自分に言い聞かせてきたが、誤魔化しきれない。

みちと会ってドキドキし、もっと話したかったし、本当はさよならなんて言いたくなかった。

“バカだな俺。気づくの遅いよ…”と、うなだれた。

その頃、楓は料理を作って誠のこと待っていたが、その料理はすでに冷めてしまっていた。

帰りが遅い誠を待ち、”どうかしたのかな”と寂しそうな楓だった…。

第78話(2023/02/07)

複雑な気持ちのまま、楓の待つ自宅に帰った誠。

誠が帰宅したことに、ホッとした楓だった。

だが、約束のワインを買い忘れていたり、どこか様子がおかしいと気付いてしまう。

「…何かあった?会社であの人となにかあった?」

泣きそうな表情の楓に、誠は”退職の挨拶だけをした、ごめん”と、申し訳なさそうに話す。

「それだけ?」

誠の表情を見て、”洗濯物をする”と言い脱衣所へ。

ドアを閉め、大粒の涙を流した。

ちょっとした動揺も、行動や言葉の変化で分かってしまう。

“夫婦ってわかりすぎて、嫌だ…”

ドアの向こうで楓が泣いていると気付いていたが、誠は声をかけることができなかった。

翌日、出社したみちは華に朝の挨拶をする。

“イヤイヤイヤ!昨日新名さんとどうなったの!?”

内心はそう思っている華でしたが、誠の転職について触れるも、結局みちも何も話さない。

また資料室へ行くことになり、そこで誠から言われた”さよなら”という言葉を思い出していた。

“あまりにも突然であまりにもあっけなくて。陽ちゃんの電話がなかったら私、新名さんを追いかけていったかもしれない”

そして、昨日の陽一の電話は”離婚届を渡したい”というものだった。

陽一のことも誠のことも、心がついていけてない。

資料室の資料に触れながら、”どんなに探しても、新名さんはいないんだ”と思う。

二人で会うことはなくても、仕事以外で言葉を交わすことがなくても、近くにいると感じられて安心できたのに。

誠は”心の拠り所だった”のだ。

誠がいなかったら、きっとレスの問題に正面から向き合えなかったはず。

“新名さんがいたから私、強くなれたんだ”

目に涙をにじませながら、資料室を出るみち。

そして、”これからは一人で頑張るんだ”と決意。

誠とのことは”全部思い出にしよう”と思い、今向き合うべきは”陽ちゃんとの夫婦の関係のこと”だと感じていた。

「さようなら、新名さん」

第79話(2023/02/21)

みちとの別れを、ついに決意した陽一。

待ち合わせ場所に向かいながら、引きこもっていた間にすっかり秋になっていたことに驚く。

さらに、みちがもうすでに一人暮らしを始めていたことにショックを受けていた。

カフェで先に待っているとみちがやって来るが、よそよそしい雰囲気の二人。

少し話した後、記入済みの離婚届をみちに渡す。

「ありがとう」

陽一はそこで、”…そっか、みちにとっては’ありがとう’なんだ…”と思う。

「ごめんな」

“自分の言動がみちを傷つけていたんだと、やっと気づいた”と話した。

「陽ちゃんに辛い思いさせてたよね。ごめんね」

そして、みちは”離婚届を明日出す”と伝える。

そう話すみちの薬指には、もう指輪はない。

そのことに気付いてしまった陽一は傷付き、先に席を立った。

「俺と結婚しなきゃよかったな…無駄な時間過ごさせてごめん」

店を出て、”自分が相手じゃなかったら、レスにもならず傷付くこともなかったはず。子供を産んで幸せな家庭で、みちは笑っていられた”と考えていた。

“みちの笑顔が一番好きだったはずなのに、それを奪ってたのは俺だった”

逃げるように全力で走り、しゃがみこむ陽一。

泣きそうな表情で”みちの前でこんな顔しないでよかった。せめて最後くらい格好つけたかった”と、思っていると…。

後ろから、みちの声が聞こえた。

 「陽ちゃん!」

みちが追いかけてきていたのだった…。

第80話(2023/03/07)

追いかけてきたみちに気づき、何事もなかったかのように涙を隠した陽一。

「何?どうしたん?」

みちは、陽一と結婚したことも、過ごした5年間も”無駄なんかじゃないよ”と伝えた。

今の自分がいるのは陽一と出会ったから。

“悲しみも辛さも知ったけど、知れたから強くなれた。自分の気持ちを伝えられるようになったのも、一人になることを恐れずに前に進めたのも、全部全部陽ちゃんとの5年間があったから”

「陽ちゃんとの思い出は消えることはないよ。陽ちゃん、私と結婚してくれてありがとう」

涙が止まらない陽一。

「…ごめん…みち…誰よりも愛してたのに。抱きしめてやれなかった」

歩き始めるみちと、手で顔を覆い座り込む陽一。

“愛し合ってたのに。嫌いになったわけじゃなかったのに…。どうして?なんで?いくら悩んでも、いくら歩み寄ろうとしても、上手くいかなくて。たかが’レス’そう言われても、私たちは一緒にいることができなかった”

第81話(2023/03/20)

ー新名家ー

誠が退職した翌朝。

暗い表情でソファーに座る誠と、泣きはらした目の楓。

「おはよう」

声をかけたものの、避けるようにリビングを去った楓。

“今でも誠は、あの人を想ってる”

出社したもののミスばかりしてしまう楓を心配した部下が、楓の同僚・川原に助けを求める。

そして、ランチに誘った川原は妊娠して大きくなったお腹を擦りながら”…産まれたら見にきてよ、誠くんと”と伝えるが、”…うん”という曖昧な返事の楓。

心配する川原は、編集部のみんなから”楓に何かあったのか”聞かれたことを話す。

みんなにバレていたことを聞かされ、ショックを受ける楓。

そんな楓に、川原は”もしかして前に言ってた人と誠くん、何かあったの?”と聞く。

まさか川原からそんなことを聞かれると思っていなかった楓は、うつむくしかなかった。

「もう別れたら?どうしてそんなに我慢しているの?自分を保てないほど耐えて、心を壊してまで一緒にいることになんの意味があるの?」

その言葉を聞き、ハッとする楓。

自分は”我慢していたんだ”と、気付かされる。

“誠と戻ることばかり考えていた。でも私どうしてこんなに誠に執着しているんだろう。気付かなかった。私の頭になかった。そっか、手放してもいいんだ…”

第82話(2023/04/04)

ここにきて、初めて”誠を手放す”という選択肢に気付かされた楓。

“でも本当に手放せる?”

悩むと同時に、”どうして私は誠から離れられないのー…”とも思っていた。

仕事を終え帰宅すると、誠が待っていて”話がある”と言われる。

ドキッとするが、”転職先の営業部の部長が部の家族を集めて親睦会をするから、奥さんもどうか”と誘われたという。

誠は、忙しい楓のことを気遣い”親睦会に行くから日曜はいない”と、伝える。

“わざわざそんなこと言ってくれるってことは、まだ夫婦でいてもいいってこと…?”

「それ、私も行っていい?」

日曜日、親睦会に参加することにした楓は、誠と部長宅を訪ねた。

挨拶を終えた誠の元には、子供が寄ってきて”一緒に遊んで”と大人気!

仕事に行かなければならない楓は、挨拶をしてその場を出た。

帰り際、誠と部長の妻の会話が聞こえる。

「でも大変ね、せっかくのお休みなのにね」

“いくら共働きが増えても私は特殊なんだ。家庭より仕事に重きを置いてる女。だからー、誠の気持ちが離れていったのよね”

その時、部長の妻に対する誠の声が聞こえてくる。

「僕は、彼女にずっと仕事をして輝いてほしいので。だから僕たちはこれでいいんです」

誠の言葉に、気持ちを再確認する。

“誰よりも私を理解してくれる誠が好き。子供に懐かれて楽しく遊ぶ誠が好き。誰にでも優しい誠が好き。簡単でシンプルな答え。私が誠から離れられないのは。あなたが好きだからー…”

第83話(2023/04/18)

あれから出社した楓は、誠の“彼女にずっと仕事をして輝いていてほしい”という言葉を思い出していた。

そんな時、編集長から声をかけられ”雑誌・フラワーがリニューアルすることになり、それに伴い編集長を交代することになった”と言われる。

そして、楓は新しい編集長に推薦された。

嬉しくも驚きを隠せなかったが、すぐに返事はできない。

帰宅すると、誠はすでに寝ていた。

目標だった、編集長。

“でも、このまま続けていいのかな?”

“やるなら精一杯やりたい。だけど編集長になったら今以上に忙しくなる。今以上に家庭を顧みなくなる。今の状態でそんなことになったら…”

自分の元から去っていく、誠しか想像できなかった。

そして誠は、会社で部長に声をかけられ、妻の発言について謝罪される。

だが、ずっと頑張ってきた楓を見てきたからこそ”自分たち夫婦の形を否定された気がして黙っていられなかった”と、思っていた。

“俺はこの関係に納得していたはず…なのにどうしてー…”

これまでの、自分たちを思い出す。

仕事が忙しい楓の為に家事をこなし、時間があれば2人で過ごせる時間を作ってくれると…。

“でも、俺がやればやるほど、君はー…”

部長の奥さんが言っていたことは、正しかったのかもしれない。

“君と一緒にいたかった。君と気持ちを共有したかった。君と触れ合いたかった。楓を支えることが俺の幸せだったのに…。結婚して分かったのはー…、いつの間にか見返りを求めてしまっていたこと”

その後、出版社にて。

突然「編集長」呼びされ驚く楓だったが、後輩の横井は楓が編集長になるということを喜んでいた。

しかし、”まだ正式に返事をしていない”という楓。

だが横井は、みんなが”新名さんしかいない”と言っていたと伝える。

「私たち、ついていく準備はできてますから!」

その夜、いつもより早く帰宅し誠に”編集長にならないか”と打診された事を話す。

「本当は受けるべきじゃないと思う。今の自分たちの状態でこれ以上忙しくなったら、二人の時間がなくなってしまう」

俯いて話す楓。

「誠を失いたくないなら断ればいいと思う。思うのに、私このチャンスを逃したくない。矛盾してるってわかってる。わかってるの、わかってるのに…。結局変わることが出来なかった」

“どんなに誠を失いたくないと言ったって、誠より大切なんだ。仕事が、自分がー…”

「変わる必要はないんだよ」

何よりも仕事を大切にしている楓のことを理解してプロポーズしたのに、困らせてしまった。

現に今も、編集長になることを悩ませていることを謝る誠。

「謝らないで誠は悪くない」

“誰も間違ってない、仕事も家庭もどっちも大切だから。なのにどうして上手くいかないのー…?”

第84話(2023/05/02)

お互いの思いをぶつけ合った翌日、会社で誠に”謝らなくていいことを謝らせてしまった”と、落ち込んでいた楓。

“でも”

編集長に話しかけ、会議室に移動した楓。

「昨日の編集長の件なんですけど、是非お受けしたいと思います」

編集長は、”あなたなら受けてくれると思ってた”と言い、”いい顔ね。自信を持ちなさい。誰でも出来ることじゃない”と伝えた。

一方の誠は、楓と話し合ったことで”お互い、もう一緒に歩めないかもしれないって、気付いてしまった”と思う。

“男としての愛情はなくなってしまったけれど。君を人として尊敬する気持ちは、変わってなかった。きっとこれからもそれは変わらない”

そして、楓は仕事中に担当している作家から”子供や夫との時間を持ちたいから仕事をセーブする”という連絡をもらう。

“自分よりはるかに忙しい人でさえバランスをとって家族の時間を大切にしてるのに…”

落ち込む楓。

帰り道でも、悶々と考えてしまう。

“最初から同じ想いを持った同士で結婚できたらよかったのに。そしたら誠は
苦しまずに済んだ?”

“もっと家庭的で仕事人間じゃなくて、誠の優しさに釣り合うようなそんな女だったらー…。もし私じゃなかったらー…”

楓の目には、誠の横から自分が消え、誠とみちが寄り添う姿が浮かぶ。

“ドクン”と胸が鳴り、その場で涙してしまう。

果たして、誠の隣にふさわしいのは…?

第85話(2023/05/16)

朝、誠のアラームが鳴り横では眠る楓の姿が。

一瞬目覚める楓だったが、”おはよう、寝てていいよ”という言葉に、また眠りにつく。

“楓も俺も答えは出てる。もうこれ以上は互いを苦しめるだけだ”

あとは話をするだけだったが、その一歩が踏み出せないでいた。

楓は会社で川原から”編集長おめでとう”と、祝福される。

「新名は全力でやってのけてよ。私は全力で子育てするね」

「…うん」

一方、誠の会社には育児休暇中の女性社員が子供を連れて挨拶に来ていた。

子供を見て考える。

“ー…もし、子供を持ったらきっと、楓は夢を全力で追うことは出来なかっただろう”

帰り道、ふとした看板が目に止まる。

“君の夢を応援したいと思いながら苦しんだと思う。俺はどんな時も向き合いながら生きていきたいんだ。喜びも苦しみも全てを夫婦でー…”

見てる道が違っただけなのに、と涙する誠。

そして、楓に誠からメッセージが届く。

“俺たちのこれからの事で大事な話がしたい。時間とれるかな?…”

第86話(2023/06/06)

喫茶店で待つ楓の前に現れたのは、兄。

挨拶をし、”で、どうしたの?”と尋ねてくる。

何かあったのか心配する兄に、編集長になったことを伝えた。

そして…。

「誠と離婚すると思う」

「…そっか」

法事の時から勘付いていた兄は、両親の反応を気にする楓にこう話す。

「お前が離婚しようが、俺たちにとっては大事な家族だから。あんま自分を責めんなよ」

兄の言葉に救われた楓は、誠に“わかった。土曜日なら7時過ぎに帰れそう”と返信した。

そして、土曜の夜ー。

誠に会う前に、美容室で髪をセットし帰宅する。

”凜とした姿を誠に焼き付けたい。美しい妻だったと忘れられないように…。これが私の女としての最後のプライド”

帰宅すると、ソファーで待つ誠の姿が。

”今日は何かパーティーだった?”と、すぐ髪型に気付いてくれた。

嬉しい楓。

しかし、そんな日常もつかの間、ソファーに座った楓は左手の薬指から結婚指輪を外し、テーブルに置く。

「…やっと、外せた」

”ずっとずっともうダメかもって思いながらも、修復したくて頑張ってきたから”

「その気になれば、仕事と家庭を両立できると思っていた。でも、自分だけの家事と、誰かのための家事は全然違った。あんなにしてもらったのに、勝手にプレッシャーを感じてた」

”誠が二人のために、たくさん時間を作ってくれてたのに。それなのに、その時間を大切にできなくて、ごめんね”

両立なんてできなかったのに、そんな自分を認められなかったと、謝る。

「幻滅した?」

誠は悲しそうな表情で、首を横に振った。

「うそ…。今まで情けない姿や見られたくない姿をいっぱい見せた」

男に振り回されて、ボロボロになって、もうダメだってわかってるのに、しがみつく。

自分が一番嫌いな女性像そのものだった。

でも、楓は泣き出しそうな顔でこう伝える。

「…それでも、誠と夫婦でいたかったの。気付いてた?こんなにもあなたが、好きだったって」

87話は漫画アクションにて、2023/06/20に掲載予定です!

【あなたがしてくれなくても】原作まとめ

まだまだ連載中で、みちも誠も離婚となりそうですが、果たして2人は結ばれるのでしょうか?

どのような結末になるのか楽しみです!

放送中は漫画アクション最新話の方も追っていけたらと思っています!

 

以上、ドラマ【あなたがしてくれなくても】原作漫画のあらすじネタバレを、紹介しました。

* ドラマ【あなたがしてくれなくても】は4月13日からフジテレビ系にて、毎週木曜日22時から絶賛放送中!

出典:双葉社 公式HP

あなたがしてくれなくても 原作2

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