映画【ザ・フライ】のネタバレと感想!あなたはハエになった人を愛せますか?
映画「ザ・フライ」は1986年のアメリカで制作されました。
研究中にミスを犯して「ハエ」になってしまった悲しい男を描いた映画で、監督デヴィッド・クローネンバーグは人間からハエになる過程を生々しく表現しました。
「ヴィデオドローム 」や「スキャナーズ」などでキワドイ描写を連発してきたカナダ人監督デヴィッド・クローネンバーグですが、「ザ・フライ」でもエグさは健在です。
今回はそんな「ハエ男」の運命を描いた映画「ザ・フライ」を「ネタバレ」「感想」「あらすじ」などで紹介していきます!
映画【ザ・フライ】の作品情報
制作国:アメリカ
制作年:1986年
監督:デヴィッド・クローネンバーグ(ヴィデオドローム ・スキャナーズ、ザ・ブルード 怒りのメタファー 他)
キャスト:ジェフ・ゴールドブラム、ジーナ・デイヴィス、ジョン・ゲッツ、レスリー・カーソン 他
上映時間:95分
ジャンル:ホラー、SF映画
受賞:第59回アカデミー賞 メイクアップ賞受賞、第14回サターン賞 ホラー映画賞受賞 他
映画【ザ・フライ】のあらすじ
科学者のセスは記者のベロニカに開発中の物質転送装置を公開する。生物の転送実験で失敗が続くが、やがてセスは自らの体を転送することに成功。しかもその後、彼の体には驚異的な活力が備わる。セスは、転送装置に一匹のハエが紛れ込んでいたこと、そしてそれが転送後にセスの体と遺伝子レベルで融合したことを知る。彼の肉体はみるみる変化し、ついには惨たらしい姿に……!
物語は若干20歳でノーベル化学賞の候補者にも上がった過去を持っている天才科学者セス・ブランドルと美しきジャーナリストのヴェロニカ・クエイフを中心に描かれていきます。
映画を通して視覚的にキツイ場面が盛りだくさんですが、アカデミー賞メイク部門受賞もうなづける気持ち悪さです。
映画【ザ・フライ】のネタバレ
これより下はネタバレになります!
映画内の展開、細かい内容を含めてラストまで紹介していきます!
前半部:ヴェロニカとの出会いとハエとの出会い
多くの科学者が集まるパーティー会場で天才科学者セス・ブランドルはパーティクル誌の編集長から派遣された女性ジャーナリスト、ヴェロニカ・クエイフに出会います。
セスはヴェロニカに対してとんでもない実験をしているから是非研究所に来ないかという提案をします。
半信半疑のヴェロニカが連れて来られた場所は倉庫のような建物の中にある研究所でした。
そこには人はおらずセス1人が実験を行っていました。
早速、セスは世紀の実験の内容を彼女に話します。
その実験とは「テレポッド」という自前の機械を使って「転送=テレポーテーション」を行うというものでした。
ヴェロニカは電話ボックスのようにデカイだけの装置だと思い込み、未だに信じようとしません。
そこでセスは彼女に実験をしてみせます。
片方の装置にヴェロニカの靴下を置き、コンピューターで隣の同じ装置の中に移すというものです。
実験は成功し、世紀の開発を生で見たヴェロニカは興奮気味にテープレコーダーを回し始めます。
しかし、セスはまだ実験段階だから世にで出るのはまずいと止めさせます。
記者でもあるヴェロニカはそれに反対し、隠して撮った音声をそのまま持ち帰ります。
次の日、編集長でヴェロニカの元カレでもあるステイシス・ボランズに一部始終を報告します。
しかしステイシスはセスの実験をただの手品だと一蹴します。
そこにセスが訪れます。全く取り合ってもらえなかったことを聞いて喜んだ彼は彼女を昼食に誘います。
チーズバーガーを食べながらセスはヴェロニカに対して、研究所に張り込みで取材して本を書くよう促します。
セスの提案を受けた彼女は早速ビデオカメラを持ち込んで取材を敢行します。
早速、彼女の前で新しい実験に取り掛かるセスは、靴下のような無機物ではなく、生物=有機物を転送しようと試みます。
片方のテレポッドに置かれた一匹のヒヒはコンピューターによってもう片方のテレポッドに移されます。
しかし扉を開けるとそこには表皮が裏返った見るも無残な姿がありました。
これはセスの課題でもありました。
対象物を細胞レベルで解体し、また再構成するという転送の一連の流れの中で、コンピューターが複雑な構造の生き物を認識できないという問題に直面していました。
彼は落ち込みますが、めげずに考えを深めていきます。
そんな研究に一途な彼にヴェロニカは惚れてしまいます。
いままで研究のみにしか人生を費やしていなかったセスにとって「愛情」というのがどんなものなのかということに気づきます。
セスはそれをヒントに”肉感”をコンピューターに教え込みます。その肉感というのは生き物にしかない特徴でした。
そして彼はついに有機物の転送に成功します。
実験の成功を祝って、2人で旅行に行く計画を立てたり、シャンパンを飲んだり喜びに浸っている中、ヴェロニカは一通の封筒が研究所に送られていたことを知ります。
中を確認するとセスの実験が書かれた冊子が入っていました。元カノのヴェロニカを取られたと妬んだ上司でもあるステイシスの仕業でした。
彼女は過去を清算するべく、ステイシスの元に向かいます。
祝い事の最中に事情も説明せずにその場から立ち去ったヴェロニカに別の男がいることを疑ったセスは躍起になってシャンパンをカブのみします。
酔ったセスは、今すぐに自分の身体で実験の成功を証明するべくテレポッドに入り込みます。
しかし、そこに入り込んだのはセス1人だけではありませんでした、一匹のハエが入り込んでしまったのです。
それに気づかないセスは片方のテレポッドに転送されます。
白い煙の中から出てきたのは、何も変化のないセス本人でした。彼は真の成功だと確信し喜びます。
その日の深夜、ヴェロニカは執拗にストーカーを繰り返すステイシスに対して、もうとっくに男女の関係は終わっているということを伝えて研究所に帰ってきました。
セスに事情を説明し、彼の誤解を解きます。
安心したセスは眠りにつきますが、しばらく経つと彼は一匹のハエを手につかんでいました。
なにかを感じたセスは、研究所にある鉄の棒を使って体操選手顔負けの回転や着地を何度も成功させます。
セスは信じられない力を手にしました。
後半部:天才科学者の悲しすぎる結末
仲睦まじく旅行を楽しむ2人でしたが、突然饒舌になったり、尋常じゃない量の砂糖をコーヒーに入れたりするセス。さらにセスの背中にはとても硬い毛が数本生えていました。
そして異常な程精力が増したセスは、自分のこうした変化についていけない彼女に不満が爆発します。彼はヴェロニカも自分と同じように進化させようとテレポッドに入れようとします。
それを断ったヴェロニカを「出ていけ!」と罵り、他の女を漁るために街に出てしまいます。
彼は一件のバーで女の取り合いをしている大男二人組を見つけます。
100ドルを掛けて腕相撲をして、勝ったら女をもらうという条件を男に打診し、勝負がはじまります。
圧倒的な力を持つセスは男の腕をへし折ります。そのパワーはとんでもないもので、手の骨が外に突き出るほどでした。
女を研究所に持ち帰ったセスはヴェロニカと同じようにテレポッドに入れようとします。
しかし女は抵抗します。そこにヴェロニカが悲しい表情で登場します。
彼女は実験後に変わってしまったセスを心配して彼の毛を秘密裏に検査していました。
それは人間のものではなく、昆虫のものだったという衝撃の事実を彼に伝えます。
その事実を受け入れられないセスは再びヴェロニカを罵り、追い出します。
号泣するヴェロニカは悲しみに暮れて研究所を後にします。
しかし流石にその変化に疑いを持ち始めたセスは洗面所で自分の顔を確かめます。
そこには浅黒いシミが出来ていて、剛毛が何本か生えていました。
そして自分の爪をいじりだすと、ポロっと剥がれてしまいます。
セスは、明らかに変化し始めた自分の身体の原因を調べ始めます。
ここで彼は初めて自分を転送していた時にハエが混じってしまって、遺伝子レベルで融合してしまった事実に気づきます。
4週間後、ヴェロニカの元に電話が入りました。それはセスから助けて欲しいというお願いの電話でした。
ヴェロニカは久々に彼の研究所に入るとそこは甘い物で溢れていました。
そしてセスの変わり果てた姿に彼女は驚きます。
杖を付いて、顔の皮膚が硬直していました。
そして彼は胃液を使って食べ物を食べだしました。
その姿を見て一種の憐れみを感じたヴェロニカは彼を助けようと決断します。
彼女は編集長ステイシスに相談を持ちかけます。
彼は、それが病気で移るかもしれないんだから近づくなと忠告しますが、彼女の強い意志から力を貸すことを承諾します。
そこで現状をステイシスに伝えるため、ヴェロニカはカメラを持って再びセスの元へ向かいます。
しかしそこにはさらに変わり果てたセスがいました。
全身の皮膚が硬直し、顔も身体も人間のものではなくなり始めていました。
さらに彼は生活の大半を天井に張り付いて過ごしていました。
そういった様子の録画を見たステイシスは驚愕します。
しかし、その後ろで泣きじゃくるヴェロニカがいました。
ステイシスが彼女に問いかけると衝撃の事実が発覚しました。
なんと彼女は妊娠していたのです。どうすればいいかわからないヴェロニカは絶望に暮れます。
ある時、彼女はステイシスと一緒に病院を訪れていました。
分娩台に寝るヴェロニカは今まさに出産を迎えようとしていました。
産婦人科医が生まれた子供を受け取るとそれは巨大なハエの幼虫(蛆虫)でした。
騒然となる現場で叫び散らすヴェロニカ。
しかし気がつくとそこは自宅の寝室でした。
夢に出るほどノイローゼになった彼女はセスに打ち明けるために再び出向きます。
醜く、人間の面影を失ったセスを見て彼女はついに限界を迎えます。
子供を身ごもったことを打ち明けることもなく、外で待っていたステイシスに「あんなのが腹にいるなんて耐えられない」とついに本音を言ってしまいます。
しかし、セスはその一部始終を屋上で聞いていました。
すぐに医者の元へ向かい手術をお願いし、手術着に着替えようとすると、ガラスを破ってセスが入ってきました。
彼は自分の子供を殺そうとするヴェロニカを連れ去りました。
この緊急事態にステイシスはついにショットガンを担いで研究所に踏み込みます。
しかし、すぐに奇襲を受けてしまいます。コケたステイシスの片手を口元に運んだセスは胃液を噴射。
彼の手が骨まで溶け出します。追い打ちをかけるように片足にも胃液をかけます。
トドメをさそうとした瞬間、ヴェロニカが止めに入ります。
セスは彼女の元に向かうと、1つの計画を打ち明けます。
それはブランドル・ハエ計画というもので、テレポッドを使って、セス-ヴェロニカ-子供を融合することで一体化しようという試みでした。
セスは早速、ヴェロニカをテレポッドに入れ込もうとします。抵抗する彼女の手が口元に当たると口部分がボロっと落ちます。さらに皮膚が剥がれだして、身体から足が生えてきます。
ついに彼はハエと化してしまいました。
叫び散らす彼女を無理やり押し込み、自分もテレポッドに入ります。
あと数秒でお互いの子供を含む3人の身体が融合されそうになると、意識を取り戻したステイシスがショットガンでテレポッドを故障させ、ヴェロニカを外に出します。
急いで出ようとするセスですが、彼は転送されてしまします。
転送が完了したセスは壊れた装置の部品と融合されていました。
身体に組み込まれたコードや部品を引きずって彼はヴェロニカの方に向かいます。
彼女は銃を向けますが、苦しみ悲しむセスを見て銃をおろします。
泣きじゃくる彼女の元に到達したセスは自分を殺すよう、銃を頭に押し付けます。
そして、ヴェロニカは切なる思いを受け入れて、変わり果てたセスを打ち抜きました。
感想:あなたはハエになった人を愛せますか?
実験ミスのせいでハエになってしまうという物語からSFホラー映画色がかなり強い作品ですが、一種の悲しいラブストーリーという面もあります。
研究一筋だった科学者の人生に1人の女性が現れ、熱烈な愛情を抱くようになります。
そしてハエになり醜い姿になっても、彼女を愛し続けることはやめませんでした。
しかしセスは愛するがゆえの葛藤を持ったまま極端な行動に走ってしまいます。
彼女は変わり果てたセスに対して変わらない愛情を抱こうと努力します。
しかし、彼との間に子供ができ、醜い我が子が生まれてきてしまうのではないかという絶望的な問題に向かい合わなければなりません。
セスの計画を阻止したストーカー男は彼女に一生の借りを作ったことを口実に再びまとわりつくのでしょうか…。
もしかたら愛するセスと子供と三人で同化したほうが幸せだったのかもしれません。
過激なゴア表現やハエになっていく過程は観ていて苦しいですが、一番苦しいのは彼女のこの先だと思えました。
このように先読みをしてしまうほど心にシコリが残る映画です。
実はこの映画には続編があります。
実際、彼女がどうなったのか子供がどうなったのかも描かれています。
是非、その目で確認してみてください!
https://twitter.com/ItNyant/status/984564261958467584ザフライ見返したら、こんなに怖くこんなにキモくてこんなに悲しかったけ。むしろキモいことが悲しい。老いてく肉体と意識や他者との関係に近いのかな。身に染みる。傑作
— mountain (@inunekotakk) July 22, 2017
8.ザ・フライ
トラウマ注意!な作品。とにかくグロい、遺伝子レベルでハエと融合してしまった主人公セスが身も心もハエになっていく過程がおぞましい。そんなセスを支え愛してしまうヒロインとの悲恋、ラストは泣けました。グロい、けど泣ける。クローネンバーグ監督が世に送り出した名作です。 pic.twitter.com/SFjIDYwvpD
— REA (@REA_rebirth) October 10, 2018
まとめ
今回は悲しきハエ男の恋愛事情を描いた「ザ・フライ」を紹介しました。
全力でおすすめしたい気持ちもありますが、キモい表現も多々あり、かなりグロテスクな映画です。
特に昆虫が苦手な人は避けるのが先決です…。
記事内画像出典:IMDb
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