映画【天気の子】の評価とネタバレ感想レビュー!新海誠監督が描くラストが大胆!?
映画【天気の子】の評価とネタバレ感想レビュー!
新海誠監督の最新映画『天気の子』が2019年7月19日に公開されました。
前作『君の名は。』(2016)が興行収入250.3億円を記録して新作にも期待が高まる中、公開から3日間の集計で『君の名は。』との興収比128.6%というロケットスタート!
しかしネット上の評価では、賛否あります。いったい何が起こっているのか。
今回は映画【天気の子】の評価とネタバレ感想レビューについて。
映画【天気の子】とは?
映画【天気の子】は、「君の名は。」の新海誠の3年ぶりとなる劇場用長編アニメーション。
公開日は2019年7月19日。
試写会を行わない異例の作品であり、直前まで編集し公開となった作品。
新海誠監督は結末が受け入れられるか不安もあると語りますが・・・。
あらすじ
「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、
怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らすその少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。
映画【天気の子】の評価
映画【天気の子】の評価は賛否ある印象ですが、期待の表れか、興行収入は前作【君の名は。】を上まわっています。
評価①:興行収入公開3日間は「君の名は。」超え!
新海誠監督の最新作「天気の子」が、前作「君の名は。」を超える大ヒットスタートを切った。
(中略)
19日より全国448スクリーンで公開され、土日2日間で動員83万人、興収11億8500万円を記録した。これは2016年8月26日から公開され、動員1928万人、興収250億3000万円の歴史的大ヒットを記録した「君の名は。」の興収比127.4%。公開3日間では動員115万9020人、興収16億4380万9400円を稼ぎ出し、興収比128.6%となっている。興収100億円超えは確実で、今後「君の名は。」の興収にどれだけ近づけるかに注目が集まる。
評価②:各レビューサイトの評価は?
批判の声は目立つものですので、客観的な情報として各映画レビューサイトの評価をみてみます。
映画レビューサイト「COCO」では、満足度83%!
80%台って高い数値ですが、集計が独特なので調べてみました。当該サイトでは以下のように説明しています。
coco映画レビュアー満足度の計算方法は?
Aさんが「良い」を2ツイート、Bさんが「良い」「普通」をそれぞれ1ツイート、Cさんが「悪い」を2ツイートした場合、Aさんの満足度を2/2pt、Bさんの満足度を1/2pt、Cさんの満足度を0/2ptとし、これを足した1.5ptを投稿者数である3で割った50%となります。
出典https://coco.to/help
ネットの熱を加味した「視聴熱」のようなツイッターの熱を数値化しているようです。面白い試みですが、ひとりの人(または少人数)が良いと思って何件もツイートする熱心さも加味されているのでご注意を。(もちろんその熱は反映されますが。)
映画レビューサイト「filmarks」の評価は3.9点(5点満点/採点者の件数不明)。
YAHOO!映画の評価は3.89点(5点満点/3285件で採点)。
「映画.COM」での評価は3.8点(5点満点/574件で採点)
どのサイトも80%や5点満点で4点前後で、比較的高い評価です。
ただし集計数の多いYAHOOを例にあげると、4点以上の映画もたくさんあります。(例:「アラジン(2019)」4.32 点 / 評価:4,836件、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」4.10 点 / 評価:2,367件など。)
そういう意味では興行収入ほど高評価ではないのかも?
(レビューサイトの掲載順は順不同、点数は2019年7月23日AM1:00時点の情報です)
映画【天気の子】のネタバレ感想レビュー
『天気の子』のネタバレあり感想レビューをココからお伝えします。
※ネタバレ注意※
『天気の子』のネタバレ
『天気の子』の結末からネタバレしましょう。
天気のみこ(巫女・神子?)である陽菜(ひな)が人柱にならない決断をした。
そのため3年間、東京に雨が降り続けて、3分の1が水没。
帆高(ほだか)は高校を卒業して保護観察が終わり、東京で陽菜と再会する。
ラスト、祈る陽菜に「大丈夫」と帆高が告げる。
『君の名は。』と同じ男女が再会するシーンで終わりますが、再会に至る過程は違います。
この男女は世界のカタチを、文字通りに地形を変えてしまったのです…。
しかも帆高・陽菜しか知らない秘密だという、トンデモナイ結末。
その点で賛否ある作品になってしまうかもしれません・・・。
『天気の子』の感想
『天気の子』を筆者(Jima)が観た感想は、
「面白かったです。でも批判あるだろうな。ちょっと人柱の運命が説明不足かな。というか『君の名は。』に似てるな。でも大胆なメッセージ、好きだな」
口語体にしてみたのですが、伝わったでしょうか。
以下で、ひとつずつ説明していきます。
ネタバレ感想レビュー①面白かった理由
先に「面白かったです」と記しました。
理由のひとつは、映像が良かったからです。もちろん音楽も良いのですが、個人的に過剰かなと思います。これは『君の名は。』でも思いましたので好みの問題です。
特に雨の描写に引き込まれます。日テレの情報番組「スッキリ」でもMCの加藤浩次が雨の描写に触れて絶賛していましたが、同感。
『天気の子』は、ほぼ全編に渡り、雨が降っています。梅雨明けの遅い2019年にピッタリかも?
ネタバレ感想レビュー②「批判あるだろうな」の理由
続いて「批判あるだろうな」と記したことについて。
理由のひとつは、先述した結末の選択です。
そしてほかの理由は…
豪雨被害者は見るのがつらいかもしれない、と思うことです。
先に述べた結末ネタバレでも明かしましたが、東京の1/3が海に沈没。3年間も雨が降り続くのです。
『君の名は。』で彗星による大災害を描いた新海監督。
今回は、異常気象・雨が題材。フィクションですし、雨での土砂崩れ・人が流されるというシーンがあるわけではないのですが、苦しくなる方には注意が必要な作品です。
ネタバレ感想レビュー③「人柱の運命が説明不足」について
レビュー3点目として、「人柱の運命が説明不足かな」と述べた件について。
ヒロイン・陽菜は都市伝説「100%晴れ女」であり、そうなった理由も劇中で語られています。
平たくいうと、危篤な母に青空を見せたいと鳥居があるところで祈ったことで得た、神様の力のようなもの。
特殊能力はまだ許せるとして、唐突に中盤に明かされる「人柱」の運命は、
オカルト雑誌のライター・須賀圭介(小栗旬)が取材する中で説明はあったのですが、初見では分かりにくい。
一体なんだと個人的には思ってしまいました。なぜ天気になるのに犠牲になる必要が…。(そういう伝承はあるよとはいえ…。)
『君の名は。』での時空がズレた男女入れ替わり現象もファンタジーなのですが、そこにはカタワレ時、口噛み酒、御神体などのアイテムがありました。
『天気の子』は説得力が欠けると思います。天井の絵とか祈り、神社での説明がキーなのでしょうけど、やや強引。
小説版で詳細説明が仮にあったとしても、映画は映画で説得力がもっと欲しかったです。(私の理解不足かもしれません。つまり理解した鑑賞者もいるでしょう)
しかし実は『天気の子』は説明不足な点が多いのです。
例えば「帆高の家出の理由が不明。しかも頑に帰ることを拒んでいるのはナゼ?(頬の傷が関係?)」「圭介の過去の家庭事情もあまり説明なし」「亡くなった陽菜の母の様子もあまり語られない」など。
あえてそうした意図があるのでしょうけど…。
ネタバレ感想レビュー④「君の名は。に似てる」理由
先に「君の名は。」に似てると述べたのは、印象的にもそうなのですが数点、具体的にあげると・・・
- ボーイ・ミーツ・ガールの設定
- 町を飲み込む大きな災厄
- 神頼み
- 最後に男女が再会
とにかく男女がW主演のような形式なので、そこから似ているのです。
けれど、このレビューを書くにあたり、映画を振り返ると、テイストが違うと気づきます。
明と暗であり、『君の名は。』のポップな感じと比べたら、喪失を抱えた人たちが多いダークなのが本作『天気の子』。(一応、コミカルさも中盤あります)
新海監督の前々作『言の葉の庭』の先生は味覚障害になる程、追い込まれた人物であり、人気作『秒族5センチメートル』では男女の切ないすれ違いを描いたので、暗い作品も新海作品なのでしょう。
ただし、男女の再会のラストは「同じやん!」と突っ込んだ人も多いのでは?
ネタバレ感想レビュー⑤「大胆なメッセージ」で好き
先に「大胆なメッセージ」があり「好き」と感想で述べました。
『天気の子』の結末は、解釈が賛否、色々とあるでしょう。
「大胆だな」と私が思うのは、美徳といわれる「自己犠牲の精神」を否定したからです。(そんなつもりはないと監督は言うかもしれませんが…)
大義のための死は貴いとされてきました。太平洋戦争の「お国のために…」という価値観もそうです。
しかし、主人公2人は世界のカタチを変えてしまっても、自分が望むように生きると選択します。
「この映画好きだなあ」と私が思うのは、大事な人を守るという大切なことを教えられたからです。
批判を恐れずに制作した新海監督の挑戦心も買いたいです。
なお劇中、3年つづく雨はやみません。リアル世界の災害を想起しますが、理不尽なことのメタファーとも感じます。
おそらく監督はラストシーンの台詞「大丈夫」に、若者への想いとして、激励のメッセージを込めたことでしょう。
「もともと世界は狂ってる」「(東京はほとんど海だったから)元に戻っただけさ」という劇中の台詞もあります。
狂った世界でも人は「大丈夫」と解釈して、前を向きたいもの。雨が降っていても大丈夫…そう思いたいラストです。
映画【天気の子】のまとめ
以上、映画『天気の子』の評価とネタバレ感想レビューを述べてきました。
ひとことでまとめると、世間的には5点満点中4点くらい。しかし個人的には「面白い」。
という、あいまいな評価です。
実は『天気の子』は、ほかに批判点を上げればキリがありません。
例えば…
- 主人公が警察に拳銃所持で逮捕される、ダークさ。
- 16才の青年がなんと警察署内から逃げてしまう、安易な描写。
- 拳銃がでて、偶然ひろう展開が安っぽい。
- ヒロイン15才なのに、マクドナルドに採用されてる。
- 沈没なのに大混乱ないって不自然。
・・・など批判点はいくつもあるでしょう。
しかし賛否ある結末まで含め、『天気の子』は、稀代の映画監督・新海誠の実力と大胆なメッセージ性がある作品。見て損はないとは断言しておきましょう。
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