【いつか、ヒーロー】最終回の考察!過去は清算できない?それでも進む希望の道!

いつか、ヒーロー最終回

日10ドラマ【いつか、ヒーロー】最終回「人生、死ぬまで敗者復活戦」が6月1日(日曜)に放送されました。

ついに最終回ね!
謎が解けていくのは嬉しいけど、魅力的なメンバーたちとお別れするのは寂しいわ。

渋谷勇気を取り戻すことと若王子の罪を暴くことが物語のメインだけど、最終回はセリフや演出が特に素晴らしいから、何度もじっくり味わいたいよ。

それでは、【いつか、ヒーロー最終回考察をお届けします。

【いつか、ヒーロー】最終回の考察

洗脳が解けた!

赤山誠司桐谷健太)は、氷室海斗として生きてきた渋谷勇気宮世琉弥)を「希望の道」跡地へ呼び出します。
勇気のタイムカプセルを再び埋めて、勇気自身に掘り起こしてもらうためです。
「負けるとわかってて何故無謀な戦いを。長いものに巻かれなきゃ痛い目に遭う。戦っても誰も手を差し伸べてくれない。冷たい水の中凍えていくだけです」
そう問いかける勇気に、赤山は言います。
「でも反則は反則だよ。長いものに巻かれてぬるい水の中で自分を殺して生きていくのが正しい生き方か?どんだけ相手が強かろうが間違ってることは間違ってる、反則は反則だって言い続ける、それがブラックジャガーだ」
「わかんない…あんたはなんで20年ぶりに目覚めてここへ戻って来た。何のメリットがあるんだよ。なんで自分より彼らを優先するんだよ」
そう言う勇気に答えたのは、かつての仲間たちでした。
「誠ちゃんは捨てられないだけ」「希望を」
樋口ゆかり長濱ねる)、野々村光(泉澤祐希)、交野瑠生(曽田陵介)、君原いぶき(星乃夢奈)がそこにいました。
穴の中から彼らを見上げる勇気は、もう氷室の冷たい目とは違う表情です。
掘り起こしたタイムカプセルには自分で書いた手紙が入っていました。

人はなんにでもなれる。誠ちゃんがそう教えてくれた。誠ちゃん、俺はヒーローになる。

タイムカプセルを抱いて泣き崩れる勇気。
勇気はここで若王子公威(北村有起哉)からの洗脳から解けたのだと思います。

過去は清算できないけれど

悪役から正義のヒーローになったブラックジャガーは過去の自分をどう清算したのかと問う勇気に、赤山は答えます。

清算なんてできねえよ。後悔ばっかりだよ、生きるってことは。おもーい後悔あっちこっちにぶら下げてヨロヨロになって歩いてくんだよ。時々思い出して叫びそうになりながらそれでも前に向かって歩くんだよ。

歩いて行けるものなのか不安な勇気に、赤山は力強く告げます。
「よろけたら俺が支える。こけたら起こす!それが俺の…いや大人の役目だ」
誠ちゃんを見る勇気は子どものような顔でした。
過去は取り消すことができないし後悔ばかりでしんどいけれど、それでも抱えて生きて行かなくてはいけない。
でも、重みに耐えかねて転びそうになっても、支えてくれる人がいればきっと歩いて行けるんですね。

それが大人の役目か。
赤山の言葉は本当にすごいなあ。
心に深く刻みたい。

本当の氷室海斗は

若王子から、勇気は赤山や教え子たちを「取り除く」よう指示されていました。
自分が政界に進出し勇気をドリームグループジャパンの後継者とするためには、赤山たちが邪魔になると考えたのでしょう。
彼の記憶が蘇ることを恐れていたのかもしれません。
ただ、ゆかりや野々村や瑠生やいぶきは自分の生活が苦しくタイムカプセルの開封式どころではないので問題ないと勇気は報告します。
すると、若王子は最終試験と銘打って、渋谷勇気(駒木根葵汰)を消すように命じました。
彼こそが本当の氷室海斗で、勇気と戸籍を入れ替えられた人物です。
日頃から「死滅回遊魚は楽にしてやったほうが幸せ」と若王子に教え込まれている勇気は、彼を追い込んでビルから身を投げさせました。
ゆかりに亡くなった彼の名前を聞かれても、勇気は知らないと答えます。
自分と戸籍を入れ替えた人物であることを知らなかったんですね。
冷酷に任務を遂行する勇気ですが、ゆかりたちに対しては本気で命を奪おうとすることはできなかったようです。
心のどこかに仲間だった頃の記憶が残っていたのでしょうか。

小松崎の皮肉

最初に西郡十和子板谷由夏)が暴いたドリームグループジャパンの闇は、どこのメディアも後追いしませんでした。
「ドリーム社の言い分だけを伝えています。まるで広報みたいに」
十和子がそう言うと、小松崎実小関裕太)は、日本は巨大な村社会で自分の村以外は関心がないのだと言います。
そして「村に格好の餌が落とされたようです。しばらくはこのニュースで持ち切りでしょう」と芸能人の不倫スキャンダルのネットニュースを十和子に見せました。
現実社会への皮肉ですね。
十和子を裏切った小松崎はどこかでもう一度反転して若王子を裏切るかと期待していましたが、今回はそのままでした。
勇気の告発文と十和子の取材映像で若王子の罪が暴かれ失脚が決まると、すぐに見限って逃げ出すところも彼らしいですね。
小関裕太さん演じる人物はどの作品でも一筋縄ではいかないです。
今回も楽しませていただきました。

寂しい若王子

自分の右腕として育ててきた氷室海斗(渋谷勇気)に告発文を書かれ、自分のドキュメンタリーを任せた十和子には放火殺人を暴かれる、若王子は本当に寂しい人間なのだと思います。
彼がこんな人物になってしまったのは、父や周囲から認めてもらえなかったせいなのかもしれませんが、しかし「希望の道」に入所していた子どもたちは、家族から虐待されるなどもっと劣悪な環境で育ってきました。
勇気もゆかりも野々村も瑠生も、苦しく辛い幼年期を過ごし、「希望の道」解散後もシビアな現実社会で夢破れる日々を送って来たのです。
「希望の道」で赤山と過ごした5年間だけが、光に満ちた毎日だったと思います。
もしかしたら若王子も赤山とちゃんと出会えていれば人生が変わっていたのかもしれません。
赤山の教えを口にした勇気が彼にとってのヒーローになったのですから。
しかし、劣等感が肥大した欲望に変わった彼がやりたいことはサーカス小屋に見立てたこの国を支配すること。
自分で作り上げた“氷室海斗”はマリオネットであり大切な宝物だったのでしょう。
“氷室海斗”の中の“渋谷勇気”の要素や“赤山誠司”の影響は完璧に取り除かなくてはなりません。
その作業を氷室自身に命じて行わせることは快感だったのでは。
罪を暴かれて全てを失うことがわかった時、氷室に自分の命を終わらせてほしかった。
異常な思考にぞっとしますが、同時に哀れにも思えてきます。
赤山に頭突きされるたびに中原中也の詩「サーカス」の一節、「ゆあーんゆよーん」と言いながらブランコのようにふらついている姿にはなんとも言えない狂気を感じました。
大衆を思い通りに操るどころか、自分自身がサーカスのブランコにいて、そこから落下していった若王子。

突然贈る言葉を伝えだした赤山に視聴者は嫌な予感!

「(勇気に)生まれてきただけで生きてくれてるだけで、お前は昔も今も俺のヒーローだ」
「瑠生は全力投球過ぎるんだよな、なんでも。ぼちぼちでいいんだよ、人生は」
「ノノ、お前は少し悩み過ぎだ、相変わらず。でもそこがいい」
「いぶき、重たかったらたまには休め、頼れ人を。それも強さだ」
「ゆかり、人にばっか優しくしてないでたまには自分に優しくしろ」
「やっと集まったな、みんな。やっと…」

若王子を拘束して一件落着かと思いきや、急にひとりひとりに言葉を贈りだした赤山。
「え?なんか遺言ぽいんだけど」
「嫌な予感しかしない…」
「みんなに素敵な言葉かけてる場合じゃなかった」
視聴者の皆さんの予感通り、赤山は刺されてわき腹から血を流していたのです。
勇気たちの悲痛な声の中、目を閉じる赤山。

嫌だーーーー!せっかく全員そろったのに!

希望あふれる道へ

赤山は無事でした。
大原要蔵でんでん)も元気になり、野々村と「のんのんとようちゃんの株講座」の動画を配信しています。
瑠生は被害者の会に力を尽くしています。
いぶきは沙織(遠藤くるる)が泊まりに来て嬉しそう。
また一緒に暮らせるようになるといいですね。
ゆかりは、留学のために貯金しているようです。
その話をいぶきから聞いた高野浩介(谷恭輔)は、少し切ないような表情でしたがすぐに「良かった、うん」と笑顔になりました。
浩介は、勇気のためにいつでも裁判で証言する、友達だからと言っています。
それぞれの未来へ、「希望の道」を進んでいるんですね。

本当にいい人ね。
二人が結ばれる未来があるといいなあ。

20年間お世話になった方たちとの再会

「その節はお世話になりました」
頭を深く下げる赤山に涙ぐみながら駆け寄る理学療法士の伏見京子(藤村聖子)と熱い握手を交わす医師・片柳誠(山崎潤)。
この二人が20年間献身的に治療・リハビリをしてくれたからこそ、赤山は奇跡的に元気になることができたのだと思います。
ちゃんとお礼を言う機会があればいいなと気をもんでいた人も多かったので、最終回で再会の描写があって本当に良かったです。

タイトルの意味

十和子は電話で赤山に、ドリームグループジャパンの経営が健全化するよう仕掛けてたのはあなたでしょ?と言ったあと、急に「思い出した」と言って姉の話をします。
小学校の時ガキ大将だった赤山に、十和子の姉は守ってもらったことがあると言っていたと。
「お姉ちゃんにとってあなたはブラックジャガーだったのね。今は反則ばっかりだけど、いつか正義のヒーローになるってずっと信じていたんだと思う
【いつか、ヒーロー】のタイトルの意味がここで明らかになりました。
子どもの頃の勇気が「俺はヒーローになる」と書いたことよりももっと深い意味。
反則をしていた悪役でも、いつか正義のヒーローになれる。
それは、赤山や勇気にとっての「希望」です。
失敗しても人を傷つけてしまっても、やり直すことはできる。
人はなんにでもなれる。
このドラマはそういう希望の物語なのだと思います。

待望のたらこスパゲッティ

6話で「うめぇなこれ。また勇気が戻ってきたら作ってくれよ、な」と赤山が話していましたが、大原と赤山の快気祝い&勇気の歓迎会のご馳走は待望のたらこスパゲッティ!
「希望の道」にいた頃、勇気の大好物でしたね。
勇気はひとり家を出ます。
警察に出頭するんですね。
地球温暖化のせいで死滅回遊魚は冬を越しても生き続けるという話にも、彼の強さとたくましさを感じました。
きっとまたみんなで笑いながら暮らせるから、その日まで元気で。

【いつか、ヒーロー】最終回の出演者

桐谷健太、宮世琉弥、長濱ねる、
泉澤祐希、曽田陵介、星乃夢奈、
谷恭輔、藤村聖子、渡辺光、
真下有紀、山崎潤、船ケ山哲、
諏訪部仁、でんでん、岡崎琉旺、
戸簾愛、塚尾桜雅、立花利仁、
遠藤くるる、小関裕太、駒木根葵汰、
板谷由夏、北村有起哉、ほか。

【いつか、ヒーロー】最終回のまとめ

最終回は少し駆け足で進んだ印象で、赤山たちの作戦による若王子失墜までの過程をもっとじっくり見たかったという感想も見受けられました。
しかし、このドラマが伝えたいことはストレートに胸に響きましたし、最後に赤山たちの温かな場面を見せてもらえて、彼らの未来が希望にあふれていると信じることができました。
皆それぞれ自分の足でしっかり前へ進んでいて、勇気は罪を償って必ず誠ちゃんの待つ家に帰って来る、これはもう間違いなくハッピーエンドの最終回。
繰り返し見ることで、新たな気づきがあったり一層深く感動することができる作品だと思います。
桐谷健太さん、宮世琉弥さん、北村有起哉さんはじめ素晴らしいキャスト陣が深い人物造形をしていて、実に見ごたえのあるドラマです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

◆【いつか、ヒーロー】は、TVerで1~3話・最新話配信中。
U-NEXT 、Prime Videoで全話配信中。

◆TVer限定スピンオフドラマ「氷室海斗の秘密」
TVerでは、6月8日(日曜)までスピンオフドラマを無料配信しています。
「氷室海斗の秘密 #1標的の夜」
出演:宮世琉弥長濱ねる星乃夢奈谷恭輔
「氷室海斗の秘密 #2策略の夜」
出演:宮世琉弥長濱ねる谷恭輔

TVerで配信中のスピンオフドラマ、最終回が終わった今のタイミングで見るときっと感慨深いよね。