【ファーストラヴ】の原作ネタバレと登場人物!小説結末に知るタイトルの意味と愛の深さに涙
映画【ファーストラヴ】(著者:島本理生)原作ネタバレと登場人物と感想!
小説結末に知るタイトルの意味と愛の深さに涙!
直木賞小説『ファーストラヴ』を北川景子さん主演で実写映画化!
堤幸彦監督の映画【ファーストラヴ】には、中村倫也さんや清原翔さん窪塚洋介さんが出演することでも話題になっています。
「動機はそちらで見つけてください」衝撃発言をする父親殺しで逮捕された女子大生・環菜の動悸を追うミステリー。
主人公・由紀と犯罪者・環菜の過去、性虐待を描いた壮絶な物語の結末は?
原作【ファーストラヴ】の登場人物、ネタバレ、タイトルの意味、感想を紹介します。
映画【ファーストラヴ】の原作は小説『ファーストラヴ』
映画【ファーストラヴ】原作小説の作品紹介(著者:島本理生)
小説【ファーストラヴ】
単行本:2018年5月31日発売
文庫本:2020年2月5日発売
映画【ファーストラヴ】は、同名小説の実写化。
原作となる小説『ファーストラヴ』の作者は島本理生さんです。
【ファーストラヴ】の作者:島本理生(しまもとりお)
・『シルエット』群像新人文学賞の優秀作
・『リトル・バイ・リトル』野間文芸新人賞
・『Red』島清恋愛文学賞
・『ナラタージュ』など多数の作品を手掛ける。
・『ファーストラヴ』で2018年に直木賞受賞。
島本理生さん作品・映画『ナラタージュ』はFODで視聴する、Lemino、U-NEXTで視聴するで視聴できます。
(2021年2月現在、最新情報は公式サイトでご確認ください)
小説【ファーストラヴ】の内容
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生の聖山環菜が父親を殺して逮捕された。
環菜は、父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父を刺殺。
就職活動の最中の環菜は、アナウンサーの面接の帰りに凶行に及んだのだ。
美しい環菜の犯行は、マスコミでも大きく取り上げられ、注目をあびる。
なぜ、環菜は父親を殺したのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材にしたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜との面会を重ねていく。同時に、環菜をとりまく周辺の人物にも取材を重ね……。
浮かび上がる環菜の過去とは?
家族という名の迷宮を描く島本理生のミステリー長編小説。
映画【ファーストラヴ】原作小説の登場人物
映画【ファーストラヴ】の原作、小説「ファーストラヴ」の主な登場人物を紹介します。
カッコ内に映画出演者を記載。
主人公・真壁由紀・まかべゆき(北川景子)
臨床心理士。
夫の我聞とは10年前に結婚。
小学生の息子・正親(まさちか)と3人暮らし。
クリニックでのカウンセリングをする傍ら、教育問題に関するテレビ番組に出演もする。
聖山環菜の事件を執筆するため取材を進めていく。
真壁我聞・まかべがもん(窪塚洋介)
由紀の夫。
報道写真家を目指していたが、由紀との結婚を機に結婚式場のカメラマンに。
忙しい由紀にかわり主夫業もこなす。
黒緑眼鏡をかけている。
庵野迦葉・あんのかしょう(中村倫也)
弁護士で国選弁護人として環菜の事件を担当。
由紀とは大学の同期。
幼いころ両親に捨てられ叔母である我聞の母のもとで育てられた。
聖山環菜・ひじりやまかんな(芳根京子)
殺人事件の犯人。
アナウンサー志望の女子大学生。
「美人すぎる殺人者」としてメディアで取り上げられる。
痩せていて小柄で幼く見える。
聖山那雄人・ひじりやまなおと(板尾創路)
画家。
血の繋がらない環菜の父親。
殺人事件の被害者。
聖山昭菜・ひじりやまあきな(木村佳乃)
環菜の母。
夫の那雄人とは美大の同級生。
大学時代は学内でも一二を争う美人。
環菜の裁判では検察側の証人に。
賀川洋一・かがわよういち(清原翔)
環菜の元カレ。
環菜が大学1年生の時から約2年間交際していた。
小泉裕二・こいずみゆうじ(石田法嗣)
元コンビニエンスストア店員。
現在はゲームセンター店長。
10年前、環菜を自宅で保護した。
環菜にとって”初恋の人”。
臼井香子・うすいきょうこ
環菜の幼なじみ。
辻憲太・つじけんた
新文化社・出版社社員。27歳。
由紀に環菜の事件を本にするよう話を持ち掛けた。
由紀とともに取材に同行することもある。
参考記事:映画キャスト情報
映画【ファーストラヴ】のキャストと相関図!主演・北川景子、中村倫也と窪塚洋介が義兄弟に! | 【dorama9】
映画【ファーストラヴ】原作小説のネタバレ
映画【ファーストラヴ】の原作小説【ファーストラヴ】のネタバレを紹介します。
物語は、環菜の取材をする由紀を主体に描かれていきます。
事件を追う中、環菜の過去と同時に由紀の過去も明らかになります。
ここでは、環菜の部分と由紀の部分を切り分けて紹介します。
殺人事件
犯人:聖山環菜 22歳
被害者:聖山那雄人
犯行日時:7月19日
アナウンサー志望の聖山環菜は、都内でキー局の二次試験を受けていたが、具合が悪くなり途中で辞退。
数時間後、父親(聖山那雄人)が講師を務める二子玉川の美術学校を訪ねる。
女子トイレに呼び出した父親の胸を刺した。
凶器は、渋谷の東急ハンズで購入したばかりの包丁。
血だらけのまま自宅に戻るが、母親(昭菜)と言い争いになり、多摩川沿いを歩いていたところを近所の主婦が通報。
逮捕後のセリフ「動機はそちらで見つけてください」が話題になっている。
父親はアナウンサーになることを反対していたので、それが動機ではないかとされている。
**
臨床心理士の真壁由紀は、聖山環菜を取材し1冊の本にするために活動を開始する。
聖山環菜の弁護士は由紀の義理の弟・庵野迦葉。
由紀は環菜との面会と環菜からの手紙をもとに、迦葉の協力を得て取材を進める。
取材に出版社の辻憲太も同行することも。
動機が明らかにされない事件の真相が明らかになっていく……。
由紀の取材
環菜の元カレの賀川洋一は週刊誌に環菜のことを売る。取材の中、環菜は虚言癖があると言う。
親友の白鳥香子は環菜の家庭事情にも詳しく詳細を聞く。
我聞の伝で環菜が小学生の頃、聖山那雄人のデッサン会で絵を描いていた当時の学生にもその様子を聞く。
環菜の初恋の人、小山裕二から、当時の環菜についてを聞く。
環菜の過去
聖山那雄人は環菜の実の父ではない。
美人だった昭菜に惚れていた那雄人が他の男との間にできた子どもだと承知で結婚。
ゆえに、昭菜は那雄人の言いなり。
那雄人は昭菜に対して下着姿でベランダに出してみたりと、かなり厳しく当たっていた。
何かあると「戸籍を抜く」と言う両親に環菜は、逆らうことができなかった。
環菜、小学生の頃。
那雄人は美大の学生らを相手にデッサン会を開いていた。
絵のモデルとして、娘の環菜を使っていた。
環菜は服を着ていたが、隣に座る男性モデルは裸。
絵を描く学生は男子ばかり。
その学生の中には、環菜に対して卑猥な連想をさせる言動や視線を浴びせる者もいた。
デッサン会は10歳から14歳まで続いた。
環菜、12歳。
聖山那雄人は鍵を持たずに家を空ける。
なので、玄関の鍵は常に開けていた。
その日は、昭菜が友人の結婚式でハワイに行き、家には環菜がひとり。
鍵を開けていることに不安になり、仮眠する間だけと鍵をかけたが熟睡し目覚めたら昼頃。
環菜が鍵を開けると、聖山那雄人が帰宅。
鍵をかけて入ることができなかった那雄人は、怒鳴りちらす。
環菜は那雄人が怖くて逃げ出した。
雪が降る中を走り、コンビニの前で転んでしまう。
うずくまっていると、コンビニ店員の小泉裕二が手当てをしてれた。
家に帰るのが怖い、と話す環菜を裕二はアパートに連れて行った。
環菜は翌日に帰宅するが、この時、初めての自虐行為をする。
この時の傷を見た昭菜は「気持ち悪い」と言い、それがトラウマとなる。
手首の傷を見つけた那雄人は、モデルを休んでいい、という。
その時から、手首に傷があればモデルをしなくていいと思い、自虐行為を繰り返すようになっていった。
手首の傷が増え、見せられないほどになった時、モデルの仕事はしなくていい、と言われた。
裕二とは数ヶ月付き合うが、環菜の情緒不安定な面と誘拐罪になることが怖くなり、裕二から別れを切り出す。
環菜は自分を正当化するために、裕二のことを初恋の人だと思い込んでいた。
裕二とは交換日記をしていた。それを親友の香子に預けていた。
香子はその日記を持っていて、由紀はそこから当時の環菜の心情を読み取っていく。
事件当日
由紀の取材が進む中、環菜は迦葉に「殺していない」と証言。
凶器の包丁は自虐行為のために購入。
就活に失敗したから、自分で罰して、それを父親の那雄人に確認をしてもらおうと、美術大学へ向かった。
途中、トイレで手首を切る。
那雄人は環菜の血だらけの手首に驚く。そこに学生が入ってきたため
「手を洗ってくるように」と促す。
環菜は女子トイレに行き、再び、手首を切る。そこに那雄人が入ってきた。
那雄人は、昭菜に連絡するとスマホを手にした。思わず、環菜が
「やめて」と遮った。
そこでもみ合いになり那雄人が足をすべらせる。
環菜の持っていた包丁が那雄人の心臓を突き刺した。
慌てて自宅に戻り
「包丁がお父さんに刺さった」と言うが、昭菜は
「勝手に包丁が刺さるわけがない」と信じてくれず、助けてもくれなかった。
母親から「嘘つき」だと言われて育った環菜は、そう言われ、自分が刺したのではないかと思ってしまった。
事件まとめ
幼少期から両親に逆らえない環菜。
父親のデッサン会は性的な意味で環菜のトラウマとなる。
好機に満ちた男たちの視線で精神が歪んでいく環菜は、ハワイの一件から自虐行為を繰り返す。
手首の傷があることで、半そでの衣装などを着ることはできない。
だから「アナウンサーにはなれない」と那雄人が発言したと、後から気づく。
自分の罪を自分で償うため、それを父に認めてもらわなければいけないと環菜は思う。
そして事件になった。
母の昭菜は、環菜がモデルをしていた様子は何も知らない、あの子は嘘つきだ、と言う。
「娘に罪を償ってほしい」と検察側の証人になるが、実は、昭菜自身に虚言癖があり自虐行為をしていた。
由紀の過去
由紀の父親は海外出張が多かった。海外で未成年の女子を買っていた。
それを知ったのは成人式の日。母親から告げられた。
それまで父親の視線が怖く感じたこと、母親が女の子らしい服装を毛嫌いすることに納得ができた。
その日、由紀は家を出た。
大学を休学しバイトに明け暮れ、大学4年目の春、3年生として復帰した。
迦葉とはその時に出会う。
迦葉から声を掛けてきて、のっけから由紀のことを「あなた」と呼んだ。
翌日、髪を切ったほうがいいと行きつけの美容院に行き、夜は飲み屋にいき外国人パブに行く。
名前もわかり“迦葉”“由紀”と呼び合う仲になり、二人は週末には場違いな場所に出向き行動をともにするようになる。
迦葉は実母ではなく叔母(我聞の母)に育てられた。小さいころから我聞とは兄弟のように育ってきた迦葉。
その兄、我聞のことは迦葉がよく話してくれた。写真家で近々個展開くということも……。
ある日、由紀の部屋に迦葉が訪れた。
そんな雰囲気になった二人だが、迦葉が機能を果たせなかった。
多くの女を抱いてきた迦葉だが
「こんなことは初めてだ」
と言い、由紀は
「母親に愛されなかったから、セックス依存」
だと迦葉に言ってしまう。
一夜をともにした2人には大きな亀裂が入り、由紀は大学でひとりになってしまう。
暫くして迦葉から話しかけてきた。仲直りができるかと期待した由紀だが、迦葉は我聞の写真展の話を他の女子と話し、家族のことは由紀以外にも話している、と言う。
由紀は迦葉にとってオンリーワンではないと感じる。
その時、我聞の写真展のチラシをもらう。
由紀は数日して我聞の個展に行った。
それが我聞と由紀の出会い。
それからデートを重ね、次第に由紀は我聞に心を開いていく。しかし、迦葉のことは秘密。
大学構内で迦葉と我聞と由紀が会うことになった時も、言い出せずに過ぎてしまった。
10年前、由紀は妊娠をし、我聞に告白する。
ひとりでどうにかしようと考えていた由紀に我聞は
「報道写真家を辞めて主夫をするから、結婚しよう」とプロポーズ。
その時の子どもが正親。
以来、我聞は報道写真家ではなく、結婚式場の写真家をしながら、主夫として由紀を助けている。
映画【ファーストラヴ】原作小説の結末ネタバレ
環菜は懲役8年。
由紀が手掛けた環菜の物語は没になるが、性的虐待を取り上げた本を手掛けることになる。
由紀と迦葉はこの事件をきっかけに過去のわだかまりが消える。
由紀と我聞
由紀が勤めるクリニックで働く里紗の結婚式。
我聞は写真家として出席。
二人はしみじみと話す。
我聞は迦葉とのことを知っていたと告白。
我聞が迦葉に恋愛感情があるか訊ねると、迦葉は由紀のことを「恋愛ではない」と正直な気持ちを我聞に伝えたと言う。
迦葉から話を聞いた我聞は
「由紀はこれからはもっと気楽に我聞のことを話していいんだ」
と、由紀に伝える。
我聞と結婚して幸せだという由紀に我聞もまた幸せだと……。
長い間の秘密が秘密でなくなる。
我聞
「僕もようやく由紀を独占できるよ」
<完>
映画【ファーストラヴ】原作小説・タイトルの意味
ファーストラヴのタイトルの意味について、作者の島本理生さんは
「若いころには、恋愛と見せかけた危ないものが周りにたくさんある」
「“あのときの恋愛は実は恋愛ではなかったのかもしれない” “本当は悲しい気持ちを押し殺していたのかもしれない”。読んだ方に少しでもそうした気づきがあればと思い、この小説に“初恋”という意味のタイトルをつけました」
とコメントしています。
映画【ファーストラヴ】原作小説の感想
ファーストラヴは初恋。その初恋は、実はLikeでもLoveでもなく、勘違いから成り立ったファーストラヴなのかもしれない。
環菜の初恋は、自分を守るための恋だったのでは。拠り所のない自分を受け入れてくれる場所があることはある意味救いだったのでしょう。
由紀は迦葉との過去がありましたが、由紀とっての本当の初恋は、夫・我聞との人生そのものが初恋だと思います。
性虐待という重苦しい内容がテーマですが、結末がとてもほっこり。我聞の愛の深さにすべてが洗い流されるような感覚になりました。
映画【ファーストラヴ】では我聞を窪塚洋介さんが演じます。とても楽しみな作品です。
映画【ファーストラヴ】の作品情報
映画タイトル【ファーストラヴ】
監督:堤幸彦
脚本:浅野妙子
原作:島本理生「ファーストラヴ」
出演者:北川景子、中村朋也、芳根京子、板尾創路、石田法嗣、清原翔、高岡早紀、木村佳乃、窪塚洋介、ほか。
音楽:アントンジュリオ・フルリオ
主題歌・挿入歌:Uru「ファーストラヴ」「無機質」
公開日:2021年2月11日
映画【ファーストラヴ】原作小説の作者・島本理生さんのコメント
近年、女性が理不尽に対して声をあげる、という流れが少しずつ生まれている中で、映画『ファーストラヴ』を鑑賞し、そのスリリングな面白さはもちろんのこと、今の日本においてこの映画は社会的にも非常に重要な作品だと確信しました。原作者として関わることができたことを心の底から嬉しく思いました。
https://firstlove-movie.jp/
殺人事件の容疑者でありながら、混乱した痛みを抱える環菜の内面が、緻密な脚本と演技によって見事に表現されていて、傷ついたまま沈黙してきた女性たちはこの映画を観て、これはいつかの自分だ、と感じる瞬間がたくさんあるのではないでしょうか。
一作家として、又、思春期の頃から堤幸彦監督の作品に夢中になってきた一ファンとして、とにかく一人でも多くの方に観てほしい、と力を込めて訴えたいです。
映画【ファーストラヴ】原作小説のまとめ
映画「ファーストラヴ】の原作小説はとてもスリリングで一気読みできる作品でした。
まだ「ファーストラヴ」を読んでいない方も、すでに読破した方も、映画公開をきっかけにして手にしてみてはいかがでしょうか。
映画【ファーストラヴ】は2月11日より絶賛公開中です。
記事内画像:【ファーストラヴ】公式サイト
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