【影裏】の原作ネタバレ!芥川賞小説の主人公は男を愛する男!?

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映画【影裏】

映画【影裏】(えいり)の原作ネタバレ!
芥川賞を受賞した小説【影裏】が綾野剛と松田龍平の主演で実写映画化!
監督は「るろうに剣心」の大友啓史。
映画【影裏】は、岩手を舞台にしたヒューマンミステリー。
突然消えた男を探す男の物語。映画はどこまでを描くのか!?
沼田真佑氏のデビュー作・衝撃的な原作小説【影裏】のネタバレと感想を紹介します。

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この記事の目次
1.小説【影裏】(えいり)作者・沼田真佑
2.小説【影裏】(えいり)の登場人物
3.小説【影裏】(えいり)のネタバレ
4.小説【影裏】(えいり)の感想

目次

小説【影裏】(えいり)作者・沼田真佑

【影裏】(えいり)


第123回文學界新人賞受賞。
第157回芥川賞受賞。
「文學界」2017年5月号に掲載。
2017年7月、文藝春秋より単行本が刊行。

作者・沼田真佑(ぬまたしんすけ)

「影裏」がデビュー作。

1978年、北海道生まれ。福岡県福岡市育ちで現在は、岩手県盛岡市在住。

小説を書き始めたのは20代前半。

小学4年生のとき、ビートルズを聴いたときから、さまざまな文章に触れてきたそうです。芥川賞は受賞するとは思ってもいなかったので、正装の用意もなく、普段着での記者会見になった、と文春オンラインのインタビューで答えています。

小説「廃屋の眺め」、「夭折の女子の顔」、「さくれぶる」、「陶片」、「早春」などのほか、エッセイも執筆。

小説【影裏】(えいり)の登場人物

小説「影裏」の登場人物を紹介します。 (カッコ内は映画版のキャスト)

主人公・今野秋一 (綾野剛)

31歳 医療用の医薬を扱う会社に勤務。岩手には出向でやってきた。

日浅典博 (松田龍平)

今野が務める会社に勤めていたが転職をして、互助会で働く。 釣りと酒好きで意気投合。今野の岩手での唯一の友人。

井上喜久雄

互助会に勤め始めた日浅が初めて契約を得た顧客。釣り仲間。

副嶋和哉 (中村倫也)

今野が以前付き合っていた恋人。岩手転勤が決まった際に別れた。

今野の妹

今野の4歳下。結婚を決めたばかり。

鈴村(永島暎子)

アパートの住人の老婆。今野が苦手とする人物。

西山 (筒井真理子)

今野が務める会社のパート従業員。日浅のことを「課長」と呼ぶ。

日浅の父(國村隼)

滝沢村に住む。

日浅馨 (安田顕)

日浅の年の離れた兄。

小説【影裏】(えいり)のネタバレ

日浅が消えた

医薬品を扱う会社員・今野は岩手に3年間の出向となり、そこで日浅と知り合う。
友人と呼べる人間がいない土地で、日浅は今野にとって唯一の友人。釣り仲間であり飲み仲間でもある。

約1年を日浅とともに過ごしてきた。
雪深い2月の朝。
出勤した今野は日浅が退職したと知る。

何の前触れもなく突然のことではあったが、正社員ではない日浅が退職することに、異論もなくむしろ喜ぶべきだと思っていた。

だが、ここで問題に直面する。 日浅は携帯を持っていない。今まで持ち歩いていた携帯は、会社のものであり、退職と同時に連絡が取れなくなってしまったのだ。
今野は、日々、社内で日浅の姿を探してしまう。
勿論、日浅はいるわけもない。

4月の終わり。
今野は釣りイベントに参加した。しかし、ろくに世間話もできず、そんな自分をもどかしく思うのだった。

今野と日浅の再会

日浅は盛岡市に隣接する滝沢村の出身。4歳の時、母を亡くしくし、父と兄と暮らしてきた。東京で大学生活を送り、卒業と同時に故郷に戻ってきたという。


4か月後、6月のある日。

日浅は突然、今野の前に現れた。


スーツ姿の日浅は、退職後2日目にして「アイシン」という互助会の会社に入社していた。いわゆるセールスマンなのだが、日浅は「岩手ナンバーワン」の成績だと豪語する。


今野がアパートに戻ると、玄関の前に煙草の吸殻がある。それはゴロワーズ・レジェールという珍しい銘柄。日浅が吸っているものと同じだった。


**

8月の終わり。
日浅が訪れた。用件は互助会への勧誘。今野は書類にサインをして入会をする。


**
9月のある朝、メールが2通届いた。


相手は、二年前に別れて音信不通だった福嶋和哉
「仙台に来ている」という内容。「会いたい」という言葉はなかった。


もう1通のメールは、妹から
「結婚する」という知らせだった。


今野は2通のメールから、出向すると決まった当時のことを振り返る。
妹は27歳。奇しくも、その年齢は和哉が今野と別れた年齢だった。
和哉と今野は身内に合わせることはなく“結局、2年付き合った”。
岩手に出向すると辞令がでたとき“ほっとした”のだった。


**


その日の午後、日浅から釣りの誘いがあった。今野はOKをし、約束の川原へ出向いた。日浅の初めての顧客・井上を交え、盛り上がる予定だった。


しかし、日浅は今野の服装批判をし、次に駐車位置につてまで批判をしようとしてきた。今野は思わず「もういいじゃないか」と言葉を遮ってしまう。


そして「明日は休みだから泊まれるだろう」という日浅の誘いを頑なに断り、今野は帰宅。その夜、今野は、和哉に電話をした。


電話の向こうからは「びっくりした」という女性の声が聞こえてきた。和哉がSRSの施術をするつもりだと言っていたことを思い出す。ひとしきり会話を楽しむ今野と和哉。今野は、こっちには友達もいないし冬は心が滅入ると、愚痴を思わずこぼす。すると、和哉は「あと1年の辛抱でしょ」と、本社に戻れる日のことを話す。


以後、和哉とは月に数回連絡を取り合うように。

日浅の裏の顔

3月、震災。

震災後は旧友やら知り合いからも、心配するメールが届いた。今野の住む盛岡は被害が少なくてすんだと、報告をする。

連休明け、今野が出勤するとパートの西山さんが声を掛けてきた。

話があるという。それは……。

日浅が死んだのではないか、という内容だった。

西山さんは、日浅に頼まれ互助会に入会していた。さらに、日浅に30万を貸しているという。震災があり、お金が必要になった西山さんは日浅に連絡を試みたがつながらない。会社に連絡をしたら「行方不明」だと言われたのだ、と。

6月。

今野は日浅の実家を訪ねた。父親と対面した今野は、日浅の裏の顔を知ることに……。

大学は卒業しておらず、卒業証書は偽造していた。4年間、父親は騙され続け、仕送りをしていたという。日浅は子供の頃から、一人の人間とべったり付き合い、飽きると次の人間と付き合う、とうことを繰り返してきたらしい。

父親は

「息子なら死んではいませんよ」

「いずれにせよ何らかの事件で、あの男の名前は新聞に出る」

と言い、日浅とは絶縁したというのだった。

日浅の実家には、「電光影裏斬春風」と墨汁で書いた模造紙が貼られていた。

**

今野は釣りをしている。

震災後のニュースを思い出す。ATMの破壊事件。日浅がその犯人の同胞であることを頼もしく感じていた。

そして、今野は上流へと歩きだす。

小説【影裏】(えいり)の感想

短い小説ですが、深い物語です。
正直にいうと、最初は行きつ戻りつ、ページをめくり、あまり面白くもない、と思ったのが本当のところです。
1度読みでは、しっくりこない。それが第一の感想。
しかし、映画化というので再読。すると、なんとも奥深いことに気づきました。

サラリと何もかもが描かれているのですが、実はとても重要なことがあったりします。
震災が起きたことも、主人公・今野がゲイ(男性同性愛者)ということも、大々的に描いてはいません。
今野が妹から結婚の電話をもらい、そのときの回想場面で福嶋和哉が恋人だったとわかります。さらに和哉が現在は女性。つまり、もう恋人にはなれない二人。
そのあたりが、本当にさりげなく描かれています。

読めば読むほど、内容が深い小説です。
今野が日浅とギクシャクしてしまうところも、読み手のとらえた方で違ってくるかもしれません。

短い中に、奥行きのある興味深い小説でした。
読めば読むほど、いい意味で深みにはまる作品です。

著者の沼田真佑さんは岩手県在住。
小説「影裏」では、釣りの場面がとても丁寧に描かれています。自然の美と震災という自然の恐怖を日常の中に描かれています。心も同様にして、美と恐怖の重なりなのかもしれません。

とても気になり結論がでていませんが、今野は日浅を友人として好きであったのか、男として愛していたのか、そこがわからないままでいます。 わからないままでいいのかな、とも思っています。
白黒ハッキリせず、グレーのままでいいのだろう、と。 また、ふと気が向いたときに読んでみたら、違う感想が生まれてきそうです。

この小説が映画化になります。
映画では綾野剛が今野を、松田龍平が日浅を演じます。ゲイの部分はどう描いていくのか、とても気になります。
映画【影裏】は2020年2月14日、公開です。

アイキャッチ画像:https://eiri-movie.com/

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