【ナミビアの砂漠】感想&謎を考察!ホンダとハヤシに寄りかかるカナ…つまらない毎日に听不懂
病気すぎる系女子・カナに振り回され、殴られ蹴られ、罵られる男たち。
逃げ場のない、せまい画角の中で、観客をもカナの苦しみの最中に閉じこめながら展開される憂鬱なストーリーは、不思議と共感を呼び話題となっています。
本記事では、【ナミビアの砂漠】をネタバレありで考察するとともに、謎深いカナの内面を探りつつ、勝手な感想を書いていきます。
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映画【ナミビアの砂漠】の内容は?:ネタバレなしあらすじ
21歳のカナ(演/河合優実)は、夢も希望もない、すすけた毎日を生きるふつうの女の子。
ふつうに彼氏と暮らし、ふつうに浮気して、ふつうに酔いつぶれ、ふつうにゲロを吐く。
いたってふつうの、その他大勢の側と信じきったまま、思考停止状態で生きていたカナを襲うのは“自分”という最も意味不明な存在で……。
あらすじネタバレはこちら↓

ナミビアの砂漠の題名の意味は?:YouTubeで見れる無料動画
物語のベースとなるのはNamibiaCamという、ナミブ砂漠に設置された定点カメラ映像をライブ配信している、YouTubeチャンネル。
オリックスというウシ科の動物が多く登場することから、チャンネルのアイコンもオリックスのツノを模したものです。
このオリックス、映画【ナミビアの砂漠】の中でも、カナの周りに生息していました。
ハヤシ(演/金子大地)がカナにプレゼントする花も、どことなくオリックスのツノ的なみため。
カナの服装も、茶色や灰色、淡い緑など、自然界に存在する色でまとめられていました。

浮気相手にもらった花を彼氏との部屋に飾るカナ、えぐい
そしてこのナミビアカメラには、動物の足音や水を飲む音、風の音などが、独特のノイズとして反映されます。
その妙なノイズ感を、映画内ではキスのリップ音や笑い声、タクシーの走行音や電子レンジの音、PCのキーボードをたたく音、靴音や砂利をふむ音などで絶妙に再現していました。
映画【ナミビアの砂漠】感想&考察!:部屋が反転する意味は?
人間だって所詮はただの動物…ということで、本能のままに生きると人はどうなってしまうのか、カナに学んでいきましょう。
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映画本編の結末にふれています!未鑑賞の方はご注意ください!
【ナミビアの砂漠】ノーパンしゃぶしゃぶ
予告編でも印象的な、カナの独特な相槌シーン。
“友人の友人が自殺した”というショッキングなトピックを聞きながら、隣席でノーパンしゃぶしゃぶについてダベる男子たちの話が気になって仕方ないカナ。
「ライフスタイルがノーパンしゃぶしゃぶ」という謎キーワードも飛び出すわけですが、なるほどカナの生活に、下着の概念はありません。
Tシャツを1枚かぶっただけのカナが、配達員に応じたり窓際でブラついたりするのには、老婆心ながらにヒヤヒヤ。



カナの細かい設定の中に、肯定感の低さがあらわれてる
ほとんど裸みたいな恰好で、消費物のように存在するカナの、うすらつまらなそうな表情が心に刺さります。
【ナミビアの砂漠】溶けあうふたり
「お互いを高めあえる関係でいれると思うんだよね」byハヤシの、人を見る目のなさよ。
お互いをボロボロに溶かしていくのみなハヤシとカナの、共依存に抗えない感じがリアルです。
ハヤシの持ち物を、カナは初めこそキュートに奪います。
間接キスといえばキュンですが、おなじペットボトルを回し飲みし、1本のタバコを共有する。
思えば、まだふたりが禁断の関係だったころ、カナはハヤシに口移しでお菓子をあげていました。
そのあと盛大にゲロを吐いていたわけですが、やはりカナにとって、唾液の交換でしかない行為はキュンではないのでしょう。



まさに“溶けあっていく”ふたり
ハヤシの私服を、いつしか自分の寝間着にしてしまうあの感じ。
ふたりの新居に荷物をばらまいて、怠惰な生活感で乱してしまうあの感じ。
結果、血が流れるような激しい“溶けあい”を見せるふたりがホラーです。
【ナミビアの砂漠】中絶は嘘?
たぶん、中絶はホント。
ハヤシが大切に保管していた、どこぞの誰かのエコー写真。
ハヤシが過去に、女性を妊娠させたことがあると知ったカナは、異様な怒りを見せます。



さすがに怒りすぎで違和感
また、元彼・ホンダ(演/寛一郎)に「この間中絶した」と、一見嘘っぽいことをいいますが、狼狽するホンダを見ているうちに泣きじゃくるカナ。
さすがに、中絶したことがない描写とは思えませんでした。
【ナミビアの砂漠】部屋が反転する意味は?
カメラマンさんの思いつき!
ロケで使う部屋の間取りを見たカメラマンさんが、部屋の入れ替えを思いついたのだそう。
美術を設置する美術部という部署も、いちばん大変になるにもかかわらず、その案を快諾。



作品ファースト!理想的な現場
山中監督も、そのアイデア自体にビビッときたので、後付けの理由を考えることに。
カナとハヤシが食卓で向かいあうのは、本編中2回。
その1回目が、ネガティブで暗澹たるものだったからこそ、位置の変化で2人の内面の変化を現すことができたら、という理由に落ち着いたようです。
【ナミビアの砂漠】ラストの中国語:听不懂
听不懂(ティンプトン)=わからない。
映画のラストシーンで、カナに親戚からビデオ電話がかかってきます。
中国にルーツをもつカナですが、スマホの向こうでいっぺんにしゃべる酔っぱらった大人たちの言葉は聞き取れません。
そしてカナは「听不懂(ティンプトン)」とつぶやくのです。
中国語で听不懂とは話されている内容の意味がわからないという意味なのだそう。
全編を通し、この世の成り立ちや自身の不満、自分の怒りの根底にあるもの、そのすべてが「わからない」状態だったカナ。
カナという人物を俯瞰した言葉でもあるでしょう。
ちなみに、単純に音や声が聞き取れないというニュアンスの中国語は「听不到(ティンプタオ)」というのだそうです。
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映画【ナミビアの砂漠】感想&考察:まとめ
“わからない”描写・表現が多く、考察心をくすぐる映画【ナミビアの砂漠】。
どうしようもなく怠惰な主人公なのに、なずか愛せてしまうカナの魅力も不思議です。
繰り返し見ないと気付けないこだわりや小ネタも多い作品なので、配信で何度もお楽しみください!
<文中引用>Wikipedia