ドラマ【ブラック・ジャック2024】のネタバレと原作エピソード、手塚作品へのオマージュまとめ!

ブラックジャック
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ドラマ【ブラック・ジャック2024】のネタバレと原作エピソード、手塚作品へのオマージュまとめ!
テレビ朝日65周年記念、24年ぶりに実写化される手塚治虫の名作を実写ドラマ化。ドラマのネタバレ、原作のエピソードと登場人物のモデル、手塚作品のオマージュと思われるポイントをまとめてみました。

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【ブラック・ジャック2024】のネタバレ

医者はどこだ!

法務大臣・古川正文(奥田瑛二)がVIPルームで競馬を見ていると、秘書(玉置孝匡)が法外な治療費と引き換えに、どんな手術も成功させる無免許の天才外科医ブラック・ジャック。とある外国に人目を忍んで彼を呼び出したのは日本のだった。息子の古川駿斗(味方良介)が旅行中に危険ドラッグ運転で事故を起こし、あらゆる臓器が激しく損傷してしまった。

古川は、すべてを移植できれば助かるなら、背格好、血液型が息子と似ていて、しかもうるさい家族がいない人間を調達しろと秘書に命じる。遺体が見つかってもそんな非人道的な手術をする医師がいるのか!? 秘書は疑問を口にするが古川には心当たりがあった。

駆けつけたブラック・ジャックに古川は、今しがた発生したドナーの遺体から臓器をすべて移植し、駿斗の命を救ってほしいと頼む。そんな古川に、ブラック・ジャックは「息子さんの命はいくらですか?」と尋ねた上で合意。極秘手術を引き受ける。

親友の獄中自殺に疑問

研修医・長谷川啓介(井之脇海)は、バルボラ共和国で収監中に自殺した親友・後藤一馬(早乙女太一)のことが気になっている。もうすぐ出所できる、琵琶丸(竹原ピストル)のライブのチケットを取っておいてと言っていたのに自殺したとは信じられない。後藤の弁護を担当していた伊丹治郎弁護士(山中崇)は、何をしても後藤は戻ってこないと、現地刑務所から取り寄せた後藤の骨壷を渡す。

骨壷には、白い馬の彫刻が入っていた。ネットで検索して似たような彫刻が飾ってあったギャラリー「アセチレンランプ」を訪ねた啓介は、店主(山内圭哉)からその彫刻を作ったのがさっき店ですれ違った子連れの男=ブラック・ジャックだと聞き追いかける。ブラック・ジャックが相手にしないでいると、すぐ先で事故が起きた様子。

タイムアウト

トラックの荷台から崩れ落ちた鉄骨に挟まれた子ども・翔太が瀕死の状態。鉄骨はいつ崩れ落ちるかわからない状態だ。ブラック・ジャックは「1億円払えば助ける」と、事故を起こした運転手にふっかける。周りには大勢の野次馬たちがスマホで撮影中。身元が晒されるのは避けられない。明日からあなたは殺人犯。奥さん、お子さん、お父さん、お母さん…、どうなるんでしょうね。そう煽られた運転手は会社に掛け合うと約束。ピノコ(永尾柚乃)は契約書にサインを要求する。ブラック・ジャックは鉄骨の下に入り込んで子どもの手足を切断する。その様子を啓介は見ていた。

病院に行くとブラック・ジャックは神業的なオペで子どもの手足を見事に繋ぎ直した。医師たちは、この男はひょっとしてブラック・ジャックではないかと囁き合う。

啓介は、ブラック・ジャックがギャラリーから持ち出した箱を届けに病院へ。するとその目の前で山本刑事(千葉哲也)が、無免許のくせに白昼堂々手術したのは傷害罪だとしてブラック・ジャックを留置所に入れるが、まもなく釈放される。

長谷川がブラック・ジャック邸へ

伊丹治郎法律事務所。啓介は伊丹に、後藤は何か知ってはいけないことを知ってしまったから殺されたのではないかと言うが、伊丹はそんなことあるわけないと笑い飛ばす。それでも後藤の自殺にどうしても納得できない啓介は、ギャラリーの店主に場所を聞いてブラック・ジャックの家まで彫刻を届けに行く。

熊カレーを作っていたブラック・ジャック彫刻は魂、この中には永遠の魂が封じ込められていると説明するブラック・ジャック。しかし後藤の骨壷に入っていたのは自分が作ったのものではないと言う。無免許で違法なことばかりやっているブラック・ジャックが金を積まれて自殺に見せかける手術でもしたのだろうと決めつける啓介を、ブラック・ジャックは大丈夫か、いい医者を紹介しようとあしらう。

六実(松本まりか)は、ドクター・キリコ(石橋静河)に夫とのセックスレスを相談している。

灰とダイヤモンド

しつこくつきまとう啓介に呆れながらも、付き合うブラック・ジャック。ある老人・松方(橋爪功)の自宅に向かうと研修医の啓介に診察させる。見立ては軽い虫垂炎。松方は「あれを埋め込んでから誰も信用できない」と意味深なことを言った。

長谷川はかつて松方の身体に50億円のピンクダイヤを埋め込んだと聞くと、金さえもらえばどんなことでもやるのかと非難する。車を停めていた老人ホーム「茶水ホーム」に辿り着くと、ここにいるような人たちの手術はするのかと問う。こういうところには桁外れの金持ちがいるかもしれないとブラック・ジャックは皮肉を口にしながら中に入っていく。

逆になぜそこまで後藤の件に食い下がるのかと問う。

長谷川が後藤のことにこだわるのは、後藤が逮捕されたのは自分のせいだったからだった。バーで2人の好きなアーティスト「琵琶丸」(竹原ピストル)のある曲「一夜」が「イチヤ」なのか「ヒトヨ」なのかと他愛のない話をしているとき、後ろを通った現地のチンピラとぶつかってしまい、トラブルになった。後藤は長谷川を逃がして巻き込まなかったが、チンピラを刺してしまったことが過剰防衛となり捕まったのだ。

もし、僕があのとき逃げなければ…。長谷川はとても後悔していた。

だから、もしブラック・ジャックが犯罪に加担したなら、あなたを守っている世の中と戦うと宣言する。戦ったことはあるのか。ある人はそんなこと言わないだろう。

ブラック・ジャックは後藤のことで知っていることを話す。

後藤さんは君が立派な医師になることを望んでいた。だから巻き込まなかった。青少年は勉強しろ。それが最大の供養だ。

後藤は臓器提供者にされたのか!?

一方、長谷川の熱意に負けた伊丹は、後藤のことを調べて直していた。骨壷の発送先からたどると、後藤の遺体は、刑務所で自殺未遂をした後、バルボラ共和国のトップクラスの病院に運ばれていた。普通なら受刑者が運ばれるようなところじゃない。そこに交通事故を起こし、複数臓器を損傷したある男が運ばれてきた。生体間移植でも受けない限り助からない状況だったという。その男は法務大臣の息子で現地では有名なジャンキー、古川駿斗だった。

ありえないよな、自殺を装って臓器提供者にされたなんて。でも考えてみれば世の中結構マンガ。政治家とカルト団体がべったりとか黒塗りの公文書とか。だからこれだけの証拠ではどうにもならないが、もしかすると後藤は臓器を調達するために殺されたのかもしれない — —。伊丹はもう少し調べてみることにする。

息子のことを嗅ぎ回る伊丹を始末したいと思った古川法務大臣は、ブラック・ジャックに相談する。ブラック・ジャックは臓器売買ビジネスをしているとウソをつき、秘書に伊丹の首を切らせる。すぐそばにはドーム型のオペ室を用意してある。臓器を取り出すところを見たいかと聞くと、古川たちは退散した。

ブラック・ジャックは人殺し?

ブラック・ジャックが家で彫刻を彫っていると、長谷川がやってくる。机の上にあったピンクダイヤを見て、盗んだのかと非難するとブラック・ジャックは偽物だと答える。

伊丹のことは、知ってるかな。次はお前さんだということを。お前さんもわかっているだろう、世の中にはうまい具合に人を消す方法なんていくらでもある。

本当は金さえもらえれば何でもやるんだな、人殺し!

ブラック・ジャックは長谷川にメスを投げつける。医者になりたいならよく覚えておくんだな、人はいかしても殺しても金になる。ピノコが来ると長谷川は逃げた。これでもう来ないだろう。

家を出た長谷川は、これじゃ(後藤を置いて逃げたときと)同じじゃんと呟いた。

獅子面病とキリコ

アセチレンランプ・ギャラリーには、六実明夫(宇野祥平)がブラック・ジャックを紹介してくれと頼みに来た。

その頃、明夫の妻・えみ子(松本まりか)は、キリコに安楽死を依頼していた。今日、明夫が帰ってきてしまうから、決行するつもりだ。キリコは父?を安楽死させたときのことを思い出していた。

明夫はえみ子をブラック・ジャックの家に連れて行く。白馬の仮面をとったえみ子の顔は獅子面病で醜く膨れ上がっていた。世界でも十数例しか報告のない奇病で、患部の骨がどんどん膨れてしまう病気で、切除しても同じことが起きる可能性も高い。

今はこんなだけど、美人だった。笑った顔が可愛くて自慢の宝物だった。何とかならないかと頭を下げる。

なりますよ。一度治したことがあるが、お金はかかる。2億円だとふっかける。高すぎるという明夫に、2億で奥さんの笑顔が取り戻せるなら安いもの。宝物なんだろう? 奥さんの笑顔はいくらですか?

プライスレスだというものの、高額な医療費をふっかけるブラック・ジャックを非難する。

どうしても助けたい人は、いくらでも出すと返すブラック・ジャック。

聞いていられなくなったえみ子は、これで生きていけないわけじゃないし、もういい。それに2億かけても成功するとは限らない。

僕が嫌なんだと明夫。僕がえみ子を助けたいんだと明夫。

2人が出ていくと、ピノコがカワイチョウ(かわいそう)だから治してあげればいいのにと頼む。カワイチョウ…、こんな顔じゃ嫌だと言われて、2億の価値もないと言われて、たしかにカワイチョウだ。

先生だって顔のことで嫌な思いしたことがあるでしょう? ピノコの問いにブラック・ジャックはいい思い出しかないと何かを思い出しながら微笑んだ。

そのままの君でいい、というのが本当の愛じゃないのかと、ブラック・ジャックはピノコを抱きしめる。ピノコは本当は18歳の身体になりたいとねだるが、それは無理だ。

ブラック・ジャックは、ピノコをえみ子のもとに送り、もう一度手術を前向きに考えてみないかと説得させる。ピノコは、自分は双子の姉の身体の袋(嚢腫)に部品がバラバラに入っていたものをチェンチェイ(先生)が人の形にしてくれたけど、部品自体が大きくならないから18歳の身体にはできない。えみ子と同じでなりたくてこうなってるわけじゃないと打ち明ける。

えみ子は友人が来るからまた来てとピノコを帰す。ブラック・ジャックは、その“友人”がキリコだろうと思っていた。

一方、明夫がえみ子の手術を頼みに行って追い返された病院は、長谷川の勤務先だった。ブラック・ジャックの名を口にした明夫に事情を聞く長谷川。どんな顔でも愛せる人がいることはわかっているが、そんな立派なことは自分にはできない。だから顔を治すしかない…。そのとき、ブラック・ジャックから電話がある。

えみ子から安楽死の相談を受けた、それほど彼女は追い詰められている。2億で手術を受ける方法もあると再度提案するが、明夫は2億で手術をする言い訳だと本気にしない。長谷川は、ブラック・ジャックは思っている以上に危険な医者だとマンションに帰らせる。

キリコの安楽死を止めたいブラック・ジャックは、明夫が間に合わない可能性を考え、六実家の上?の部屋の住人に点検と言って入れてもらい、ベランダの非常階段から六実家に侵入する。

その頃、えみ子は死にたい、辛い気持ちをキリコに吐露していた。壁にはえみ子の笑顔の写真が無数に貼り付けられていた。もともと明夫はえみ子の笑顔に一目惚れしてプロポーズした。自分を愛し、どんなわがままも聞いてくれる明夫を愛し、幸せだった。

あなたならこの顔で生きていけるかと聞かれたキリコは、はいとうなづく。見てごらん、同じ病気だって頑張って生きている人がいると言われることもある。それはわかっているけど、自分は毎日「今日も生きちゃっている」としか考えられない。

辛いことを話させてごめんなさいとキリコはえみ子を抱きしめる。

ブラック・ジャックとピノコが乗り込んでくる。えみ子を助けようとするが、えみ子は自分で安楽死の薬を流し込んでしまった。本来は徐々に効いて心不全を起こすものだが、急激に入れてしまったため瀕死の状態に。そこに明夫と長谷川が入ってくる。ブラック・ジャックは、応急処置はしたが、このままだとキリコに殺される。2億出せば、命だけは助けてあげると明夫に迫る。

ブラック・ジャックは、明夫に問う。堪えられるのか、彼女の自殺を見過ごしたことを。彼女がいる地獄といない地獄、どっちがいいんだ!

助ける必要はない。彼女は死にたがっていたとキリコ。

明夫は、自分の内臓を全部売って2億払うからえみ子を助けてくれと懇願する。

僕はえみ子をちゃんと愛せないかもしれない。生きていたら彼女は苦しいでしょう。それなら一緒に苦しみます!それなら僕にもできる、できる。それを聞いてか、えみ子の目から涙が溢れる。

それが聞きたかった。

ブラック・ジャックはそう言うとえみ子を自宅に連れていき、長谷川を助手にして手術を行う。獅子面病の原因となっていた脳下垂体を部分切除する。長谷川はその神業に驚愕し、あれなら「神になりたい」と言えると呟く。

ピノコは、ブラック・ジャックが彫る彫刻は、助けられなかった人に手向けたものだと教える。それは忘れないためだ。

ブラック・ジャックの本質に触れた長谷川は素直になり、ブラック・ジャックも手術の手伝いへの礼を口にした。

それぞれのその後と衝撃の結末

長谷川が病院のベンチで琵琶丸の「一夜」を聴いていると、伊丹がやってくる。殺されたかと思ったが、誰かに助けられた、お香の匂いのする場所に連れて行かれたと言う。それはもしや…。琵琶丸のライブ「やっ!」のチケットがスマホに届く。

ライブ会場。誰が取ってくれたんだろうと長谷川が不思議に思っていると、古川駿斗がビール片手に近寄ってきた。顔は駿斗だが、ビールグラスをくゆらすクセと笑顔はまさに後藤だった。

琵琶丸は「一夜」を歌う前に、曲名論争の答えを出す。それは「イチヤ」でも「ヒトヨ」でもなく「かずや」という親友の名前で、親友との最後の夜を歌ったものだった。

古川法務大臣と秘書は、駿斗が世界の政治情勢を学びたいと留学すると喜んでいた。まるで人が変わったようだ。

鉄骨の事故に遭った翔太は元気になり、風車を作っている。

そしてえみ子の顔はもとの美しい顔に治っていた。マンションは売り払うし、親戚にも頼んでいるが、支払いは少し待ってくれという明夫。ブラック・ジャックは、そういうのはやってないから、約束通り、身体で払ってもらうと答える。ただしそれは死んだとき。手術に使う大切な臓器だから、健康を保つようにと付け加えた。ピノコは自分も18歳の見た目にできるのではないかとダダをこねる。えみ子は、この命を大切にすると誓った。

翔太からもらった「ありがとう」と書かれた風車を見て微笑むブラック・ジャック。長谷川がお茶を持ってくる。我が物顔で家に出入りする長谷川に文句を言うと、長谷川は弟子になると言う。弟子は取らない主義と断られると、ピノコの弟子だと言い張る。

長谷川は、医者にならずにマンガ家になった手塚という人の話をする。医者が主人公のマンガを考えているとそのストーリーを語り始める。

ある御曹司が交通事故を起こして瀕死の状態に。損傷した臓器を、ある健康な青年から移植しろという依頼を受けるが、医師は健康な青年の命を犠牲にする意味が感じられず、青年の方を生かすことにした。青年の顔を御曹司の顔そっくりに整形した。

ブラック・ジャックが適当にあしらっていると、キリコがやってくる。えみ子のことを確認しに来たのだ。

BJ「誰かさんのおかげで顔もすっかりきれいになってな」
キリコ「顔も治したってこと?(彫刻を見て)もしえみ子さんを救えなかったら、何を閉じ込めるつもりだったの?」

BJ「何がいいかね」
キリコ「それ、私に聞く?」
BJ「お前さんの方が彼女のことをよく知っているだろ」
キリコ「考えるまでもなくてよかったわね」
BJ「おや、よかったのか」
キリコ「私は別に殺人鬼じゃない。生きられる力があるなら生きればいい」

キリコ「でも思うのよ。放っておけば死にゆく運命の個体を力ずくで生き返らせるのは人間だけよね。ある意味、医者はずいぶんな神様気取りだわ。いったいそれはどこまで許されるのかしらね」

BJ「生きる苦痛から逃れるために、自ら命を断ち切るのも人間だけだ。それはどこまで許されるのかね」

キリコ「それこそ神のみぞ知る、かしらね

キリコがそう言って出て行こうとすると、長谷川が大声を出す。崖が崩落してえみ子と明夫の車が下敷きになったというニュース速報がテレビで流れている。

キリコ「こんなこと、ある?せっかく治したのにバカみたい、私たちあんなにジタバタして何だったの。あの人たちはどうやったってこうなる運命だったの」

ブラック・ジャックはすぐに助けにいこうとする。

キリコ「絶対に助からないわよ」

BJ「何度でも助けてやる」

キリコ「なんのために?」

BJ「自分が…、生きるためだ」

【ブラック・ジャック2024】の原作エピソードは?

実写化ドラマ【ブラック・ジャック(2024のストーリーは、原作の有名エピソードから構成されています。どのエピソードのエッセンスが取り入れられているのかを、筆者がわかる限りまとめてみました。

マンガ『ブラック・ジャック』は、もともと秋田書店刊「少年チャンピオン」で連載されていたマンガですが、のちに講談社からも出版され、現在は電子書籍化もされており、書籍によって収録されているエピソードや順番が違うので、ここで表記する「第○話」は秋田書店「少年チャンピオンコミックス」新書版に準じています。

第1話「医者はどこだ!」

冒頭の、御曹司が交通事故を起こして内臓を大きく損傷し、それを助けるために罪もない健康な青年を犠牲にするというエピソードは、原作マンガの記念すべき第1話「医者はどこだ!」です。

原作では…
 世界一の実業家ニクラのひとり息子で不良のアクドが交通事故で瀕死の重傷を負う。ブラック・ジャックが損傷した臓器を入れ替えるために、別の体が必要だと告げると、ニクラは無関係の、服の仕立て屋の善良な青年デビイを死刑にさせてその体を使えとほざく。
 しかしブラック・ジャックは、密かに青年の顔をアクドの顔に整形。病院を抜け出して家に戻ったロビーが母親に自分は息子だと言うが母親はもちろん信じない。そこで仕立てのハサミ使いを見せると母親も納得。ニクラがデビイ(アクド)を探しているため、2人はブラック・ジャックがニクラからふんだくった大金で外国に逃亡します。先生は天使だと感謝しながら。

世界一の実業家を日本の法務大臣に。

第104話「タイムアウト」

長谷川(井之脇海)がギャラリーからブラック・ジャックを追っていったとき直面した鉄骨の荷崩れ事故は、第104話「タイムアウト」がベースになっています。ドラマの、翔太が落とした風車を拾いにいって事故に巻き込まれたと

原作では…
 大渋滞の中で建設会社「槍杉建設」のトラックが、鉄骨を積みすぎていて荷崩れ事故を起こし、歩道にいた幼児がその下敷きになってしまう。鉄骨をどかせるクレーン車は渋滞で遅れる模様で、鉄骨はいつ崩れるかわからない。現場に居合わせたブラック・ジャックは、「5000万円出せば助ける」という条件を「槍杉建設」の代表がのんだため鉄骨の中にもぐりこみ、その場で子供の四肢を切断し、病院でそれを繋ぐ。
 手術が成功すると、後続車のドライバーが追突したせいだと罪をなすりつけて手術代を支払わない「槍杉建設」。ドライバーは追突する前に鉄骨を支えていたワイヤーが切れたのを見たと主張する。ブラック・ジャックは彼には裁判で戦えと言うものの手術代を取る気はなく、幼児がくれた風車を5000万円の代わりに受け取った。

いくら会社もドライバーも立場が悪くなるといっても、1億円の手術費を、ドライバーが「会社に掛け合う」とあの場で言ってしまうのが疑問。結局、風車を取りに行った子どものせいにして払わないってことになった。登場人物を省きたいのはわかるけど、やっぱり代表者が顔を出した方が説得力があったし、現代風にしてもブラック・ジャックが「明日から人殺し」扱いだとか言うかな?

第24話「灰とダイヤモンド」

ブラック・ジャックが50億円のピンクダイヤを身体に埋めた松方(橋爪功)のエピソードは、第24話「灰とダイヤモンド」がベースになっています。

原作では…
 一代で大金持ちとなった松方は、誰も信用できず、全財産30億円を1個1000万円ダイヤ300個に変えて、1年前に ブラック・ジャックに体に埋めこませた。ブラック・ジャックがいくつかくすねているのではないかと心配になり、百鬼博士に確認しろと依頼する。しかし、百鬼博士が確認するとすべてアクリル玉にすり替えられていた。「それでもあなたは医者かっ」と怒る百鬼医師をブラック・ジャックは、ダイヤのありかであるボロボロの老人ホームに連れて行く。松方はもう長くない、死んだらダイヤも灰になる。30億円はこの老人ホームを建て直す費用に充てる方が有意義だと言う。百鬼は松方に、老人ホームに寄付する気はないかと聞くが、松方は自分が稼いだ金だ、これまで人の面倒をみて損ばかりしてきたからそんな情け心はないとキッパリ。
 しばらくして松方は死亡。ブラック・ジャックは結局ダイヤを老人ホームに届けたという百鬼と祝杯をあげる。

ドラマでは、ピンクダイヤの撮影小物がちゃちくて、ダイヤに見えなかったのが残念…。おばあちゃんたちダイヤだってわかってるのかな?

第31話「獅子面病」

六実えみ子(松本まりか)は、奇病「獅子面病」に冒され、美しい顔がごわごわに変形してしまった。妻の笑顔、顔が大好きだった夫・明夫(宇野祥平)は、何とかその笑顔と美しさを取り戻そうとあらゆる医者に治療を頼む。40件以上も断られてたどり着いたブラック・ジャックには2億円の手術費をふっかけられて反発&尻込みする。
このエピソードは、第31話「獅子面病」から。

原作では…
友引警部は、ブラック・ジャックが無免許で医療行為に従事していることを理由に逮捕。警部はある難病患者を救うことができたら逮捕をとりやめ、医師免許を取ってやると持ちかける。奇病「獅子面病」に冒された患者は友引警部の実の息子だった。

第140話「落としもの」

獅子面病で追い詰められ、キリコに頼んで安楽死で自殺しようとした妻のえみ子(松本まりか)を救うため、それまで2億円という手術費に納得できなかった夫の六実明夫(宇野祥平)が、最後に、自分の臓器を売るからえみ子を助けてくれと懇願するシーンは、第140話「落としもの」から。

原作では…
ヘルニアの難しい症状で手術不可能と医師たちから匙を投げられた女性がいた。サラリーマンの夫は妻の命は金には換えられないと、家も家財道具も売り払い3000万円を作ってB・Jに手術を頼むが、その全財産の小切手を駅で落としてしまう。いくら探しても小切手は見つからず、夫は“からだ”で払うことを決意。「こんなに肉づきがいいし、健康そのものだっ。俺の手足、内臓、どこでも買ってくれっ。どんな手術にも使えるぞ。全部先生売るぞ」(原文ママ)と叫んだ。

第51話「ふたりの黒い医者」

六実明夫・えみ子夫妻が、「獅子面病」を克服して笑顔で帰る途中、崖の崩落事故に遭うというシーンは、第51話「ふたりの黒い医者」がベースになっています。彼らはこうなる(死ぬ)運命だったと嘲笑うキリコに、それでも「何度でも助ける。自分が生きるために」という2人の最後のやりとりは印象深いシーンですね。

原作では…
元軍医のドクター・キリコは、戦場で体を吹き飛ばされて苦しむ人たちを目の当たりにする中で、安楽死もひとつの人助けだと信じるようになっていた。ある日、全身不随の女性から子どもたちに負担をかけたくないからと安楽死の依頼を受ける。しかしブラック・ジャックは同日にその子供たちから母を助けてくれと依頼された。ブラック・ジャックは、キリコの手から患者を奪い、奇跡的なオペを成功させるが、母子は退院直後、事故で死んでしまう。高笑いをするキリコにブラック・ジャックは叫ぶ。「それでもわたしは人を治すんだっ 自分が生きるために」。

第178話「肩書き」

当たり前のようにブラック・ジャック家に入り浸るようになった研修医の長谷川啓介(井之脇海)。えみ子の手術の手伝いをしますが、ブラック・ジャックは助手をとらない主義。そこで長谷川は「ピノコの弟子」を名乗ります。この「ピノコの助手」は、原作マンガ第178話「肩書き」から。

原作では…
 某国の皇帝陛下が公式に来日。医師でもある陛下はどうしてもブラック・ジャックのオペが見たいと、本国から心臓病の患者を連れてきていた。外務省は仕方なくブラック・ジャックの公開オペをセッティングするが、政府が大切な賓客の前でそのままブラック・ジャックに執刀させるわけがなく、ブラック・ジャックは憤慨して帰ってしまう。
 ところが後日、陛下は1人で患者を連れてブラック・ジャックの家にやってきた。助手をさせてほしいと頼むが、ブラック・ジャックは助手はピノコだと却下。だが、術中の必要性もあり、陛下を“ピノコの助手”として使う。手術に感動した陛下が母国に帰る日。ブラック・ジャックはその飛行機を見送りにいった。

別の原作エピソードで、助手にしてほしいと懇願する若者にブラック・ジャックが「助手はとらない主義」と断る場面があったと記憶しているのですが、どのエピソードか忘れてしまいました。

琵琶丸と「一夜」

今回のドラマで、長谷川と後藤が好きなシンガーソングライターとして登場した琵琶丸(竹原ピストル)。原作に盲目の鍼師として登場した琵琶丸は、そもそも『どろろ』でデビューした琵琶法師。現代版にうまく転生(?)させたなと。

曲名の「一夜」は、やはり手塚作品の『千夜一夜物語』からとっているのではないかと考察しました。「いちや」か「ひとよ」かという読み方論争も何かのエピソードに由来していそうですが、わかりませんでした。

カレー

ブラック・ジャックはカレーが好物。とくに「ボン・カレー」は原作中でも美味しいと高評価。ピノコもよく作るけど、あまり上手じゃないのは原作ネタです。今作では、熊カレーをブラック・ジャックが作っていました。

アニメ声優・大塚明夫がナレーションを担当

六実夫妻が崩落事故にあったというニュース報道のアナウンサーは、アニメでブラック・ジャックの声優を務めた大塚明夫が担当。これはアニメ・ファンにはうれしいキャスティングでした。

手塚作品へのオマージュやその他の小ネタ考察

ドラマの中には、手塚治虫作品へのオマージュか?と思われる小ネタもありました。あくまで考察・推測です。

すすき野原は「どろろ」オマージュ?

すすき野原にいる凸凹コンビといえば、『どろろ』を思い出してしまうのは筆者だけ?

競馬シーンの黒い馬

冒頭の、法務大臣・古川正文(奥田瑛二)と秘書がVIPルームで競馬の観戦をしているシーン。黒い馬の絵は、実際に活躍していた「ブラック・ジャック」という競走馬ネタか、原作マンガ第29話『化身』で、ブラック・ジャックが、脳が潰れてしまったトミーという少年がかわいがっていたプロミネンスの脳を移植した、つまり臓器移植ネタ(今作では結局していない)の前振りだったのか!?

駿斗が見た白馬の幻

『ブッダ』がらみで、シッタールダ王子(ブッダ)が出家の際乗っていた白馬カンタカ? またお釈迦さまは悟りを開きブッダとなる前、輪廻転生を繰り返し、前世でさまざまな動物になっていて、「駿馬」の伝説があり、「駿馬本生」という彫刻が残っています。古川法務大臣のドラ息子・駿斗は、優れた馬という意味だということ。

彫刻

ブラック・ジャックが彫刻好きっていう描写があったかどうかがあまり記憶にない。メス使いが上手だったからそういうエピソードがあったかもしれませんが…。
我王と茜丸という仏師(仏像を彫る彫刻家)が出てくる『火の鳥』オマージュかと考察します。
ブラック・ジャックの部屋のドアの脇に、火の鳥っぽい彫刻もありました。

ドラマ【ブラック・ジャック】ネタバレと考察まとめ

高橋一生主演で24年ぶりに実写化された『ブラック・ジャック』。
子どもの頃から手塚作品を読んでいた筆者も、とても楽しみにしていたのですが、正直言うと、ちょっとがっかり。

高橋一生のBJと永尾柚乃のピノコはよいキャスティングだったし、いろいろなエピソードを繋いでいくキャラとして研修医役の井之脇海を置いたのはいいけど、SNSでも指摘されている通り、詰め込みすぎでテンポが悪く、緩急や盛り上がりに欠けたという印象です。そんな感想を持ちながらも、あれ?これはあのネタかなと掘り出してしまったのですけれど…。

ほかにも原作や手塚作品へのオマージュがいろいろありそうです。みなさんは「これはあれかも?」とピンとくるものはあったでしょうか。

続編ありきでの脚本なんだろうなと思うところもいくつかあったので、それだったら、詰め込みすぎずに2つぐらいのエピソードをじっくりやってほしかったですね。

キリコについては、女性にしたことも何だろう?と思うし、女性にするにしても石橋静河は若すぎる。せめて高橋一生と同年代の女優さんの方がよかったと思います。もちろん時代が違うから「軍医」という原作のバックグラウンドは使えない。それだったら、いったいあのキリコはなぜ安楽死にこだわるのか、その理由がわかりません。キリコは「自殺幇助はしないはず」という指摘もその通りかな、と。

キリコが実父を安楽死させたような描写が一瞬あったので、きっと続編でこの回収をするのだろうと思いますが、いったいどういう設定にするのでしょう?