2007年度前期の朝ドラ【どんど晴れ】(どんどはれ)が2025年10月からNHKBSで再放送されます。
「どんど晴れ」は、民話の故郷・岩手県を舞台に、老舗旅館に飛び込んだ都会育ちのヒロイン・夏美が孤軍奮闘しながら成長していく様を爽やかに描く、笑いと涙の「女将奮闘記」!
主演:比嘉愛未、脚本:小松江里子、音楽:渡辺俊幸、語り:木野花、主題歌:小田和正
本記事では、「どんど晴れ」のネタバレ・あらすじを全話を、最終週(156話)まで紹介していきます。
- 朝ドラ【どんど晴れ】ネタバレ・あらすじ全話
- 第1週「わたし女将になります」
- 第2週「ひとりぼっちの旅立ち」
- 第3週「おもてなしの心」
- 第4週「親の気持ち」
- 第5週「信じるこころ」
- 第6週「浅倉家ご一行様」
- 第7週「女将修業、断念」
- 第8週「失意の帰郷」
- 第9週「中途半端じゃ終われない」
- 第10週「職人気質」
- 第11週「ライバル登場」
- 第12週「裏の心と表の心」
- 第13週「真実の思いやり」
- 第14週「二人の誓い」
- 第15週「伝統は変えられません」
- 第16週「競い合いの決着」
- 第17週「柾樹の孤立」
- 第18週「遠野への旅」
- 第19週「女将の決断」
- 第20週「家族の和」
- 第21週「加賀美屋の一番長い日」
- 第22週「悲しみに負けない笑顔」
- 第23週「不気味な影」
- 第24週「加賀美屋の危機」
- 第25週「一番大事なもの」
- 最終週(第26週)「来る者帰るがごとし」
- 最終回(156話)あらすじ
- タイトル「どんど晴れ」の由来とは?
- 「どんど晴れ」の動画配信
朝ドラ【どんど晴れ】ネタバレ・あらすじ全話
朝ドラ【どんど晴れ】のネタバレ・あらすじを全話紹介します。
第1週「わたし女将になります」
【第1週全体】浅倉夏美(比嘉愛未)は横浜のケーキ店の跡継ぎ娘、23歳。一流のケーキ職人である父・啓吾(大杉漣)を目標にパティシエ修業中。やさしい母・房子(森昌子)と弟・智也(神木隆之介)の四人家族である。夏美は恋人・加賀美柾樹(内田朝陽)の祖母・カツノ(草笛光子)の喜寿祝いのため岩手に行く。柾樹の実家は盛岡でも有名な老舗旅館で、カツノはその「加賀美屋」の大女将。旅館の実務は次男の嫁で女将の環(宮本信子)が取り仕切り、経営は環の息子・伸一(東幹久)に任されていた。
祝いの翌日、柾樹は幼い頃に母・俊江(中江有里)とよく行った一本桜に夏美を案内する。そこで柾樹が盛岡を出たのは、俊江が女将の激務に体を壊して亡くなったからだと夏美は知る。普段は見せない柾樹の寂しさに触れ、夏美は柾樹の「心の一本桜」になろうと決意する。そこへ、カツノが倒れたと知らせが入る。病床に駆けつけた柾樹にカツノは旅館を継いでくれと頼む。旅館を新しくしようとする環たちに代わって老舗を守って欲しいと言うのだ。数日後、先に横浜に戻っていた夏美を柾樹が訪ね、「結婚の話はなかったことにしてくれ」と切り出した。夏美は一本桜の前で誓った思いを込めて「わたし女将になる!」と柾樹に告げる。
第1回:
浅倉夏美(比嘉愛未)は横浜のケーキ店でパティシエ修業中の23歳。父・啓吾(大杉漣)は厳しいが腕のいいケーキ職人、やさしい母・房子(森昌子)と中学生の弟・智也(神木隆之介)の4人暮らしである。夏美は恋人の加賀美柾樹(内田朝陽)の祖母・カツノ(草笛光子)の喜寿の祝いに岩手へ行くことになった。結婚前の挨拶程度の軽い気持ちで出かけた夏美だが、柾樹の実家の老舗旅館の威容に圧倒されてしまう。
第2回:
柾樹の実家である盛岡の老舗旅館にやって来た夏美は、大女将・カツノや女将の環(宮本信子)が列席する喜寿の宴席の仰々しさに驚く。はじめは遠慮気味の夏美だったが、すぐに持ち前の明るさで大勢の親戚たちに溶け込んでいった。カツノは蔵で後片付けをする夏美を見て座敷童と見間違える。はたして夏美は加賀美家に幸福をもたらす座敷童なのか、それとも……。
第3回:
たった1日で夏美はもう加賀美家の一員のように馴染んでいた。柾樹はそんな夏美に見せたい所があると「一本桜」へ案内する。そこは亡き母・俊江(中江有里)が好きで、いつも幼い柾樹を連れて来た思い出の場所だった。柾樹が盛岡を出たのは、女将の激務に体を壊して亡くなった母のことがあったからだと知った夏美は、柾樹の「心の一本桜」になろうと決心する。その時、カツノが倒れたと柾樹に連絡が入る。
第4回:
大女将のカツノが倒れて加賀美屋は急にそわそわとしはじめた。女将の環や息子の伸一(東幹久)は老舗旅館をリニューアルする計画を進めるため、カツノに大女将の引退を迫ろうとしていた。一方、カツノは病床に柾樹を呼び旅館を継いで欲しいと頼む。夏美と結婚して横浜で暮らすつもりの柾樹は断るのだが……。1人先に横浜に帰る夏美は柾樹の態度に少しおかしなものを感じていた。
第5回:
横浜で新作ケーキ作りに没頭する夏美であったが、何日も柾樹から連絡がないことに不安を覚え始めていた。夏美は柾樹の働くホテルにケーキを納入するためにやって来る。柾樹は「今晩話したいことがある」とだけ言うと夏美を避けるように仕事に戻って行った。久しぶりに来る柾樹のためご馳走を作る母の房子や弟・智也の笑顔を見ても、夏美の不安はますます大きくなっていく。
第6回:
仕事を終えた柾樹が夏美の家に来た。啓吾や房子は柾樹の訪問に上機嫌でにぎやかな夕食がはじまった。しかし、結婚の日取りに話が及ぶと柾樹が突然「盛岡に戻って旅館を継ぐつもりだ」と切り出す。そして、夏美との結婚を無かったことにしたいと言うのだ。啓吾に「出て行け」と怒鳴られ柾樹は深く頭を下げて帰っていく。夏美は柾樹の後を追い、決然と「わたし女将になる」と叫ぶ。
第2週「ひとりぼっちの旅立ち」
【第2週全体】夏美(比嘉愛未)は「女将になる」と宣言したが、柾樹(内田朝陽)には無理だと言われ、父・啓吾(大杉漣)からは猛反対される。それでもあきらめ切れない夏美は何日も柾樹の帰りをアパートの前で待つが、話もしてもらえない。ある日風邪で倒れた柾樹を無理やり看病した夏美は、柾樹が結婚をやめようと言ったのは女将の苦労を夏美にさせたくないからだと知る。
一方、盛岡の加賀美屋では、倒れたカツノ(草笛光子)に代わって名実ともに環(宮本信子)が女将として旅館を仕切りはじめた。柾樹が帰ってくると聞いた環や夫・久則(鈴木正幸)、長男・伸一(東幹久)たちは、その前にカツノが大女将を引退するように説得しようとするのだが上手くいかず、カツノと環の嫁姑の亀裂は深まっていく。柾樹の本心を知った夏美は、母・房子(森昌子)の後押しで啓吾に盛岡行きをもう一度願い出るが、「出て行くならば親子の縁を切る」と言われてしまう。夏美は新作のケーキを徹夜で完成させると、早朝盛岡に旅立った。突然旅館で働かせて欲しいとやって来た夏美に驚く加賀美屋の一同であったが、カツノが夏美の仲居修業を認める。夏美のたったひとりの奮闘がはじまった。
第7回:加賀美屋では柾樹(内田朝陽)が帰ってくると聞いて大女将・カツノ(草笛光子)と女将・環(宮本信子)の嫁姑の対立が表立ってきた。一方、夏美(比嘉愛未)は柾樹から結婚話を破棄されて落ち込んだが、柾樹が旅館を継ぐのなら柾樹と一緒に盛岡へ行って女将になると決心する。啓吾(大杉漣)や房子(森昌子)は娘の無謀な考えをいさめようとするが夏美は聞き入れず、柾樹ともう一度話し合いたいとアパートへ行く。
第8回:夏美がパティシエになる夢を捨てて盛岡へ行くと言ったことが、啓吾には大きなショックだった。啓吾は柾樹が働くホテルを訪ねて、夏美に二度と会わないようにとクギをさす。そのことを知った夏美は啓吾と大喧嘩をしてしまう。房子は啓吾がどれほど夏美のことを思っているのかを語ってなぐさめてやるが、最後には「自分の人生は自分で決めるの」と娘の決意を後押ししてやる。
第9回:病床に伏していたカツノは馴染みの客が泊まりに来たと聞いて、病をおして挨拶に行く。名実共に女将になったと思っている環はそんなカツノの行動が癪にさわった。横浜では風邪で寝込んだ柾樹を夏美が看病する。その時、夏美は熱に浮かされた柾樹の言葉から彼が自分のことをまだ愛していると確信を持つ。そして、柾樹が結婚を止めようと言い出した本当の理由を知る。
第10回:啓吾と房子は夏美のことが原因で夫婦喧嘩になり気まずくなっていた。そこへ夏美が戻って来て、柾樹と一緒に盛岡へ行きたいともう一度訴える。啓吾はもし行くならば親子の縁を切ると言い放ち家を出て行ってしまう。夏美は夜を徹して父から課題を出されていた新作ケーキを一心不乱に作る。翌朝、啓吾が家に戻ると夏美の作った新しいケーキと手紙が厨房のテーブルに置かれていた。
第11回:朝早く盛岡に着いた夏美は加賀美屋に向った。突然、夏美が来たことにカツノは戸惑う。柾樹が旅館を継ぐ事をやめさせて欲しいと訴えに来たと確信していたカツノは、環から2人の結婚話がなくなったと聞かされて驚く。夏美は加賀美屋で修業させて欲しいと頼み込むが、とりあえず一晩泊まっていけと相手にされない。だが夏美は旅館を手伝おうとして板場で問題を起こしてしまう。
第12回:旅館の板場で一騒動起こしてしまった夏美は落ち込んでいた。そんな時、横浜から柾樹が駆けつける。柾樹は夏美を連れ戻そうと来たのだが、柾樹の「心の一本桜」になりたいと真剣に訴える夏美の愛情に触れて、柾樹はたまらず「夏美のいない人生なんて考えられない」と本音を告白する。再び愛を確かめ合った2人は、カツノに旅館で働きたいと願い出てついに夏美の仲居修業がはじまる。
第3週「おもてなしの心」
【第3週全体】夏美(比嘉愛未)の仲居修業がはじまった。大女将・カツノ(草笛光子)から夏美の教育を任された環(宮本信子)は、仲居頭の時江(あき竹城)にビシビシ指導するように言いつける。夏美は同じ新人仲居の佳奈(川村ゆきえ)とすぐに仲良くなったが、他の仲居たちは柾樹(内田朝陽)の婚約者である夏美に遠慮と反感半々で打ち解けてくれない。さらに板場のしきたりを知らず板長に怒鳴られるなど失敗の連続だが、夏美は持ち前の明るさで仕事を積極的に覚えていく。
しかし、ある日事件が起こった。夏美の不手際で客の吉田(山本圭)が転んで怪我をしたのだ。その夜、夏美は環が夜通し吉田の部屋の前で控えているのに気づく。お客様の不便がないように誠意を尽くすのだと教えられた夏美は、環と一緒に廊下で夜を明かす。さらに、吉田が亡くなった妻と毎年八幡平を訪ねていたことを知った夏美は環の反対を押し切って、下宿仲間の裕二郎(吹越満)たちと一緒に吉田を八幡平に連れて行く。妻との思い出の場所に立った吉田は涙を流し、ただ思い出に生きるよりも自分で一歩踏み出す勇気をくれた夏美に感謝する。このことで環は夏美が女将に向いているかも知れないと危機感を強く持つ。
第13回:夏美(比嘉愛未)の仲居修業が始まった。カツノ(草笛光子)から夏美の教育を任された環(宮本信子)は仲居頭の小野時江(あき竹城)に夏美を厳しく指導するよう言いつける。他の従業員たちに挨拶をすませると夏美は早速客の靴を磨く仕事を言いつけられた。時江の指導はとてもうるさくて、細かい埃にまで目を光らせる。さらに玄関掃除から行儀作法の稽古まで、夏美が息つくひまもないほどの厳しい修業であった。
第14回:夏美は同じ新人仲居の松本佳奈(川村ゆきえ)とはすぐに仲良くなったが、他の仲居や従業員たちは大女将の孫の婚約者である夏美に遠慮と反感半分でなかなか打ち解けてはくれない。さらに時江の指導は厳しさを増し、夏美は何度も何度も同じ仕事をやり直させられヘトヘトに疲れてしまう。やっと1日目が終わり夏美は佳奈に連れられて下宿「イーハトーブ」に来る。そこで一風変わった面々と顔を合わせた。
第15回:夏美が住むことになった「イーハトーブ」は、柾樹(内田朝陽)の高校の大先輩・岩本裕二郎(吹越満)が経営する下宿。少し風変わりな住人(ダニエル・カール)たちとも夏美はすぐに仲良くなる。一方、横浜では柾樹が浅倉家を訪れ、もう一度夏美との結婚を認めて欲しいと啓吾に願い出る。だが、啓吾はまったく相手にしなかった。夏美は持ち前の明るさで積極的に仕事を覚えていくが、ある日事件が起きる。
第16回:雨なのに夏美が玄関先に滑り止めのマットを敷かなかったため、客の吉田(山本圭)が転んで怪我をした。佳奈が夏美に教えるのを忘れていたのだが、他の仲居や従業員たちはいっそう夏美につらくあたるようになる。その夜、夏美は環が吉田の部屋の前で控えているのに気づく。お客様の不便がないように誠意を尽くすのだと教えられた夏美は、環と一緒に廊下で夜を明かす。
第17回:女将・環のもてなしの心に触れた夏美は、吉田のために何か出来ることはないかと思案をめぐらせる。一方、加賀美家では夏美が頑張って修業を続けていることに不安を感じた伸一(東幹久)が妻の恵美子(雛形あきこ)に女将修業をさせようとしていた。夏美は吉田が亡き妻と毎年のように高山植物を見に八幡平に行っていたことを知り、腰を痛めた吉田を何とか八幡平に連れて行けないかと考える。
第18回:夏美は吉田を八幡平に連れて行きたいと申し出る。吉田は亡き妻を思い出して悲しみに暮れることを恐れたが、夏美の懸命さに押されて八幡平に行くと決心した。吉田は妻との思い出の地八幡平で涙を流しながら、過去の思い出から一歩踏み出す勇気をくれた夏美に感謝する。このことで環は夏美が女将に向いているかも知れないと思った。そして、夏美の修業は順調に進む……かに見えたのだが。
第4週「親の気持ち」
【第4週全体】仲居の仕事を順調に覚えていく夏美(比嘉愛未)を見て、環(宮本信子)や伸一(東幹久)は不安を感じていた。伸一は妻の恵美子(雛形あきこ)に育児や家事をやめさせ無理やり旅館の仕事を手伝わせる。夏美に対抗して恵美子を若女将にし、さらに母屋の家事を夏美に押し付けて夏美が音を上げるのを待つ作戦であった。しかし、夏美は旅館の仕事にも盛岡の生活にも慣れて充実していた。特に下宿「イーハトーブ」では、マスターの裕二郎(吹越満)やビリー(ダニエル・カール)、アキ(鈴木蘭々)など一癖ある面白い人々と一緒に楽しい下宿生活を送っていた。
一方、夏美の仲居修業を認めヨリを戻した柾樹(内田朝陽)は、夏美の父・啓吾(大杉漣)に再び結婚の承諾を得ようと毎日通っていたが、啓吾は柾樹に会おうとすらしなかった。ある日、伸一・恵美子の息子・健太と勇太が夜になっても学校から帰ってこない。恵美子が旅館の仕事に忙しくかまってくれないことに不満だった二人が家出をしたのだ。見つかった健太と勇太を叱り付ける伸一たちに、カツノ(草笛光子)が言う。恵美子は家事と育児に専念するように、そして自分が明日から大女将として旅館に復帰すると宣言した。
第19回:仲居の仕事を順調に覚える夏美(比嘉愛未)に不安を感じた伸一(東幹久)は、妻の恵美子(雛形あきこ)に女将修業を始めるよう説得する。環(宮本信子)もちょうどいいチャンスと賛成し、カツノ(草笛光子)に恵美子の女将修業の許可を願い出た。ゆくゆくは夏美を女将にと考えるカツノは環の抵抗を苦々しく思うが、恵美子が旅館で働くことに同意する。早速翌日から恵美子は女将見習いとして加賀美屋で働くことになる。
第20回:恵美子の女将修業が始まった。従業員たちは女将・環の意図を感じ取って、いっそう夏美に厳しく接するようになる。さらに夏美は恵美子に代わって加賀美家の母屋の家事をするハメになってしまった。カツノは環の露骨な仕打ちに腹を立てるが、夏美は家族の一員として認められたと喜んで家事もこなしていく。恵美子は旅館が忙しく子供の世話すら出来なくなる。
第21回:夏美が仲居の仕事に加えて、母屋の家事を押し付けられていることを知った柾樹(内田朝陽)は横浜での仕事を一日も早く片付けて盛岡に帰ると夏美に伝える。一方、女将修業をはじめた恵美子は子供たちのことが気になって仕事に身が入らずミスを重ねた。恵美子は自分が女将に向いていないと落ち込むが、夏美と話しをするうちに元気を取り戻す。恵美子は夏美のほうが女将に向いていると思う。
第22回:女将修業よりも今は子供たちの世話をしたいと恵美子は伸一に懇願する。しかし、伸一は柾樹が帰って来て夏美が女将になると自分たちが追い出されるのが不安で、恵美子や子供たちのことを思いやる余裕がなかった。横浜では柾樹が啓吾(大杉漣)に夏美との結婚を認めてもらうために浅倉家を訪ねていた。これまで一度も会おうとしなかった啓吾が柾樹を飲みに誘う。
第23回:健太・勇太兄弟が夜になっても小学校から帰ってこないので、夏美は心配になって探しに出かけた。母親の恵美子も、旅館の仕事が大事と止める環を振り切って子供たちを探しに行く。結局二人は裕二郎(吹越満)が見つけて「イーハトーブ」で保護していた。恵美子は子供たちを大声で叱りつけると泣きながら抱きしめる。久々に母子たちは触れ合って幸せを感じたのだが……。
第24回:家族会議で健太・勇太はこっぴどく叱られた。見かねた恵美子は今夜だけでも子供のそばに居てやりたいと願うが、環は旅館の仕事が優先と許してくれない。恵美子に加勢する夏美に対して伸一は不信感をあらわに怒りをぶちまける。そこに現れたカツノは恵美子が子供の世話をするために女将修業をやめることを認め、自ら再び大女将として仕事に戻ると宣言する。
第5週「信じるこころ」
【第5週全体】病の癒えた大女将・カツノ(草笛光子)が加賀美屋に復帰した。環(宮本信子)は女将として実権を振るっていただけに苦々しく思ったが、顔には出さない。夏美(比嘉愛未)は仲居の仕事にも慣れ、佳奈(川村ゆきえ)という親友もできて盛岡の生活は充実していた。ある日、ジュンソ(リュ・シウォン)が加賀美屋を訪れる。ジュンソは韓国のスターだが、どことなく寂しげで付き添う人もなく、何やらワケありな様子であった。
一方、横浜の柾樹(内田朝陽)に問題が起きた。すぐに盛岡に帰ってくる予定だったが、断れない仕事ができて戻って来れないのだ。そのことに夏美はひどく落胆する。そんな夏美にジュンソが2年前に日本にいたときの恋人を探すのを手伝って欲しいと頼む。夏美は下宿の裕二郎(吹越満)たちに協力してもらい盛岡中を探すが手がかりがない。ジュンソが帰国する前日になっても見つからず、ジュンソも夏美もあきらめてしまう。その時、カツノが「お客様に心から喜んでいただけるおもてなしをするように」と夏美を諭す。夏美たちはジュンソをラジオに出演させて恋人に呼びかけさせることを思いつく。翌日、帰国の寸前にジュンソは恋人と再会を果たした。夏美は自分も柾樹のことを信じて盛岡で待とうと心に誓う。
第25回:
大女将・カツノ(草笛光子)が旅館に復帰した。環(宮本信子)はカツノが病に倒れてから女将として旅館を取り仕切っていただけに、大いに不満である。夏美(比嘉愛未)は少しずつ仲居の仕事にも人間関係にも慣れて順調に修業を続けていた。とくに下宿が同じ佳奈(川村ゆきえ)とは盛岡で一番の親友となった。ある日、外に使いで出た夏美は川原で子供たちとサッカーをするジュンソ(リュ・シウォン)に出会う。
第26回:
加賀美屋にジュンソが現れた。夏美は彼が川原で落としたハンカチを返そうとするが環に取り上げられてしまう。実はジュンソは韓国の人気スターで、どうやら環はファンらしいのだ。だが、当のジュンソはどことなく寂しげで他に付き添う人もなく、何やらワケありな様子である。一方、横浜の柾樹(内田朝陽)は盛岡に帰れない事情ができてしまうが、夏美には言い出せなかった。
第27回:
夏美は柾樹が盛岡に帰って来れなくなったと聞いて落ち込んでいた。そんな夏美にジュンソは盛岡を案内して欲しいと頼む。しかし、観光をしてもジュンソは楽しむ様子はなく、何かを思いつめているようだった。立ち寄った喫茶店で夏美は電話で柾樹と喧嘩をしてしまう。それを見てジュンソは「ボクにも会いたい人がいる」と夏美に語りはじめた。彼は恋人を探していたのだ。
第28回:
ジュンソが2年前日本にいた時の恋人を探していると聞いて、夏美は彼を手伝う。下宿の裕二郎(吹越満)やアキ(鈴木蘭々)にも協力してもらい盛岡中の手がかりを探すがなかなか見つからない。一方横浜の浅倉家では、啓吾(大杉漣)が夏美と柾樹の結婚を許すと言い出すが、その態度の豹変に房子(森昌子)が怒り出した。そんなある日、加賀美屋にジュンソのマネージャーが現れる。
第29回:
夏美や下宿の仲間たちがジュンソの恋人を懸命に探していたが、何の手がかりもなかった。明日にでも韓国に帰らなければならないジュンソはひどく落ち込んでしまう。万策尽きた夏美も落ち込んでいたが、カツノに「お客様に心から喜んでいただけるおもてなしをするように」と言われてやる気を取り戻す。ジュンソにまだあきらめないでと説得する夏美のもとに電話が入った。
第30回:
ビリー(ダニエル・カール)の計らいでジュンソは地元のラジオに出演することになった。「君ともう一度出会えるのなら、ずっと君のそばにいる」ジュンソは盛岡にいるはずの恋人に語りかける。その言葉を聞きながら、夏美は柾樹のことを信じて待とうと心に誓った。翌日ジュンソが帰国する寸前に恋人が見つかった。夏美は彼を恋人と会わせるために体を張ってマネージャーたちと闘う。
第6週「浅倉家ご一行様」
【第6週全体】恋人の柾樹(内田朝陽)が盛岡に戻れなくなったと知ってショックを受けていた夏美を、突然柾樹が横浜から訪ねて来た。両親が結婚を許してくれたと聞いて喜んだ夏美は元気を取り戻し、ますます仲居修業にやる気を出す。そして柾樹と入れ替わりに、夏美のことが心配な横浜の家族が加賀美屋にやって来た。だが、上客ではないと判断した伸一(東幹久)が満室だと宿泊を断る。下宿で家族と再会をした夏美はこれまでの緊張が一気に解けたように笑い泣いた。
翌日、啓吾(大杉漣)と房子(森昌子)は「夏美をよろしくお願いします」とカツノ(草笛光子)に挨拶をする。しかし、泥だらけで庭仕事をさせられる夏美を見て心配になり、さらに伸一(東幹久)たちから旅館仕事の大変さを吹聴されて不安がふくらみ、啓吾は夏美を横浜に連れて帰ると言い出した。カツノは夏美を女将にしようとした理由を啓吾に話し、それに納得した啓吾は娘を置いて横浜に帰ることにする。庭木を育てることを任された夏美はうまく育てられずに悩んでいた。そんな夏美に平治(長門裕之)が「手をかけるのだけが愛情ではない。かえって弱らせることもある」と忠告をする。夏美は庭木を育てることを通して両親の愛情の深さをはじめて知ることになった。
第31回:
盛岡の夏美(比嘉愛未)の下宿に突然柾樹(内田朝陽)がやって来た。柾樹が当分盛岡に戻れないと知ってショックを受けた夏美のことが心配だったのだ。下宿の仲間・岸本聡(渡邉邦門)はそんな柾樹に夏美のことを考えろとなぜか怒りをあらわにする。夏美も酔った勢いで旅館での苦労を柾樹に愚痴るが、柾樹から啓吾(大杉漣)が二人の結婚を許してくれたと聞いて喜ぶ。横浜では啓吾や房子(森昌子)が盛岡に出かける準備をしていた。
第32回:
柾樹とはつかの間の再会であったが、夏美は仲居修業にやる気を取り戻す。普段は仲居がやらない庭木の植え替えを言いつけられても懸命に働いた。そして柾樹と入れ替わりに、夏美のことが心配な啓吾たち家族が急に加賀美屋を訪れる。だが、上客ではないと判断した伸一(東幹久)が満室だと宿泊を断った。夏美は下宿に帰るとビリー(ダニエル・カール)のギターに合わせて歌う両親や弟を見て驚く。
第33回:
夏美は家族との再会を喜ぶ。父の啓吾が勘当を解いてくれたことに感謝し、母の房子の胸で泣けたことが嬉しかった。翌日夏美は家族を加賀美屋に案内する。啓吾はカツノ(草笛光子)に夏美のことを託した。昨日啓吾たちの宿泊を伸一が断ったことを知ったカツノは環(宮本信子)を厳しく叱り付ける。夏美が一人で泥まみれになって庭仕事をする姿を見て啓吾たちは再び心配になる。
第34回:
啓吾と房子は、庭仕事の重労働を一人でやる夏美を見て心配であった。さらに伸一や時江(あき竹城)が旅館の経営状態が思わしくないとか、女将の仕事がきつくて柾樹の母親が亡くなったなどと吹聴して不安がらせる。夏美は智也(神木隆之介)を聡が働く南部鉄器の工房に迎えに行く。そこで夏美は旅館で度々見かける平治(長門裕之)が名人と言われる職人だとはじめて知る。
第35回:
啓吾と房子は「横浜に帰って来い」と夏美に話すが、夏美はまったく相手にしない。翌日庭仕事をする夏美はカツノに呼び出され、両親が夏美を連れて帰ると願い出たことを聞き、両親の勝手な行動に怒る。カツノは啓吾になぜ夏美を女将にしようとしたかを話し、自分の残りの人生を夏美に賭けてみたいという本心を伝える。納得した啓吾はカツノに夏美を任せる決断をした。
第36回:
カツノの本心を聞いた啓吾たちは、夏美を加賀美屋に預けることにして横浜に帰った。夏美は庭木の手入れも任されるがうまく育たない。そんな時平治に「手をかけるのだけが愛情ではない。かえって弱らせることもある」と忠告される。庭木を育てるうちに夏美は両親がどれほど自分のことを愛してくれていたかに気づく。そして、言葉を交わさないまま分かれた両親に手紙を書いた。
第7週「女将修業、断念」
【第7週全体】夏美(比嘉愛未)は時江(あき竹城)に付いて客室係の見習いをはじめる。経済評論家の斎藤愛子(とよた真帆)と息子の翼(川口翔平)の受け持ちとなった夏美は、仕事の忙しい愛子に代わって翼を盛岡観光に連れて行くなど親身に世話をした。さらに夏美は、母親が忙しくて寂しそうな翼を元気づけようと祭りに連れて行く。ところが翼が突然苦しみだして倒れてしまう。翼がそばアレルギーだと知っている夏美は十分に注意したつもりだったが、翼が食べたまんじゅうにどうやらそば粉が入っていたらしい。
病院に駆けつけた愛子は翼を勝手に連れ出したあげく命に関わるミスを犯した夏美を責める。環(宮本信子)の懸命の謝罪にも愛子は応じず、加賀美屋を訴えると言い残して翼とともに東京に帰った。誰もが夏美をクビにするべきと考える中、環が下した結論は夏美の教育係・時江の解雇だった。夏美は自分のせいだから時江には責任がないとカツノ(草笛光子)に訴えるが取り合ってもらえない。それどころかカツノは大女将を辞めて隠居し、さらに環は女将から仲居頭に降格すると発表する。何の処分もない夏美に従業員たちはよりいっそう反発し、夏美はいたたまれず盛岡を出て行く。
第37回:
ついに夏美(比嘉愛未)は客室係の見習いとして働くことを許され、時江(あき竹城)に直接指導を受ける。夏美が順調に修業を続けることに焦る伸一(東幹久)は、環(宮本信子)が夏美の味方をしすぎると思っている。初めて受け持つ客は東京から来た経済評論家の斎藤愛子(とよた真帆)と小学生の翼(川口翔平)の母子である。仕事の忙しい愛子に代わって夏美は翼を盛岡観光に連れて行ったり、夕食の相手をしたり親身に世話をした。
第38回:
環と伸一の亀裂は深まり、家族団らんでも喧嘩ごしの会話になる。環は「実の親子なのに、最後に母親を頼れないなんて」と伸一に言われてショックを受ける。客室係見習いの夏美は翼を『さんさ踊り』に誘うが、母親の愛子が仕事を早めに終えて連れて行くと言う。ところが案の定、愛子は仕事が終わらず、夏美は自分が翼を祭りに連れて行くと申し出るが周囲に反対される。
第39回:
母親と『さんさ踊り』を見に行くはずの翼だったが、母は仕事が忙しく帰ってこない。落胆しながらも健気に耐える翼を見て夏美はとっさに祭りに行こうと連れ出した。祭りの後、夏美と翼は下宿に立ち寄りアキ(鈴木蘭々)やビリー(ダニエル・カール)たちとにぎやかに話し、裕二郎(吹越満)特製のずんだ餅を食べて楽しんだ。そして、旅館に帰ろうとしたその時、突然翼が苦しみ出して倒れた。
第40回:
突然苦しみ出した翼に付き添って夏美は病院に行った。医者の見立てはアレルギー反応。翼がそばアレルギーだと夏美は注意していたが、裕二郎の娘が翼に食べさせたまんじゅうにそば粉が入っていたのだ。母親の愛子が病院に駆けつけ、翼を勝手に連れ出したあげく命に関わるミスを犯した夏美を責める。環の懸命の謝罪にも愛子は応じず、加賀美屋は窮地に立たされる。
第41回:
夏美のミスでアレルギー発作を起こした翼の容態は回復したが、愛子は加賀美屋を訴えると言い出す。誰もが夏美をクビにするべきと考えるなか、環が下した結論は教育係の時江の解雇だった。時江を辞めさせることに反対の伸一と環の溝はますます深まる。夏美は自分のせいだから時江には責任がないとカツノ(草笛光子)に訴えるが取り合ってもらえない。
第42回:
夏美は駅まで、愛子と翼を追いかけ土下座して謝るが相手にされない。時江の解雇に納得できない他の仲居たちは夏美が辞めるべきだと責めたてた。そんな旅館の危機にカツノは大女将を辞めて隠居すると発表する。そして環は女将から仲居頭に降格することになった。何の処分もない夏美に従業員たちはよりいっそう反発し、夏美はいたたまれず盛岡を出て行く。
第8週「失意の帰郷」
【第8週全体】女将修業をあきらめて加賀美屋を飛び出した夏美(比嘉愛未)は横浜に戻った。どこにも帰れず一人打ちひしがれる夏美を見つけた柾樹(内田朝陽)は優しくアパートに迎え入れる。ふと実家に足を伸ばした夏美は弟の智也(神木隆之介)に見つかり、うながされて家に帰った。しかし、啓吾(大杉漣)はケーキと女将の修業どちらも放り出すような娘を迎えるわけにはいかないと夏美を追い出す。
横暴な父の態度に反発した智也は家出して柾樹のアパートに転がり込んで来た。今回の件に責任を感じる柾樹は環(宮本信子)たちと話し合うために盛岡に戻る。柾樹は夏美が女将修業を辞めたいのなら自分も加賀美屋を継ぐのをやめると環に話し、さらにカツノ(草笛光子)にも夏美を幸せにするために盛岡には戻れないと謝った。環や伸一(東幹久)たちはこの機会にカツノが旅館から完全に身を引いて自分たちが経営の実権を握ろうと画策する。
一方、柾樹が留守の間に柾樹の元カノ・藤村香織(相沢紗世)がアパートを訪ねてきた。夏美が女将修業を辞めたからには柾樹との結婚はなくなったということだと、香織は夏美を挑発する。夏美は盛岡から戻った柾樹に「婚約を解消してください」と切り出した。
第43回:
加賀美屋での修業をあきらめて盛岡を飛び出した夏美(比嘉愛未)は横浜に戻る。しかし、家に帰ることもできず港の公園で一人打ちひしがれていた。その頃柾樹(内田朝陽)は同僚・藤村香織(相沢紗世)の歓迎会に出席していた。香織は同僚とは言っても柾樹と以前付き合っていた「元カノ」である。その歓迎会の途中、盛岡の裕二郎(吹越満)から夏美がいなくなったと連絡を受けた柾樹は、夏美を探して夜の横浜の町を走り回った。
第44回:
柾樹のアパートに連れられて来た夏美はやっと人心地ついたのか、加賀美屋での出来事を話しはじめる。しばらくのんびりすればいいと夏美に優しく言いながら、柾樹は自分の責任を感じていた。一方、盛岡では伸一(東幹久)が旅館の建替え準備をはじめるなど、環(宮本信子)たちがカツノ(草笛光子)に代わって主導権を握ろうとしていた。柾樹は環と話をするため盛岡へ行こうとするのだが……。
第45回:
思わず実家に足をのばした夏美は弟の智也(神木隆之介)と道端で出会う。智也にうながされて夏美は家に帰るが、父の啓吾(大杉漣)はケーキと女将の修業どちらも放り出すような娘を迎えるわけにはいかないと厳しく言い放つ。返す言葉もない夏美は房子(森昌子)が止めるのを振り切って柾樹のアパートに戻った。その夜、啓吾と大喧嘩した智也がアパートに転がり込んでくる。
第46回:
家出してきた智也は夏美と同様柾樹のアパートにしばらく世話になることにした。旅館を継ぐため一刻も早くホテルの仕事に決着をつけたい柾樹だったが、元カノの藤村香織が新プロジェクトのパートナーになったことで先行きが怪しくなる。やっとのことで柾樹は夏美の一件に話をつけようと盛岡に向ったが、その留守の最中に香織が夏美を訪ねてアパートにやって来た。
第47回:
柾樹が留守の間に夏美を訪ねて来た香織は、夏美が女将修業を辞めたからには柾樹との結婚はなくなったと言って夏美を挑発した。盛岡に着いた柾樹は環たちに、夏美が女将修業を辞めたいのなら自分も加賀美屋を継ぐのをやめると話し、さらにカツノにも夏美を幸せにするために盛岡には戻れないと謝る。しかしこの時、夏美もまたある決意を固めていた。
第48回:
柾樹が加賀美屋を継がないと公言したことで、環や伸一たちは本格的に旅館経営の刷新に取り掛かろうと意気があがる。一方横浜の柾樹のアパートでは、房子が夏美と智也を訪ねていた。母の気遣いに慰められた夏美だったが、胸に秘めた決意は変わらなかった。その夜、夏美は盛岡から戻った柾樹に「婚約を解消してください」と切り出した。
第9週「中途半端じゃ終われない」
【第9週全体】自分と別れて旅館を継ぐ方が柾樹の幸せだと考えた夏美は婚約解消を願い出るが、柾樹は夏美と結婚して横浜で暮らすと言う。そんな時、夏美に斉藤翼(川口翔平)からお礼の手紙が届いた。夏美は自分の不注意から翼をアレルギーの発作で苦しめたことを謝りに行く。
一方、加賀美屋では斎藤愛子(とよた真帆)からの賠償請求にどう対応するかで揺れていた。伸一(東幹久)は裁判で争うべきだと主張するが、カツノ(草笛光子)は誠意を持ってお詫びするだけと取り合わない。さらに伸一は恵美子(雛形あきこ)を女将にするべく無理強いして、夫婦仲がこじれてしまう。夏美と柾樹の関係も互いに思いやる心が強すぎてぎくしゃくし、夏美は柾樹のアパートを出て行った。
愛子は留守中に夏美が翼を訪ねてきたことを知って、夏美を呼び出し責めた。そんな愛子に我慢できなくなった翼は、生まれてはじめて母親に怒りをぶつける。息子の反抗にショックを受けた愛子だが、夏美のおかげで翼ときちんと向き合うことができたと感謝する。そして、盛岡から謝罪に来たカツノに加賀美屋への訴訟を取り下げると告げた。夏美は修業を中途半端に投げ出した自分自身を見つめ直すために、一心不乱にケーキを作りはじめた。
第49回:
夏美(比嘉愛未)の幸せを考えて旅館を継ぐことをやめた柾樹(内田朝陽)に、夏美は婚約解消を申し出た。自分と別れて旅館を継ぐのが柾樹の幸せだと信じる夏美と、このまま横浜で一緒に暮らそうと考える柾樹。二人の話し合いはいつまでも平行線であった。そこへ盛岡から聡(渡邉邦門)が来て、夏美の戻りを待ちわびる下宿の仲間の声を伝える。さらに、夏美が女将修業をあきらめる発端になった翼(川口翔平)から手紙が届いた。
第50回:
加賀美屋では忙しい環(宮本信子)の手伝いをさせるため、伸一(東幹久)が妻の恵美子(雛形あきこ)を再び旅館で働かせようとするが、できないと断わられ夫婦仲に暗雲が立ち込める。横浜の夏美は翼から届いたお礼の手紙に書かれていた住所を訪ねた。自分の不注意から翼をアレルギーの発作で苦しめたことを謝りに来た夏美は、成り行きで翼の夕食を作ってやることにしたのだが…。
第51回:
伸一は恵美子に女将修業をはじめるよう説得を続けるが、恵美子からはっきりと「女将になりたくない」と宣言され家庭内別居の状態になってしまった。一方、柾樹は夏美がそばに居てくれるだけで幸せだと懸命に訴えて、結婚をやめるつもりがないことを夏美に伝える。しかし、夏美は柾樹に自分らしい生き方をして欲しいとだけ答え、その翌朝黙ってアパートを出た。
第52回:
斎藤愛子(とよた真帆)の弁護士が賠償金を要求する書面を持って加賀美屋に現れた。環や伸一は弁護士を立てて争うべきだと主張したが、カツノ(草笛光子)は誠意を持ってお詫びするだけと取り合わない。一方、愛子は自分の留守中に夏美が翼を訪ねていたことを知り、夏美を呼び出す。夏美を責めたてる愛子に我慢できなくなった翼は、生まれてはじめて母親に怒りをぶつける。
第53回:
息子の翼がはじめて反抗したことに愛子はショックを受ける。だが、翼の寂しい気持ちを愛子に理解させるため懸命に説得する夏美のおかげで、愛子は自分の非を認めて翼に謝った。その愛子の訴訟にどう対応するかで加賀美屋は揺れていたが、カツノが愛子に謝るため東京へ出向くことにする。その頃夏美と別れた形の柾樹に、同僚で元カノの香織(相沢紗世)が急速に近づいてきた。
第54回:
カツノが謝罪しようと愛子を訪ねると、そこには夏美がいた。愛子は夏美のおかげで翼ときちんと向き合うことができたと感謝し、加賀美屋に対する訴訟を取り下げると告げる。カツノと再会した夏美は女将修業を途中で投げ出したことを後悔している自分に気づく。そして、何もかも中途半端で投げ出した自分を見つめ直すために夏美は一心不乱にケーキを作り始める。
第10週「職人気質」
【第10週全体】心からおもてなしが出来る女将になりたいという自分の本心に気づいた夏美(比嘉愛未)は柾樹(内田朝陽)との関係を白紙に戻し、女将を目指す一人の女として修業をすることを決めた。加賀美屋に戻った夏美はもう一度女将修業をさせて欲しいと願うが受け入れてもらえない。伸一(東幹久)が平治(長門裕之)を怒らせてしまったため、大切なお茶会で使う茶釜を渡してもらえないことを知った夏美は、もし平治の茶釜をもらって来たら修業を認めてくれと頼み込む。
平治は茶釜が欲しいとやって来た夏美をいったんは追い返すが、雨のなか座り込みを続ける夏美に根負けして家に入れてやる。視力の衰えから思うような仕事が出来なくなったことを夏美に見抜かれて、平治はもうぶざまな作品しか作れないので引退すると打ち明けた。見た目が不恰好でも心を込めて作ればそれが平治の作品だと懸命に説得する夏美に触発されて、平治は茶釜を作る情熱を取り戻す。夏美は出来上がった茶釜を持って加賀美屋に戻る。カツノ(草笛光子)は環(宮本信子)の反対を押し切って夏美が再び修業することを認めた。そして翌日、カツノの引退を公表するお茶会がとり行われる。
第55回:
心からおもてなしができる女将になりたいという自分の本心に気づいた夏美(比嘉愛未)は盛岡に戻る決心をした。ただし、柾樹(内田朝陽)の結婚相手としてではなく女将を目指す一人の女として修業をするため、柾樹との関係を一度白紙に戻す。そして、啓吾(大杉漣)と房子(森昌子)は再び自分の道を歩きはじめた夏美を見守ることにした。その頃、加賀美屋ではカツノ(草笛光子)の大女将引退を公表する茶会の準備が始まっていた。
第56回:
伸一(東幹久)は加賀美屋の茶会で使う茶釜を平治(長門裕之)の工房に取りに行ったが、弟子の作った茶釜を気に入り持ち帰ってしまった。平治がへそを曲げると手をつけられないことを知っている加賀美屋の面々が困っているところに、夏美が現われた。もう一度女将修業をさせて欲しいと願う夏美だが受け入れてもらえない。もし平治の茶釜をもらって来たら修業を認めて欲しいと言って、夏美は平治の工房に向った。
第57回:
加賀美屋の茶会で使う茶釜をもらいに来た夏美を平治は追い返す。弟子の聡(渡邉邦門)の口利きで夏美は再び平治に対面するが、修業を途中で放り出した奴は気に入らんと相手にされない。そこで夏美は工房の玄関に座り込みをはじめた。加賀美屋ではクビになった時江(あき竹城)が密かに様子をのぞきに現れ、伸一と涙の対面をしていた。そして、夜になり雨が降るなか夏美は座り込みを続ける。
第58回:
平治は雨のなか工房の前で座り込みを続ける夏美に根負けして、家に入れてやる。泊めてもらったお礼に夏美は目に良いブルーベリー入りのケーキを焼いて平治に食べさせる。視力が衰え思うような仕事ができずに苛立っていることを夏美に見抜かれて、平治はもうぶざまな鉄器しか作れないので引退すると言う。だが、見た目が不恰好でも心を込めて作ればそれが平治の作品だと夏美は懸命に説得をする。
第59回:
茶会まであと4日、環(宮本信子)は平治の茶釜をあきらめるが、カツノは夏美が茶釜をもらって来ると信じて待っていた。平治は夏美に触発されて茶釜を作る情熱を再び取り戻し作業に没頭する。でき上がった鉄器は久しぶりに平治にとって満足の行くもので、夏美はそれを持って加賀美屋に戻った。約束を果たした夏美は跡継ぎの結婚相手ではなく、一人の仲居として修業させて欲しいと頼み込む。
第60回:
夏美が戻って来ることに反対する環を押し切って、カツノは夏美が再び女将修業することを許す。環は決して修業を認めたわけではないと夏美に冷たく告げる。久しぶりに下宿に帰った夏美は裕二郎(吹越満)やアキ(鈴木蘭々)たち仲間との再会を喜んだ。そして翌日、加賀美屋には地元の名士や馴染みの客たちが集まり、カツノが大女将引退を表明する茶会がとり行われようとしていた。
第11週「ライバル登場」
【第11週全体】夏美(比嘉愛未)の修業再開を認めたカツノ(草笛光子)が大女将を正式に引退し、環(宮本信子)が名実ともに女将として旅館を取り仕切ることになった。環は夏美を追い出すために職場復帰させた時江(あき竹城)の監視下で厳しい修業をさせる。夏美が戻って来たことに危機を感じた伸一(東幹久)は妻の恵美子(雛形あきこ)を無理やり若女将にしようとして夫婦仲がギクシャクしてしまう。
そんな折、浩司(蟹江一平)が交際している彩華(白石美帆)を家族に紹介する。急な事情で仲居の手が足りなくなり困っていた環に彩華は仲居として働かせて欲しいと申し出た。彩華はさすがに元は一流料亭の娘で、客への応対だけでなくお茶やお花の心得もあって環たちは感心する。ある日夏美が火傷をした佳奈(川村ゆきえ)の腕を水で冷やすために板場に入ってしまった。板場のしきたりを破った夏美は従業員の反感を買い、その場をうまく収めた彩華には皆の賞賛が集まる。そして、その翌日またしても事件が起こる。夏美が預かった組合費がちょっと目を離したすきに無くなってしまったのだ。夏美は彩華がそばにいたことを思い出す。
第61回:
加賀美屋で年に一度開かれる茶会で、カツノ(草笛光子)が大女将を引退すると公表した。そして、環(宮本信子)が名実ともに女将として旅館を取り仕切ることになる。カツノは代々女将が引き継ぐ中身のない空の玉手箱を環に手渡し、その意味を自分で考えるようにとだけ伝える。夏美(比嘉愛未)は再び修業をはじめるが、周りの従業員たちは納得できずに反発する。そこに、加賀美屋の様子を窺う彩華(白石美帆)という女が現われた。
第62回:
旅館の実権を握った環は仲居頭の時江(あき竹城)を復職させ、夏美を厳しく指導させた。ある晩夏美の下宿に浩司(蟹江一平)が彩華を連れて来た。浩司は昔から仲間内でマドンナ的な存在だった彩華と付き合っていることを裕二郎(吹越満)に報告して帰る。聡(渡邉邦門)は夏美のために作った鉄器のお守りを渡すが、それを目撃した佳奈(川村ゆきえ)は夏美を避けるようになる。
第63回:
横浜では仕事に打ち込む柾樹(内田朝陽)と香織(相沢紗世)が急接近して、啓吾(大杉漣)の心配が募っていた。一方、夏美が修業を再開したことに危機を感じた伸一(東幹久)が、嫌がる妻の恵美子(雛形あきこ)を無理やり若女将にしようとして夫婦仲がギクシャクする。環は夏美を追い出すために時江の監視下で厳しい修業をさせる。そんな折、彩華が加賀美屋を訪ねてきた。
第64回:
浩司は彩華と交際していることを家族に報告する。環は一流料亭の娘でしっかりと仕事ができる彩華に好意を抱いた。夏美も彩華から女将修業を応援するとエールを送られて彩華に感謝する。その翌日急な事情で仲居の手が足りなくなり困った環に、彩華が仲居として働くと申し出た。夏美との仲がギクシャクする佳奈は聡に自分の思いを初めてぶつける。
第65回:
彩華が仲居として働きはじめた。さすがに元は一流料亭の娘だけに客への応対だけでなくお茶やお花の心得もあって環は感心する。夏美は時江に生け花を指導されるが彩華には到底太刀打ちできず、カツノに生け花を教えてもらうことにした。そして、板場で事件が起きる。火傷をした佳奈の腕を水で冷やそうとして、夏美がしきたりを破って板場に入ったのだ。
第66回:
板場のしきたりを破った夏美は板長(草見潤平)に怒鳴られるが、佳奈の火傷の方が大事だと反論する。だが夏美は従業員の反感を買い、その場をうまく収めた彩華は株を上げた。その上佳奈とも仲直りができないまま、夏美は孤立してしまう。そして、またしても事件が起こる。夏美の預かっていた組合費が目を離したすきに無くなってしまったのだ。夏美は彩華がそばにいたことを思い出す。
第12週「裏の心と表の心」
【第12週全体】組合費が紛失した一件で、夏美(比嘉愛未)が彩華(白石美帆)を犯人扱いしたと浩司(蟹江一平)が猛抗議に来た。他の従業員や環(宮本信子)たちからも非難を受けて夏美は孤立する。だが、浩司は彩華が組合費の袋を懐にしまうのを偶然目撃してしまう。
浩司は彩華に問いただすが、母の入院費のためと聞かされて一肌脱いで金の工面をしてやることにした。夏美はカツノ(草笛光子)から、配慮のない言葉で他の従業員たちを傷つけたのだと言われて、はじめて自分の至らなさに気づき皆に謝罪する。一方横浜では、柾樹(内田朝陽)が夏美の実家に間借りすることになり、啓吾(大杉漣)たちは張り切っていた。大きな仕事を任された柾樹は休みなく働き、落ち込んだ夏美が連絡を取ろうとしても電話さえつながらない状態だった。
そんな時、夏美は下宿仲間の聡(渡邉邦門)から好きだと告白されてしまう。浩司は彩華と結婚するつもりで、彩華をこのまま仲居として働かせて欲しいと環に願い出る。結婚の真意を環に問い詰められた彩華は、浩司との結婚を前提に加賀美屋の女将修業をさせて欲しいと切り出した。夏美はそんな事情を何も知らないまま厳しい女将修業に励む。
第67回:
夏美(比嘉愛未)のもとに血相を変えた浩司(蟹江一平)が怒鳴り込んできた。帳場から組合費が紛失した一件で、夏美が彩華(白石美帆)を犯人扱いしたと猛抗議してきたのだ。夏美は誰か見かけなかったかと彩華に尋ねただけだったが、他の従業員や環(宮本信子)たちからも厳しい非難を受けて夏美は孤立する。浩司は彩華の窮地を救って意気揚々としていたが、彩華が組合費の袋をロッカーから取り出すのを偶然目撃してしまう。
第68回:
加賀美屋では夏美に対する風当たりが強くなり、他の仲居や板前たちから無視されるような状態であった。そんななか指導係の時江(あき竹城)が一人で昼食を食べる夏美の横に来て一緒に食事を始めた。加賀美屋が好きでもう40年も働いているという時江の話を聞いて、夏美はもっと頑張らなければと明るさを少し取り戻す。一方、横浜では柾樹(内田朝陽)が夏美の実家に引越して来て、啓吾(大杉漣)が張り切っていた。
第69回:
仲居として彩華の評価が高まる一方で、夏美は誰からも相手にされないまま孤軍奮闘していた。浩司は彩華が組合費を盗んだことを知って問いただすが、病気の母の入院費のためと聞かされて一肌脱いで金の工面をしてやることにする。夏美はカツノ(草笛光子)から、配慮のない言葉で他の従業員たちを傷つけたのだから謝りなさいと諭されて、はじめて自分の至らなさに気づく。
第70回:
夏美は他の従業員たちのプライドを傷つけたことを謝罪する。だが、彼らの腹の虫は治まらず夏美は孤立無援のままと思われたが、佳奈(川村ゆきえ)が夏美の味方となり、さらに浩司が夏美と彩華を和解させて、何とかこの一件は落着した。彩華がお金を盗んだことを知る浩司はその金を自分で立て替えて返した。そして、彩華を正式に仲居として雇って欲しいと環に願い出る。
第71回:
大きなプロジェクトを任された柾樹は休みなく働いていた。旅館での修業や人間関係に疲れた夏美が柾樹に電話してもつながらず、柾樹との距離を感じはじめていた時、下宿仲間の聡(渡邉邦門)から好きだと告白されてしまう。一方、柾樹は上司の吉沢(ささきいさお)から昇進話を持ちかけられ退職撤回を迫られる。夏美のことが心配な智也(神木隆之介)が柾樹を訪ねてホテルに現われた。
第72回:
環は彩華を正式に仲居として働かせることを決めかねていた。浩司は彩華と結婚するつもりで、母の病気のために彩華が背負った借金も自分で返すと家族を説得する。環に結婚の真意を問い詰められた彩華は、浩司との結婚を前提に加賀美屋の女将修業をさせて欲しいと言う。夏美はそんな事情を何も知らないまま時江の厳しい指導のもと女将修業に励んでいた。
第13週「真実の思いやり」
【第13週全体】夏美(比嘉愛未)は一流料亭の娘の彩華(白石美帆)が女将修業のライバルとなったことに内心不安を感じていたが、修業は自分のためにやるものだと固く信じて頑張る。腰を痛めた番頭の中本(高橋元太郎)に代わって夏美が庭の松の手入れに精を出す一方、彩華は環(宮本信子)について女将としての接客を学んでいた。
地味な松の手入れを懸命にする夏美を見て、中本や時江(あき竹城)は夏美の真剣な思いと不思議な魅力に惹かれる。次に蔵の食器の整理を言いつけられた夏美は熱中するあまり脚立から落ちて足を痛めた。カツノ(草笛光子)は実力以上に頑張る夏美のことが心配になるが、環は二人の修業の様子を見て、昔カツノに言われた屈辱的な言葉を思い出していた。ある日夏美と彩華は板場に呼ばれて割れた皿のことを問いただされる。
はじめは二人とも知らないと答えるが、彩華の態度に何かを感じた夏美は自分が割ったと言ってしまう。伸一(東幹久)は夏美が彩華を落としいれようとしたと言って、夏美の女将修業を中止することをカツノに進言する。立場がいっそう悪くなった夏美のもとに柾樹(内田朝陽)から盛岡に戻って加賀美屋を継ぐと電話が入る。
第73回:
彩華(白石美帆)が浩司(蟹江一平)と結婚するのは加賀美屋の女将になるためと知った環(宮本信子)は、一抹の不安を抱きつつも彩華が女将修業をはじめることを認める。カツノ(草笛光子)は女将修業中の夏美(比嘉愛未)にライバルが出現したことを心配したが、大女将を引退した手前環の方針に口をはさめなかった。夏美は一流料亭の娘が女将候補となったことに内心穏やかではないが、頑張るだけと自分に言い聞かせる。
第74回:
夏美は腰を痛めた番頭の中本(高橋元太郎)に代わって、庭の松の手入れを買って出る。一方、女将修業のライバル彩華は環について女将としての接客を学んでいた。地道で単調な作業を黙々とこなす夏美と優雅な物腰で接客をする彩華、どちらが女将に相応しいかは傍目にも歴然としていた。しかし夏美は、相手が誰であろうと女将修業は自分のためにやるものだと固く信じて頑張る。
第75回:
庭の松を懸命に手入れする夏美を見て、中本は少しずつ夏美の真剣な思いと不思議な魅力に惹かれはじめる。追い出すために指導をしてきた時江(あき竹城)もへこたれない夏美に根負けしたように、この頃は厳しいが親身な指導をするようになった。一方、彩華は板場や仲居たちにも気に入られ順調に修業を進めていた。松の手入れを終えた夏美は時江から蔵の食器を整理するように言いつけられる。
第76回:
蔵の食器の整理に熱中するあまり夏美は脚立から落ちて足を痛めた。カツノは実力以上に頑張る夏美のことが心配になる。恋人の彩華が女将修業をはじめた浩司は夏美のことが気にかかっていた。ケガをした夏美の作業を手伝いながら夏美と彩華の修業どちらも応援するとエールを送る。環は二人の修業の様子を見て、昔カツノに言われた屈辱的な言葉を思い出していた。
第77回:
夏美の作業を手伝う彩華はあやまって皿を割るが黙って箱に戻す。板場に呼ばれた夏美と彩華は割れた皿のことを問いただされた。はじめは二人とも知らないと答えるが、彩華の態度に何かを感じた夏美は自分がやったと言ってしまう。伸一(東幹久)は彩華を落としいれようとした夏美の女将修業を中止するべきだとカツノに進言する。返答に窮するカツノを見て環は溜飲を下げた。
第78回:
テレビでホテルの結婚式場と遠方の人を結ぶ新しい企画を立ち上げた柾樹(内田朝陽)はモニターに映った夏美に驚く。客として訪れた加賀美屋で人生の新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれた夏美に感謝する花嫁の父・吉田(山本圭)と夏美の姿を見て、柾樹は盛岡に戻って夏美を支えようと素直な気持ちになれた。しかし、夏美は彩華を落としいれようとしたと誤解されてその立場はいっそう悪くなっていた。
第14週「二人の誓い」
【第14週全体】夏美(比嘉愛未)は柾樹(内田朝陽)から盛岡に帰ると電話を受けて久しぶりに明るい気持ちになった。カツノ(草笛光子)は夏美と彩華(白石美帆)のことで従業員たちがいがみあっていると聞き、環(宮本信子)に厳しく意見をする。旅館のことに口出しされた環は内心腹立たしかったが、姑の言うことには逆らえず悔しい思いをする。
ある日、柾樹の同僚の香織(相沢紗世)が加賀美屋に現れた。なぜ柾樹が仕事をやめて盛岡に帰るのかを知るために来たが、夏美の柾樹に対する真っ直ぐな気持ちに納得して帰った。そして、ついに柾樹が加賀美屋に戻って来る。環にうながされて従業員たちに挨拶をした柾樹は、その場で幼なじみの彩華と再会して驚く。
その上、彩華が浩司(蟹江一平)と付き合っていること、夏美と一緒に女将修業をしていることを聞いてさらに驚いた。柾樹が旅館で働くようになって、カツノと環の緊張関係はさらに高まった。柾樹と夏美の結納を急かすカツノに対抗して、環は浩司と彩華の結婚話を進めようとするが上手くいかない。ある晩、夏美の下宿で開かれた柾樹の歓迎パーティーに浩司と彩華が現れ、柾樹と久しぶりの再会を祝った。以前、彩華が柾樹のことが好きだったことが四人の関係に微妙な緊張を生む。
第79回:
夏美(比嘉愛未)は柾樹(内田朝陽)から盛岡に帰ると知らせを受けて久しぶりに明るい気持ちになる。そして、柾樹が加賀美屋を継ぐと言ったことをカツノ(草笛光子)に伝えた。彩華(白石美帆)を浩司(蟹江一平)と結婚させて女将にしようと考えていた環(宮本信子)は焦り出す。彩華は柾樹が戻って来ても夏美を押しのけて女将になる自信はあったが、環は夏美が彩華にはない女将の資質を持っていると不安を感じていた。
第80回:
夏美と彩華のことで従業員たちがいがみあっていると聞いたカツノは環に厳しく意見した。旅館のことに口出しされた環は内心腹立たしかったが、姑の言うことには逆らえず悔しい思いをする。ある日、柾樹の同僚の香織(相沢紗世)が客として加賀美屋に現れた。香織はなぜ柾樹が仕事をやめて盛岡に帰ると言い出したのかを探るために夏美に会いに来たのだった。
第81回:
夏美の柾樹に対する真っ直ぐな気持ちを知った香織は、納得して帰った。ホテルに戻った香織は、柾樹の辞意を撤回させようとする吉沢(ささきいさお)に柾樹のやりたいようにやらせて欲しいと頼み込む。夏美が柾樹を信じて待つ気持ちに負けたと、香織は柾樹に打ち明けた。柾樹は最後の仕事を無事終えた夜、夏美に電話をする。もうすぐ会えるという柾樹の言葉に夏美は喜んだ。
第82回:
柾樹がやっと盛岡に戻ることになり、浅倉家を去る日が来た。啓吾(大杉漣)や房子(森昌子)は夏美のことを守って欲しいと柾樹に頼む。盛岡に着いた柾樹は夏美を一本桜に呼び出した。一面の銀世界にすっくと立つ一本桜を前に、これから二人一緒に生きていくことを誓う。一方、柾樹を迎える環や伸一(東幹久)はいよいよ対決姿勢を強め、さらに彩華も夏美に敵対心を燃やしていた。
第83回:
やっと加賀美屋に戻った柾樹は迎えに出た環たちへの挨拶もそこそこに、夏美と一緒にカツノと嬉しい対面をした。そのあと環にうながされて柾樹は従業員たちにも挨拶をする。その場で学生時代のマドンナだった彩華と再会して驚いた。その上、彩華が浩司と付き合っていること、夏美と一緒に女将修業をしていることを聞いてさらに驚く。
第84回:
柾樹が加賀美屋で働き出してから、カツノと環の緊張が高まる。柾樹と夏美の結納を急かすカツノに対して、環たちは浩司と彩華の結婚話を進めようとするが上手くいかない。ある晩、夏美の下宿で開かれた柾樹の歓迎パーティーに浩司と彩華が現れ、柾樹と久しぶりの再会を祝った。以前、彩華が柾樹のことが好きだったことが四人の関係に微妙な緊張を生む。
第15週「伝統は変えられません」
【第15週全体】夏美(比嘉愛未)は柾樹(内田朝陽)が加賀美屋に戻って来たおかげで、仲居の仕事にいっそう張り切っていた。柾樹は伸一(東幹久)の下で帳場を手伝うことになったが、環(宮本信子)はそのうち二人の立場が逆転するのではないかと心配する。
彩華(白石美帆)は加賀美屋の内紛につけ込めば女将になれると考えて浩司(蟹江一平)と付合いはじめたと柾樹に告白し、柾樹の胸で泣いた。旅行ガイドブックの調査員が加賀美屋の格付けをするために来ることになって、夏美と彩華のどちらが若女将にふさわしいか、この調査員の評価をもとに白黒をつけようと環は考えた。
ある日、川端(中島久之)という調査員らしい男が宿泊に訪れた。伸一は彩華を強引に川端の担当につけて、女将競争で有利になるよう計らう。夏美は予約なしで来た怪しい客・田辺(温水洋一)の担当を命じられる。田辺はあれこれと無理な注文をするが、夏美はそれに一生懸命応えていく。さらに夕食はじゃじゃ麺が食べたいと言う田辺の希望を叶えようとするが、柾樹は板場が自信を持って作った料理を出すべきだと忠告した。夏美は自分の思慮が浅かったことに気づき、料理も加賀美屋のおもてなしだと説いて田辺を納得させる。
第85回:
夏美(比嘉愛未)は柾樹(内田朝陽)が戻って来て、仲居の仕事にいっそう張り切っていた。彩華(白石美帆)はそんな夏美に冷めた態度で接する。伸一(東幹久)の下で帳場の仕事を手伝いはじめた柾樹は仕事の飲み込みも早く有能なため、環(宮本信子)はそのうち柾樹と伸一の立場が逆転するのではないかと心配する。ある夜、夏美は帳場で一人残って書類を調べる柾樹を見つけるが、その思いつめた表情に声も掛けられなかった。
第86回:
夏美と柾樹が仲良く話をしているところに、入院中の母親を見舞った帰りの彩華が通りがかるが、二人を避けて行ってしまう。その夜、居残り仕事をする彩華を柾樹が訪ねる。彩華は加賀美屋の内紛につけ込めば女将になれると考えて浩司(蟹江一平)と付合いはじめたと告白し、柾樹の胸で泣いた。新作料理を完成した浩司は彩華を探していたが、抱き合う二人の姿を見てショックを受ける。
第87回:
旅行ガイドブックの調査員が加賀美屋の格付けをするために来ることになった。夏美と彩華のどちらが若女将にふさわしいか、この調査員の評価をもとに白黒をつけようと環は考える。昨夜彩華と柾樹が抱き合っているところを目撃した浩司は、一人で堪えきれずにそのことを夏美に打ち明けた。柾樹のことを信じるときっぱり浩司に言い切る夏美だったが…。
第88回:
伸一は彩華にだけガイドブックの調査員が来ることを教えて、夏美との女将競争で有利に立てるよう計らった。彩華は浩司をアパートに呼んで、自分にだけ力を貸して欲しいと頼み込む。前夜に柾樹と彩華が二人きりでいたことを知った夏美は柾樹に確かめたかったが、聞けないまま落ち込んでいた。その日の午後、川端(中島久之)という調査員らしい男が宿泊に訪れる。
第89回:
伸一は彩華を雑誌の調査員と思しき川端の担当に命じる。彩華はそつなく接客し川端に好印象を与えた。一方、夏美は雑用をこなしていたが、裏庭で怪しい男・田辺(温水洋一)を泥棒と勘違いして一騒動起こす。予約なしで来た田辺は無理を言って宿泊するが、岩手山の見える部屋に変えてくれと夏美を困らせる。夏美は田辺に目を閉じるように言うと、岩手山の美しさを語り始めた。
第90回:
夏美は田辺から夕食には加賀美屋の定番メニューではなく、じゃじゃ麺が食べたいと言われて困ってしまう。何とかしてその希望を叶えようとする夏美に柾樹は、板場が自信を持って作った料理を出すべきだと忠告する。夏美は自分の思慮が浅かったことに気づき、料理も加賀美屋のおもてなしだと説いて田辺を納得させた。夕食後、それでもじゃじゃ麺が食べたいと田辺が言い出す。
第16週「競い合いの決着」
【第16週全体】彩華(白石美帆)が担当した客はガイドブックの調査員ではなく、夏美(比嘉愛未)の担当した客が調査員だった。夏美のサービスや態度が素晴らしく老舗旅館にふさわしいもてなしだったと雑誌記事で賞賛される。それを知ったカツノ(草笛光子)は夏美と彩華のどちらが若女将にふさわしいか、結論を下すようにと環(宮本信子)をせき立てた。環は彩華に敗北を告げようとするが、彩華はここで自分が負ければ環の立場は不利になると切り返す。
ある日、彩華は訪ねて来た男たちに借金の返済を強引に迫られるが、浩司(蟹江一平)と柾樹(内田朝陽)が捨て身で彩華を守った。夏美は病気で休む彩華を見舞いに行き、彩華が自分を追い出そうと仕組んだ計略をすべて聞かされる。彩華は女将になることでしか満たされない寂しい心の内を夏美にさらけ出した。
しかし、夏美は彩華のことを大切に思う浩司や柾樹の存在に気づいて欲しいと訴え、互いに女将を目指して競い合おうと励ます。翌日彩華は環を訪ね、敗北を認めて加賀美屋を去った。そして、柾樹が加賀美屋の経営改革をするために動き出すが、とんでもない揉め事が起きてしまう。
第91回:
彩華(白石美帆)が客室担当した川端(中島久之)はガイドブックの調査員でなかったことが判り、環(宮本信子)たちは落胆する。実は夏美(比嘉愛未)が担当した客が調査員で、夏美が困るような要求をしたのは、加賀美屋の旅館としての実力を見極めるためだった。雑誌記事の中で、夏美はサービスや態度が素晴らしく老舗旅館にふさわしいもてなしだったと賞賛される。このことによって、夏美が若女将競争で優位に立つことになった。
第92回:
カツノ(草笛光子)は夏美が雑誌記事で褒められたことを知り、夏美と彩華のどちらが若女将にふさわしいか、結論を下すようにと環をせき立てる。浩司(蟹江一平)は万が一彩華が若女将になれなくても結婚してくれと念を押すが、彩華はまだ決着がついていないとだけ答える。彩華は環に呼ばれて敗北を告げられるが、ここで自分が負ければ環たちはどうするつもりかと問い返す。
第93回:
夏美は彩華の生け花の美しさを褒めるが、彩華は夏美のいい子ぶった態度が気に食わないと食ってかかる。そして、彩華は若女将の座をかけた争いに負けたわけではないと強がった。そんな彩華を借金取りの男たちが訪ねてきた。男たちは滞った借金の返済を強引に迫るが、浩司と柾樹(内田朝陽)が捨て身の反撃で彩華を守る。この一件で彩華の立場はよりいっそう苦しくなる。
第94回:
彩華が借金取りに追われていることを知って、他の仲居たちはよそよそしい態度で彼女に接する。伸一(東幹久)たちも以前帳場で起きた組合費の紛失に彩華が関わっていたのではないかと疑いはじめた。次の日、夏美は病気の彩華を見舞いにアパートへ行く。そこで夏美は、彩華が自分を追い出そうと仕組んだ計略をすべて聞く。そして、彩華が背負ってきた辛い思いをはじめて知ることになる。
第95回:
彩華は女将になることでしか満たされない寂しい心の内を夏美にさらけ出す。しかし、夏美は彩華のことを心底大切に思ってくれる浩司や柾樹の存在に気づいて欲しいと訴えた。そして、互いに女将を目指して競い合いたいと言い残して帰る。翌日、彩華は環を訪ねて暇を取らせて欲しいと頼む。自分に無くて夏美にあるものがやっと分かった彩華は、素直に負けを認めた。
第96回:
環は夏美が若女将になることを認めるしかなくなった。しかし、夏美は本当に一人前になった時に認めて欲しいと環に頼む。夏美の成長ぶりにあらためて驚いた環は、より強い危機感を覚えた。その上、古い経営体質の加賀美屋を改革しようとする柾樹の動きも環たちを苛立たせた。環はどうせ改革など無理だろうと考えて柾樹の好きなようにやらせるが、とんでもない揉め事が起きてしまう。
第17週「柾樹の孤立」
【第17週全体】加賀美屋の改革に乗り出した柾樹(内田朝陽)は、板長の篠田(草見潤平)が長年続けてきた仕入れ方法を見直して食材費の赤字を削減しようとする。夏美(比嘉愛未)は改革を急ぐ柾樹を心配するが、経費削減を強引に進める柾樹と従業員の反目はひどくなるばかりだった。環(宮本信子)たちは柾樹が失敗しておとなしくなればと期待する。
ある朝、柾樹が仕入れ先を勝手に変えたため、馴染みの業者から魚をもらえないと篠田が怒鳴り込んできた。やり方を変えて欲しいと柾樹は説得するが、反発した篠田は板長を辞める。そのため加賀美屋は今夜の客に出す料理の算段もつかずに混乱する。伸一(東幹久)は組合に板前を派遣してもらおうとするが上手くいかない。そこで浩司(蟹江一平)が板長になり、元は板前だった久則(鈴木正幸)が手伝い、家族全員が一丸となって加賀美屋の危機を乗り切る。
夏美や加賀美家の一同が揃って夜食を食べている頃、柾樹はイーハトーブで夏美の帰りを待っていた。だが夏美が下宿に戻った時、柾樹は帰ったあとだった。夏美は裕二郎(吹越満)から、柾樹は『風の又三郎』のようなどこか寂しげな子供だったと聞かされる。次の日、夏美は遠野を取材して観光案内記事を書くように環から依頼される。これには環のある計略が秘められていた。
第97回:
加賀美屋の経営改革に乗り出した柾樹(内田朝陽)がまず手を付けたのは板場の食材費だった。板長の篠田(草見潤平)が長年続けてきた仕入れを見直して食材費の赤字を削減しようとしたのだが、柾樹の一方的な物言いに従業員たちは反感を抱く。夏美(比嘉愛未)は改革を急ぐ柾樹に危ぐを感じるが、加賀美屋の将来を真剣に案じる柾樹の姿を見て何も言えない。環(宮本信子)たちは柾樹が失敗しておとなしくなればと期待する。
第98回:
加賀美屋で働けることを夏美は心底喜んでいたが、その純粋な気持ちが周囲にも伝わって、夏美と他の仲居たちとの関係は良くなっていた。しかし、板場の経費削減を強引に進める柾樹と従業員との反目はますますひどくなる。柾樹のことが心配な夏美は裕二郎(吹越満)たちに相談するが、良い解決策は見つからなかった。ある朝、板場に現れた板長の篠田は柾樹を連れて来いと怒鳴り散らす。
第99回:
柾樹が仕入れ先を変えたため、馴染みの業者から魚をもらえないと篠田が怒鳴り込んできた。そこへ別の卸業者から魚を仕入れてきた柾樹が戻ってくる。今までのやり方を変えて欲しいと柾樹は説得するが、篠田はそれに応じない。柾樹は変えられないのは篠田が業者から裏金をもらっているからだと批判し、反発した篠田は板長を辞めた。夏美は柾樹の性急なやり方を止めようとするのだが…。
第100回:
板長が辞めた加賀美屋は今夜の客に出す料理の算段もつかずに大混乱していた。伸一(東幹久)は組合に頼んで代わりの板前を派遣してもらおうとするが上手くいかない。隠居していたカツノ(草笛光子)が顔を出し、元は板前だった久則(鈴木正幸)に板場を手伝うように命じる。浩司(蟹江一平)を板長に、家族全員が一丸となって夕食の準備がはじまった。夏美は加賀美屋の危機を乗り越えるため懸命に働く。
第101回:
家族一丸となって板場を手伝い加賀美屋の危機を乗り切った一同は、夏美も一緒になって母屋でくつろいでいた。環は女が板場に入ってはならないというしきたりを破ったことをカツノに詫びる。夏美は久則から柾樹の父親も旅館の古い習慣を変えようとしたことがあったと聞かされる。柾樹の父のことを夏美が尋ねようとすると、カツノが強引に話をさえぎった。
第102回:
夏美や加賀美家の一同が揃って夜食を食べている頃、柾樹はイーハトーブで夏美の帰りを待っていた。だが夏美が下宿に戻った時、柾樹は帰った後で会えずじまいであった。夏美は裕二郎から、柾樹は『風の又三郎』のようなどこか寂しげな子供だったと聞かされる。次の日、夏美は遠野を取材して観光案内の記事を書くように環から依頼される。これには環のある計略が秘められていた。
第18週「遠野への旅」
【第18週全体】観光雑誌の取材のため遠野を訪れた夏美(比嘉愛未)は、河童が出るという川に誤って落ち、偶然通りがかった政良(奥田瑛二)に助けられる。びしょ濡れの夏美は政良の家に案内され、紀美子(あめくみちこ)や五人の子供たちから泊まるよう勧められた。
一方、加賀美屋では、旅館組合への寄付金を断った柾樹と、それを知った伸一(東幹久)との間でまた揉め事が起きていた。古い悪習を断ち切るべきだという柾樹の主張に環(宮本信子)は理解を示すが、それがかえって家族内の不和を大きくする。夏美は一晩留守をする政良に代わって、子供たちの面倒をみることになった。その晩、不思議な少年・三郎(深澤嵐)が政良を訪ねて来る。父親に捨てられたと寂しげに話す三郎を夏美は励ましてやる。
次の朝、夏美は三郎がいないことに気づきみんなに尋ねるが、そんな子はいないと言われた。そこへ柾樹が夏美を迎えに現れる。政良は二十年前に捨てた息子柾樹を見て驚く。柾樹は父・政良の詫びの言葉を拒み、外へ出ていく。そんな柾樹に紀美子は、政良が何度も柾樹を引き取ろうとしたけれどカツノ(草笛光子)に許してもらえなかったと打ち明ける。夏美は政良を許して欲しいと柾樹を懸命に説得する。
第103回:
夏美(比嘉愛未)とアキ(鈴木蘭々)は観光雑誌の取材のため遠野を訪れる。環(宮本信子)に頼まれ引き受けた仕事だったが、好奇心旺盛な夏美は遠野に興味津々で精力的にあちこちを見て回る。だが、環の思惑は別にあった。二十年以上前に加賀美屋を出て、今は遠野に住むという柾樹(内田朝陽)の父と夏美が出会えればと考えたのだ。夏美は河童が出ると言う川に誤って落ちてしまうが、通りがかりの男(奥田瑛二)が助けてくれる。
第104回:
川に落ちてびしょ濡れになった夏美は、助けてくれた政良の家で風呂に入れてもらう。紀美子(あめくみちこ)や五人の子供たちから泊まるよう勧められ、夏美とアキはその言葉に甘えて泊めてもらうことにした。夏美は五人の子供たちが政良と紀美子の実の子でなく里子だということを知る。翌朝、政良が描いた遠野の風景画を眺めていた夏美は、男の子が描かれた絵を見て不思議な感情を覚える。
第105回:
加賀美屋ではまた揉め事が起きていた。柾樹が旅館組合への寄付金を断り、それを知った伸一(東幹久)が柾樹に詰め寄ったのだ。経営を刷新するために古い悪習を断ち切るべきだという柾樹の主張に環は理解を示すが、そのことがかえって家族内の不和を大きくする。遠野の夏美は急用のできた政良に代わって、一晩だけ五人の子供たちの面倒をみる。その晩不思議な来訪者がやって来た。
第106回:
風の強い晩に政良を訪ねて来た三郎(深澤嵐)という名の少年は、政良の描いた絵の男の子にそっくりだった。夏美は驚きながらも三郎を家に入れ、他の子供たちと一緒に楽しい夜を過ごす。一方、加賀美屋に居づらい柾樹はイーハトーブで裕二郎(吹越満)たちと語らっていた。話が父親のことになり、柾樹は今さら父など会いたくもないと言うが、裕二郎は後悔しないよう会っておけと柾樹を説得する。
第107回:
強い風の音で目が覚めた夏美は庭に三郎が立っているのを見つける。父親に捨てられたと寂しげに話す三郎を見て、夏美はずっと一緒にいるからと言って固くその手を握ってやる。次の朝、夏美は三郎がいなくなったことに気づき子供たちに尋ねるが、そんな子はいないと相手にされない。政良がその子は風の又三郎かも知れないと言ったその時、突然柾樹が夏美を迎えに現れた。
第108回:
夏美を迎えに来た柾樹を見て、政良は驚く。政良は二十数年前に姿を消した柾樹の父だった。柾樹は父の詫びるの言葉を拒み、外へ出ていく。そんな柾樹に紀美子は、政良が何度も柾樹を引き取ろうとしたけれどカツノ(草笛光子)に許してもらえなかったと打ち明ける。夏美は柾樹のことをずっと思ってきた政良を許してあげて欲しいと懸命に説得する。
第19週「女将の決断」
【第19週全体】柾樹(内田朝陽)は夏美(比嘉愛未)のおかげで、父の政良(奥田瑛二)と二十数年ぶりに再会し和解することができた。柾樹が加賀美屋を強引に改革しようとしていることを知った政良は、環(宮本信子)たちとも心を開いて話し合えばきっと分かり合えるはずだと忠告する。
盛岡に戻った柾樹は素直な気持ちで環に感謝し頭を下げた。そんな時、カツノ(草笛光子)が倒れ病床に伏せる。カツノの死期が近いと感じた環は、夏美と柾樹の結納を近々行うと言い出した。急な話に啓吾(大杉漣)や房子(森昌子)は戸惑うが、横浜で行われた結納は無事に終わった。そのあと開かれた両家の会食も和やかに進んでいたのだが、加賀美屋の跡継ぎの話になって列席者の雰囲気がまずくなる。だがその時、環が夏美を若女将にするとはじめて公にした。そして、いずれは柾樹が加賀美屋を継ぐということも公表する。
盛岡に戻った伸一(東幹久)は環の突然の心変わりにショックを隠せず部屋に閉じこもり、また家族の誰もが驚き混乱した。それでも環はすべて加賀美屋のためだと考えを変えようとしない。伸一のことが心配な恵美子(雛形あきこ)は、どうして伸一ではダメなのかと環に訴えるのだが…。
第109回:
柾樹(内田朝陽)は夏美(比嘉愛未)のおかげで、父の政良(奥田瑛二)と二十数年ぶりに再会し和解することができた。柾樹が加賀美屋を強引に改革しようとしていることを知った政良は、環(宮本信子)たちとも心を開いて話し合えばきっと分かりあえるはずだと忠告する。柾樹は父と自分を引き合わせるため環が取り計らってくれていたことにやっと気づく。盛岡に戻った柾樹は素直な気持ちで環に感謝し頭を下げた。
第110回:
柾樹(内田朝陽)から遠野で父親に会って和解したと聞かされたカツノ(草笛光子)は、自分は許すことは出来ないと息子に会うことを頑なに拒絶する。その直後カツノは倒れ病床に伏せることになった。柾樹はこれから加賀美家の皆と心を開いて話し合いたいと夏美(比嘉愛未)に打ち明ける。柾樹の心の変化を知った環(宮本信子)はカツノの死期が近いと感じて大きな決断をする。環は夏美と柾樹の結納を近々行うと言い出した。
第111回:
環(宮本信子)たちが結納するために横浜に来ると、夏美(比嘉愛未)から連絡を受けた啓吾(大杉漣)と房子(森昌子)は大慌てで準備をはじめる。結納の件を病床のカツノ(草笛光子)に報告した環は、夏美が女将になることに異存はないと切り出した。カツノは環の決断に感謝し礼を言う。ところが明日が結納という時、板場で張り切りすぎた久則(鈴木正幸)がぎっくり腰になり、誰が横浜に行くか困ってしまう。
第112回:
夏美(比嘉愛未)と柾樹(内田朝陽)の結納は、柾樹が以前働いていたホテルで行われることになった。啓吾(大杉漣)や房子(森昌子)は緊張気味に環(宮本信子)たちの到着を待つ。伸一(東幹久)が腰を痛めた父の代役で現われたことがハプニングであったが、結納の儀式は無事終わった。そのあと開かれた両家の会食も和やかに進んでいたのだが、伸一が調子に乗ってしゃべりはじめると途端に雰囲気がまずくなる。
第113回:
結納の後の会食の席で加賀美屋の跡継ぎの話になった。啓吾(大杉漣)は柾樹(内田朝陽)が継ぐものと思っていたが、それを伸一(東幹久)が否定したことから列席者の間に緊張が走る。その時、環(宮本信子)が夏美を若女将にするとはじめて公にした。そして、いずれは柾樹が加賀美屋を継ぐことも。盛岡に戻った伸一はショックを隠せず部屋に閉じこもってしまった。環は詰め寄る時江(あき竹城)にすべて加賀美屋のためだと答える。
第114回:
久しぶりに実家に泊まった夏美(比嘉愛未)は必ず加賀美家のみんなが分かりあえる時が来るから大丈夫と両親の心配を笑った。そんな夏美を見て啓吾(大杉漣)も房子(森昌子)も娘の成長を感じ取る。盛岡では環(宮本信子)が柾樹(内田朝陽)を跡継ぎに指名したことで、家族一同が混乱していた。伸一(東幹久)のことが心配な恵美子(雛形あきこ)は、どうして伸一ではダメなのかと環に訴えるのだが…。
第20週「家族の和」
【第20週全体】夏美が若女将になることが決まって以来、伸一は仕事も私生活も荒れるようになる。それでも環は伸一ではなく、加賀美屋の将来を切り拓く能力がある柾樹と夏美に加賀美屋を継がせるという意志を曲げない。そんな中、カツノは加賀美家の家長として、加賀美屋が発行している全株式のうち半分に相当する株券を、加賀美家全員の前で伸一に譲渡する。カツノは伸一のこれまでの苦労に報いたのだ。
第115回:
加賀美屋では環(宮本信子)が夏美(比嘉愛未)を若女将にすると宣言したことが、新たな揉め事の火種となっていた。柾樹(内田朝陽)が旅館を継ぐことに納得がいかない伸一(東幹久)は腹立ちまぎれに柾樹と対立し、居づらくなって帳場を出て行ってしまう。病床のカツノ(草笛光子)は自分の知識や経験を夏美に伝えるため時間を惜しんで教授した。夜遅く伸一が酒に酔って戻って来るが、夏美と柾樹に毒づくと玄関で倒れこんだ。
第116回:
加賀美屋の跡継ぎから外された伸一(東幹久)は仕事もせずに毎晩飲み歩いていた。スナックで憂さ晴らしのため深酒する伸一に秋山(石原良純)という男が興味深げに近づいてくる。心配した環(宮本信子)は伸一を呼び出して、加賀美屋のために我慢してくれと頼み込んだ。しかし、伸一は子供の頃から腹に溜めてきた環への憎しみをぶちまけ、思わず環は伸一の頬を打ってしまう。夏美(比嘉愛未)は偶然それを目撃するのだが…。
第117回:
伸一(東幹久)に責められショックを受けた環(宮本信子)がその後何事も無かったかのように客の応対をしている姿を見て、夏美(比嘉愛未)は女将業の過酷さを改めて感じた。夏美と柾樹(内田朝陽)は伸一の下で働かせて欲しいと環に申し出る。だが、新しい加賀美屋を作るためには跡継ぎは柾樹しかいないと環は譲らない。家族同士が敵対する加賀美家の危機を感じたカツノ(草笛光子)は病を押して立ち上がった。
第118回:
夏美(比嘉愛未)をそばに従えたカツノ(草笛光子)は加賀美家の全員を座敷に集め、病人とは思えぬ気丈さで話しはじめた。伸一(東幹久)は旅館だけでなく加賀美家までも柾樹(内田朝陽)に継がせるつもりかと悪態をつく。だが、カツノは黙って包みから取り出した自分の株券すべてを伸一に与えると、伸一を苦しめたことを詫びお前の力が必要だと訴えた。伸一は固い表情のまま、この場で跡継ぎ問題に決着をつけようと言い出す。
第119回:
新緑の季節を迎えた加賀美屋では、夏美(比嘉愛未)と柾樹(内田朝陽)の結婚式の準備があわただしく進んでいた。夏美の実家から届いた白無垢を嬉しそうに眺めるカツノ(草笛光子)を見て、環(宮本信子)が家族全員で写真を撮ろうと提案する。その日の夜食は久しぶりにカツノを囲んで一家全員がそろい賑やかだった。夜、夏美が休んでいるカツノの様子を見に行くと、平治(長門裕之)が来て柾樹の父親の居所を教えろと言い出す。
第120回:
夏美(比嘉愛未)と柾樹(内田朝陽)の結婚式の当日。横浜から啓吾(大杉漣)や房子(森昌子)たちも来て、加賀美屋は大勢の客であふれかえっていた。両親と対面した夏美は今まで育ててもらった礼を言い、女将修業をする勝手を許してくれたことに感謝する。一方、この日を待ち望んでいたカツノ(草笛光子)の容態は思わしくなかった。環(宮本信子)が一人看病に残り、他の家族たちを式場へと向わせることにする。
第21週「加賀美屋の一番長い日」
【第21週全体】柾樹と夏美の結婚式が進む中、カツノの最期も近づく。柾樹と夏美にカツノの容態が知らされたのは、披露宴の途中。夏美は自分を見出してくれたカツノに感謝したのち、カツノは環と2人だけになり、加賀美屋の女将であることの真髄を伝える。そして大女将として全ての役割を終えたカツノは静かに息を引き取った。
第121回:
結婚式の朝。ロビーに集まった仲居や板前たちに見送られて、柾樹(内田朝陽)と白無垢姿の夏美(比嘉愛未)が神社に向って出発する。そのころ離れでは、カツノ(草笛光子)の容態が急変し医者が呼ばれていた。今日がヤマだと知った環(宮本信子)はこの日を楽しみにしていたカツノの思いを汲んで、容態の悪化を誰にも告げず結婚式を続ける決断を下す。そこへ突然政良(奥田瑛二)が現れ、カツノと親子の再会を果たす。
第122回:
カツノ(草笛光子)は大きな心残りだった息子の政良(奥田瑛二)と再会を果たして喜びを噛みしめていた。環(宮本信子)はカツノのことを平治(長門裕之)に頼んで急ぎ結婚式場に向う。式場で待つ家族たちはカツノの病状に不安を感じていたが、何も心配ないと言う環の明るい笑顔に一安心する。それでもカツノに花嫁姿を一目見て欲しいと願う夏美(比嘉愛未)は一抹の不安を抱いていたが、ついに結婚式がはじまった。
第123回:
カツノ(草笛光子)は式場には行かず、政良(奥田瑛二)たちと一緒に夏美(比嘉愛未)と柾樹(内田朝陽)が無事式を挙げて戻るのを待っていた。だが、カツノは二人の結婚式の様子がまるで見えているかのように、病床で笑みを浮かべる。加賀美屋の広間には披露宴に出席する親戚や友人たちが次々に訪れていた。式場から戻った夏美がカツノに会いに行こうとすると、環(宮本信子)がその前にやるべきことがあると言い出す。
第124回:
環(宮本信子)は披露宴の席で、夏美(比嘉愛未)と柾樹(内田朝陽)の結婚式が無事済んだことを報告した。さらに今日から夏美には若女将として働いてもらうこと、加賀美屋の経営はゆくゆく柾樹に任せることも発表する。集まった親戚からは独断で物事を進める環たちに非難の声が上がったが、環の凛とした迫力ある言葉に押されて誰も反論できなかった。そして、夏美が加賀美屋の若女将としてはじめて挨拶をする。
第125回:
若女将として見事な挨拶をした夏美(比嘉愛未)には、列席者から惜しみない賞賛と祝福の拍手が送られた。それを見届けた環(宮本信子)は密かに夏美と柾樹(内田朝陽)を病床のカツノ(草笛光子)の元へ連れ出す。カツノは夏美を支えるのが夫の務めだと柾樹に言い、夏美にはずっと柾樹のそばにいてくれと頼んだ。そしてカツノは環と二人きりになると、加賀美屋女将に代々伝わる玉手箱の秘密を語りはじめる。
第126回:
柾樹(内田朝陽)と夏美(比嘉愛未)の結婚披露宴はイーハトーブの面々も加わって賑やかにとり行われていたが、披露宴に出られないカツノ(草笛光子)の病床には平治(長門裕之)と政良(奥田瑛二)がずっと付き添っていた。平治は少しでも言葉が途切れてはいけないかのように、カツノに夏美との楽しい思い出を語り続ける。「あんたの願った通りになったよ」涙にむせぶ平治の言葉に微笑んだカツノは静かに息を引き取った。
第22週「悲しみに負けない笑顔」
【第22週全体】カツノの葬儀は加賀美家の身内だけで済ませ、改めて夏美の若女将としての仕事が始まる。しかしカツノを亡くした夏美は寂しげな様子。そんなとき20年来の得意客である前田(北見敏之)が宿泊する。しかし夏美が同姓同名の客と取り違えたことから、前田夫妻が好む岩手山が見える部屋を案内しなかったり、妻が食べられない生の貝が夕食に出るなどの不手際が。「来者如帰(くるものかえるがごとし)」という加賀美屋の精神を疑われてしまう。
第127回:
カツノ(草笛光子)の葬儀はその遺言により身内だけでひっそりと行われた。翌日、環(宮本信子)が従業員を集め、皆でカツノの遺志を継いで加賀美屋を盛り立てていこうと訓示をする。この日から若女将として働きはじめた夏美(比嘉愛未)は明るい様子だったが、環は何か不安を感じて時江(あき竹城)を夏美の補佐役に頼んだ。ふとカツノの部屋に入った夏美はカツノとの様々な出来事を思い出してぼんやりとする。
第128回:
新婚の夏美(比嘉愛未)は下宿を出て母屋の柾樹(内田朝陽)の部屋で暮らすことになった。若女将の夏美は客からの評判もよく旅館の中が明るくなったようであったが、柾樹は夏美が頑張り過ぎていると感じていた。横浜の啓吾(大杉漣)や房子(森昌子)も心配で電話をかけるが、応対した夏美の無理をしているような明るさに余計心配がつのる。平治(長門裕之)は環(宮本信子)に「あんたが夏美を鍛える番だ」と助言する。
第129回:
夏美(比嘉愛未)は葬儀に参列してもらったお礼を言いに平治(長門裕之)の工房を訪ねた。今は平治が育てているカツノの子ガメを見て、夏美はカツノとの思い出に浸る。その様子に平治もまた夏美のことが心配になった。柾樹(内田朝陽)は伸一(東幹久)と一緒に、加賀美屋の経営改革案を説明して融資を得るために銀行へ向う。そこにたまたま居合わせた秋山(石原良純)という男が二人に何やら関心を抱いて近づこうとするが……。
第130回:
銀行から融資に前向きな回答をもらった伸一(東幹久)は上機嫌だったが、家族の皆が柾樹(内田朝陽)のおかげと褒めるので気分を害する。その夜柾樹は、夏美(比嘉愛未)がカツノの部屋にいるのを見つける。一人になるとここに来るという夏美の心の空白を埋める術も無く、柾樹は見守ることしかできなかった。翌日、夏美が予約を受けた客が宿泊に訪れた。そして、環(宮本信子)たちが心配していたことが起きてしまう。
第131回:
前田夫妻から客室に呼び付けられた夏美(比嘉愛未)は『来者如帰』という家訓はウソなのかと言われ、ただ動転するばかりだった。そこへ駆けつけた環(宮本信子)は夏美の起こしたミスに気づいて慌てた。前田夫妻はその昔カツノに命を助けられ、それ以来毎年宿泊している常連客だった。それを夏美が同姓の客の予約と間違え、いつものサービスが出来なかったのだ。その夜、落ち込む夏美を訪ねて平治(長門裕之)が来る。
第132回:
平治(長門裕之)は夏美(比嘉愛未)のために風鈴を持ってきた。それは夏美に触発されて作った「人の心をホッと和ませる」鉄器だと言う。風鈴の涼やかな音色を聞くうち夏美は心が癒されていく気がした。ふと気づくと目の前にカツノ(草笛光子)がいる。「悲しみに負けない笑顔をみせて」そうカツノに言われた気がした夏美は一人で落ち込んでいた自分を反省し、加賀美屋のみんなのために笑顔になろうと決意する。
第23週「不気味な影」
【第23週全体】夏美は仲居たちから信頼されるようになり、柾樹も伸一と一緒に銀行へ行って加賀美屋をリフォームするための融資を申し込む。加賀美屋が「家族の和」でもって旅館を経営しようとしたところ、「不気味な影」が現れる。秋山(石原良純)と名乗る経営コンサルタントが伸一の前に現れ、以前に伸一が考えていた加賀美屋を高級リゾートホテルに建て替えする計画をベタ褒めする。
第133回:
カツノが亡くなった悲しみを乗り越えて夏美(比嘉愛未)は毎日仕事に励んでいた。環(宮本信子)はそんな夏美を見てひと安心する。伸一(東幹久)と柾樹(内田朝陽)は旅館改修の資金融資を銀行に掛け合っていたが、柾樹が作った経営改革案が評価されて事がうまく運ぶ。だが伸一はそのことを素直に喜べず酒におぼれるようになった。そんな時、伸一は酒場で馴れ馴れしく近づいて来た秋山(石原良純)と意気投合するのだが…。
第134回:
深酒をした翌朝、伸一(東幹久)が目覚めたのはホステスのレナ(野波麻帆)の部屋だった。伸一は大慌てで家に戻ったが、恵美子(雛形あきこ)からは朝帰りを責められずに済んでホッとする。レナが伸一の留守中に面会を求めて現れた。応対した夏美(比嘉愛未)は何事かと心配するが、戻った伸一からこのことは誰にも言うなと固く口止めされてしまう。そして次の日、今度は秋山(石原良純)が加賀美屋を訪れる。
第135回:
加賀美屋に現れた秋山(石原良純)は宿泊したいと申し出た。秋山の突然の来訪に困惑する伸一(東幹久)が部屋を訪ねると、秋山からレナ(野波麻帆)との一夜の出来事にどう責任を取るのかと問い詰められた。そこへ夏美(比嘉愛未)と環(宮本信子)が挨拶に来るが、環は愛想よく振舞う秋山に何か信用できないものを感じて不安になる。翌朝秋山は立ち去り際に、レナの件は自分が何とかしてやると伸一に約束する。
第136回:
夏美(比嘉愛未)は横浜の父啓吾(大杉漣)に相談して加賀美屋オリジナルの洋菓子を作ろうとしていた。そのデザインについて意見を聞こうと夏美は久しぶりにイーハトーブを訪ねる。幼稚園から咲と一緒に帰ってきたアキ(鈴木蘭々)を見て、夏美は裕二郎(吹越満)とアキの仲がうまくいって欲しいとあらためて思った。だが裕二郎にはその気はまったくなく、そのことに気づいたアキは翌朝誰にも告げず旅に出た。
第137回:
伸一(東幹久)は加賀美屋全面建替えを支持して、資金の融資を約束してくれた秋山(石原良純)をすっかり信用してしまう。すでに柾樹(内田朝陽)が旅館のリフォームを実行しようと動きはじめていたが、伸一はもう一度全面建替えを家族に提案した。しかし、環(宮本信子)や夏美(比嘉愛未)は伸一のプランに反対する。それでもあきらめ切れない伸一は、柾樹の留守中誰に相談することなく独断で計画を実行しようとする。
第138回:
伸一(東幹久)は家族に隠れて秋山(石原良純)と会い、自分が所有する加賀美屋の株を譲渡する契約を結ぼうとしていた。さすがに契約をためらう伸一だったが、秋山が融資予定の倍額を振り込んでくれたことを知ると、秋山のことを信頼して契約した。翌日、地元銀行から柾樹(内田朝陽)が血相を変えて戻ってきた。伸一の代理人が融資を断ったというのだ。その事情を説明すると言って家族を集めた伸一は、秋山を連れて現れる。
第24週「加賀美屋の危機」
【第24週全体】環が秋山の怪しさを感じた頃には、すっかり伸一は秋山の弁舌に取り込まれた。柾樹がかつての同僚である香織に秋山の素性を調べてもらったところ、大手ホテルチェーングループと組んだ、外資系の乗っ取り屋であることが判明。秋山が伸一に近づいた目的は、加賀美屋の経営権を握り、老舗旅館を高級リゾートホテルに建て替えること。しかし時はすでに遅し。伸一はカツノから相続していた加賀美屋の株券を、融資の担保として秋山に譲渡していた。
第139回:
環(宮本信子)たち家族は伸一(東幹久)が地元銀行の融資を勝手に断った理由を聞こうと待っていた。秋山(石原良純)を連れて戻った伸一は、秋山のおかげで旅館の全面建替えをする新たな資金のメドがついたと報告する。環はだまし討ちのような伸一の行動を責めるが、恵美子(雛形あきこ)らが伸一に味方して、加賀美家が二つに分かれて対立してしまう。夏美(比嘉愛未)はこの危機を何とかしようと躍起になるのだが…。
第140回:
伸一(東幹久)は秋山(石原良純)に言われるまま、加賀美屋建替え案を従業員全員に説明することを願い出る。夏美(比嘉愛未)が積極的に賛成したおかげで、伸一は何とか環(宮本信子)の許可を得ることができた。秋山の説得力ある説明を聞いて、従業員たちの気持は伸一の全面建替え案を支持する方に傾く。だが、秋山を信用できない柾樹(内田朝陽)や浩司(蟹江一平)が反対を唱えたため、伸一との対立はさらに激化していく。
第141回:
柾樹(内田朝陽)は秋山(石原良純)の正体を確かめようと事務所を訪ねたが、何も収穫は得られなかった。環(宮本信子)は伸一(東幹久)の目を覚まそうと意見するが、秋山と組むことが加賀美屋のためになると固く信じる伸一は聞く耳を持たない。ある日、秋山が来て仲居たちにプレゼントを配りながら、加賀美屋の給料がいかに安いかを吹聴して回った。柾樹は横浜の香織(相沢紗世)から秋山についての調査結果を聞く。
第142回:
仲居たちは自分の給料が相場よりも安いという秋山(石原良純)の言葉を鵜呑みにして、賃上げ要求をしようとしていた。心配した佳奈(川村ゆきえ)は秋山の動きを注意するよう夏美(比嘉愛未)に伝える。伸一(東幹久)は浩司(蟹江一平)を懐柔するために秋山に引き合わせるが、浩司は伸一の計画には反対だと言って席を立った。この一件の調査を進める柾樹(内田朝陽)は裏で乗っ取り屋が絡んでいると知って愕然とする。
第143回:
柾樹(内田朝陽)は家族全員を座敷に集め、これまで調べた秋山(石原良純)に関する情報を皆に報告した。すでに盛岡のリゾート開発が進行しており、その計画に外資の乗っ取り屋がからんでいるという。そして、秋山こそがその乗っ取り屋だと柾樹は断言した。環(宮本信子)はすぐに秋山からの融資を断れと伸一(東幹久)に命じる。だが時すでに遅く、伸一は融資と引き換えに加賀美屋の株の半分を秋山に譲っていたのだった。
第144回:
伸一(東幹久)は懸命に秋山(石原良純)を捜したが見つからず、ただ呆然とうなだれていた。久則(鈴木正幸)はご先祖様に申し訳がたたないと言って伸一を殴ろうとする。そんな危機的状況でも夏美(比嘉愛未)や環(宮本信子)は笑顔で接客しなければならなかった。だが、当の伸一は部屋に閉じこもり旅館に出てこない。見かねた恵美子(雛形あきこ)は逃げないで家族と一緒に闘って欲しいと伸一を励ます。
第25週「一番大事なもの」
【第25週全体】いよいよ秋山やアーサー(セイン・カミュ)などの外資の乗っ取り屋が、加賀美屋に乗り込んで、正式に旅館の全面改装と経営陣の交代を迫る。秋山たちはすでに仲居や板前たちの従業員たちにの根回ししていて、次々と退職していく。そんな時、夏美は父である啓吾が脳梗塞で倒れて、横浜に戻ることに。だが、盛岡に帰って加賀美屋の危機を救えと励まされる。一方、乗っ取りを企んでいた秋山にも気持ちに変化が起こる。
第145回:
伸一(東幹久)は加賀美屋の株を秋山(石原良純)に渡してしまったことを家族に謝った。皆が納得できない思いで黙っていると、夏美(比嘉愛未)が加賀美屋は一番大事なものを失っていない、互いを思いやる気持ちがこの家族にある限り大丈夫だと明るく話しはじめる。皆は夏美の言葉に勇気づけられて、協力して闘うことを誓った。しかし、秋山は仲居たちをターゲットにして次なる加賀美屋攻略作戦を開始する。
第146回:
加賀美屋に秋山(石原良純)たちが現れた。そして、建物を全面改装して大勢の宿泊客を収容できる旅館にする計画を環(宮本信子)に突きつける。異存があれば株主総会を開いて加賀美家の人々を経営から外すと脅しをかけたが、夏美(比嘉愛未)は秋山がこんな酷いことをするような人間ではないはずと真っ直ぐに語りかけた。少したじろいだ秋山だが、加賀美屋乗っ取りの計画を進めるべく仲居たちにストライキをけしかけた。
第147回:
加賀美家は買収騒動のおかげで以前よりも仲が良くなり結束力が増していた。しかし、仲居たちは秋山(石原良純)にそそのかされて、労働条件改善を求めるストライキをはじめる。夏美(比嘉愛未)や環(宮本信子)は窮状を訴えて説得を試みるが、仲居たちは応じず両者の関係は悪化した。その上秋山が他の旅館の買収をはじめたことで、加賀美屋はいっそう追いつめられていく。そんな時、清美(中村優子)が仲居を辞めると言い出す。
第148回:
夏美(比嘉愛未)は出て行こうとする清美(中村優子)を引き留めるが、家族のため高い給料が欲しいと言われて引き下がるしかなかった。さらに他の仲居や板前たちも条件の良い職場に移るため出て行ってしまう。環(宮本信子)はこの危機を家族一丸となって乗り切ると宣言する。それからは家族の誰もが加賀美屋を守るため弱音を吐かずに働き続けた。そんな時、夏美の父啓吾(大杉漣)が倒れたという知らせが届く。
第149回:
啓吾(大杉漣)が倒れたと聞いた夏美(比嘉愛未)は急いで横浜に戻った。手術は成功したが脳梗塞の後遺症が残ると宣告され、夏美や房子(森昌子)たちは大きなショックを受ける。一方加賀美屋では、夏美がいなくなって他の家族たちの負担が増していた。環(宮本信子)は秋山(石原良純)の仕掛けた持久戦に持ちこたえられるのか不安になる。翌朝意識を回復した啓吾は喜ぶ夏美に、盛岡へ帰れと怒りだす。
第150回:
夏美(比嘉愛未)はそばにいて啓吾(大杉漣)を看病したいと願うが、盛岡に帰れと相手にされない。加賀美屋が大変な状況のなか必死で頑張る夏美を応援したい啓吾の思いを汲んで、房子(森昌子)と智也(神木隆之介)も盛岡に帰るように夏美を説得する。そのころ万策尽きた加賀美屋では、環(宮本信子)が秋山(石原良純)の提案を受け入れようとしていた。これですべてが終わるというその時、夏美が加賀美屋に戻って来た。
最終週(第26週)「来る者帰るがごとし」
【最終週全体】加賀美屋が乗っ取られようとしていることを知った、彩華や篠田、裕次郎など「イートハーブ」の住人たちが加賀美屋を助けるために集結。さらにソウルではジュンソが自らのホームページでファンに対して加賀美屋の危機を訴え、東京では経済評論家の斎藤愛子がテレビの経済番組に出演し、乗っ取り屋による加賀美屋の買収計画を批判。最終的に秋山は自分の会社を裏切って加賀美屋の現経営陣を支持し買収話が立ち消えになる。それから1年の時が経過し、加賀美屋は新館のオープンを迎えた。
第151回:
夏美(比嘉愛未)は一週間あれば加賀美屋を立て直してみせると秋山(石原良純)に言ったものの、確たる自信はなかった。しかし、彩華(白石美帆)や元板長の篠田(草見潤平)という強力な助っ人が現れ、さらにイーハトーブの裕二郎(吹越満)たちも手伝いに来て、加賀美屋は再び活気を取り戻す。柾樹(内田朝陽)から乗っ取り屋の後ろに外資の乗っ取り屋がいると聞いた聡(渡邉邦門)はなぜか東京へと向った。
第152回:
加賀美屋を手助けしようとする動きは外にも広がっていた。韓国の映画スターのジュンソ(リュ・シウォン)はホームページで加賀美屋を応援しようとファンに呼びかける。さらに経済評論家の斎藤愛子(とよた真帆)はテレビ番組で老舗旅館を強引に買収しようとする外資ファンドの手法を痛烈に批判した。そのおかげもあって宿泊予約は回復し明るい兆しが見える。一方、脳梗塞で倒れた啓吾(大杉漣)はリハビリを開始した。
第153回:
夏美(比嘉愛未)や彩華(白石美帆)たちが加賀美屋再建に向けて頑張るなか、辞めた仲居たちも戻って来て旅館は以前のような活気を取り戻していた。環(宮本信子)は旅館の手伝いに訪れたアキ(鈴木蘭々)に、精一杯頑張る自分たちの姿を記録に残すため写真を撮って欲しいと頼む。そんな旅館の様子を秋山(石原良純)がこっそりと伺いに来ていたが、突然秋山の部下たちが現れ、加賀美屋の営業中止を環に申し入れた。
第154回:
営業を即刻中止するか、さもなくば従業員全員を解雇すると言われた環(宮本信子)は営業中止を受け入れた。だが、今日一日だけは宿泊客を迎えたいと頼み込む。互いに譲らずにらみ合う両者の間に秋山(石原良純)が割り込み、自分の取り分の加賀美屋株は買収に使わせないと部下たちに宣告した。これで加賀美屋は何とか営業中止の危機を免れる。そして、夏美(比嘉愛未)は事態を打開するために東京に向った。
第155回:
柾樹(内田朝陽)と夏美(比嘉愛未)は買収を仕掛ける外資グループの元社外取締役・岸本(夏八木勲)に面会するため東京に来た。そこで二人は岸本の息子・聡(渡邉邦門)を見つけて驚く。夏美はおもてなしの心を守るため加賀美屋を存続させて欲しいと岸本に頼み込むが、どのような決定が下るかは予断を許さなかった。秋山(石原良純)は盛岡に戻った夏美に、おかげで人を信じる心を取り戻せたと感謝して去ってゆく。
最終回(156話)あらすじ
加賀美屋買収の危機は去った。そこへ夏美(比嘉愛未)の弟・智也(神木隆之介)が、父・啓吾(大杉漣)の作った「桜のシブースト」を持って横浜から訪れる。夏美は一本桜をイメージして作ったこのケーキを、新生・加賀美屋の象徴にしようと考える。叔母・環(宮本信子)は夏美と、女将・若女将として加賀美屋の名に恥じないよう、誠心誠意務めに励むことを共に誓う。そして夏美と柾樹(内田朝陽)は満開になった一本桜のもとを再び訪れる。
タイトル「どんど晴れ」の由来とは?
タイトル「どんど晴れ」は、民謡の最後に使う「どんどはれ(めでたしめでたしの意味)」という言葉と、岩手の広く晴れ渡る空のイメージから取られています。
民話の世界では、人間本来の感情をむき出しにし、ぶつかり合うことで、最後に「どんどはれ」が訪れます。
行く先々でつらいことや苦しいことがたくさん待ち受けているヒロイン・夏美。そんなヒロインの活躍は、豊かな伝統と雄大な自然を舞台に、民話のエピソードを象徴的に絡めながら描かれます。
そして、困難とぶつかり合いながらも、太陽のように周りを明るく照らす夏美の頑張りによって、物語は「どんど晴れ」を迎えます。
「どんど晴れ」の動画配信
「連続テレビ小説どんど晴れ 総集編」(全3回)が【ユーネクスト】NHK で視聴できます。
(※2025年10月時点の情報です)
朝ドラ「どんど晴れ」再放送は2025年10月13日から、NHKBSにて、毎週月曜から土曜まで朝7時15分から放送!

