『下剋上球児』無免許教師は実話?東拓司白山高校元監督は教員?
『下剋上球児』無免許教師は実話?東拓司監督は教員?
日曜劇場『下剋上球児』(TBS、日曜21時)第2話にて、主人公の南雲(鈴木亮平)が無免許教師だった事実が判明。この無免許教師の設定は実話なのでしょうか。また、無免許で採用されるミスなんて実際にある話なのでしょうか。調べてみました。
今回は『下剋上球児』無免許教師は実話なのかについて。
『下剋上球児』無免許教師は実話?
結論からいうと、『下剋上球児』の無免許教師は実話ではありません。
日曜劇場『下剋上球児』は、実話であるノンフィクション本『下剋上球児』を「原案」にしたドラマ。三重県立白山高校の甲子園初出場を成し遂げた「日本一の下剋上」は実話ですが…。
このノンフィクション本が原作ではなく「原案」という点がポイントです。
ドラマ公式サイトでの説明↓
■原案
TBS「下剋上球児」HPより
「下剋上球児」(菊地高弘/カンゼン刊)
このドラマは「下剋上球児」(菊地高弘/カンゼン刊)にインスピレーションを受け企画しましたが、登場する人物・学校・団体名・あらすじはすべてフィクションです。
つまりドラマは、原案本から着想を得て「創作」しているフィクション作品であり、無免許教師のエピソードは創作です。
ですが、そこまで調べない視聴者はドラマの越山高校のモデルである白山高校の東監督(2018年当時)も無免許教師なのかな?と疑問に思ってしまうはず。
東拓司白山高校元監督は教員?
東拓司さん(白山高校元監督)は教員です。↓
白山高校(三重県津市)の野球部前監督の東拓司教諭(45)がこの春の教職員人事異動で昴学園高校(大台町)に転任した。
伊勢新聞(2023-04-09)より
原案のノンフィクション本でも東監督は教員免許を持っていないとは記されていません。
無免許で採用される実話あり
学校の教師になるためには、教員養成課程をもつ短大・大学などで学んで教員免許状を取得し、教員採用試験に合格して採用されることが必要です。
『下剋上球児』の南雲(鈴木亮平)は教員免許がないのに、教員採用試験に合格したため、偽造に走ってしまったのですが・・・現実世界でも無免許教師でニュースとなった実例、実話が多数あります。
2023年、東京都のニュースです↓
任用されたばかりの都内の公立小学校の23歳の男性教員が、必要な免許を取得していないことがわかったとして、都教育委員会は任用を無効にしました。教員は今月の始業式以降、授業をしていたということで、都教育委員会は「こうした事例は聞いたことがなく、確認の徹底を周知したい」としています。
NHKニュースWEB(2023年4月25日)より
任用にあたって、先月、区の教育委員会が本人と面談を行った際、免許状を持っておらず、取得に必要な申請を行っていなかったことがわかり、早急に手続きをするよう指示したものの、今月になっても提出されなかったということです。
4月7日の始業式から資格がない状態で授業をしていたのですが、都教育委員会は4月21日付けで任用を無効にしました。1ヶ月以内に発覚して良かったですが、こういうことがあるのですね…。
2019年の千葉県のニュースです↓
千葉県教委は17日、我孫子市立小学校の男性臨時講師(23)が、授業に必要な教員免許を取得していなかったと発表した。4月1日付で男性を採用した際、確認を怠った。今月10日まで担任だった1年生のクラスでは、男性が担当した授業12コマ(各45分)の補習を実施する。県教委は男性の採用を無効にした。
教職員課によると、男性は今年春に大学を卒業。東葛飾教育事務所は「免許取得見込み証明書」の提出がないまま採用手続きを進め、免許の原本も確認せずに採用した。本来、遅くとも着任日までには教育事務所や校長などによる原本確認が必要だった。
千葉日報(2019年5月18日)より
「無免許教師なんてバレるからあり得ない!」とツッコミをする視聴者も多いのですが、免許の原本を確認することを怠って4月から5月10日まで担任を務めていたケースがあるのですね。ありえない!とは言えないと思います。
免許偽造で採用もあり得る
「無免許教師はあり得ない」とともに「教員免許偽造なんて出来ない」というツッコミもあります。しかし、ある男(2022年当時27歳)が福井県福井市内の特別支援学校に講師として勤務する際、教員免許を偽造し提示したとして、有印公文書偽造・同行使の罪で裁判にかけられたことがあります。この男は2年以上も講師として勤務していました。
福井県の教育委員会や勤務先だった学校も教員免許状が本物だと思わされてしまいました。免許状の様式は全国で統一されてなくて、「すかし」といった紙幣のような偽造対策はありません。今回の偽造はそこを突いた形になっています。
なお、文部科学省は2018年に、教員の採用時に「原本」を確認するよう都道府県教委に通知しています。全国で免許がなかったり、失効しているのに偽ったりした事例が相次いだからです。
ドラマ『下剋上球児』の時代設定は、この通知の前、2016年の話です。三重県の教育委員会や県立越山高校の担当者が騙されてしまっても「ありえない!」とツッコミができないと思います。
無免許教師は嘘であってほしい
無免許教師は実際にあるし、免許偽造もあり得る…。だからといって、南雲(鈴木亮平)の罪は許されないことです。なので、3話以降、どう描いていくのかは注目したいところ。
他に監督をできない理由があって山住(黒木華)を説得するための「嘘」であって欲しいのですが、南雲の深刻な表情からそのパターンは可能性が低いか…。
私は「単位不足で」卒業できなかったのが意味不明というか、そんなミスするのかな?と思ってしまいました。何かの授業で単位を取れなかったのか、単位の計算ミスで授業を取らなかったのか…。
ゼミの教授が論文を読んで「これでは単位はあげられない」と言っていた激励(指導?)を真に受けて、本当は卒業できていて教員免許状も申請できる状態(法令で定められた科目及び単位を修得している状態)ではあったけど、諦めて引っ越してしまったとか?それで大学から連絡が出来ていなかっただけとか?そんなバカみたいな予想、妄想もしてしまいますが…。
でも教員免許状の授与申請をしていないので、どちらにしても有印公文書偽造・同行使の罪ではあるのです。
どう無免許教師の決着をつけるのでしょうか。黙ったまま教員をしれっと辞めて、また大学卒業・教員免許取得を目指して、卒業&免許取得して、越山高校にカムバックする…って、それはないですよね。ほんと、どう描くつもりなのか予測不能です。
3話以降の展開、ぜひ見届けましょう♪
画像出典「下剋上球児」TBS
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