【沈黙のパレード】の原作ネタバレ・あらすじ!真犯人は新倉直紀(椎名桔平)?!
【沈黙のパレード】の原作ネタバレ・あらすじ!
福山雅治さん主演、映画「ガリレオ」シリーズ3作目の原作は東野圭吾・著【沈黙のパレード】です。
容疑者は看板娘を愛した普通の人々。
湯川・草薙・内海薫は哀しき復讐者たちの【沈黙】に隠された【真実】を解き明かせるのか…!?
今回は【沈黙のパレード】原作小説のネタバレあらすじを紹介します。
【沈黙のパレード】原作のあらすじ
小説『沈黙のパレード』のあらすじを紹介します。
<あらすじ>
容疑者は彼女を愛した普通の人々。
哀しき復讐者たちの渾身のトリックが、湯川、草薙、内海薫の前に立ちはだかる。突然行方不明になった町の人気娘・佐織が、数年後に遺体となって発見された。
容疑者はかつて草薙が担当した少女殺害事件で無罪となった男。
だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。
さらにその男が、堂々と遺族たちの前に現れたことで、町全体を「憎悪と義憤」の空気が覆う。かつて、佐織が町中を熱狂させた秋祭りの季節がやってきた。
単行本『沈黙のパレード』より
パレード当日、復讐劇はいかにして遂げられたか。
殺害方法は?アリバイトリックは?
超難問に突き当たった草薙は、アメリカ帰りの湯川に助けを求める。
1行あらすじPOINT:被害者・並木佐織を愛した町の人々が哀しき復讐者になる物語。
見どころ:秋祭りのパレード当日、並木佐織を殺害した容疑者の男が死体として発見されます。殺人か事故かも不明の中、町の人々にはアリバイがあり、トリックも難解。そして、23年前に草薙が担当した少女殺害事件と並木佐織殺害事件が絡み合い、最後の最後にどんでん返しも!?
▼ここからネタバレ▼
【沈黙のパレード】原作の真犯人ネタバレ
真犯人は新倉直紀(椎名桔平)?!
【沈黙のパレード】原作の真犯人は新倉直紀(演:椎名桔平)です。蓮沼寛一殺人事件の真犯人です。
犯行方法:(増村栄治によって)睡眠薬を飲まされて寝ている蓮沼寛一の(ほぼ密閉された)部屋に、引き戸のネジを回して取りはずした小さな穴から液体窒素を注入して、窒息死させた。
犯行動機:音楽プロデューサーとして佐織に希望を持っていたのに殺害された。その復讐のために懲(こら)らしめているうちに殺害してしまった。(傷害致死)
新倉直紀が自供した犯行動機は上記だったのですが…嘘でした。沙織
【本当の犯行動機】妻の留美が並木佐織を誤って殺害し、それを見ていた蓮沼寛一が身代わりで逮捕されたため、留美は脅迫されていました。仕方なく金銭を渡したり、体の関係も持ちます。仇討ち組(※)の復讐計画では蓮沼寛一を懲(こ)らしめて、なぜ佐織を殺したか真相を聞くことが目的でした。しかし新倉直紀は計画が実行されると妻の犯行がバレるため、計画を中断させ、蓮沼寛一を意図的に殺害しました。つまり「妻を守るために口封じで殺害」が新倉直紀の犯行動機。
※注釈:「仇討ち組」とは、草薙が命名した復讐者たちのこと。(原作:単行本のP209参照)…草薙が「仇討ち組」と推理しているメンバーは、並木家の3人、佐織の恋人だった高垣智也、佐織を育てていた新倉直紀。他に、並木祐太郎の親友・戸島も計画に加わっていた。
留美が並木佐織を誤って殺害したと思われていたのですが…↓
並木佐織殺害の真犯人は留美(檀れい)ではない
留美(檀れい)が並木佐織を殺害していた?!
と思われていたのですが・・・
湯川の推理で、どんでん返しがあります。
並木佐織を殺害した真犯人は蓮沼寛一(村上淳)でした。
公園にて、新倉留美が、妊娠を打ち明けた並木佐織と言い争ったとき、カッとなり突き飛ばしてしまい…佐織が起き上がりませんでした。そのため佐織を殺したと思い込んでしまったのです。
公園から逃げてしまった留美。その後、戻った時には、佐織の遺体が公園から消えていました。
一部始終を見ていた蓮沼寛一が、佐織の遺体を移動させたのです。しかし遺体でなく、佐織は生きていたようです。公園でない別の場所で、蓮沼寛一が佐織を殴打し殺害した可能性が高いです。公園には血痕がなかったので…。
蓮沼が悪い奴で少し救われた。
留美への恐喝の為に殺されたって本当かな?いたずら目的もあったんじゃゃないかしら。
【沈黙のパレード】原作のあらすじネタバレ
小説『沈黙のパレード』のあらすじネタバレを紹介します。*閲覧注意
二体の遺体
静岡のゴミ屋敷が火事になり、焼け跡から二体の遺体が発見される。
(1)一体はその家の住人で蓮沼芳恵の遺体。(芳江は蓮沼寛一の母親)
(2)3年前に失踪した若い女性・並木佐織(川床明日香)の遺体。
容疑者・蓮沼寛一
容疑者は、蓮沼寛一(村上淳)。
蓮沼寛一は23年前の本橋優奈ちゃん殺害事件で草薙(北村一輝)が逮捕した男。蓮沼の実家に運ばれた冷蔵庫から、優奈のDNAが出て逮捕に至った。だが、黙秘権を行使し続けた蓮沼は、無罪となっていた…。
並木佐織は東京都 菊野市にある食堂『なみきや』の看板娘。美人なルックスに加え、天才的な歌唱力で、町の人気者だった。佐織は、資産家で音楽プロデュース業をしている新倉直紀(椎名桔平)にスカウトされた。高校卒業後、歌手デビューを目指してレッスンを受けていたのだが…
佐織は3年前に行方不明となっていた。まさか静岡で発見されるとは!
蓮沼が逮捕・釈放へ
蓮沼は「なみきや」で佐織にお酌をさせて過剰なサービスを求めたため、店主・並木祐太郎(飯尾和樹)から出禁にされた人物。佐織の交際相手だった高垣智也(岡山天音)は、蓮沼が並木佐織に付きまとっていたことを証言。
死体遺棄の時効は3年なので成立している。殺人で逮捕するには佐織の遺体を頭蓋骨陥没させた凶器の発見が大事か?
佐織が最後に確認されたコンビニの防犯カメラに、蓮沼が使用していた社用車が映っていた。さらに蓮沼の廃品回収会社時代の制服から並木佐織の血痕が検出される。草薙は上司と相談して逮捕に踏み切った。(*実は蓮沼が逮捕されたくて、わざと制服を残しておいた)
逮捕された蓮沼は完全黙秘。検察は起訴せずに釈放した。(処分保留で釈放)
湯川と草薙が再会
そのころ、天才物理学者・湯川学(福山雅治)が菊野市にできた新しい研究施設に週何日か滞在していた。湯川の友人でもある草薙が彼のもとに相談に行く。23年前の被疑者がまた事件に関わっていると話をした。蓮沼の父が刑事だったと聞いた湯川は、時代的に自白至上主義(=状況証拠で逮捕して取調室で自供を迫ること)だっただろうから、反面教師にした可能性があると推理した。
蓮沼は父を見て学んだ黙秘権を使い、今回も釈放されたのだろう…と。
草薙は担当の検察官に起訴に持ち込むために必要なことを聞く。二つの証拠が必要だと言われた。ひとつは被害者が殺害された証拠。もう一つは手を下したのが蓮沼である証拠。
草薙や内海薫(柴咲コウ)は他の事件も担当しつつ、蓮沼の再逮捕を諦めないが…。
蓮沼が菊野市に戻ってきた
蓮沼寛一は、なぜか並木佐織の住んでいた町に戻って来ていた。 元同僚・増村栄治(酒向芳)の元に居候していた。
湯川は『なみきや』の常連客となっていた。そんなある日、蓮沼が『なみきや』に現れて、無実の罪を着せられたからと、佐織の父・祐太郎(飯尾和樹)を責め、賠償金をねだった。店主の祐太郎がもちろん断って、追い返したが…町全体を憎悪の空気が覆う。
蓮沼寛一が殺された
菊野市の秋祭りのパレード(キクノ・ストーリー・パレード)当日。湯川は佐織の妹・夏美に案内され、パレードを見物していた。『なみきや』ではランチ営業の客が急に病気になり、店主と妻が病院に行くことになった。
そんなパレードの最中に、蓮沼が亡くなった。 (居候していた物置のような部屋で遺体で発見された)
だが事件性はない。微量の睡眠薬は確認されたが、外傷はなかった。
それでも草薙たちは他殺を疑う。なぜなら並木佐織を愛していた、家族、仲間、恋人…全員に動機があるから。だが、同時に全員、(空白の時間はあるが)アリバイがあった。そして、全員が沈黙していた…。
草薙は、まだ蓮沼が処分保留の段階で、不起訴になったわけでないのに殺害されたのが気になった。不起訴になっても検察審査会がある。新倉直紀は検察審査会という制度を知っていた。だが、高垣智也は知らなかった…。
犯行当日の時系列
【15時30分~17時】:蓮沼寛一の死亡推定時刻
- 11時:パレード開始。湯川と夏美が立ち見。
- 12時すぎ:夏美が「なみきや」のランチ営業のヘルプで一旦帰る。落ち着いたら湯川の元へ戻った。
- 13時半:「なみきや」のランチのオーダーストップ。
- 15時:パレード終了。夏美に母親から電話が来る。腹痛になった客を父が病院に連れて行ったと知る夏美。母から自分も病院に行きたいから帰って来てと頼まれて、夏美は慌てて帰宅へ。
- 15時:高垣智也は後輩と見に来ていたが一旦解散し、高垣だけ宮沢に挨拶へ。
- 16時:高垣智也は後輩と合流。(15時過ぎから16時まで空白の時間)
- 16時30分~16時45分:風船用のボンベが盗まれた。(ボンベを管理していた森元が持ち場を離れていた時間)
- 17時~:のど自慢大会が開始。 新倉夫妻が審査員をする。
- 17時30分:蓮沼寛一の遺体が発見される。死後30分から2時間程度、経過していた。
- 17時30分:「なみきや」夜の営業を開始。
- 18時:のど自慢大会が終了。
蓮沼の死因
首を絞めることなく窒息死できるのか?蓮沼の死因の特定のため、草薙は湯川を頼り、現場を見せる。
現場は本来、物置のため狭い部屋だった。外側から鍵がかけられるようになっていた。
引き戸に、引き手金具がついていた。湯川は引き手金具のネジを回して取り外した。
*引き手金具のイメージ↓
引き手金具を外すと、四角い穴が貫通していた。
湯川は推理小説『ユダの窓』を紹介し、この戸には秘密の小窓があると説明。
*ユダの窓とは監房の扉についている、蓋(ふた)のついた小さな四角いのぞき窓のこと。看守が自分の姿を見られずに囚人を観察できるようになっている。
湯川は推理した。犯人はこの四角い穴から室内にヘリウムガスを送り込んだ、と。
凝った殺害方法の理由
草むらからヘリウムガスのボンベとゴミ袋が発見される。袋から蓮沼の髪の毛も発見された。警察は、犯人が蓮沼を睡眠薬で眠らせたのち、蓮沼の頭からゴミ袋を被せて、その隙間からヘリウムガスを注入したと推理。ヘリウムの出所も調べることに。
だが、内海薫は複雑な犯行方法に違和感を抱く。草薙は死因を特定させないためだと推理。だが、蓮沼寛一が亡くなったら疑われる人物は決まってくる。凝った殺害方法にした別の目的があるのでは?と内海薫は疑っていた。
湯川は、犯人が凝った殺害方法にした理由を2つ挙げた。一つは死刑執行と推理。アメリカの州では最近まで死刑にガス室を使っていたから。もう一つ、犯人が蓮沼に手を触れないので抵抗されないというメリットもあるという。睡眠薬が多ければ首を絞めればいいが…その点は湯川も分からない。草薙は理由は後から聞き出すと息巻く。
内海薫は湯川の推理に納得した。そして動機が復讐だと仮定すれば、睡眠薬が少なかったのは目覚めさせて恐怖を与えるため、と薫は推理する。
ともかく、事故でなく殺害と分かったことで捜査本部が立った。
ミッシングリンク
内海薫は、なぜ犯人がヘリウムにこだわったのか?と疑問に思う。ボンベが見つかって捜査が迷走している。都合が良すぎるとも思う。
湯川は仮説に必要なピースがひとつ足りないという。そのピースは過去にしかないと告げて、内海薫に23年前の本橋優奈の事件について調べるよう草薙に伝えてくれと頼む。
草薙と内海薫の捜査で、ミッシングリンクが判明する。*
*ミッシングリンク=無関係と思われる事実と事実とを結びつける、秘められた関係性。
それは増村栄治と本橋由美子が兄妹だったこと。(父違いの兄妹)
増村栄治は蓮沼寛一の元同僚で、部屋を居候させていた人物。アリバイもあり、『なみきや』の常連客でなかったため事件とは無関係と思われていた。
本橋由美子は、本橋優菜の母。つまり、増村栄治は被害者・優菜の伯父さんと判明。
増村栄治に殺害動機が出てきた…。
湯川が、草薙たちが先入観後をもたないように後から明かしたが、増村栄治に目をつけた理由は3つあったという。↓
- 睡眠薬を飲ませることができる親しい人物なこと。
- 蓮沼が寝る場所を知っている人。
- 引き戸に鍵をかけられることを知っている人。(住まいの造りを知っているのは住んでいる人)
凶器は液体窒素
湯川たちは、ヘリウムボンベはミスリードだと思う。
湯川は、戸島社長(田口浩正)の会社が扱う冷凍機を疑う。
湯川たちは遺体発見時の状況を再現して実証実験をする。
引き戸の四角い穴から室内に液体窒素を流し込む。
現場に残っていたマットレスと布団は湿っていた。その水分は約100グラム。
実験でも同じく約100グラム、湿った。
この実験は成功だ。
(首をしめずに窒息させた謎の)凶器はヘリウムではなく液体窒素であると判明。
キクノン
液体窒素の入手場所は、湯川が戸島の会社に着目していた。冷凍食品を扱っていたからだ。近年、液体窒素を使った急速冷凍が注目されており、戸島の工場も使っている。
警察の捜査が戸島の会社に入ることになる。貯水タンクの液体窒素が減っていた。防犯カメラの映像から、パレード当日に戸島が液体窒素を持ち出したことも判明する。
液体窒素を運ぶ方法はどうしたのか?警察は防犯カメラをくまなく探したが分からなかった。宅配便に化けたのか?
内海薫は、バーにあった忘れ物を見た。それはパレードのマスコットキャラクター「キクノン」の置物だ。
パレードの当日、カエルのマスコット「キクノン」の巨大バルーンがあった。内海薫はバルーンの中のヘリウムを使ったんじゃ?と思ったが…ヘリウムじゃなく液体窒素だったと思って恥ずかしくなった。
湯川は内海薫の「キクノン」への着目をヒントにして、パレードの出し物を調べていないことを指摘する…。
アリバイトリックはパレードの出し物
パレードで使用された「チーム菊野」の出し物は『宝島』(ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説)。宝箱の中に、液体窒素を隠してパレードの流れに乗って、スタート地点からゴール地点、そして一時保管場所(小学校の校庭)まで運ばせた…と湯川たちは推理。(*凶器の液体窒素が防犯カメラに映らなかった理由)
佐織の恋人・高垣智也が空白の時間を使って、戸島に依頼された液体窒素を小学校から蓮沼が眠る小屋まで運んだと供述した。(高垣智也は運び役だけだった)
湯川は『なみきや』へ行き、並木祐太郎の関与を指摘。戸島たちが計画したとしても、被害者遺族の祐太郎の了解なしに実行するとは思えないからだ。祐太郎は沈黙を貫く。
追い詰められていく復讐者たち。そんな中、新倉直紀が蓮沼を殺害したと自供した。
復讐計画
増村栄治は新倉が自供したと聞いて、草薙・内海薫らに語り始める。本橋優奈の事件と妹・由美子の自殺で、蓮沼を恨んでいた。そのため、蓮沼に近づいて仲良くなった。本当に優奈殺害の犯人か、真相を聞き出そうとしたがボロを出さない蓮沼。
蓮沼が「可愛がろうととした猫(=本橋優奈)に噛みつかれたから始末した」と優奈を猫に例えて殺害をやっと認めた。増村栄治は殺意が芽生えた。
だが、思いとどまった。
自分以外にも被害者遺族はいて、並木家の人たちも復讐したいだろうと気づいた。
増村は「なみきや」を訪れて、並木祐太郎に蓮沼寛一の復讐計画を持ち掛けた。
計画は増村・祐太郎・戸島の三人で立てていく。だが、最初から殺害する気はなかった。蓮沼がなぜ佐織を殺害したのか真相を問いただすことが目的だった。そのために、液体窒素を使って懲らしめて、白状させる気だった。
白状した内容によっては、殺すかもしれないとは祐太郎は思っていた。
パレード当日のアクシデント
パレード当日、液体窒素を「チーム菊野」のスタート地点まで運んだのは新倉直紀だった。運び役だけでなく尋問の立ち合いを希望した直紀は、祐太郎と二人で液体窒素を注入して懲らしめる予定だった。
しかし『なみきや』の客が腹痛を訴えたため、祐太郎は病院に付き添うことになった。復讐計画は中止になるはずだった。
けれど、新倉直紀が単独で尋問を実行した。
苦しみながら蓮沼は、佐織の殺害動機を語った。店を出禁にされた仕返しに、いつか犯してやろうと思っていた佐織を襲ったと明かした。公園で佐織を押し倒したが抵抗され、誤って殺してしまったという。(注:蓮沼寛一のこの自白は回想。新倉直紀が彼から聞いたと語ったもの)
新倉は激怒して、予想外に液体窒素を注入してしまった。心肺蘇生も試みたが、蓮沼は生き返らなかった。
新倉は戸島に殺害したことを連絡すると、その後は予定通りに進めることになった。
並木佐織殺害事件の真相(1)留美が本当と思っていること
事件は新倉直紀の犯行で解決したかに思われた。だが、湯川は一人で新倉留美(檀れい)を訪ねた。
新倉家にて。湯川は留美に「選択肢がある」という話をしに来たという。
湯川は、並木佐織を殺害したのは留美だと推理。(そう新倉夫妻は思っていると推理)
(佐織殺害の)蓮沼寛一犯人説には疑問点が3つあった↓
- 蓮沼の実家の火事の原因が不明なこと。
- 蓮沼が佐織の血がついた証拠となる服をなぜ大事に持っていたか。
- 蓮沼が逮捕されても自信が揺るがなかったこと。
湯川は、蓮沼は逮捕されても絶対に助かると分かっていての行動だったと推理。つまり、犯人を知っていたのでは?
蓮沼は死体遺棄罪の公訴時効が成立する3年を待ち、実家のゴミ屋敷に放火した。事件を発覚させてるため。血痕のついた服もわざと用意して、意図的に逮捕された。犯人にプレッシャーをかけるため。
湯川は、お金目的だろうと推理。
留美が湯川に自白する…。
公園にて。佐織から相談を受けた。
佐織は高垣智也との恋愛に夢中で、妊娠したから歌手を諦めて母になると決心していた。
佐織が「ストーカーに見張られているようだ」と言った。留美はカッとなって佐織を押してしまった。佐織は起き上がらなかった。
留美は、佐織ともめて殺害してしまったのだ。
留美は動かなくなった佐織を置いて逃げたが、再び現場に戻ると、遺体が消えていた。佐織が髪につけていたバレッタは落ちていた。
蓮沼は、留美と佐織の公園での喧嘩・殺害場面を目撃していた。
蓮沼は、犯人・留美に脅迫してきた。お金と体の関係を求めた。
脅迫されていた留美は夫の直紀から復讐計画を聞いて、(尋問でバレるから)黙っていられなくなり、佐織を殺したことを打ち明けた。そして直紀が蓮沼殺害の計画を実行した。つまり予定外でなく、殺意があった。
蓮沼を殺害するために、レンタル家族の役者を雇って『なみきや』で急病人になってもらい、祐太郎を遠ざけた。そして、直紀が一人で蓮沼が眠る部屋に行った。本当は、蓮沼から動機なんて聞かずに、すぐに液体窒素で殺した。
湯川は留美の罪を警察に話す気はないと言う。愛する女性のために罪を背負った男(=石神?)がいたが湯川が真相を暴いたため、その女性は良心の呵責から白状してしまったことがある。そのことを繰り返したくないと湯川も思う。(『容疑者Xの献身』のことか?)
それならば、湯川は何しに留美を訪ねて来たのか?ここで湯川が最初に「選択肢」と言ったことに繋がる。【留美が知らないことがある】から、伝えに来たのだという。
湯川は留美が本当と思っていることが「真実とは限らない」と自身の推理を伝える…。
並木佐織殺害事件の真相(2)どんでん返し
湯川の推理のポイントは被害者が出血した時がいつか?ということ。
湯川は、並木佐織殺害の真犯人は他にいると推理。
佐織の倒れていた公園に血痕がなかったことが理由だ。頭蓋骨陥没ならば大量出血していたはずなのに。
蓮沼が運んでいる途中に意識回復した佐織の後頭部を殴打、殺害したのでは?…というのが湯川の推理だ。
さらに、警察の調べで、現場の公園に落ちていたバレッタから佐織のDNAが検出された。佐織のものだ。そのバレッタに血液が付着していなかった。ということは留美が彼女を突き倒した時点で、佐織は頭蓋骨陥没するほどではなく、気を失っていただけの可能性大だ。
湯川は選択肢を伝える。
- 今のままなら新倉直紀は傷害致死。
- 今のまなら蓮沼寛一の罪は闇の中。
- 真相を話せば新倉直紀は殺人罪になる。
- 真相を話せば新倉留美も罪に問われる。
- 真相を話せば蓮沼寛一の罪が明らかになる。
結末
事件はすべて解決した。
- 新倉直紀は(妻と相談の上)自供を翻(ひるがえ)し、殺意があったと認めた。脅迫されていた妻を守るためと殺害動機を明かした。
- 祐太郎は殺人の共同正犯と殺人予備罪に問われた。だが、どちらも送検は見送られた。
- 戸島も大きな罪に問われることはなさそうだ。
『なみきや』は営業再開する。
タイミングよく研究が一段落した湯川も、菊野市から去ることに。夏美は湯川が探偵に思えた。事件を解決して去っていく探偵みたい、と。研究が終わったことは偶然だが、湯川が「なみきや」の常連客になったのは親友(=草薙)の無念を晴らすため、町の人と接してヒントをつかむためだ…と湯川は夏美に答えた。
湯川は、『なみきや』に再び来たときは美味しい炊き合わせを頼む、とお願いした。夏美は「用意しておく」と約束する。
(おわり)
【沈黙のパレード】原作の時系列(ネタバレ)
小説『沈黙のパレード』の内容を時系列でネタバレします。
35年前、蓮沼家が静岡県の浜松から現在の家(静岡県)へ引っ越し。
25年前、蓮沼芳恵は夫と死別。
23年前の5月、本橋優奈が行方不明になった。
23年前の6月、優奈の母が自責の念にかられて飛び降り自殺。
23年前、蓮沼寛一がかつて勤めていた産業廃棄物の会社の焼却炉を借りた。(ペットを燃やすと言っていた)
23年前、蓮沼寛一が静岡の実家へ冷蔵庫を運び込む。
19年前、奥多摩の山中から優奈の骨が発見される。
19年前、草薙と間宮は蓮沼芳恵に会って冷蔵庫を押収。冷蔵庫から優奈の血痕が出た。
19年前、蓮沼寛一を逮捕。起訴された。寛一は完全黙秘を貫く。
逮捕から千日後。一審での判決が出た。蓮沼寛一は無罪となった。
6年ほど前から、蓮沼芳恵の姿が目撃されていない。この頃、自然死した?
4年前、蓮沼寛一と増村が出会う。(増村が蓮沼が勤めているという噂を聞いてその廃品回収会社に入社した)
3年前、蓮沼寛一は突然姿を消した。
3年前、東京都菊野市で、19歳の女性・並木佐織が行方不明になった。
現在:静岡の蓮沼家が火事になり、蓮沼芳恵・並木佐織の遺体が発見された。
現在:菊野市のパレード中、居候していた部屋で容疑者・蓮沼寛一が変死。草薙・内海薫が捜査へ乗り出し、湯川にも相談しながら推理していく。
【沈黙のパレード】タイトルの意味(ネタバレあり)
【沈黙のパレード】のタイトルの意味を考えてみましょう。
タイトルのつけ方としては「常識の逆を言う」というパターンのひとつです。
パレードは騒がしいのが常識なのに、沈黙ってどういうこと?…と目を引くタイトルです。
パレードとは「キクノ・ストーリー・パレード」のこと。舞台の東京都菊野市(架空の都市)で毎年開催されている人気の仮装パレードです。
問題は「沈黙」の意味です。私(筆者)は、3つあると考えました。
第一に、沈黙とは「秘密を言わない」という意味。復讐者たちがパレード中に秘密裏に復讐計画を実行しました。「沈黙のパレード」というぐらいだから、この意味が一番該当しそう。パレードでの復讐計画は沈黙しようということ。
例えば宮沢麻耶のセリフに「沈黙罪」というのはあるか?というのがあります。
宮沢麻耶「偽証罪というのはありますよね。では沈黙罪というのはあるんでしょうか。嘘はつかない。でも訊かれたことに答えもしない」(中略)「大切なお客さんについて迂闊に話すこともしません」(中略)
草薙「庇うということですか」
宮沢麻耶「沈黙するだけです。沈黙は自由なんでしょ?」
単行本「沈黙のパレード」 p307
並木祐太郎が湯川に質問された時にも「沈黙」というワードを使っていました。↓
並木祐太郎「今、私がしゃべるわけにはいきません。それをしたら、懸命に沈黙を続けてくれている人たちに顔向けできません」
単行本「沈黙のパレード」 p333
第二に、蓮沼寛一が黙秘権を行使するから。これも沈黙の意味がかかっていると思います。
第三に、新倉留美がずっと秘密を沈黙していたこと。留美が並木佐織を(言い争ったときに)殺害してしまったという秘密。新倉直紀も妻から秘密を聞いて、真相を沈黙しつつ、自供しました。
草薙は、新倉夫妻が夫婦で相談して真実を話そうと覚悟を決めたと知った時、こう言っていました。
草薙「最後の最後で二人は沈黙を破ったわけか」
単行本「沈黙のパレード」 p430
*注:映画では夫婦が接見して相談し決断する展開ではなく、草薙が新倉直紀に沈黙したままでいいのか?と決断を迫る場面に改変していました。
【沈黙のパレード】原作の登場人物(ネタバレあり)
『沈黙のパレード』に登場する主なキャラクターを紹介します。登場人物の紹介それ自体がストーリー上のネタバレを含みますので、ご注意ください。
※()内はドラマのキャスト。
主要人物
- 湯川学(福山雅治)… 帝都大学理工学部物理学科教授。本作で教授になったことで研究より金集めが忙しいことを嘆いている。子供が苦手だが『真夏の方程式』で克服したか。恋愛遍歴や家族構成は謎だが、2022年9月時点のシリーズ最新作『透明な螺旋』で湯川の家族について触れられている。湯川は友人の草薙から捜査協力を頼まれ解決してきたため、刑事たちから近代自然科学の父「ガリレオ」の名で呼ばれるようになった。昨年アメリカから帰国。大学の研究施設が東京都菊野市に新設され、菊野に週何回か来ている。草薙に聞いた後に「なみきや」の常連客となり、ビールと炊き合わせをいつも注文する。
- 草薙俊平(北村一輝)… 警視庁捜査一課・係長。警部。湯川と同じ帝都大学で学び、警視庁に入庁。原作では湯川の相棒のことが多い。本作『沈黙のパレード』でアメリカから帰国した湯川と四年ぶりに再会。同作の前半では、23年前の草薙刑事の「敗北」が描かれる。
- 内海薫(柴咲コウ)… 警視庁捜査一課の刑事。巡査部長。草薙の部下。女性だからという理由で特別扱いされることを嫌っている。連ドラシーズン1、映画第1作の湯川の相棒。映画の『沈黙のパレード』にも登場する。観察眼が非常に優れており、小説『聖女の救済』では、独自の動きで、犯人を追い詰めた。
並木家
- 並木祐太郎(飯尾和樹)… 菊野市(東京都の西に位置する町)にある食堂「なみきや」店主。
- 並木真智子(戸田菜穂)… 祐太郎の妻。「なみきや」では接客と調理も担当。
- 並木佐織(川床明日香)… 本作の被害者。並木夫妻の長女。歌が得意で秋祭りでは常に人気者。歌手志望。新倉直紀に高校時代にスカウトされ、高卒後もレッスンを受けていた。19歳当時のある日、行方不明となる。3年後、静岡で遺体となって発見された。 *映画版では女子学生の時に行方不明になっている。
- 並木夏美(出口夏希)… 並木夫妻の次女。大学2年生。友人と遊ぶことより店の手伝いを優先している。原作では何も知らない夏美の視点で描かれるパートも多い。
菊野商店街関係者
<「なみきや」の常連客>
- 戸島修作(田口浩正) … 並木祐太郎の小学生時代からの友人。食品加工会社「トジマ屋フーズ」の経営者。祐太郎の娘・佐織を殺されたため、復讐計画に加担する。*映画では冷凍食品会社となっている。
- 宮沢麻耶(吉田羊) … 町一番の大型書店「宮沢書店」の経営者。30代前半。パレードの実行委員長。パレードの「チーム菊野」のチームリーダー。復讐計画のことは知らないが沈黙を貫く。
<新倉家>
- 新倉直紀(にいくら・なおき)(椎名桔平)… 地元で有名な資産家。都内に音楽スタジオを所有していて、高校2年の佐織に無料でレッスンを受けさせる。新倉家は代々医者で病院をいくつか経営。だが、兄2人が病院を継いで直紀は音楽家を志す。才能がなかったため、40歳以降は音楽学校などの経営で若者を送り出してきた。発掘した並木佐織を殺されたため、復讐に加担する。最終盤で真犯人と分かる。
- 新倉留美(檀れい) … 新倉直紀の妻。父は個人タクシーの運転手のため、裕福な家ではなかった。中学・高校時代に友人とユニットを組み活動。高校卒業のころ、直紀のバンドへボーカルとして誘われて参加。アニメのエンディングに抜擢されたこともあったが、10年の活動を経て解散。直紀と留美は新人発掘の裏方へ回る。解散のタイミングで直紀にプロポーズされて結婚した。子供はいない。並木佐織のことを天才と出会えたと、夫とともに喜んでいた。復讐に無関係と思われたが・・・。
<高垣家>
- 高垣智也(岡山天音)…佐織の彼氏。佐織の5つ年上。会社員。「なみきや」の客だった。佐織の妹・夏美にしか恋人関係を打ち明けなかった。戸島に誘われて復讐に加担するが、詳しい内容は知らなかった。
- 高垣里枝…智也の母。看護師。智也と一緒に暮らしている。佐織を紹介された時、一目で気に入った。だが佐織が殺害された後、息子の怪しい動きを心配している。
<高垣智也の関係者>
- 塚本 …高垣智也の上司。課長。
- 田中 …高垣智也の後輩社員。パレードに智也と一緒に行った。
- 佐藤 …高垣智也の後輩で、新人の女子社員。パレードに高垣智也、田中と一緒に行った。
23年前の事件関係者
<被疑者>
- 蓮沼寛一(はすぬま・かんいち)(村上淳)… 草薙が担当していた「優奈ちゃん事件」の被疑者。当時30歳。そのときは黙秘を貫き無罪に。23年後の現在、並木佐織の殺害にも容疑がかかり、草薙たちが逮捕へ。だが、処分保留で釈放になった。その後、菊野市の元同僚・増村栄治のところへ引っ越す。佐織の両親から賠償金をもらおうと「なみきや」を訪れたり不穏な動きをみせる。佐織と親しい人々の間で復讐計画が進む中、キクノ・ストリート・パレードの最中に変死する。
<本橋家と親戚>
- 本橋優奈(ゆうな)(大島美優)…本橋家のひとり娘。23年前、当時12歳のとき、行方不明となった。4年後(今から19年前)に奥多摩の山中で人骨として発見された。
- 本橋誠二(清水伸) …優奈の父。住まいは東京都足立区。部品工場の経営者。工場の従業員に蓮沼寛一がいた。6年前、食道がんで他界。現在まで生きていれば71歳だった。
- 本橋由美子(旧姓:藤原由美子)(山田キヌヲ) …優奈の母。旧姓:藤原。優奈が行方不明になった1ヶ月後、責任を感じて飛び降り自殺した。由美子は父が幼い頃に亡くなり、高校時代に母がくも膜下出血で他界。9歳上の兄がお金を出してくれたおかげで全寮制の女子校に転校して、高校卒業。兄が罪を犯して服役したため、疎遠になっていった。親戚とも付き合いがなかった。そのため、誠二との結婚式では新婦側の親戚の出席はなかった。
- 沢内幸江(さわうち・さちえ) …本橋誠二の妹。老人用マンションに兄が住み始めたため、兄の頼みで本橋一家が住んでいた一戸建てへ、10年前に夫ともに移り住んだ。2年前に夫が他界し、ひとり息子は独り立ちしており、今は大きな家(旧・本橋家)にひとりで住んでいる。
<事件の関係者>
- 増村栄治(酒向芳) … 70歳前後の男性。菊野市在住。廃品回収会社に勤務。蓮沼が親しくしていた人物で元同僚。蓮沼に頼まれて居候(いそうろう)させていた人物。アリバイがあるため蓮沼殺害の容疑はすぐに晴れた。学歴は中卒。中学卒業後は神奈川県の電機メーカーに12年勤務。40年以上前、傷害致死で懲役3年の有罪となった。実は酔った相手への不可抗力で刺してしまった。妹が情状酌量を求めた。犯罪者のため妹の結婚の妨げにならないように妹とは縁を切ることに。妹から姪っ子の写真だけは見せてもらってきた。物語後半で増村は被害者・本橋優奈の伯父と判明。2つの事件が繋がる重要人物。
- 森元 … 菊野市北菊野町で自動車整備工場を経営。町内会の役員。草むらに遺棄されたボンベに指紋がついていたことから事情聴取される。すぐに容疑は晴れた。
- 蓮沼芳恵 … 蓮沼寛一の母。正確には継母。寛一は25年前に死別した夫の連れ子。静岡県でひとり暮らし。家はゴミ屋敷で、6年前から姿を見せていなかった。火事により、白骨遺体で発見される。その火災現場から並木佐織の遺体も見つかり、物語が動いていく。
<増村栄治の関係者>
- 岡野勇(おかの・いさむ) …増村栄治(酒向芳)の父親。栄治が6歳の時に妻・貴美子と離婚。
- 藤原貴美子 …増村栄治の母親。旧姓:増村。岡野勇の元妻。栄治が8歳の時に藤原康明と再婚したが、息子の栄治は藤原の籍に入らなかったため増村を名乗っている。
- 藤原康明(ふじわら・やすあき) …貴美子の再婚相手。増村栄治の義父。藤原由美子の父。貴美子と結婚後、5年後に他界。貴美子との間に娘・由美子をもうけている。由美子と栄治は9歳違いで、父親違いの兄妹。
警察関係者
- 間宮… 警視庁捜査一課・管理官。かつての係長。
- 多々良 … 警視庁捜査一課・理事官。かつての管理官で、今は捜査一課長に次ぐ立場。
- 岸谷…警視庁捜査一課・主任。
- 上野…静岡県の地元の刑事。30代前半。蓮沼家の火災現場を草薙や内海に案内する。
- 武藤… 菊野警察署の警部補。
- 島岡 …鑑識課の主任。湯川の仮説の実証実験の責任者。
その他
- クミコ …新倉留美の中学時代の友人。留美と音楽ユニット『ミルク』を組む。ボーカル・作詞が留美、ピアノ・作曲がクミコだった。高校3年時にクミコの受験もあり事実上の解散をする。
- ヤマダ …パレード当日、「なみきや」のランチ営業に来た女性で、腹痛のため、並木祐太郎が病院に付き添うことになった。物語最終盤に(新倉夫妻が雇った)家族代行業者の女性と判明する。
【沈黙のパレード】原作の相関図(ネタバレあり)
『沈黙のパレード』の相関図、それ自体がネタバレを含みます。ミッシングリンクが分かってしまうため、閲覧注意です。
<相関図>
【沈黙のパレード】原作の感想(ネタバレあり)
『沈黙のパレード』の容疑者は、被害女性を愛した、善良で平凡な普通の人々。彼らの“沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑んだ物語。
「善良で平凡な普通の人々」が復讐計画を実行していく展開がとても切なかったです。司法が裁けないことにヤキモキしました。
でも不起訴になってからでも検察審査会(不起訴処分のよしあしを審査する会)という手があると本書で知って勉強になりました。常識でしょうか?(笑)
パレードを使って凶器を運んだトリック、ヘリウムガスのミスリード、液体窒素の実験と「ガリレオ」シリーズらしい推理も堪能できました。
「どんでん返し」もあって、最後の最後まで楽しめました。新倉留美さんが並木佐織を殺害してなさそうで、ホッとしましたよ。というか、突き飛ばしただけで亡くなってしまうサスペンスドラマあるあるの逆手を取った感じでお見事。
ケンカして突き飛ばしただけで、そんな簡単に亡くなって欲しくないと思っていたので、良かったです。良かったと言っても、新倉直紀さんは傷害致死から殺人罪になってしまったので難しい決断だったと思います。
でも、蓮沼寛一の佐織への殺人が明らかになる方を選んだってことですよね。悪人が成敗される結末は、やはり良かったと思いました。
著者の東野圭吾さんは『沈黙のパレード』のインタビューでこう語っていました↓
「再始動と言った以上、また充電したら怒られるでしょうから続けて書きますよ。創作者は新作ごとにハードルを上げていくべきだと考えています。しかもガリレオである以上、お茶を濁そうとは思わない。でもやっぱり難しかったですね(笑)。長編であれば、湯川が事件に関わる“理由”が必要で、今回も“それなり”のものを用意しました」
著者が言うところの“それなりの理由”が、圧倒的な読後感へと導いてくれる。
https://books.bunshun.jp…
「それなりの理由」って、ラストシーンでの「親友」発言だと思います。
湯川が親友の草薙の23年前の悔しい気持ちを晴らしたいから、『なみきや』に通って事件に関わっていったのですね。
湯川先生、だんだんと人間らしさも見えてきたように感じます。
ガリレオシリーズも、福山さん主演の映像化も、ずっと続いて欲しいなと思います。
【沈黙のパレード】原作と映画版との違い
- 映画では草薙ではなく内海が湯川を事件に巻き込む形になっている。
- 映画では『本橋優奈ちゃん事件』は15年前(2007年)の出来事になっている。
- 映画ではパレードの開催時期が秋から夏(8月)に変更。
- 映画では、パレード当日に高垣の同僚は不在で、夏美が店と現場を往復するのではなく代わって留美が説明役になるなど、関係者の動きが簡略化。
- 映画ではヘリウムガスによるミスリードの設定は活かさず、湯川がヘリウム説を自ら早々に撤回する。
- 映画では、草薙が増村の家族関係に関する事実をつかんだ経緯は省略。
- 映画では、湯川が明らかにした佐織殺害の真相を、留美から新倉が聞いて供述を翻すのではなく草薙が伝えて決断を促すことに改変。
画像出典:「沈黙のパレード」公式HP、Amazon
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