【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレと考察!中川大志・石井杏奈が戦う「UFO」とは何?

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【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレと考察!中川大志・石井杏奈が戦う「UFO」とは何?

映画【砕け散るところを見せてあげる】のあらすじネタバレと考察記事です。

結末はどうなるのか?中川大志・石井杏奈が戦う「UFO」とは何か。タイトルの意味、テーマは何?などを紹介!

今回は映画【砕け散るところを見せてあげる】あらすじネタバレと考察について。

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目次

【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレ(1):清澄(中川大志)と玻璃(石井杏奈)の出会い

砕け散るところを見せてあげる場面写真0
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高校生の俺(北村匠海)は、ヒーローになるのが夢だ。
父が川で溺れる人を助けたヒーローだったから。
俺が自分の部屋で<変身ポーズ>を決めると、夜食を持ってきた母(原田知世)と目があって…
**
高校3年生の濱田清澄(中川大志)は月曜日の全校集会に遅刻し、1年生の列の後ろに並んだ。
すると、1年の蔵本玻璃(はり)(石井杏奈)にゴミや上履きが投げつけられている場面に遭遇。
前の生徒がさらに上履きを投げようとするのを止めた清澄。
振り向こうとする玻璃は前髪が目にかかって暗い。
**
集会後、清澄は足元のゴミを拾う玻璃に声をかける。
反応がないので肩を触ると、
あああああ!
玻璃が体育館中に響く絶叫。ゴミを清澄に投げつけて去っていく。
拒絶された清澄は混乱。
**
同じクラスの尾崎(松井愛莉)は1年に妹(清原果耶)がいて、玻璃の情報を清澄に教えてくれた。
**
清澄もかつて一年生だった。クラスになじめず孤独だった。
でも田丸(井之脇海)と仲良くなって楽しい高校生活を送れるようになった。
あの孤独に「いじめ」と名付けられたら、今のように楽しめなかったと清澄は思う。
あの一人の時間には意味があった。友人を大切にできるようになったから。
けれど孤独と(ゴミを投げられる)いじめは違う。
**
清澄は玻璃のクラスに行くと、彼女が机を蹴り倒され、笑われているのを目撃。
我慢できない清澄は机を直してあげた。
しかし玻璃はにらんでいる!?
**
昇降口で玻璃の上履きが投げ捨てられていた。
清澄は玻璃の靴箱に上履きを戻す。靴箱の名札も汚されていたので、清澄が書いて貼り換えた。
それを毎日繰り返す。落ちているから拾ってもとに戻す。ただそれだけだったが…。
**
土曜日。友人の女子から「うちらの(屋外)トイレ」を1年に占領された、と聞いた清澄。
気になって行ってみると、清掃中の看板が立ててある女子トイレに清掃の雰囲気がない。
声をかけるが反応はない。
意を決して、清澄は隣の個室からよじ登り、清掃用具入れの個室を見てみる。
濡れた玻璃の姿があった!

砕け散るところを見せてあげる場面写真1
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真冬のトイレで濡れて凍える玻璃。彼女のそばには鍵が落ちていて、清澄は「それよこせ」と告げる。
反応はない。というより、にらんでる?
「ち…ん」?
痴漢呼ばわり?それでもいい。俺を嫌いでもいいから鍵を、と声をかけると…
緊張で(?)どもりながら、「ちがうんです先輩」と玻璃は謝罪。
あの月曜日。声をかけてくれて驚いて絶叫したこと。本当は感謝していること。
清澄は「はり、キレイな名前だよな。お母さんは瑠璃(るり)って名前?瑠璃も玻璃も照らせば光る。ことわざ辞典をトイレで読んだ」と言う。
本当に玻璃の母は瑠璃だった。驚く玻璃は、清澄のことを信じて鍵を渡す。
**
用具室を開け、清澄は玻璃を救いだす。自分の上着やマフラー、ジャージなどを彼女に巻いて温める。
玻璃は心を許したのか急激にしゃべりまくる。
4杯浴びたけど水道水で良かった、最後はお湯だったなど。
玻璃の門限は父(堤真一)が帰宅する夜7時。
清澄は知り合いのクリーニング店へ行き、おばちゃん(木野花)へ服の乾燥を頼んだ。

起承転結の「起」までネタバレしました。
清澄(中川大志)と玻璃(石井杏奈)が出会って、心通わせる展開です。
最初の絶叫は、原作でも「あ」が一行分くらい続くのですが、演技だとどうなるかと思ったら、石井杏奈さんの絶叫が<ヤバい人>を感じさせてくれて絶妙です。
トイレで見上げる玻璃の表情も切なすぎないし、先輩にびっくりしているようにも見えてイイんですよね。見どころです。
まあ、中川大志くんなら個室の壁を乗り越えられるんじゃ?とツッコミどころでもありますが…。

【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレ(2):清澄(中川大志)ヒーローになる

乾燥に1時間かかるので、玻璃を自宅に呼んだ清澄。
ふたりで即席のお汁粉を食べる。
玻璃は自分のお汁粉にお餅が2つ入っていて歓喜。
清澄は玻璃に見とれた。「髪をふわっと上げて、おでこを見せるとかわいい」と教える。
うろたえる玻璃。
直後、「ああああ」
絶叫した玻璃は「先輩にお餅が入ってない!トリック、わかりました。くれたんですね?」と見破って…「先輩は優しいです、私を守ってくれるヒーローみたいです」
「なんで私に?」
「ヒーローに理由なんていらない」
という会話の後、お汁粉のふたを仮面にして<変身ポーズ>を決める清澄。
「先輩のように強くなりたい」という玻璃は、「強くなって<UFO>を撃ち落としたい」と言う。
ヤバイ話しだと思った清澄は話を切り上げる。
**
服を受け取っての帰り道、<UFO>は架空の話だと聞いて清澄は安心。
4年前、母が家を出て行ったとき、玻璃の父が<UFO>について言い出した。
父は厳しい人で母にも当たった。母は今では新しい家族がいるらしい。
当時、玻璃は自分のせいで母がいなくなったと思った。
<UFO>にお母さんはさらわれたんだ。お前のせいじゃない」
父は玻璃にそう言った。
全部、<UFO>のせいだ、とも。
以来、玻璃は<UFO>のせいにしてきた。
けれど月曜日。ヒーローの清澄が「私のUFOを見つけてくれた」という。
攻撃してくる<UFO>に気づいてくれた。
<UFO>は今も投網(とあみ)のようにネットをたらしてくるという。
シュールな例え話しだが、玻璃は真剣に「どうすれば強くなれますか?」と尋ねる。
清澄は「大事なのは気持ち」とヒーローの3か条を伝える。

  1. ヒーローは決して悪の敵を見逃さない
  2. ヒーローは自分のためには戦わない
  3. ヒーローは負けない。絶対に。

復唱した玻璃は勇気づけられたようだ。
別れ際、清澄は変身ポーズをする。玻璃に笑って欲しかったが真顔。
「おしるこマンのマスクは?」というので、腹に入ったから毛穴から成分が出て覆うはず、と無理やり説明する清澄。
変なシステムに玻璃が声を上げて笑ってくれた。

砕け散るところを見せてあげる場面写真2
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月曜日の朝。おばちゃんから玻璃へと「おはぎ」を受け取った清澄。
通学路で待ち伏せ中、重いかもとぶつぶつ独り言。
すると玻璃がいた。おでこが見えていて可愛くなっている。
玻璃は「おはぎ」が好きらしく大喜びした。
そこへ尾崎・妹(清原果耶)が玻璃に声をかけてきて、眼鏡ケースを渡してくれた。
土曜に、いじめの噂を聞いて屋外トイレへ行き、拾ったという。
いじめがエスカレートしすぎていると尾崎・妹は思っていた。
玻璃は無反応。言葉が出ず、にらんでるようにも見える。
去る尾崎・妹を清澄が呼び止め、玻璃の言葉を聞いてほしいと促す。
玻璃は尾崎・妹に感謝を述べる。そして先輩が助けてくれたと明かした。
「マジ!ひまセン!」と指のポーズで褒める(?)尾崎・妹。
尾崎・妹から、姉が玻璃のことを心配していて、清澄のことも褒めていたと聞いて有頂天な清澄。
玻璃には味方がいるとわかった幸せな時間だったが…
**
昼休み。田丸と食事中の清澄は、1年のクラスで、玻璃が「おはぎ」を捨てられる場面を目撃。
尾崎・妹が助けるが、今度は彼女がいじめのターゲットになる。投げられるおはぎ。
しかし玻璃が立ち上がり守る。
ヒーローは自分のために戦わない!自分のことなら我慢できるけど、これは許せない!
男子がまたおはぎを振りかぶって投げる。
顔面に当たった……のは清澄だった。
間一髪、盾になった。鼻血を出す清澄。
先生がやってきて騒動は収まる。
**
玻璃は先生と話して、「もう少しこのまま」とお願いし、父親にいじめを話さないことになった。
玻璃はばい菌扱いされるが、暴力をふるわれたことはない、と言う。
しかし清澄は違和感があった。
おばちゃんが玻璃の身体にあちこち痣(あざ)があると言っていたのだ…。

起承転結の「承」まで紹介しました。
映画を鑑賞中も違和感を覚え始める場面です。
補足すると、トイレ閉じ込め事件のとき、原作小説でカバンで押されて入れられたという記述があります。触らないようですね。映画でも、汚い扱いをされている描写があります。
では一体誰が暴力をふるっているのでしょうか?

【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレ(3):ぶきみな玻璃の父(堤真一)

砕け散るところを見せてあげる場面写真3
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「先輩、おしり痛くないんですか」
「割れ目に対してクロスだから痛くない」
清澄と玻璃は待ち合わせて、登校する日々。
**
尾崎・妹が玻璃に棒つきの飴を上げた。手袋を外して舐める玻璃。
清澄は玻璃の手首に内出血、誰かの指の跡を発見。

【補足】映画本編ではカットされましたが、「あらすじ」のこのあたりで…玻璃がおばちゃんに制服のお礼と、おはぎを食べられなかった謝罪をします。そこで三重県伊勢市の名物「赤福」(あんころ餅の一種)を食べます。玻璃が目の前で食べてくれて、おばちゃん良かったですね。

玻璃はテストの過去問を先輩からもらうため、清澄の自宅へ寄った。途中、市立病院のナースである母(矢田亜希子)が帰ってきた。明るくておしゃべりなお母さんに打ち解けた玻璃は、清澄の小さいころを収めたアルバムを拝見。楽しい時間はあっと言うまで、門限の7時までギリギリに。

母が車を運転し、玻璃を送ることに。清澄も同乗した。
街はずれの田舎の道の途中、前を走る車が玻璃の父(堤真一)のだった。
玻璃が窓を開けて声をかけ、急に止まる。なぜかバックもしてきて止まった。
車を降りた父のもとへ玻璃が駆け寄る。
清澄の母は引き止めたことを謝って、祖母の介護の苦労を気遣った。
玻璃の父は祖母が市立病院に入院中だと言った。だった。

砕け散るところを見せてあげる場面写真4
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【玻璃の父・登場シーンの解説】
文章で紹介するとなんてことないシーンですが、玻璃の父(堤真一)の登場シーンと会話のその異様さと言ったらありません。ただならぬ「変」な感じが漂っています。
あのバックから怖かったんですよ。
やたら距離間があって声を張ってしゃべっている両家の親たち。
近寄れない雰囲気があったのでしょうか。
この距離のカットの意味としては、壁がある不穏な感じの表現?
ともかく不気味なんで見てみてください。

この日を境に、玻璃は待ち合わせ場所を避けて登校。清澄が玻璃のクラスに行っても、廊下へきてくれない。避けられていた。
**
ある日、おばちゃんがまた「おはぎ」を作ってくれた。玻璃の下駄箱へ入れておいた。
**
放課後。玻璃が清澄の下駄箱へ「おはぎ」を返そうとしていた。
清澄に見つかった玻璃は「おはぎ」を床に置いて立ち去る。
清澄は追いかけて捕まえた。
俺とおばちゃんは関係ないから、それだけはもらってほしいと懇願。
尾崎・妹も玻璃に駆け寄るが…
ああああああ!
絶叫した立ち去る玻璃。
・・・
尾崎・妹は泣き崩れた。せっかく玻璃を分かりかけたのに、と。
「わたしバカなのかな」と嘆く妹に、そばにいた姉は「バカじゃない、よね」と清澄を見て言った。

【補足】ちなみに原作小説では「おはぎ」は尾崎・姉が食べてくれることになりました。
映画ではカットされていたと思います。(ストーリー上どうでもいいんですが、食べ物は大事ですよね 笑)
起承転結の「転」あたりまで「あらすじ」を紹介しました。
玻璃が急に清澄と不仲に!?
玻璃の父を演じる堤真一さん、存在感ありました。
玻璃の抱える秘密とは何か。
違和感がある<玻璃の父>は何を隠しているのか…が見どころになっていきます。

【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレ(4):ヒーローたちの戦い

清澄は心配になって初めて玻璃の自宅、森(?)の奥にある一軒家へ行った。
外から呼びかけても返答がなく、帰ることにする清澄。

【補足】このあと原作小説では、(来年受験なので、おそらく2学期の)終業式があり、尾崎・妹が<卒業式で校章をもらう予約>をしたいと清澄に言います。仲良さげな描写は映画も原作もありますが、片想いしていたようですね。同じ学校に進学するとも尾崎・妹は言っています。青春です!(笑)

ある夜。母が夜勤の日、清澄の家の前に人影があった。
部屋の窓から見た清澄は、それが玻璃だとわかる。
玄関で再会した2人。なぜか暗くしてほしい、という玻璃。
危険が迫っています。逃げてください
玻璃は真剣に告げる。
UFOってお前のお父さんのことだよな?
清澄が問うが、事情を話さず、
「父は危険です。殺そうとしているかもしれません。祖母の嘘がバレて混乱しています」
父に清澄の母が市立病院勤めなことを教えてしまったという。
玻璃はズタボロにケガをしていた。暴力をふるわれたことは明らか。
父に清澄の家の住所を教えたが、嘘をついた。けれどバレるのは時間の問題でやってくる。
玻璃は監禁されていたが窓から飛び降りて逃亡し、<危険>を教えに来た。
清澄が家に行ったとき雨戸の隙間から見ていた、「嬉しかった」という。
清澄は玻璃を抱きしめた。

砕け散るところを見せてあげる場面写真5
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「俺たちはUFOを撃ち落とす。俺たちはヒーローだ
清澄はヒーロー3カ条を告げて、3つ目…
俺たちは絶対に…つづきは分かるよな?
私たちは、ヒーローは、絶対に負けたりしない!
**
清澄は田丸に連絡してフロートボートを借りた。田丸はヤバイことに使うと察知し、「蔵本(玻璃)でなく俺を選べ。お前がいないとつまらない」と注意を促す。
**
自転車2人乗りをする清澄と玻璃。
玻璃は「ずっと先輩といたい。先輩といるのが一番幸せ。先輩は酸素、澄んだ空気です」と愛の告白。
清澄も「俺たちは永久機関だ。たとえ世界が滅んでも俺たちは終わらない」と熱い。
「地獄の果てまでついていきます」
「できれば天国目指そうぜ!」
**
池にて。
祖母は入院でなく、殺されて沈められた。
玻璃も見張りをしていたが、父が溺れそうになってので助けた。
「共犯だな」と言われたことを玻璃は覚えている。
…清澄はなんとか、ひとつのスーツケースを水の中から引き上げる。
しかし玻璃はこれは母のものだという。中には母のピアス
お母さん、殺されちゃった
玻璃は事態を飲み込んだ。
**
もう警察に遺体の捜索を頼んだ方がいい。
そう思った清澄は電話をするために、玻璃の自宅に戻ることにした。
しかし鍵を忘れて入れない。
公衆電話が見当たらないから、誰か近所の家で借りるしか…
ガン!!
清澄がゴルフクラブで殴られて倒れる。玻璃の父が帰っていたのだ。
「よしてくれよ」
玻璃の父が言った。娘も殴られて
**
家の中。玻璃の父は灯油をまいていた。をつける気だ。
清澄と玻璃は、瀕死の状態で横たわっている。
身体をわずかに動かした清澄。
「動いたでしょ!わちゃわちゃすんなっての!」
近づく玻璃の父。
その隙に、玻璃は人差し指を天井へ。そしてあのピアスを投げた。
カタン!
音がした机の下へかがみこんでいる玻璃の父。
!!!
玻璃がゴルフクラブを持って父に襲い掛かる。
何度も何度も打ちつけた。清澄を守るため。
真っ赤な雨が降った…

砕け散るところを見せてあげる場面写真6
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清澄は遠ざかる意識の中、玻璃の声が聞こえた。
先輩が好きです
<いつも私のことばかりで…先輩が好きなものは何ですか?>

起承転結の「結」の前半あたりまで紹介しました。
サスペンスタッチな衝撃展開!
血まみれになりながらの父との対決シーンはドキドキ感、スピード感たっぷりです。

【砕け散るところを見せてあげる】の結末ネタバレ

映画【砕け散るところを見せてあげる】の結末ネタバレです。エピローグのようなラストの紹介です。

病院にて。清澄は母や友人に見守れる中、意識を取り戻す。
警察から「学年が違うのに、どうして、君がかかわることになったんだろう」と聞かれた。
清澄は「……好きだったからです」と答えた。
**
父を殺害し、清澄を守った<赤い雨で汚れたヒーロー>=玻璃は、新しく生まれ変わるだろう。
名前も変えて、過去と決別する。だから清澄は別れを決心した。
**
池からは2体の遺体が発見された。事件はニュースになった。
**
高校を卒業し、季節が2度巡って、3度目の春がきた頃。
雑踏の中、清澄と玻璃は再会を果たす。
もう離れることはできなかった。
住む街を変えて、そこから大学に通った清澄。
卒業後、就職した清澄は、玻璃と結婚する。
**
2人にとっての今のUFOは、あの赤い雨の夜だ。
やがて2人に赤ちゃんが産まれるのだが…
**
玻璃が出産の日。清澄は濁流の中を潜って、車を発見し、ドアを開ける。
手を伸ばす。
前にもこんなことがあったと清澄は思い出す。
1度目は屋内トイレのときで救えた。
2度目は救えなかった。あの夜。
清澄は玻璃をあの赤い雨に置いてきて、新婚生活を始めてしまった。
車内の女の子に手を伸ばし、引き上げる。
岸まで送り届けたあと、清澄は激流に流されていく。

※注:このとき「カメラを止めるな!」で有名な俳優・濱津隆之さんが流される清澄を追いかけていて、声をかけます。かなりチョイ役でびっくり。これは明日誰かに話したくなる「トリビア」では?

<UFO>が墜ちていく。銀河が輝く。
清澄は、玻璃が目にするすべてになる、と思う。カーテン、壁の傷、袋麺にも。
目に見えないがいる。永遠に玻璃を愛する。そして時を超え、息子にも会いに行く。
**
現代。
息子(北村匠海)が変身ポーズを決めると、隣には清澄(中川大志)の霊がいて、一緒にヒーローポーズを決めていた。
母(原田知世)=玻璃が夜食を持って来ていて見ていた。沈黙のあと、母は笑った。
母は「いつか本当に変身する方法を教えてあげる」と言った。
息子は思う。母さんがいて、俺がいて、父さんがいる。みんな愛には終わりがないことを信じている。
**
(回想シーン:清澄と玻璃の高校時代)
玻璃が髪をふわっとして、おでこを出して登校。
すると清澄がガードレールに腰かけて、独り言をつぶやいている。
玻璃は笑顔で近づく。
(おわり)

【解説】
●<真っ赤な嵐=息子>とは?

玻璃の出産シーンは映画本編にもあります。
しかし<真っ赤な嵐>という表現は映画ではなかったと記憶しているのですが…
原作では、「赤ちゃんが真っ赤な血に濡れて、嵐のように泣いて」生まれてきたというような記述があります。
これが名前の由来でしょうね。
●<小説と映画の表現の違い>
小説では、冒頭の俺(語り手)=濱田清澄とミスリードさせておいて、実は息子が語っていたという叙述トリック(文章で読者自身を騙すトリック)になっています。
映画では、そこは難しく、俺(北村匠海)の母が玻璃で、彼は清澄の息子だと分かったとき、多少の驚きはあります。けれど予想の範囲。
というより、映画的な表現になっているのは息子の変身ポーズの方です。
本編冒頭の変身では母が沈黙、その後の本編終盤では母が笑うシーンになっており、最初と最後で印象が変わる変身シーンになっています。
<変なシーン>→<感動シーン>という変化。なんとも映像的なマジックで上手いです。
●<原作では息子の未来も
原作では息子の未来の仕事も描かれています。(身内に殺人者がいるからか)警察官をあきらめて、ジャーナリストを目指して、とある都市のテレビ局へ就職。実家を出て独立。玻璃はお母さん(清澄の母)と暮らすことに。
ある日、台風中継に出た息子が心配で、玻璃は思わず家を出て現地へと走りました。この身体は自由で、(清澄の魂のメッセージかのように)スマホが光ります。

【砕け散るところを見せてあげる】の考察:中川大志・石井杏奈が戦う「UFO」とは何?

中川大志・石井杏奈が戦う「UFO」とは何か、について考察します。

「UFO」はいじめ?

「UFO」は玻璃の父親が、<妻を連れて行った>ものの比喩として語ります。これは分かる!

けれど、<すべてUFOのせい>にするのは、意味が分かりません。

序盤、玻璃が語る<UFO>はいじめのことを指している、と思えます。

しかし違うようです。いや、その意味もあるのでしょうが…

いじめを親に言えなくさせている何か
トイレに閉じ込められたときに助けを叫ぶことがきないほど、自由を奪っていた何か
玻璃の肉体に暴力をふるう何か
が<UFO>です。

「UFO」は玻璃の父(堤真一)

映画本編で、玻璃が清澄へ危険を知らせに来ます。

そのとき、UFOは父親のこと、という話しがでました。玻璃が暴力をふるわれていたのです。

SABU監督はインタビューで<UFO>についてこう述べています。↓

この作品では、UFOは“嫌なものの塊”の象徴として描かれています。それを映像でどう見せるかは、かなり考えました。

https://screenonline.jp/_ct/17443886

UFOは嫌なもの=玻璃の父親。

ということですが、映画終盤で清澄にとっても<UFO>があるんですよね。どういうことでしょうか。

「UFOが撃ち落とされたせいで死んだ2人」は誰?

映画ではあまり触れられていませんが、小説では冒頭こんな発言が…

「つまり、UFOが撃ち落とされたせいで死んだのは2人」

竹宮ゆゆこ「砕け散るところを見せてあげる」P5

指を使った比喩はこちら(原作P304)↓

  • 人差指(ひとさしゆび)=玻璃のおばあちゃん
  • 中指(なかゆび)=玻璃のお母さん
  • 親指(おやゆび)=玻璃のお父さん
  • 薬指(くすりゆび)=濱田清澄

亡くなったのは4人ですよね。

でも、玻璃のおばちゃん・お母さんは、玻璃のお父さんに殺されたから、UFOを撃ち落としたことが原因ではない、という意味のようです。

「UFOが撃ち落とされたせいで死んだ2人」は玻璃の父、濱田清澄の2人のことです。(わかりにくい 笑)

「UFO」の2つの意味

<UFO>には2つの意味があるようです。

原作小説303ページ目にこうあります。

その親指は、UFOを撃ち落として死んだ。そしてその薬指も、UFOを撃ち落として死んだ。
UFOは二つあった。
二つ目のUFOは、私の命を燃料に空に浮いているようだった。一つ目のUFOを撃ち落とした夜にそいつは生まれた。私はそいつにずっと囚(とら)われたままで、多分、あの頃、本当は生きていなかった。
(中略)
二つ目のUFOを撃ち落として、あの人は命を失った。だから二人なの。親指と薬指。UFOが撃ち落とされて死んだのはこの二人。

竹宮ゆゆこ「砕け散るところを見せてあげる」P303-304

「その親指は、UFOを撃ち落として、死んだ。」
→玻璃の父(親指)は、玻璃が父(UFO)を殺害した(撃ち落とした)ときに、死んだ。
と解釈できます。

「ひとつめのUFO」は玻璃の父のこと。(繰り返しになりますが、分かりやすいですね)

「2つ目のUFO」とは何か。

考察のヒントは…

  • 二つ目のUFOが誕生した瞬間:一つ目のUFOを撃ち落とした夜。つまり玻璃の父を殺害した夜。
  • 二つ目のUFOの燃料:玻璃の命。
  • 二つ目のUFO:玻璃がずっと囚(とら)われているもの。
  • 二つ目のUFOの消失:撃ち落としたときに清澄が死んだ。清澄が死んだのは真冬の濁流の中で人を助けたとき。ヒーローになれたとき。

二つ目のUFOは、玻璃・清澄の人物ごとに解釈できます。

(1)玻璃にとっては、囚われるという表現から「罪悪感」の比喩。父を殺したことで、ヒーローが血に赤く染まってしまいました。罪悪感は「ヒーローを汚したこと」から来ているのかも。玻璃が命ある限り、この罪は続いていきます。

しかし清澄が本物のヒーローでいてくれたことが、囚われから脱却し、幸せを実感させてくれました。

この根拠となる原作の箇所は↓

しばらくは泣いたけど、でもあの人は、苦しんでいる人が目の前にいたら助けずにはいられない人だった。正真正銘、本物のヒーローだった。あの人と出会えて本当によかった。家族になれてあんたもいる。私はあの人と出会ってから今もずっと、毎日が最高でたまらない

竹宮ゆゆこ「砕け散るところを見せてあげる」P18

そして清澄との間の命、息子=「真っ赤な嵐」の誕生が玻璃を罪悪感から救ってくれました。息子と出会い、生きていく力を取り戻したのです。UFOを撃ち落としてくれたのです。

この根拠となる原作の一文は↓

長く長く苦しんで、やっと真っ赤な嵐と出会い、私は蘇った。命を取り戻した。それでわかった。UFOは空から消えた。先輩は勝ったんだ。勝って、二つ目のUFOを撃ち落としてくれた。

竹宮ゆゆこ「砕け散るところを見せてあげる」P303

(2)清澄にとっては、二つ目のUFOとは「ヒーローになれず、玻璃を救えなかったこと」と解釈できます。これも罪悪感とも言えます。清澄は川に沈む人を救うことでヒーローになれたのですね。

*「二つ目のUFO」については答えはありません。筆者の意見ですので参考までに。

【砕け散るところを見せてあげる】の考察:タイトルの意味

【砕け散るところを見せてあげる】のタイトルの意味は、明確には原作も映画でも紹介されていません。

筆者の解釈をいくつか紹介します。

「砕け散る」で思い出すのは「当たって砕けろ」というワード。

玻璃は、尾崎・妹をいじめから助けるため、ヒーローになる場面があります。変わります。

見てろ、と玻璃は言ったのだ。彼女の空のUFOに。
『見てろ。私は変わるから――』

竹宮ゆゆこ「砕け散るところを見せてあげる」P151

UFOを撃ち落とすために変わること。これが「砕け散るところ」かも。

玻璃にとっては、父を殺害する場面もまた「砕け散るところ」でしょう。

また、砕け散ったら死んでしまいます。

となると、清澄にとって「砕け散るところ」は川で人を救って亡くなるところでしょう。

【考察】追記:当記事を読み直していて玻璃は死んでない、と思ったのですが…
清澄は肉体的に砕け散り、玻璃は精神的に砕け散ったとも解釈できます。
また、聖書では「一粒の麦は地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」(ヨハネ12:24)とあります。
一粒の麦が地に落ち、古い命を捨てることによって新しい命が生まれる。イエス・キリストは命を献げることで、新しい命の道となり、救いの御業を完成させた…といいます。(宗派によって解釈は多数)
清澄は砕け散ることで、ヒーローという実を結んだ(ヒーローという道を完成させた)のですね。玻璃を(精神的に)救ったのです。

まとめると、「砕け散るところ」=UFOを撃ち落とヒーローになること、と解釈したいです。

また、「見せてあげる」という後半部分は相手がいる証拠。

見せたい相手は、清澄にとっては玻璃、玻璃にとっては清澄。

清澄・玻璃の2人にとっては、息子のことではないでしょうか。

…と考察しておいて、なんなのですが、(書いたあとに発見したのですが)作者・竹宮ゆゆこさんがこう答えていました。↓

ある時書店でふっと浮かんできたのが『砕け散るところを見せてあげる』でした。やっと見つけた、という感じでした(笑)。

でもサイン会で、よく“何が砕け散るんですか”という質問をいただくんです。読んだ方に思い思いの解釈をしていただいた分だけ答えがあると思っていますが、訊いてくださるからには私なりの答えを提示しなくては、と思っていて。この作品には主人公以外にもいろんな人が登場しますよね。いろんなキャラクターのいろんな気持ちや、人生について考えていることや、将来の展望といったものが砕け散るところを、(著者である)私が見せてあげる、という意味なんですよ、と言うようにしています。“まーたまたご冗談を”みたいな反応がかえってくるんですが(笑)。でも、その理由だと、“~してあげる”という上から目線が匂い立つ感じがあって悩ましいですね(苦笑)

https://shosetsu-maru.com/…

※注:引用文の太字は、引用者のものです。

【まとめ】
・【砕け散るところを見せてあげる】のタイトルの意味は答えはない。読者の分だけある。
・作者がキャラクターの砕けるところを「見せてあげる」部分もある。
・(個人的には)「砕け散るところ」=「UFOを撃ち落とすところ」=「ヒーローになるところ」を大切な人に見せる、
という意味に解釈したい。

【砕け散るところを見せてあげる】の考察:テーマは?

【砕け散るところを見せてあげる】のテーマは何でしょうか。

原作の帯に「最後の一文、その意味を理解したとき、あなたは絶対、涙する。」の文句が書かれていた時期があります。

小説の最後の一行とは…

母さんがいて、俺がいて、父さんがいる。そしてみんな、愛には終わりがないことを信じている。

竹宮ゆゆこ「砕け散るところを見せてあげる」P311

玻璃の息子がオリオンの星々を見上げていたときに感じたことです。

テーマは「愛には終わりがない」で明らかでしょう。

映画では原作のそのテーマを損なうことなく映像表現をしていると思います。

【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレと考察:まとめ

以上、【砕け散るところを見せてあげる】のネタバレと考察を紹介してきました。

いじめられる少女を救う、ボーイミーツガールの青春ストーリーかと思いきや、サスペンスな面もありつつ、壮大な世代をまたがる愛の話しだった…という展開。

ネタバレを読んだ方には分かるでしょう。

男女の愛を超えた<愛>と<ヒーロー>を描いた衝撃作でした。

ポイントをまとめると…

【砕け散るところを見せてあげる】ネタバレのポイント
・起:清澄が玻璃のいじめられる場面を目撃。助ける。
・承:清澄が玻璃を<トイレ閉じ込め>から救う。
・転:清澄が玻璃の父と出会い、玻璃と仲たがいに。
・結:玻璃が父を殺害(玻璃の父は妻と義母を殺害していた)
・エピローグ:清澄と玻璃が結婚し息子が誕生。清澄は永遠に存在。愛は終わらない。
※最大のネタバレは玻璃が父からDV(家庭内暴力)を受けていること。玻璃の父が殺人鬼だったことです。

【砕け散るところを見せてあげる】考察のポイント
・<UFO>は「嫌なものの塊」「玻璃の父」「罪悪感」「ヒーローになれないこと」等の象徴。
・タイトルの意味は受け手の自由(登場人物が砕けるところを作者が見せてあげる?)
・テーマは「愛には終わりがない」
 

中川大志くんの濁流の中での必死な演技、難しい役を演じきった石井杏奈さん。短いシーンながら出演した意味が存分に発揮された堤真一さん。その他キャスト・スタッフ・監督さん、皆さんに拍手を贈りたい作品。

この春、オススメ映画のひとつです。

当記事画像出典:https://kudakechiru.jp/

映画-砕け散るところを見せてあげる

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