【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ!結末はほろ苦いハッピーエンド!?

【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ!

NHK土曜ドラマ『六畳間のピアノマン』の原作は、安藤祐介氏の同名小説(「逃げ出せなかった君へ」改題)!

ブラック企業に就職し亡くなった青年。彼は「六畳間のピアノマン」として音楽配信をしていて…。

ビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」の調べにのせて贈るヒューマンドラマ。

原作の結末はビールのようにほろ苦いハッピーエンドで…!?

今回は【六畳間のピアノマン】原作のネタバレを結末まで紹介!

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目次

【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ:第1章「無敵社員」のネタバレ

ときは7年前。大友(演:三浦貴大)夏野(演:古舘佑太郎)村沢(演:加藤シゲアキ)は同期で、投資用マンションとウォーターサーバーの営業をしていた。

その会社はブラック企業。朝から夜まで電話営業または法人への飛び込み営業。深夜と早朝は「夜討ち朝駆け作戦」と称して民家へ飛び込み営業。朝と晩のご飯は5分・昼飯は3分。GPSで常に監視されている。入社3か月で休日ゼロ。体重も減った。

そんなとある日の深夜2時半。大友、夏野、村沢はチエーン店の居酒屋でビールを「美味い、美味い」と飲む。「久しぶりに人間に戻ったなあ」と夏野は言った。

ネットの世界で夏野は「ピアノマン」を名乗り、『六畳間のピアノマン』というタイトルで動画を投稿していた。しかし入社以来、更新していない。

上司の上河内(かみごうち)(演:原田泰造)に罵倒され、人格否定され、叱責される同期3人たち。そんな中、村沢が「生きてる価値あるのか?」と言われる。「私はどうすれば」と嘆く村沢に、「知らねえよ、死んでみたらどうだ」という上河内。

その後、夏野が村沢に顧客とのアポを譲った。「同情ではないよ」と説明する夏野は「村沢が死んだら俺は悲しい」と口にした。

次のターゲットになったのは夏野だった。…大友は退職を決心する。そしてICレコーダーで上河内の暴言を録音してから辞めた。空の色が新鮮で「無敵」になれた気がした。夏野や村沢を救おう、そのための最後の戦いへ準備をする大友。

翌朝。『六畳間のピアノマン』の特別生放送企画「てるてる坊主」が配信された。「私はピアノマンです。つまいない人間ではありません」

…自殺する気だ!大友は警察に電話をしてから向かった。『六畳間のピアノマン』のファンの「ピアノガール」から「落ち着いて!」とネットに書き込みがあった。

夏野は自宅で首をつって死亡。

第1発見者は女子高生・美咲(演:南沙良)。かけつけた大友は「夏野は殺されたんです!」と警官に訴える。

その後、大友は上河内へ夏野のことで「お前が殺した」と問い詰めるが、平然とする上河内。「迷惑をかけられた、弱いやつは生きていけない」とも言い放つ。

帰宅後、大友は上河内の暴言をネットに投稿。タイトルは「地獄の朝礼」

その後、会社は世間の袋叩きにあい営業不能になり、消滅した。

大友は実家の名古屋に戻り、アルバイトしながらプログラミングを習得し、今はエンジニアとして働いている。妻と娘もできた。明日は夏野の7回目の命日だ。

【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ:第2章「詩的社員」のネタバレ

調査員1日目

溝口真治(演:上地雄輔)は通行量の調査員のバイトをしていた。午前3時、ある男が声をかけてきた。男は中年で、ロングコートをはおり、下半身を露出していた。

男:「誰が許可した!俺の道で勝手なことするな。お前はクズだ!俺は宇宙だ!俺にはできる。この道をこの格好ではしれるのは俺だけだ。俺は宇宙だからだ。俺こそが宇宙!宇宙は俺だ!」

溝口は通報しなかった。会話が成立せず、「お前はクズ」「俺は宇宙」が合いの手のように入る。

「おい、クズ!お前は何していた」と聞かれた。溝口は、チェーン店の居酒屋の店長だった。三流大学に通いつつ4年間バイトをした、バイトリーダーとして居残った。正社員へ誘われたが、責任を持ちたくないからバイトを続けた。チェーン店は異動がある正社員よりバイトリーダーの方が強いケースがあり、まさに溝口がそうだった。

しかし8年前の夏、深夜2時半ごろにやってきた3人のサラリーマン(※)にビールを提供した。彼らは「今まで生きてきた中で一番美味い」と語っていた。(※大友、夏野、村沢のこと)

実はジョッキにあらかじめ生ビールを入れて冷凍庫に入れて置いたものだ。バイトのギニア人・ワッカナイがお客様のためにジョッキを冷やす提案をしたが、手抜きが好きな溝口は生ビールを注いでから冷やした。お客様のためでなかったのに…。

ビールに狂喜乱舞する3人の客。断片的な会話からブラック企業でこき使われていると分かった。つかのまの脱獄のようなもの。やがて3人から「ピアノマン」という言葉が聞こえた。

溝口は店内のBGMをビリー・ジョエルの『ピアノ・マン』に変えた。「美味い。美味い」…彼らの喜ぶ姿に思わず涙する溝口。厨房の裏にかけこみ、声を殺して泣いた。

この夜を忘れない。たった一杯のビールが底知れぬ力を発揮することを――。

溝口は正社員へ登用され、店長代理、店長へとステップアップ。

店舗のスタッフルームへ青臭いポエムを掲示した。

「一杯入魂、我々にとっては何万杯の一杯のビールでも、そのお客様にとっては特別なビールかもしれない」

異動してきたワッカナイがそのポエムの下にポエムを書き、また別の人が書いて、いつしか「ポエムの壁」と呼ばれた。詩的な店舗になった。

居酒屋ジャパンカップで、溝口の店は優勝!人気店になったが、「宗教みたい」という批判もあった。

調査員2日目

昼間、ワッカナイが創業する店に誘われたが、溝口は保留の返事をする。その後、深夜3時ごろ、宇宙人の男がまた来た。溝口は昨日の続きを話す。

溝口の勤務するチェーン店は、違うチェーン店に吸収合併された。そのチェーン店の他店舗で、社員の過労死やパワハラが社会問題になった。すると溝口の店も「ブラック企業に洗脳されている」と世間にみられた。誤解なのに…。

ある日。溝口の店でボヤ騒ぎが起きた。放火した犯人は「あの店長とバイトをブラック企業の魔の手から救った」と供述したという。

本社に呼ばれ事情聴取される中、溝口はうつになり、連続無断欠勤をして懲戒解雇に。それで今、溝口は日雇いのバイトで稼いでいる。

そんな中、老婦人が通りかかり苦情を言ってきた。溝口はなぜか「僕の知り合いなんです」とかばってその場をおさめた。

調査員3日目

通行量調査の最終日となる3日目。ワッカナイに電話して、ワッカナイの店で働くと返事をした。「このまま終わってたまるか」と決意する溝口。深夜、宇宙がまた来た。お別れだからと、缶ビールを宇宙へあげた。彼はごくごく飲みほした。

その後、渋谷のスクランブル交差点で全裸の男が逮捕された、とニュースになった。男は住所不定無職・上河内秀人(演:原田泰造)容疑者、42歳。と報じられた。警察の調べに対し「俺は宇宙だ」と意味不明なことを叫んでいて…。

溝口は老婦人から守ったことを後悔した。溝口は8年前の3人の男たちに出したビールを胸に、もう一度、自分の店を出すために働こうと踏み出す。

【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ:第3章「自適社員」のネタバレ

夏野泰造(段田安則)は六十歳になり定年退職となった。武蔵建設に38年勤務したが、息子が亡くなった後の8年は、抜け殻のように生きてきた。

送別会にて。同期で上司の砂岡と「あの男」の話題になった。1か月前、テレビのニュースで上河内の名を聞いた。全裸で「俺は宇宙だ」と叫び逮捕された。息子を死に追いやった男がいまだのうのうと生きているなんて。泰造は許せなかった。

送別会の帰り道。チンピラたちが道幅いっぱいに歩いていて、スーツ姿の青年が「すみません」とよけていた。「よけてはならぬ」と義憤なのか意地なのかわからない気持ちで中央を歩く泰造。チンピラと口論になり「死んでくれ」あるいは「殺してくれ」と懇願。

そんな騒ぎを止めたのは警察官・脇見敏弘(細田善彦)だった。泰造は助けられた。

泰造は脇見に「優しさは弱さなのでしょうか」と疑問を投げかけた。優しさは人畜無害の裏返し、優しさは弱さの裏返しだ。泰造は息子に「優しい人になりなさい」と教えてきた。

「優しさだけでは生きられない。他人を蹴落としても勝ち残れ。やられたらやり返せ。そう教えていれば良かった」と嘆く泰造。

脇見は「優しさと弱さは別物だと思います」と答えた。泰造は体とともに心も救われる。

その後、息子・誠の同級生たちが線香をあげにきて、タイムカプセルを持ってきた。小学4年のころ、20年後の自分に向けた手紙をタイムカプセルに入れた。先月、30歳の同窓会で開かれたという。

「30歳のぼくへ」と題した手紙には「ピアニストになる」など、なりたい自分が記され、【優しい人になる】と心なしか大きな字で書かれていた。

カプセルを埋めた日の出来事も記されていた。たけし君とけんちゃんの喧嘩を誠が止めたこと。叩かれたけんちゃんは叩き返さなかったので強い、謝ったたけし君も強いと書いてあった。

その後、誠の「ピアノマン」の動画をみんなで視聴した。

泰造は、息子のように優しい人間でない。だから上河内を呪わずにいられない。殺してやりたい。だが、残された者の傷は憎しみでは治癒されない。新たな憎しみを生むばかり。泰造は息子に教えられた。

泰造は砂岡の指揮下で嘱託職員になり、業務課の法令遵守担当員という特殊任務についた。法令遵守が行き過ぎて、確認項目が多くなり、とらわれ、現場は萎縮。手段と目的がすり替わっていた。「このままではブラック企業になりかねない。悠々自適な立場から静かに暴れてくれ」と砂岡に激励された。

泰造は誠が亡くなったアパートへ行った。今はコインパーキングになっていたが手を合わせて供養をする。近所にある居酒屋「世界料理ワッカナイ」へ入ってみた。北海道料理かと思いきや、店長から「ギニアから来たワッカナイです」と自己紹介される。

泰造は息子のため、生ビールを2つ注文した。「しんじさんがつぐビールは日本一うまい」と言うワッカナイ。美味かった。

厨房の溝口真治(演:上地雄輔)は涙目だった。「いつかそんな風に美味いと言っていただきたくてビールを注いだ」と感謝した。

「ワッカナイ」開店初日での嬉しい出来事だったが、泰造は息子と溝口のことは知らない…。

【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ:第4章「不敵社員」のネタバレ

脇見敏弘(細田善彦)は丸富コーヒーで交通安全の講師を担当。

「危険運転の代名詞みたいな名前の警察官が交通指導にやってまいりました」脇見の定番な挨拶で興味をひかせる。

途中、脳みそ(の作り物)がまき散らされた事故現場の様子をスライドで見せる。朝行ってきますと出て行った家族が一蹴んで無惨な亡骸になる。唯一無二のものを破壊する。だから事故の加害者は社会的信頼を損ねると話す脇見。

講話の締めくくりの言葉はいつも決まってる。「命を大切に

署に戻ると、交通課長の蔵本に脳みそのスライドのことで叱られる脇見。説教が終わるのを待っていると、女子高生4人と教師が窓口へやってくるのが見えた。

教師は有村美咲(南沙良/※)で、池袋女子学院高校の軽音楽部の顧問だった。道路使用許可の申請に来たという。許可は出なかったが丁寧な対応で納得し、感謝して帰って行った。(※南沙良さんはドラマの高校時代パートを演じるだけかもしれません)

蔵本は「あの先生、話題の人だな」と脇見に教えてくれた。【美人すぎる非常勤講師、弱小軽音楽部を全国大会へ導く】とネットニュースにもなっていた。しかし、有名になったことで学校付近で不審者の目撃情報が相次いでいた。

同期の本橋と、小山内警部補の家へ行き手を合わせた。定年後、先月、くも膜下出血で亡くなった。小山内は警察学校の教官で、脇見たちは生徒だった。

その後、脇見の家に行き、本橋と酒を飲んで教官のことをしのんだ。警察学校は今でいうブラック企業だ。しかし現場はもっと過酷。小山内教官は「向いてないからやめろ」が口癖だった。「あの人はちゃんと逃げ道を用意してた」と感謝する2人。小山内は人格を否定せず、警察官としての適性だけを否定した。

「会社で追い込まれると逃げ出せないのだと思うよ」と、脇見は言って、8年前の夏を思い出す。交番勤務だった脇見は、夜勤明けの早朝、現場へ急行せよと指令が来た。アパートのベランダで首をつろうとしているとの通報だ。現場に最も近いのが脇見だった。

しかし向かう途中、ゴミ出しのことで文句をいう年配の男性につかまってしまう。取り急ぎ本署へ報告すると、別の警官も急行中だから対応せよとのこと。ほんの2、3分だが片づけをさせられた。イタズラの通報かもという思い込みも脇見にはあった。

現場へ到着すると、坊主頭の男(=夏野誠)がベランダで首をつっていた。第一発見者は女子高生(=若かりし有村美咲)で放心状態だった。脇見のすぐ後に来た救急隊員と一緒に彼の身体を下ろした。すでに心肺停止。鑑識係員も来て現場を調べ始めた。脇見はショックで震え、立ち尽くす。

まもなく通報者(=大友啓介)がタクシーで来た。彼は「なつのは殺された!」と叫んだ。ブラック企業で疲弊していたという。

もし自分が早く到着していれば…それ以来、心を入れ替えた脇見。命にかかわる通報には全力で駆けつけ、いたずら通報には容赦なく叱責した。先輩からその態度を注意されたこともある。けれど、なんの為に警官になったのか悩んでいたころの脇見にとって、自分への苦情や組織内の評価なんてどうでもよかった。もっと大切なもののために働きたかった。

脇見の父は刑事だったが、16年前、脇見が高校1年のころ、殉職。交通事故だが、父をひいた暴走車は覚せい剤の常習者だった。小学生のころから刑事になりたかったが、父の死を境に思いを強くし、目指した。今は交番勤務だが、ありがたく思ってる。脇見という名前から講話が記憶に残りやすいはずだから。

翌週。チンピラに襲われる男を助けた。息子の自殺の話を聞いたあと、名刺をもらった。名は夏野泰造(段田安則)。彼は、あの日の夏野の父だろうと脇見は確信する。必ずあのチンピラを捕まえますと脇見は約束。

鈴鳴剛太郎が逮捕された。父をはねた男だ。3年前に出所したが、いまだクスリをやめられていない。喜びたいが、父が「悪者はいなくならない。けどひとりでも減らすために戦う」と言っていたことを思い出す。

脇見は講話へ行く。父が追いかけてきた犯罪者と同じく、交通事故も減らない。けれど一件でも減らすため、脇見は今日も戦う。

【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ:第5章「美的社員」のネタバレ

英語教師・有村美咲(南沙良)が勤務を終えて高校を出ると、男に声をかけられる。「ねえ、ミクリちゃん」と彼は。美咲のかつての芸名を言った。

その男は、地下アイドル時代の美咲のことを一番応援していたジュリーだった。先月「美人すぎる非常勤講師」とネットニュースになったことでばれてしまった。彼は17歳のころの画像、しかも半裸の悩殺ポーズ写真をばらまくと脅す。

25歳の美咲は今ちょっとした有名人になっている。中学の卒アルなども出回っているが、まだ地下アイドル時代は暴かれていない。百歩譲って私がいろいろ書かれるのはいいが、生徒たちに迷惑をかけたくない。特に、軽音楽部の「ブクロ少女」は大阪城音楽堂での決勝大会を控えている。

ある日の放課後。「ブクロ少女」の愛、千里、奈々子、沙耶の4人を連れて池袋警察署へ道路許可の申請へ行った。通らなかったが、4人は「個人的には応援したい」とフォローしてくれた脇見さんに親近感を覚えた。

やがて、美咲の高校の卒アルが出回った。焦る美咲はジュリーに会う。仕方なく。食事だけで済まそうとすると、「昔みたいにパンツ売ってくれないかな」と言われる。「なんのこと?」とごまかす美咲。最後にはメモ用紙を渡され、チャットでいいからと言われる。紙を受け取った美咲は退散した。

美咲の夢は歌手だった。高校になると、池袋のライブハウスで週1回、弾き語りで歌っていた。高校2年のころ、レコード会社の社長を名乗る男にスカウトされる。アイドル「ミクリ」としてデビューした。

ライブの後にはいつも撮影会で、参加券は15分3000円。レッスン料の名目でほぼただ働き。だが「夢のため」我慢した。

やがてファンサービスはエスカレート。2人きりになる特別サービスに1万円もの値がついた。パソコンの画面越しで5分話すだけなのに…。2人きりの撮影会15分で3万円。そこでジュリーと名乗る男がいて、10万を出して30分とったらしい。しかも、マスターベーションをしてるところを「見てるだけでいいから」と言って始めた。運営は許可していた!

さすがにおかしい。歌手活動を免除(?)され撮影会に専念してほしいと指示された。出会ったときに歌っていた自作のを歌わせてほしいと頼むと、「あんな説教くさいの売れない」と一蹴。騙されたと気付いた美咲は、復讐を誓う。

「運営には内緒だよ」美咲は15分1万円でファンと直接チャットした。使用済みパンツも1万円で売れた。ジュリーはお得意様だった。ジュリーは、使用済み下着の収集とともに売買も裏サイトでしていて、月300万も売り上げるほど儲けていた。

美咲はレコード会社を辞めて、個人的に「売り子」をした。あっという間に30万稼げるし、クズの男への復讐にもなっていた。

しかし美咲は8年前の夏に、売り子をやめた。六畳間のピアノマン』が止めてくれた。ピアノマンの投稿が好きでよく見ていた美咲は「ピアノガール」のアカウントで感想をよくあげていた。が、就職を宣言して以降、ピアノマンの投稿が途絶えた。しかしその日、「てるてる坊主」の題での投稿がきた。自殺する気だ!

近所だったので美咲は駆けつけた。「やめて!」と道をはさんだ向かいのアパートのベランダへ叫んだ。間に合ったと思ったが…

彼は首を吊った。美咲は第一発見者となっった。警官(脇見敏弘のこと)が「大丈夫ですよ。もうすぐ女性警官がきますから」と声をかけてくれた。「なつのはどこですか!」と男性(大友のこと)と叫んだ。

警察署に迎えに来てくれた女性教師・岸岡に地下アイドルや売り子のこと、ピアノマンを止めたかったのことを話した。「有村さんは、勇気を出して走ったんだね」先生の言葉で救われた。そして、止められなかった後ろめたさよりも「生きなきゃ」の思いが強くなる。

軽音楽部の顧問になれたのも運命だ。彼女たちの夢の舞台をダメにしたくない。意を決して、ジュリーを呼び出して、車でパンツを売ることにした。運転を代わってもらい、「誰も知らないところに行きたい」と口車に乗せ、美咲の運転で移動した。ジュリーは後部座席で、カーテンをしめた。会話の中で、出会ったころは17歳だったというと、ジュリーは「大丈夫。中学生じゃないとダメな変態もいるくらいだ」という。

美咲は池袋警察署へ車を停止。ジュリーは脇見に現行犯逮捕される。美咲は録音した車内の会話と、車には使用済み下着と女子高生の写真が大量にあったからだ。ジュリー、本名・藻庭順志郎は「逃げ切ったと思うな」とわめいたが、美咲はすでに逃げ切った。

半月後、ブクロ少女は関東代表として決勝大会で演奏。入賞は逃したが最高の演奏だった。8月上旬、池袋西口公園での演奏が決まったという奈々子。商店会の会長に誘われたらしい。これが本当のラストライブになる。

「先生の好きな曲でいいよ。何がいい」
「ビリージョエルの『ピアノ・マン』がいいな」

あの夏の日のピアノマンと、『ピアノ・マン』に捧げたいと美咲は決めた。

【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレ:第6章「無双」社員のネタバレ

村沢(演:加藤シゲアキ)は派遣社員として、営業サポート事務をしていた。が、そこで違和感を抱く。仁堂部長(内場勝則)に支配されている空気があった。

村沢の座右の銘は「面従腹背」。表面では従順だが、心の底では従わない。誰かも支配されないコツ。

永津(森永悠希)が仁堂部長から「給料泥棒」と叱責されていた。しかもそれを永津の先輩にも言わせた。

「お前は給料泥棒だ」「声が小さいな!」
「お前は給料泥棒だ」「声が小さい!」
「お前は給料泥棒だ」

永津は謝った。村沢は気分がわるくなってきた。おぞましい記憶がフラッシュバックする。ここではサービス残業も常態化してるようだ。

村沢は思わず、永津のアポ取りを手伝って、5件取った。お礼として飲みに行く。助けたいという思いがわいて説得したが、ダメだった。永津は部長の叱責に感謝していたし、辞めたら行くところがないと本気で思っていた。

居酒屋のテレビで、住所不定無職・上河内秀人(原田泰造)容疑者のニュースが報じられる。恐怖が蘇った村沢は「永津さん。今すぐ会社を辞めてください」と訴えた。逃げてもやり直せる。部長に洗脳されている。人間に戻ってほしい…。

永津に同期が殺されたことを明かした。永津は「首つり自殺ですか」というが、「いいえ、他殺です」と告げる村沢。

永津がトイレに行っている間、仁堂部長から永津へ電話が来た。村沢が出て口論になる。

永津が帰ってきて携帯を奪い返し、仁堂の指示で会社へ戻ることになった。

翌日。村沢は勝手に永津の仕事を手伝ったことを仁堂に謝る。永津は「ぼくに一切関わらないでください」と言われる村沢。

週末、村沢は大友(三浦貴大)の住む名古屋へ行った。村沢はあのときの大友への態度を謝った。ひとりで逃げた大友を卑怯者、裏切り者だと本気で思っていた。

村沢は、夏野(古舘佑太郎)が自分の身代わりに亡くなった、と今でも自分を責めていた。あのときアポを譲ってくれなかったら今頃は、と。そんな村沢の現状を色々聞いて、大友は「まだあいつに支配され続けているよ。洗脳も解かれていない」と告げた。

大友:「村沢、生きていて楽しいか?誰とも繋がらない、人生って楽しいのか?」

月曜日。村沢のもとに派遣会社から電話があり、派遣先の苦情の為、交替してほしいと連絡がきた。しかし永津を救いたい。どうしても残りたいと懇願して、仁堂にも頼んで、継続になった。

それからしばらく大人しくしながら、仁堂から永津への丸刈り強要など、仕打ちを記録。

後日。村沢と永津が仁堂に呼ばれた。村沢がパワハラを本社法務部へ訴えた書類をなぜか仁堂が持っていた。

「何やってくれてんですか」永津は怒った。そしてパワハラを否定する永津。

村沢は思い切った行動に出る。社員たちの前に行き、「にどう教信者の皆様!パワハラ差し止め依頼書を出しました。みなさんに真偽を確かめたく、読み上げます!」

仁堂が怒り狂うが、読み上げる村沢。しかし永津は「虚偽の内容です」と言い張る。

村沢は仁堂との口論の末、殴られた。「傷害罪ですね、通報させていただきます。」と村沢がいって、警察に事情を話していると、仁堂は外回りがあるからと逃げるように出かけた。

永津は「あなたのせいで全ておしまいです」とショックを受けていた。村沢は、やり直せることを伝え、「どうか自分の意思でここから逃げ出してください」と名刺<社会保険労務士・行政書士 村沢憲治>を渡す。実は、通報はふりだけだった。

村沢の命日、8年目の夏。村沢は大友と池袋で再会。西口公園では、ステージでバンド演奏がされていた。横断幕には「全国大会お疲れ様 池袋女子学院高等学校軽音楽部」

女子高生バンドはビリージョエルの『ピアノ・マン』を歌った。夏野をしのぶ日に聞けることに運命を感じる村沢たち。交通安全啓発運動もしていて、警官の名前をみると「脇見」とあった。村沢は「コントみたいな名前だな」と笑った。

公園から移動し、夏野と飲んだ居酒屋を探したが、もうなかった。

「世界一美味いアサヒスーパードライ飲ませます」というキャッチコピーが入口に書かれていた「世界料理ワッカナイ」へ入る村沢たち。夏野と飲んだのはスーパードライだった。村沢はビールを3つ注文した。

村沢のもとに社労士としての初のクライアント・永津から「次の就職が決りました」と電話が来た。

人生で二番目に美味い」と言って、村沢と大友はビールを飲んだ。店員の溝口真治(上地雄輔)は違和感を抱いて意味を聞いてみた。すると、8年前の夏、彼と3人で飲んだのが一番だという。溝口はあのときの3人だと気付く。

溝口「もうひとりは今日は?」
村沢「彼はここにいます」

溝口は察し、「みなさんとまたお会いできてよかったです」と頭を下げる。村沢と大友は見合い、確信した。

厨房へ戻った溝口はビリージョエルの『ピアノ・マン』を店内に流した。爆音で。村沢はあの夏のビールがずっと一番だと思った。(おわり)

【六畳間のピアノマン】の感想・まとめ

以上、【六畳間のピアノマン】の原作ネタバレを紹介しました。

結末はまるでビールのように、ほろ苦いハッピーエンド(!?)でした。

ブラック企業のパワハラに追い詰められ亡くなった「六畳間のピアノマン」・夏野。

ドラマでは影響を考慮してか、居眠り運転での事故に改変されていますが、夏野の理不尽な死をめぐる関係者たちのヒューマンドラマになっています。

本作は大事な人(夏野)を救えなかった者(村沢、大友、美咲、父親)たちが救われる話し、喪失と再生の物語…と私(筆者)は思いました。

しかし仁堂がなぜ「俺は宇宙だ」と全裸になってしまったのか、この理由や経過は説明されてないのが消化不良。彼も世間から袋叩きにあって人生が変わってしまった被害者?ですが、自業自得、因果応報ともいえますよね。

夏野や村沢たちの立場になると、「死んでくれ」と複雑な気持ちになってしまいます。全裸で逮捕になるまで追い込まれた何かを考えたくないと言うか…笑

でも一歩間違えれば、誰でも仁堂になり、夏野になってしまう。それが一番怖い

逃げ出せる。やり直せる。そんなメッセージも読み取れる本作は、読後、希望も感じました。

…みなさんはどうでしょうか。ドラマ視聴後、または本書を読み終えたあと、自分と向き合ってほしいと思います。

当記事画像出典:https://www.nhk.jp/p/ts/YX9GY2MN41/

六畳間のピアノマン

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