【西郷どん】の原作ネタバレ!島津斉彬に心を奪われた小吉、吉之助の青春時代[上巻]
出典:NHK
NHK大河ドラマ「西郷どん」の原作をネタバレ
2018年のNHK大河ドラマに決まった「西郷どん」
小説家の林真理子さんが書いた原作「西郷どん」の上巻「青春編」のネタバレ感想を書いていきます。
【西郷どん】原作のネタバレ① 物語は菊次郎の語りから
西郷隆盛と愛加那の間に生まれた子、西郷菊次郎が、京都の市長に就任する明治37年。
菊次郎の右腕、川村鉚次郎に、父親のことを知りたいと言われ、今まで誰にも話してこなかった西郷隆盛について話すところから物語は始まる。
西郷隆盛と共に西南戦争を戦った息子が語るということで、説得力が増し、物語に引き込まれていきます。
本を読み終えてから振り返ると、銃弾を受け右足を失った菊次郎が京都市長にまでなって、西南戦争で命を落とさなくて本当によかったと感慨深いものがあります。
【西郷どん】原作のネタバレ② 小吉は貧乏だが優しい子供
家格が城下士では下から2番目と身分の低い家に生まれた西郷どんは貧乏であった。
大人になると体重31貫(116kg)と大きな男だが、幼少期は小吉(こきち)と呼ばれ、体も弱い。
母の満佐は7人子供を産み、西郷はその長男。
冬に、一枚の布団を男兄弟が取り合う中、西郷はそこへは入らず、弟の従道を真ん中の暖かい場所に置いてやるなど、優しいお兄ちゃん。
【西郷どん】原作のネタバレ③ 郷中教育
薩摩には、二才(にせ)と呼ばれる年長者が、稚児を教えるという郷中(ごうちゅう)教育というものがあり、西郷はここで勉学と剣(示現流)に勤しむ。
有馬一郎に世界地図を見せてもらい、薩摩、そして日本が世界から見てどれだけ小さいものか見せてもらったことは、西郷の世界観を作る大きなキッカケになった。
【西郷どん】のネタバレ④ 男尊女卑
西郷どんが生きた時代は、男尊女卑がひどく、中でも薩摩藩は格別。
家族の中でも、洗濯物は男女別。お国のために働く者として、母親でさえ息子に無礼があってはならないと言われるほど。
「女というものは、母親を除けば、こちらの心を与える価値のないものなのだ。女に溺れるくらいなら男に溺れろ。本気になって男に惚れるのだ」
今の世の中では考えられないような世界が、存在していたことに驚きます。
【西郷どん】原作のネタバレ⑤ 薩摩人はカッコイイ
男尊女卑で、薩摩人は悪い人と思われるかもしれませんが、少しお待ちください。
「武士たちはおしなべて貧しいが、それを決して恥とは思わない。私欲に敏い者は軽蔑された」
西郷は偉くなってからも貧乏でした。しかし、それは誰かのため、弱い者のために使い、私欲に走らなかったのは、薩摩人としての魂がそうさせたのだと思います。
【西郷どん】原作のネタバレ⑥ 運命の人 島津斉彬に出会う
9歳の西郷は、郷中に連れられ心岳寺参りをしていたとき、人生を変える運命の人、島津斉彬と出会う。
「薩摩に島津斉彬あり」と将軍家斉に言わせるほどの男で、馬に乗りやってきた斉彬は、西郷たちに声をかける。
薩摩の中でも伝説の存在で、あまりの迫力と感動に、涙が止まらない西郷。
そして、西郷はこれからの人生全てを捧げたといっても言い過ぎじゃないぐらい、斉彬に心酔していく。
【西郷どん】原作のネタバレ⑦ お由羅騒動
お由羅騒動とは、島津斉興の後継者を決めるのに揉めたお家騒動。
斉興と側室のお由羅の間に生まれた久光を可愛がるがあまり、斉彬に家督を譲らないことに納得がいかない西郷(この頃は吉之助と呼ばれる西郷)
西郷と同じように斉彬に藩主になってほしいと願う者は多くいたが、そういう者たちは切腹、島流しと次々に処罰されていく。
郷中で西郷を可愛がってくれた赤山靭負も、何もしてないのに切腹させられてしまう。
赤山の切腹するまでの描写は、目を背けたくなるほど切なく、怨念として出てきそうな気がしました。
「おいは絶対にあん妾(めかけ)を許しもはん」と、西郷はお由良に憤慨する。
【西郷どん】原作のネタバレ⑧ 呪いをかける吉之助
お由羅騒動は、簡単には終わらない。
斉彬の子供が7人中5人も亡くなり、これはお由羅が調伏(まじないによって人を呪い殺すこと)したのではないかという話が出る。
この話を信じた吉之助(西郷)は、お由羅に殺意を抱き、家で1人呪いをかける。
「どうか一刻も早く、あん極悪非道の妾がこん世から消え去りますように」
どんな理不尽な目にあっても慈悲深い西郷が、人生で一番憎んだのはお由羅なんじゃないかと思いました。
呪いが届いたのか、斉彬は11代薩摩藩主となる。
【西郷どん】原作のネタバレ⑨ 須賀と結婚
西郷26歳のとき、縁談が持ち上がる。
相手は伊集院家の娘、須賀。
貧乏な西郷家になぜ嫁に来るのかというと、須賀は痘痕(あばた)という鼻の横にくぼみがいくつかあり、このような女性は傷ものとして扱われ、望まぬ結婚をされられることも。
女は好かんと言っていた西郷でしたが、満佐が祖父の病気をもらい、妹の琴は西郷が結婚してくれないと家を出られないという家の事情もあり、結婚を決断する。
結婚後、祖父、父、そして母の満佐まで亡くなり西郷の家はボロボロに。
女として見てもらえない須賀であったが、西郷家に健気に尽くす姿が胸を打ちました。
【西郷どん】原作のネタバレ⑩ 斉彬に呼ばれる
親族が次々と亡くなり、苦しい状況の西郷に嬉しい知らせが届く。
斉彬の行列に参加し、共に江戸へ向かえることになった西郷。
西郷の着るボロボロの服ではもちろん行けるはずもなく、支度に30両が必要だったが、30両も持たない下級武士が選ばれること自体が異例であり、大抜擢であった。
斉彬に恋文にも似た意見書を3年間も送り続けた西郷だったが、無駄ではなかった。
西郷を呼び、
「お前が西郷吉之助か」
「お前はなんという目をしておるのだ」
と驚く斉彬。
声をかけられただけでも、天にも昇りそうなぐらい喜ぶ西郷であったが、それだけで終わらず、篤姫の婚礼道具を1年で準備することを任され、評価を上げる。
西郷は、水戸藩の藤田東湖に会うように言われたり、小石川の老公に書状を運ぶなど、斉彬の密使として動くようになる。
西郷どんの原作[上巻]を読んだ感想
西郷隆盛という男が、どのような環境で育ったのかがよくわかる上巻となっていました。
郷中教育の中で、薩摩の武士とはこういう者であるというたくましさを養い、二才の有馬一郎から勉学を学び、母親の満佐からは礼儀作法や、弱い者がいたら守ってやらなければならないと教えられる。
このことが西郷どんの骨組みを作っていったのだと感じました。
須賀を嫁にもらうも女性との接し方が分からなかったり、写真を撮られるのを魔術だと怖がったりと、ときおり可愛らしい一面も見せてくれます。
年貢が払えないから馬を売ろうとする百姓の弥吉を助けたり、おイシ婆にお米をあげたりと、西郷の優しさ溢れる場面は必見です。
ドラマと合わせて、ぜひ原作も読んでみてください!
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