【危険なビーナス】小説の登場人物とあらすじ!弟の妻・楓の正体とは?
【危険なビーナス】小説の登場人物とあらすじ!弟の妻・楓の正体とは?
『危険なビーナス』原作小説の結末までのあらすじをご紹介します。※ネタバレあり
正義感が強く、美女に弱い獣医(妻夫木聡)が異父弟(染谷将太)の失踪をきっかけに妻を名乗る女性(吉高由里子)に翻弄されながらも、名家の遺産を巡る謎に挑んでいくさまを描きます。
しかし、この弟の妻はワケあり!?楓の正体とは?
矢神家当主が告げた「明人、背負わなくていい」「うらむな」とは何か。
さらに不思議な絵、人体実験、素数とは何かの解明、主人公の母の死の謎など多様な要素が解き明かされていき…。
2020年10月には妻夫木聡さん主演で『危険なビーナス』のドラマが放送スタート!物語を楽しむために、原作小説の登場人物・あらすじを予習しておきましょう!
【危険なビーナス】小説の登場人物
『危険なビーナス』原作の登場人物を紹介します。すべて原作の情報です。
ドラマキャストの詳細はこちら↓
主要人物
手島伯朗(てしま・はくろう)〈38〉[1] – 演:妻夫木聡
…本作の主人公。獣医師で、池田動物病院の院長代理。明人の異父兄で、父は手島一清。伯朗は女性に惚れっぽく、作品中でも出会う女性の容姿を見定めている様子が描かれている。清楚タイプより明るく健康的なタイプが好みのため、いけないと分かっていても楓に魅かれてしまう。自宅は豊洲のタワーマンションの32階。
矢神楓(やがみ・かえで)〈30前後〉- 演:吉高由里子
…本作のヒロイン。伯朗の弟の妻。伯朗からみた楓の第一印象は「でかい」。長身でなく、ごつくもないが(顔は小さいほう)肩幅が少し広い。茶色のカーリーヘア(しっかりとパーマをかけて躍動感を出した髪型)で、声はややハスキー、ほどよく肉感的な足も魅力的な美女。両親は健在で兄と姉と妹がいる。実家は葛飾区で焼き鳥屋をしている。自分の両親には結婚報告を電話でしたが矢神家には報告はまだ。両親は駆け落ちしたから急な結婚も平気。ちなみに明人と入籍はまだしていない。明人の助手をする前はJALのCA――と伯朗に語っていたが実は警察官。結婚も嘘。家族構成は真偽不明。
矢神明人(やがみ・あきと)〈29〉[2] – 演:染谷将太
…伯朗の弟(正確には異父弟)で、父は矢神康治。大地主で総合病院などを経営する「矢神家」の待望の跡取り息子のため、英才教育を受けてきた。しかし中学時代には「計算機科学部」を作るほどコンピューターに関心を持つ。コンピューターがあれば医師も大半が必要なくなると考えていた。大人になった今はIT関連の仕事(プログラム開発)のためシアトル在住。日本にある南青山の家は家賃120万する高級マンション。父の危篤で楓とともに帰国したが、書き置きを残して失踪した。――実は警察に保護されている。
[1]:作中にはっきり年齢の説明はないが、5歳のときに亡くなった父との会話(未完の絵の件)を33年前と伯朗は回想している。
[2]:作中に年齢の説明はないが、伯朗とは9歳違いのため29歳ぐらいと予想される。
池田動物病院
陰山元実(かげやま・もとみ)- 演:中村アン
…伯朗の助手。アラサー女子のクールビューティー。プロの動物看護師。簿記の資格もあり。名の通った動物病院に勤務していたがセクハラで辞めた。池田院長が高齢と知り、それなら大丈夫と思って応募し採用された。それから2年、勤務を継続中。伯朗に対し楓には「気を付けたほうがいいですよ」と何度が意味深に忠告する人物。実は楓が伯朗の好みのタイプと見抜いての注意。
池田幸義(いけだ・ゆきよし)
…池田動物病院の院長。80歳手前で、今は独り身。2年前に脳梗塞で倒れ、後遺症があるため診療は事実上できなくなった。春代(はるよ)という姪が身の回りの世話をしてくれている。伯朗との出会いは居酒屋で、「このシシャモは偽物だ」とクレームをつけたところ、獣医学を学んでいた大学生アルバイトの伯朗が「カラフトシシャモ:別名はカペリンです」と的確に説明した。それから常連客と店員として話す仲になった。
池田貴子(いけだ・たかこ)
…幸義の妻で、助手を務めていた。心臓に持病を抱えていたため、長時間は働けず、居酒屋で知り合った伯朗に大学卒業まで夕方から短時間働いてもらうことに。伯朗は大卒後、大きな手術もできる病院で5年間勤務。しかし貴子が急性心不全で亡くなったことをきっかけに、伯朗が池田動物病院へ呼ばれることになる。
手島家
手島一清(てしま・かずきよ)
…伯朗の父親で、伯朗が5歳のときに亡くなった。売れない画家。家事もできないため妻に苦労をかけた。盲腸で入院中に禎子と出会い結婚した。結婚3年目に伯朗が誕生。伯朗が2歳の時に脳腫瘍になった。その後、「神様に描かされている」不思議な絵を描いていた。実はその絵『寛恕の網』は後天性サヴァン症候群を発症したあとの絵。「ウラムの螺旋」の表現方法を変えた絵で、素数の分布の法則性を示す、数学界・人類にとって貴重な絵。
手島禎子(てしま・ていこ)→矢神禎子 – 演:斉藤由貴
…伯朗と明人の母親。看護師として働き、手島家の家計を支えた。「伯朗」の名付け親で、「画伯」の伯とパブロ・ピカソの「パブロ」を組み合わせた。実はやけっぱちで付けたという。禎子の妹は順子で、よく伯朗を預けた。実家は西東京の小泉にあり、母(伯朗の祖母)によく初孫の伯朗を会わせた。一清の死後、矢神康治と再婚。明人も誕生した。16年前、伯朗が大学4年のときに風呂で溺れて亡くなった。密室になっていてたため事故死と判断されたが、明人は殺人を疑っていた。康治からは「貴重すぎて手に余るもの」をもらったと佐代に言っていた。伯朗は母の死の真相とともに康治の宝も探すことになる。
矢神家
矢神家は大地主で昔はすごい富豪の一族だった。今は総合病院のほか、介護施設や保養所をいくつか経営しているだけになっている。実は伯朗が子供のころの富豪のイメージとはかけ離れ、傾きかけている。
矢神康之介(やがみ・こうのすけ)- 演:栗田芳宏
…明人の父方の祖父。矢神家の先代の当主。矢神家は代々、医学界に功績を残してきた。そのため康之助も画期的な発見や発明を成し遂げたかった。そこで目をつけたのが人間の脳という未知の領域。康治と牧雄が脳の研究をしているのは康之助の影響。康之助は20年前に亡くなったが、「個人資産すべてを明人に譲る」という遺言を残した。しかしドラマでの遺産30億をめぐる争いとは康之助の遺産ではなく、(分かりやすくするためか)康治の遺産に改変しているもよう。
矢神康治(やがみ・やすはる)- 演:栗原英雄
…明人の父。禎子の再婚相手。矢神家の現当主。先代当主・康之介の先妻との間の子で長男。矢神総合病院の院長。専門は神経科。泰鵬大学の教授。大学で脳に刺激を与えて後天的サヴァン症候群を生み出す研究をしていたが、未発表のまま研究をやめた。この実験=治療が手島一清の死期を早めたのではないか、と後悔していることが理由のひとつ。すい臓がんを患い、闘病生活を続けきたが、いつ亡くなってもおかしくない状態。
矢神波恵(やがみ・なみえ)- 演:戸田恵子
…康治の妹。康之介の先妻との間の子。5実質上、今の矢神家を仕切っている。
矢神勇麿(やがみ・ゆうま)- 演:ディーン・フジオカ
…矢神家の養子。康之助が愛人(=佐代)との間で作った子供。伯朗より少し上の年齢なので40歳くらいとみられる。幼少期に伯朗に対し、母のことを「上手く再婚した」、明人の誕生で伯朗は用済みと嫌味を言った人物。子供のとき木登りをして父に叱られたが、高い所が好きなら勉強して人の上に立てと言われた。この父に叱られた話は女性を口説くときの勇磨の定番。仕事は、居酒屋やダイニングバー、カラオケ店をチェーン展開している「アイドルズアイ」社の社長。大学時代から会社を作るほど商売の才覚があり、切れ者。明人の失踪も見抜いたため、協力者になる。
矢神佐代(やがみ・さよ)- 演:麻生祐未
…矢神家の養子。康之助の愛人。勇麿の母。年齢不詳。茶色のショートカットが小さい顔に似合っている。メイクも丁寧で色気がある女性。風格もある。銀座のクラブ「CURIOUS」のオーナーママ。源氏名は室井佐夜子。観察眼に長け、楓を「ただ者ではない」と感じている。
支倉隆司(はせくら・たかし)- 演:田口浩正
…康治の義弟。祥子の夫。60歳前後。細身で色白で繊細そうに見える人物。有料老人ホームを経営。首都圏に四箇所、関西と東海に二箇所ずつ展開。傾きかけた「矢神園」を引き取って大きくした。
支倉祥子(はせくら・しょうこ)- 演:安蘭けい
…康治の次妹。康之介の後妻との間の子。5隆司の妻。60歳前後。やや太めで丸顔。目は吊り上がりぎみでキツイ印象。
支倉百合華(はせくら・ゆりか)- 演:堀田真由
…康治の姪。隆司と祥子の娘。うりざね顔(瓜の種に似て、色白でおもながな美人の顔のたとえ)で、目も大きく鼻筋も通っている。清楚なタイプ。仕事はブックデザイナー。業界でも評判の仕事ぶりで賞をもらったことも。明人に好意を抱いている。
矢神牧雄(やがみ・まきお)- 演:池内万作
…康治の長弟。康之介の後妻との間の子。50代半ば。頬骨が出て顎が張った顔。目つきもぎょろりとしている。泰鵬大学医学部神経生理学科の研究者。脳の研究をしている。人と関わらないまさに研究者タイプ。康治の後天性サヴァン症候群を生み出す研究を手伝っていた。康治の研究資料を探している人物。
兼岩家
兼岩順子(かねいわ・じゅんこ)- 演:坂井真紀
…手島禎子の妹。伯朗にとっての叔母。子供はなし。姉とは違い専業主婦だったため、幼い伯朗をよく預かっていた。住まいは純和風の一軒家で、手島家の近所。亡き一清の絵は兼岩家に保管している。
兼岩憲三(かねいわ・けんぞう)- 演:小日向文世
…順子の夫。伯朗にとっての叔父。70歳は過ぎている。現役時代は大学の教授(専門は数学)。夏目漱石をまねた白髪まじりのヒゲをたくわえている。明人は小さいころ憲三に数学を教わった。教員を引退後も、数学最大の難問・リーマン予想を研究している。
その他
伊本(いもと)
…小泉の家(禎子の実家)の裏に住んでいる老人。幼少期の伯朗から「イモのおじさん」と呼ばれていた。矢神康治から小泉の家の管理を任されている。愛想がよく腰も低く、禎子の母のよき話し相手になっていた。伊本の母が禎子の母と仲が良く、ご近所として助け合ってきた。
仁村香奈子(にむら・かなこ)
…中学校の元国語教師。専業主婦。フラクタル図形のような絵をアップしたブログの主。サヴァン症候群の絵をネットで探していた伯朗と楓がブログにたどり着き、会いに行く。住まいは横浜で、最寄り駅は東急東横線の東白楽駅。足を痛めているため最寄り駅に伯朗たちが来てくれて会う。矢神康治に対しては父のことでお世話になったと感謝している。
伊藤藤治郎(いとう・せいじろう)
…仁村香奈子の亡き父。元は銀行マンだったが、事故で脳に損傷を受けた。後遺症が残り仕事を辞めた。ある時から奇妙な絵、フラクタル図形のような絵を描き始めた。そんな中で後天性サヴァン症候群の実例を探していて康治が出会った。研究対象して藤治郎の高額な看護費用も出したため、藤治郎の娘からは研究に感謝された。康治の世話になったあと、4年で死亡している。
【危険なビーナス】小説のあらすじ
【危険なビーナス】原作小説のあらすじを結末まで紹介します。
始まりは弟の失踪
物語は、主人公で獣医の手島伯朗(妻夫木聡)が仕事中にかかってきた電話からスタート。
電話の主は矢神楓(吉高由里子)で「初めまして、お義兄さま。」と弟の結婚を知らせます。
伯朗は初耳で驚きました。さらに、「明人君が何日も帰らないんです」と、伯朗の弟・明人(染谷将太)の失踪が判明。
原作ではその後、単行本7ページから同33ページまで、伯朗の生い立ち、家族の回想になります。↓
伯朗(妻夫木聡)の過去
伯朗の父・一清は売れない画家で、伯朗が5歳の時に死亡。
一清は盲腸で入院中、看護師の母・禎子(斉藤由貴)と会って結婚。禎子から絵について声をかけたのがきっかけ。
結婚3年目に伯朗が誕生します。しかし伯朗が2歳のときに脳腫瘍を発症。
一清が描いた最期に着手した未完成の絵は、症状が進行したのか、不思議な図形のような、模様のような絵でした。
「何を描いてるの?」と伯朗が尋ねると、「神様に描かされているのかもしれない」と一清は語ります。
その後。しばらくは母・禎子と二人で暮らした伯朗。
ある日、禎子は伯朗に矢神康治(栗原英雄)を紹介します。やがて二人は結婚。
しかし矢神家はとんでもない資産家でした。その後、伯朗が九歳のとき、弟・明人が誕生。
そのころ伯朗は、謎の親戚の子・勇磨に「弟なんか生まれたらお前は終わりだ。お前の母ちゃんの役目も終わり。いつ追い出されるか」と意味深に言われます。
案の定、矢神家は明人を跡継ぎとして育てるため英才教育。
伯朗は両親の教育方針に反発し、中学受験をせず、公立中学校へ。養子縁組のことも迷う伯朗。
伯朗は、明人と兄弟とは思えないのです。
母は「どちらも私が産んだのよ」と悲しい顔をしたものの、自分の気持ちがおかしいとは思えない伯朗でした。
楓(吉高由里子)と出会い
伯朗は楓とカフェで会います。明人とは数年も連絡を取ってない伯朗。兄・姉・弟がいる楓は兄弟で付き合いがないのはもったいないと嘆きます。
現在の明人はIT関連の仕事でアメリカ・シアトル在住。半年前から先月までシアトルにいて、去年の暮れに結婚。(現在の時制が不明ですが年が明けて冬か春、夏前が現在なのでしょう。服が半袖でない季節ですし、秋だと去年というのは遠いですから。)
明人と楓は結婚したことを伯朗のみならず、矢神家にも伝えていませんでした。
しかし、数日前、伯朗たちの父・康治が危篤だと康治の妹・波恵(戸田恵子)から連絡があり、仕事先のシアトルから二人で帰国したのだそうです。
そして帰国して2日後、今から4日前に書き置きを残して、明人は失踪してしまいました。
謎の書き置き
後日、もう一度、伯朗は楓と再会。楓が伯朗の病院にやって来ました。
助手の蔭山元美(中村アン)は「弟様の奥様、魅力的な方ですね。気を付けた方がいいですよ」と伯朗に忠告。
昨日のカフェにて。楓は明人の書き置きの内容を明かしていました。↓
「ちょっとしたミッションがあるので出かけます。もしかするとしばらく戻らないかもしれない。でも心配しなくていいです。その場合、申し訳ないけど父のお見舞いは君一人で行ってください。よろしく。明人」
しかし、見ず知らずの女が明人の妻として義父の病院を訪ねるのは無謀です。
そこで伯朗は今では矢神家の部外者ですが、康治(栗原英雄)や波恵(戸田恵子)と面識のある伯朗が同行することに。
そして翌日の午後、池田動物病院で待ち合わせて、お見舞いへ行くことになったのでした。
伯朗も十年ぶりとなる康治との面会。
楓はお義母さまを通じて義父と繋がることはなかったのか疑問をはさみます。
16年前、母・禎子は死亡。10年前、伯朗が康治と会ったのは母の法事、七回忌でした。
病院への運転中の伯朗は、事故死と片付けられた母の事故について、助手席に座る楓に話して聞かせます。↓
禎子(斉藤由貴)の事故死
明人は幼少期から極めて高い能力の持ち主だった。数学の感性、空間認識能力も優れていた。この子は天才と誰しも褒めた。
しかし康治は「天才なんかじゃないよ。…明人は秀才。それでいいんだ。天才なんか幸せになれないからな」と語っていました。
弟に嫉妬したわけではないものの、矢神康治の義理の息子である負い目から、伯朗は獣医を目指します。(高校も公立でした。)
人間の医者にならなかったのは、矢神家との縁を切りたい意地…母はそう思っていたものの、伯朗は「俺は俺のやりたいことをするだけ」と語りました。
禎子(斉藤由貴)は自宅ではなく、祖母の住んでいた西東京の小泉という町の家で死亡。
事故死で、死因は溺死。お風呂場の湯舟の中で足を滑らせ転んで、後頭部を強打し、気を失ってそのまま湯舟に沈んだ…と警察は見立てました。
第一発見者は禎子の妹・順子(坂井真紀)。お昼12時頃に発見して通報、康治に連絡しました。
前日、禎子は最近気にしていた小泉の家の荷物の整理に向かったそうです。遅くなったら泊まると言っていたのですが、今日になっても連絡がつかないため、心配した康治が順子に見てもらったわけでした…。
当時、中学生の明人は他殺を疑い、閉まっていた玄関も「合鍵を作ればいい」とつぶやきます。
康治(栗原英雄)との面会
康治(栗原英雄)は、矢神家が経営する矢神総合病院に膵臓癌で入院中でした。
伯朗は明人の妻として楓を波恵に紹介。明人のことは仕事でシアトルを離れられない、と虚偽の説明をしておきます。
ここで新たな事実が判明。2人は入籍をしていなかったのです。伯朗も仰天でした。
康治は会話することはできず、波恵が対応したがやりとりが困難でした。
最後に康治は伯朗を呼んでもらって、伯朗につぶやきます。『明人に、背負わなくていいと…』
この時点では、次期当主である明人に「矢神家を背負わなくていい」といったものだとしか推測できません。やがて矢神家だけでなく、母の事故死のこと、後天性サバン症候群の研究や不思議な絵のことなどを背負う必要はない…という意味も含まれるだろうことが分かってきます。
波恵の提案で、楓の紹介も兼ねて、矢神家の今後を話し合う親族会に、楓も出席することに。
楓に「一緒に出席して」と頼まれた伯朗。はじめは嫌がりますが、遺産相続の話し合いの中に禎子の遺品もあることから、伯朗も出席へ。
帰り道、伯朗はやはり辞退を告げに行こうと考えますが、楓が「明人君の失踪と矢神家は無関係でない」と告げ、監禁もあり得るというため、Uターンをやめました。
伯朗は楓とともに明人の高級マンションへ。
康治と禎子の出会い
玄関の正面にシューズ・イン・クローゼットもあり、中は高級靴やゴルフバッグ。リビング・ダイニングは30畳はある広さ。本格的な音響機器。大理石の8人がけテーブル。マッサージチェア。と色々と高級です。
楓は銀色の蛇の結婚指輪=スネークリングをしています。蛇は縁起がいいと明人が買ったもの。伯朗は蛇の交尾の話しをします。蛇は合体したまま何日も絡み合う、動物の中で最も情熱的な性行為をする生き物だ、オスの精子は何年もメスの中で生き続ける、と。
ますます指輪を気にいる楓でした。
<蛇について>
たしかに蛇は「吉兆」「幸運」「永遠」といった意味が込められ、ヨーロッパでは「永遠の愛」を象徴し、恋人へのプレゼントのモチーフとなっているそうです。しかし旧約聖書創世記では、エデンの園で、蛇はイヴをそそのかして禁断の果実を食べさせた「誘惑する者」「悪の存在」でもあります。
実物に対しても、蛇は気持ち悪い…と感じる人もいる一方、可愛がる方もいます。縁起がいいのか悪なのか、相反する蛇のイメージ。
ドラマで採用されるか未定ですが、スネークリングは楓のミステリアスさを印象付けるアイテムです。
明人の部屋には小泉の家の写真が飾られていました。写真の裏には小泉にある家の鍵が隠されていました。
しかし、小泉の家はすでに取り壊しとなっています。伯朗は更地になった写真を見て確認していました。
次にCDケースに気づいた伯朗。楓が再生すると、不思議な曲が流れました。
これは神経科の医師である康治の元患者が作った曲だといいます。
サヴァン症候群とは、言語や対人関係などの能力に著しい障害が見られる反面、知的分野や芸術分野で並外れた才能を示す症候群のことをいいます。映画『レインマン』でも有名な症候群です。
そして康治と禎子の出会いもサヴァン症候群の研究だ、と楓はいいます。
康治は、とある画廊でサヴァン症候群らしき人物が描いたと絵を見つけ、その絵の画家を問い合わせます。
画家は亡くなっていたものの、画家の未亡人、禎子に会うことができました。
これが2人の出会いだったというのですが、伯朗は父がサヴァン症候群だったなんて信じられませんでした。
兼岩家へ
伯朗は楓とともに叔母の順子(坂井真紀)(母の妹)夫婦に会いに兼岩家へ行きます。3年ぶりの再会。禎子が再婚するまで住んでいた町(都心から電車で数10分)にある兼岩家へ訪れるのは、大学卒業の直後に挨拶に伺ったときなので13、14年前になります。(手島一清と禎子の家は兼岩家の近所で、幼い伯朗はよく叔母さんに預けられました。)
叔母夫婦と会話するうち、明人はよく叔父さんの憲三(小日向文世)に数学を教わっていた話しに。憲三は数学の教授だが、教えるというより、明人は一人で数学の関連書をを読んで勉強していたと言います。
伯朗は叔母夫婦に康治がサバン症候群の研究をしていた件について尋ねます。しかし叔母夫婦2人とも康治の研究については何も知りませんでした。父の絵がサヴァン症候群だというのも、憲三は否定。伯朗の父はおかしいところなかった、と。
兼岩家に保管してある手島一清の絵を見た伯朗と楓。写真のような絵でした。伯朗は幾何学模様のような未完成の最期の絵を知らないか、尋ねます。しかし順子も憲三も知らないと返答。
憲三の言動は虚偽です。憲三は未完成の最期の絵=『寛如の網』を知っています。その価値も。
その後、お酒を交えた会話の中で、楓が今月7日(明人の失踪日)に明人が兼岩家に電話をしたがでなかった…という話をします。順子は出かけていて、憲三は家にいました。
帰り道。あの質問はアリバイ確認だ、と怒る伯朗。楓はいい人たちでも明人の失踪に関係しているかもしれないから、と必要性を訴えます。その日2人は別々に帰りました。
親族会に参加
伯朗は院長との出会いを回想。バイト先でたまたま知り合った院長の手伝いを経て大きな病院で勤務。院長の妻が亡くなったことをきっかけに池田動物病院の副院長として働くことに。そして2年前、院長が脳梗塞で倒れて以来、院長代理になったのでした。
実は伯朗は、池田院長から養子になって病院を継いでほしいと言われていました。手島姓を捨てるのがためらいがあるのか、伯朗は返事を保留にしています。池田伯朗の姓名判断の鑑定結果は凶でした。
伯朗と楓が矢神家での親族会に参加。康治の長妹の波恵以外に六人の男女がいました。(6人の内訳は…康治の次妹の支倉祥子と夫・娘、長弟の矢神牧雄、養子の矢神勇磨、養子の矢神佐代。祥子と牧雄は先代当主・康之介の後妻との間の子)
矢神家は以前に比べてかなり傾いていたものの相応の遺産があり、誰もが遺産を狙っていました。
明人の従妹・支倉百合華(堀田真由)は楓が本当に明人の妻かと疑っていました。百合華は明人とデートにも行き、シアトルにいる明人とも連絡を取っていた仲。そんな百合華からみて、楓のような女性は明人のタイプではないといいます。
康治の共同研究者だった牧雄は康治のものを探していました。伯朗は牧雄に「動物実験も手伝ったんですか」と尋ねます。小学生のときに伯朗は目撃したのですが、牧雄曰く、事実でした。
波恵に言われ、伯朗は禎子の遺品をみる。結婚指輪のほか、家族アルバムもあった。笑顔溢れる家族3人の写真を見た伯朗は一清と禎子に愛されていたと実感します。
一清の絵の写真が収まったアルバムも発見。しかし、最後のページに写真が剥がされた跡がありました。未完成のあの絵です。絵のタイトルには『寛恕の綱』と書かれています。
しかし、実物も見つからず、写真も消えていることに伯朗は疑問を抱きました。そんな中、佐代(麻生 祐未)はそれが禎子の遺品すべてとは限らない、と意味深な発言。
親族会の最後。楓は、康之介の遺産を全て相続したいという明人の意向を一同に伝えます。(これは楓のついた嘘)
動物実験のトラウマ
親族会の後、明人のマンションにて。楓になぜ義父=康治のことをそんなに嫌うのか尋ねられた伯朗。
伯朗はトラウマとなっている動物実験の話しをします。
小学生の頃、研究で泊まり込み中だった康治。彼の勤務する泰鵬大学に禎子が着替えを持っていくため、伯朗も一緒に連れてこられました。控え室で伯朗が一人になったとき、ビデオデッキをさわり、動物実験の映像を目撃してしまいます。
猫の頭蓋骨に穴をあけ、脳に電流を流されている映像でした。しかも帰り際、トイレにて若い研究員が「猫の当番だ」というのを聞いた伯朗。どういう猫なのか質問責めにすると、若者は実験用の猫がいる部屋へ案内してくれました。生気のない眼の猫5匹。伯朗は嘔吐!
これは伯朗のトラウマになり、その後、伯朗は獣医になります。動物にさわると安心する、と伯朗は感じていました。
更地になったはずの家
伯朗はひとりで兼岩家へ行き、母・禎子の遺品を順子にみせます。赤い珊瑚の指輪、真珠のネックレスなど懐かしい品に喜ぶ順子。結局、順子は母の形見でもある真珠のネックレスをもらった。
アルバム3冊があったことも報告。1冊は伯朗の誕生から小学校、2冊目は明人の誕生から中学時代まで、3冊目は手島一清の作品集。…すると、順子は小泉の家のアルバムはなかったのかと聞きましたが、ありませんでした。てっきり康治が持っていると順子は思っていたのです。
小泉の家は更地になった写真が順子や伯朗のもとに送られています。
順子は「こんなアクセサリーで納得しちゃダメ。あの土地がどうなったか調べなきゃ」と忠告されます。土地の相続権が伯朗にもあるからです。
矢神家は強欲だ、の話しから変わり者の牧雄の話しへ。そこからサヴァン症候群の患者の絵について話していると、憲三が興味を示します。その患者の絵がフラクタル図形の一種だったことで憲三は「手書きできるなんて信じがたい」と驚愕します。
それでも伯朗は父・一清がサヴァン症候群の患者だったと思えませんでした。
その夜。楓は勇磨と食事していました。食事のあと明人のマンションに2人がいると知った伯朗は嫉妬し、あわててマンションへ。すると正面玄関から勇磨が出てきて少し言い合いになった。
明人の部屋にて。伯朗は楓に男と寝ても明人の居場所を突き止めたいのか、と憤ります。しかし楓は何でもする覚悟でした。
「明人が…生きていると思うのか」伯朗が暴言を吐くと、楓は伯朗をビンタ!!
この夜はケンカ別れのような形となってしまいました。
その後。引っぱたいた張本人の楓は何事もなかったような笑顔で伯朗と再会。
そして伯朗と楓は共に母の実家の土地=小泉の家の跡地がどうなっているかを調べに向かいます。
すると、取り壊されたはずの家が現存していました。更地の写真は加工されたニセモノだったのです。
茶箪笥から家族アルバムも発見!禎子や順子の写真があります。禎子の子供時代を終えて一定期間は写真が消え、そのあと禎子の花嫁姿、伯朗の子供時代、康治の写真と続いています。
ふいに老人が家にやって来て、侵入者だと思った楓がつかまえました。
その老人は伯朗も知る近所の男性・伊本で、康治に頼まれて家を管理していました。明人もたまに顔を出していたといいます。
しかしなぜ更地の偽造写真を用意してまで取り壊したと嘘をついたのか…。
楓は勇磨の言葉を思い出しました。彼は、明人が禎子から何か高価なものを譲り受け継いだのではないかと疑っていました。
それがこの家に隠されている可能性もありました。
伯朗は母を殺した現場の証拠物件として家を残したのではないか、と推理します。
伯朗は、小泉の家から家族アルバムだけ持ち出しました。
牡蠣の疑惑
小泉の家を出るとすっかり夜。東京に戻って車を置き、どこかで酒を飲みたい気分の伯朗。
助手席の楓はスマホでお店探し。「嫌いなものは?」と聞くと、伯朗はカリフラワーと答えます。
カリフラワーを見ると、頭を開かれた猫の脳を思い出してしまうからです。
西麻布のワインバーにて。楓はシャンパンとオイスター(生牡蠣)のセットを頼みます。
楓は明人と一緒に来るとまず頼んで、牡蠣を食べながら次の料理を考えるといいます。
伯朗は疑問に思います。昔の明人は牡蠣が気持ち悪くて苦手だったからです。
しかし好みが変わってもおかしくない、と伯朗は自分に言い聞かせました。
食事しながら会話するうち、矢神邸で見たサヴァン症候群の患者が描いた絵はフラクタル図形だ、と憲三に指摘された話しになる。
「サヴァン症候群の患者ってすごいんですね」と楓。
伯朗が「みんなじゃない」と言うと、楓はスマホを取り出し、サヴァン症候群の患者でフラクタル図形の絵を描いた人は他にいないか調べます。
すると専業主婦のブログに似た絵がアップされていました。描いたのは主婦のお父さんでした。
その人は突然、絵に目覚めたものの、数年後に病気で亡くなっていました。
ブログ主への連絡は伯朗がすることに。
食事後、伯朗はひとりで矢神佐代が経営する銀座のクラブへ…。
佐代(麻生祐未)のクラブへ
伯朗は佐代の経営するクラブに行き、「気を付けた方がいい。それが貞子さんの遺品のすべてとは限らない」と先日言われた言葉の意味を問います。
佐代は、矢神家は沈没寸前の経済状況のため火事場泥棒にならないと限らない、という意味だと説明。
伯朗は質問を終え帰ろうとしたとき、突然ひらめきます。そしてクラブが営業時間終了のため、近くのバーで佐代と別の話しをするのでした。
話しは小泉の家にあるアルバムの話しに、アルバムに、学生時代の禎子が友人と写っている写真がありました。その友人が佐代であることに伯朗は気が付いたのです。
禎子と佐代は同級生で、高校3年の時に同じクラスでした。よく一緒に遊んだそうです。
同窓会で佐代は禎子に再会。すっかり年を取り、禎子は画家の妻、佐代は(矢神康之介の)愛人の身でした。
伯朗は、母と康治の出会いが画廊で亡き一清の絵を見て、一清の妻・禎子と出会ったと聞いていました。
しかし、母の高校時代の同級生が康之助(=康治の父)の愛人…偶然にしてはできすぎています。
佐代は、一清の絵が母と康治の馴れ初めというのは作り話しだと言います。
そして真実を語り…。↓
禎子と康治の本当の出会い
同窓会で再会した後、佐代と禎子はよく会うようになりました。
ある日。禎子は一清が脳腫瘍の影響で、しばしば錯乱状態になることを佐代に打ち明けます。
ヒドイときには暴れて、禎子のことも分からなくなる状態でした。
佐代がそのことを康之介に話し、康之介は康治に任せることを提案しました。
当時、康治は脳に電気を流して精神的な疾患を改善したり、痛みを和らげる研究を行っていたからです。
禎子もぜひ一度治療させたいと承諾。そして泰鵬大学で特別な治療がなされました。
その結果、一清は錯乱しなくなり退院。しかし実は急速に脳腫瘍が悪化し、数年で死亡。
康治は自分の治療が死期を早めたのではないかと悩みます。
禎子は「そんなことない。たとえそうでも平穏な時間を与えてもらった」と感謝しました。
伯朗は疑問に思います。なぜ父・一清の治療や母と康治の出会いを隠したのか?
理由は2つあると佐代は話します。
理由(1)一清が生存中に禎子と康治の出会いがあったとすれば邪推する人がいるから。例えば、禎子と結婚したいがためにわざと一清の死を早めた、と。
理由(2)康治の行った治療それ自体を隠しておく必要があったから。治療と認められてない、いわば研究の一環の実験、人体実験というべきものだったから。
佐代は、康之助の名誉欲が始まりで、一清の治療を康治に任せたのも実験の機会を与えたかったからだと話します。
康治が禎子と結婚した心境(=実験対象の妻と結婚した心境)を伯朗が尋ねると、
「贖罪などではないと思いますよ。一人の男性を救おうと協力し合った男女2人が男性の死後に惹かれあうのは自然だった」と佐代はいいます。
実験はその後、人に対しては行われなくなったそうです。
その後、禎子は佐代に対して、「康治さんからすでに『貴重なもの』を貰っている」と話していました。
佐代はそれを「幸せな家庭」と解釈しましたが、禎子はこう続けました。『貴重過ぎて手に余るものだ』と。
伯朗は、質問を変えて、矢神家の養子になったのが乗っ取り目的なら、「明人は邪魔ですね」とさぐりをいれます。
佐代は明人は義理の甥だから邪魔者ではない。それより楓は「ただ者でない」と伝えます。
楓に言いくるめられる伯朗
伯朗は、楓みつけたブログの主にメールを送ります。
その後、楓とともに矢神総合病院へ。
移動の車内の中で、2つの問題を話しあう伯朗と楓。
(1)佐代が楓は何者かと怪しんでいる。
(2)支倉百合華(堀田真由)も怪しんでいて、明人の行方を調べた件。
…明人と楓の結婚が信じられないため各方面に問い合わせた百合華。すると、明人の結婚を友人の誰も知らないことが判明。百合華はあやしく思っている。
楓は…誰からもお祝いの品が来ないので変だと思っていた。明人は誰にも知らせなってなかったんですね。サプライズ狙いかな。友達に話してないのはシアトル行きで忙しかったのかな…と話す。
伯朗は楓の言い方が自然だとも、言いくるめられているとも感じます。
楓は潜入捜査官なのですが、口も達者なようです。しかしどうみても、しどろもどろな言い回しの受け答え。「色ボケ・伯朗しっかりしろ!」と言いたくなります。ドラマでは楓役の吉高由里子さんが飄々(ひょうひょう)とかわしそうです。
康治の謎の言葉
矢神総合病院にて。伯朗は、波恵(戸田恵子)の付き添いがある中、康治と2回目の面会。
楓は病院へ電話をして波恵を(ナースセンターに)呼び出します。
室内で伯朗と康治は2人きり。伯朗は懸命に質問します。小泉の家を取り壊したとなぜ嘘をついたのか。母の禎子に何をあげたのか。貴重な何かとは?
寝たきりの康治は弱々しい声で告げました。
「明人、恨むな…」と。伯朗にはそう聞こえました。
伯朗は母を殺害した犯人を「恨むな」という意味なのかと推測しますが…。
天才脳を作りだす「後天性サバン症候群」の研究
伯朗のもとにブログを運営する主婦から返信のメールが!
伯朗は連絡をとりあい、楓と二人でブログ主に会いに行きます。
女性の名は仁村香奈子。亡き父親の名は伊藤藤治郎。
藤治郎は、居眠り運転で電柱に激突した事故で脳に重度の損傷を受けました。
歩行や記憶に後遺症が残ったものの、ある日、突然描いたのがブログにあった絵でした。
その絵はフラクタル図形ではないかと知り合いの建築家に指摘されます。
藤治郎は元銀行員で、芸術とは無縁でした。
それなのにこんな絵を描くのは「気味が悪い」と香奈子の母が藤治郎を病院に通わせます。
担当医は絵の原因が分かりません。しかし、その話を聞きつけた康治が声を掛けてきました。
康治は世界でも知られていない『後天性サヴァン症候群』の研究を行っていて、同様の患者を探していたといいます。
香奈子は、康治が藤治郎を研究対象として世話をしてくれて、高額な看護費用も払ってくれて、感謝していました。
脳の検査などで研究対象となった藤治郎は、その後、4年で死亡。それでも香奈子は感謝していたため、遺作の絵を康治に渡したといいます。
『後天性サヴァン症候群』の研究対象として、音楽の才能を発揮した方もいたそうで…
伯朗は明人の部屋で聞いた「不思議な曲」だと確信します。
康治は藤治郎の葬儀にて香奈子に会った際、「自分の仮説が証明できそうだ。画期的な発見かもしれない。」と言っていたそうです。
康治の〈自分の仮説〉とは何でしょうか。
康治は一清への脳の治療で、副作用としてサヴァン症候群を発症しました。
そのため、康治は人工的に天才脳を作り出す、いわゆる<後天性サヴァン症候群>の研究を続けていました。
しかし葬儀で証明できそうだと言っていたにも関わらず、康治はこの研究を発表していません。
それどころかすでにやめています。なぜなのでしょう。
帰り道。楓は<後天性サヴァン症候群の研究記録>が残っていれば、大きな価値があると気付きます。
伯朗も同感で、学者の牧雄を訪ねてみようと決心。
楓はウキウキしていた。伯朗は明人の行方がいまだ分からないことを指摘。
楓はできることを精一杯やる手順が大切、という持論を述べたあと、「お義兄だけが様頼りです」と伯朗に感謝します。
キスシーンのような雰囲気になったものの、クラクションが鳴りお預け。
伯朗は、楓の薬指のスネークリングを思い出します。
蛇は生殖器が2つあるため1匹のメス(≒楓)に2匹のオス(≒明人と伯朗)が交尾することもある、と変なことを考えては打ち消そうと自身に言い聞かせました。
スネークリングが登場するのは2回目です。弟の妻と交尾しようと考えるなんて、伯朗!なにしてるんだ!とツッコミたい場面です。(笑)
勇磨(ディーン・フジオカ)が協力者に!
伯朗は陰山元美に病院を任せて急遽、ブログ主に会いに行ったため、病院へ戻る。
問題はなかったが医師不在のため急患の対応ができず元美は不満。伯朗は「二度としない」と伝えた。
夜。楓は勇磨に呼ばれ会いに行く。その後、翌日になっても連絡が取れず伯朗は心配します。
元美は「先生は惚れっぽいんです。」と伯朗の性質を指摘。
…私(元美)のことが好きだったのはバレバレだったし、楓もタイプだから好きになるはずと元美は予想していました。
伯朗は、明人の失踪を元美に打ち明けます。元美は事情を理解し安堵。
楓と連絡が取れて20時すぎに池田動物病院で待ち合わせ。
しかし楓とともに勇磨もやってきました。
勇磨は伝手をたどり、明人がすでに帰国していると知ってしまいました。
それで楓は、全て(小泉の家の現存、禎子と康治の出会い、禎子と佐代が同級生、康治の画期的な研究など)を勇磨に打ち明けました。
こうして勇磨は、楓の正体をバラさないことを条件にして、康治の研究資料探しの協力者に!
勇磨は康治の研究にビジネスの可能性を感じていたため協力することにしました。
研究資料の存在
伯朗・楓・勇磨たち三人は、後天性サバン症候群の研究について牧雄に聞きます。
康治は治療の副作用で手島一清が奇妙な絵を描き、サバン症候群の能力を持ったと気付きました。
脳への電気刺激で意図的にサヴァン症候群を引き起こし、知的障害を抱えない、画期的な発見でした。
しかし康治はデータを取れる対象の一清の死亡で、人間への施術は見合わせることに。
研究は動物実験となりました。伯朗が目撃したのは、その時の猫への実験のこと。
しかし動物は絵や音楽などの活動をしません。
天才脳の獲得の有無を確認できず、成果を得られませんでした。
康治は別の方法、後天性サバン症候群の実例捜しを進めます。
伯朗は、ブログ主の父の葬儀で「仮説が証明できそうだ」と康治が言っていたのに未発表なのはなぜか、牧雄に尋ねてみますが、牧雄も知りませんでした。
しかし研究のデータは今も残されている可能性がある…と分かった伯朗たち三人。
小泉の家の捜索は楓と勇研が明日することにして、伯朗は予定を調べ連絡することにして一度解散。
家探しへ
夜23時前。伯朗は兼岩家へ行き、順子にアルバム(=小泉の家で発見した禎子と順子のアルバム)をみせました。(憲三は別の部屋で寝ていました)
ついでを装い、小泉の家に隠し場所がないか聞いてみます。しかし順子は知りませんでした。
深夜。伯朗は明日休めないため徹夜で調べる気になり、楓の住む明人のマンションに向かいます。
すると、そこには勇磨もいました。「二人で何をしてた!」怒る伯朗。
ですが、今はそれどころではなく、三人は小泉の家に行くことに…。
すると、勇磨が「後天性サヴァン症候群の研究」という資料を発見!?
しかし伯朗は以前確認したはずの天井裏から見つかったことを不思議に思います。
目的のものが見つかり一同は車で帰りました。車は2台。伯朗と楓が一緒、勇磨はひとりです。
伯朗は突然閃いて、楓と引き返します。すると家の電気が灯っていました。
チャイムを押して家に入ると、そこには順子の夫・憲三(小日向文世)が!
真犯人
研究資料を持っていたのは憲三でした。
今夜遅く、伯朗が順子に話したことを立ち聞きしていた憲三。
憲三は実家のアルバムがあることから小泉の家が今も残っていることを初めて知りました。
隠し部屋を知りたい伯朗の言葉から研究資料を探していることも推理しました。
そこで先回りして研究資料を屋根裏に置き、伯朗たちが帰るのを待っていたのです。
憲三の目的は、一清の『寛恕の綱』を手に入れることでした。
憲三はかつて一清から頭の中に奇妙な図形が浮かぶと相談されたことがあります。
一清は「ウラムの螺旋」という図形を見て神の啓示を受け、『寛恕の綱』の制作に取り組んだそうです。
ウラムの螺旋(もしくは素数螺旋)とは、自然数の連番をらせん状・長方形の格子状に記入し、そのうち素数の値だけに印をつけた図。その図は微妙な規則性も感じさせる不思議な絵になる。1963年、数学者のスタニスワフ・ウラムによって発見された。
危篤状態の康治が「明人、恨むな」と言ったのは「明人、ウラムの…」と言ったのだろう、と憲三。
数学者の憲三は、一清の最期の絵『寛恕の綱』が大変な宝だと分かっていました。
『寛恕の網』を解明すれば「素数と何か」という数学最大の謎が解かれ、長年の難問リーマン予想さえ決着がつくほどの真理が描かれている、と!
しかし『寛恕の綱』は行方不明になってしまいました。
しかし十数年後、憲三は明人から『寛恕の綱』の写真を見せられて驚きます。
写真の日付が一清が亡くなった時よりも後だったため、絵が残されている、禎子が隠しているのではと考えました。
16年前。憲三は小泉の家に忍び込み絵を探したものの見つからず、代わりに研究資料が見つかります。
ある日の家探し中、不審がってやってきた禎子に遭遇してしまいました。
「やっぱり憲三さんだったのね」禎子は電話機を取り出し、順子に不法侵入を報せ、絵も燃やす、と告げます。
憲三は冷静さを失い、禎子ともみ合った上、脳しんとうを起こさせます。
そこで、憲三は人間として許されない行動にでます。
禎子を助けるのではなく、その場から逃げるのでもなく、風呂場での溺死と見せかける偽装工作をしました。
全ての真実を告白した憲三は家に火をつけ、自殺を図ります。
しかし、楓が憲三を背負い、伯朗と一緒に避難。が、伯朗は燃える家の中に戻ります。
祖母の家に遊びに来た時、空気銃で襖を穴だらけにした禎子に怒られてことを思い出し…
「もしや」と思い襖を破ると、中に『寛恕の綱』が現れます。が、火は迫っていました。
「絵なんかどうでもいいじゃないか。逃げよう」
そう言って伯朗を助けたのは弟の明人でした。
楓の正体!
警察署にて。明人の口から真相が明かされます。
明人がシアトルから帰国すると警察が待ち受けていました。
明人は自分のことを拉致監禁しようとする人物がいる、と教えられます。
それまでの経過はこうです。
- 警視庁サイバー対策課が、拉致監禁してくれる人物を募集しているネットがあると掴む。
- 警察は首謀者を捕まえるために、仕事を請け負うふりをして接触。
- ターゲットが明人だと判明するも、首謀者はしっぽを出さない。
- しかも計画が満足いくなら仕事を依頼すると言ってきます。
- そこで詳細な計画を送り承諾をもらいます。
問題は首謀者をどう捕まえるか。
警察は、実際に明人の拉致監禁を偽装して相手の出方をうかがう作戦を立てます。
この首謀者とは、憲三(小日向文世)のこと。
明人は拉致監禁の狂言に協力する条件として、禎子の事故死の再捜査を依頼しました。
物証がないため、内部深くまで入り込む必要があり、警察は潜入捜査を決断。
そこで楓が潜入捜査官になり、明人の妻に扮して、矢神家に入り込むことに!
・・・つまり明人は独身で警察の協力者、楓も警察の人間だったのです。
勇磨がシアトルに現地調査し、明人と新妻が帰国したことを掴んだというのは嘘。
勇磨が掴んだのは明人の独身。
そして楓に詰問してきたので、楓は潜入捜査が暴露されたときの2つの方法、
1:姿を消す、2:相手に協力を求める…のうち後者を選択。
潜入捜査を打ち明けられた勇磨は、明人と楓に協力することに。
夜遅くに楓と勇磨が明人の家にいた日、明人も家にいて3人で相談中でした。
伯朗が乗り込んできたとき、明人はシューズ・イン・クローゼットに隠れていたといいます。
明人は、伯朗の2つの疑問に以下のように明かします。
●小泉の家を保存していた理由は…殺人の立証の物件の保存のため。ただし父・康治にとっては、あの家に妻の大切なもの=『勘恕の網』が隠されているからという意味もありました。
●家の存在を隠していた理由は…小泉の家を取り壊したことにして『寛恕の綱』を狙った犯人の油断を誘うため。
楓は捜査を進めるため、伯朗だけに家の存在を知らせ、康治のサヴァン症候群の研究を知らせる仕事をさりげなくしていました。
伯朗は初めて明人のマンションに行ったとき、「不思議な曲」=後天性サバン症候群の患者の音楽を聴かされたこと、「小泉の家の写真」の中にその家の合い鍵があったことを思い出し、納得しました。
明人の説明の後、伯朗は楓と二人きりになり、「ごめんなさい」と謝られました。
もう楓の薬指に指輪はありません。
楓は、指輪はキャラクター作りの道具ですべて芝居だったといいます。
伯朗は明人を心配して楓が涙したこと、「明人が生きてると思うのか」と言った伯朗をビンタしたことまで演技とは思えません。
楓はなりきっていたといいます。それが潜入捜査官として疑われない最良の方法だったからと。
結末
矢神康治の葬儀にて、明人が後日談を伯朗に明かします。
「後天性サヴァン症候群の研究資料は、商売に利用したい勇磨に断念させ、発表を見送り。明人が保管することに。人間には踏み込んではいけない領域があると明人は判断しました。
康治が「明人に、背負わなくていいと…」と言った理由は、明人にこの絵のことを背負わなくていいと伝えたかったのだろうと明人。
明人は「たしかに重すぎる」とあの絵の不思議な魔力については感じていました。
(ちなみに絵は跡形もなく焼失しました。)
明人と勇磨は矢神家を二人で立て直すことになり、明人と百合華も良い雰囲気です。
後日。伯朗は院長の養子になり、池田動物病院を継ぐことを決断。
そんな中、楓がミニブタを連れてきて動物病院を訪れます。
彼女は座りながら声を掛けます。「ハクちゃん。これから長い付き合いになるからよろしくね」そう言って、ウインクして、肉感的な足を組み替えるのでした。
まとめ
以上、【危険なビーナス】小説の登場人物とあらすじを紹介してきました。
いかがでしたでしょうか。
あっと驚く結末でしたか。それとも、やっぱり!?
潜入捜査は珍しいですし、一般人の事件にいちいちこんな潜入するのだろうか、とリアリティを気にすると賛否分かれると思いますが、謎の失踪、疑惑の事故死、遺産相続の争い、人体実験、不思議な絵、取り壊されたはずの家など魅力的な要素が詰まっていて、楽しめる作品だとは思います。
もちろん伯朗が翻弄されていたように楓のミステリアスさが本作のキーポイント。
ドラマでは吉高由里子さんがどのように演じてくれるのか楽しみです。
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