【顔・松本清張】原作ネタバレとあらすじを結末まで!

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【顔・松本清張】原作ネタバレとあらすじを結末まで!

松本清張の短編小説【顔】のネタバレとあらすじを結末まで紹介します。

昭和を舞台にしたふたつの顔を持つ男の殺人計画を描く松本清張のサスペンス。

ドラマや映画にもなっている【顔】の原作となります。

【顔】ドラマのキャストと相関図

松本清張短編集【なぜ「星図」が開いていたか】 (新潮文庫) 収録の短編小説【顔】のネタバレです。

目次

【顔・松本清張】原作の登場人物

「顔」(かお)は、松本清張の短編小説で『小説新潮』に掲載。のちに短編集『顔』に収録され、以後、多くの短編集に掲載されています。
これまで映画やドラマに幾度となく実写化されている作品です。

登場人物

井野良吉…ニヒルな顔立ち。東京の劇団「白楊座」に所属する俳優。

石岡貞三郎…九州の八幡に住む。電機工場に勤める。島根県が郷里で井野とミヤ子がいるのを目撃している。

山田ミヤ子…八幡市の大衆酒場「初花酒場」の女給。

田村…刑事。ミヤ子殺害事件の担当。

石井…映画監督。

【顔・松本清張】原作のあらすじ

劇団「白楊座」に所属する井野良吉に映画出演の話が舞い込んだ。これは大きなチャンスだ。しかし、井野良吉には『顔』を公にするのに困る過去があった。
9年前。井野良吉は山田ミヤ子を殺害していたのだ。この時、ミヤ子を知る男・石岡貞三郎に顔を見られている。以来、石岡の存在が井野良吉を怯えせてきた。
井野良吉は、売れたい願望を抑えきれず、石岡の殺人計画を企てる。

【顔・松本清張】原作のネタバレ

【顔】の原作・松本清張の短編小説は、主人公の井野良吉の手記と石岡貞三郎の目線の両方から描かれています。
ここでは時系列でネタバレします。

殺人事件

9年前。
井野良吉は、山田ミヤ子から妊娠を告げられた。堕ろしてほしい言う良吉に対して、ミヤ子は子どもを産むと言う。
酒場の女との結婚など考えてもおらず、俳優の道を志す良吉にとって、ミヤ子は足手まといに。そこで、良吉はミヤ子を旅行に誘い島根県邇摩(にま)群の山中で絞殺。ほどなく遺体は発見されたが、ミヤ子と良吉の関係は誰も知ることがなく疑われることはないはずだった。八幡から下関まで、電車に乗るさいも常に離れた場所に座っていた良吉は完璧だと思っていたが、ひとつだけミスを犯していた。
山陰線の汽車の中、1度だけミヤ子と並んで座ったことがあった。この時、ミヤ子が客である石岡貞三郎と偶然に会い声をかけたのだ。
窓際に座る良吉は煙草を吸いながら石岡に顔を見せないようにしたのだが…。
新聞にはミヤ子とともに汽車に乗った男がいると報道された。ただ、それが良吉だと知られることはなく時が過ぎた。

この事件以来、良吉は石岡の動向を興信所に調査を依頼し1年単位でその報告を受けていた。石岡が引越しをしたこと、仕事先、結婚のことまでも把握していた。

二つ目の殺害計画

現在。
良吉が世に出る大きなチャンスが訪れた。石井監督から映画のオファーが来たのだ。
良吉は迷うも、このチャンスを掴もうと決意。石岡を殺害しようと計画を練る。

殺害計画
・殺害場所は比叡山。
・青酸カリを飲み物に入れる。

良吉はミヤ子の親戚・梅谷利一だと名乗り、石岡に手紙を出す。
犯人らしき人物がわかりその顔を確認して欲しいという内容だ。そこには4千円の偽為も同封。
待ち合わせを京都にし、手紙も京都から送る。すべて用意周到に行った。

思わぬ再会で急展開

一方、実は、石岡は良吉の顔を全く覚えていなかった。忘れかけていた事件のことを蒸し返す手紙を受け取った石岡は、事件の時にお世話になった田村刑事に手紙の相談を持ち掛ける。
田村は、石岡の引越先の明確な住所までを知る梅津に対して不信感を覚える。
そこで、石岡に田村ともう一人の刑事が京都に同行することに。

京都に行き、待ち合わせ時間まで間があった石岡らは名物の「いもぼう」を食べようと食堂に入った。

【顔・松本清張】原作の結末

良吉は食堂に入り「いもぼう」を食べていた。そこに石岡が刑事と入ってきた。良吉は石岡に顔を見られ動揺する。しかし、石岡は何も感じていない様子。
ここで良吉は石岡が自分の顔を覚えていないと確信。良吉は待ち合わせには行かず、東京に戻った。

こうして、良吉は映画に出演。華やかな世界に身を置くことになった。

石岡は待ち合わせに来ない梅津のことを不思議に思いながらも時を過ごす。そして、良吉の出演する映画「赤い森林」を観る。
この時のワンシーンが石岡の記憶をよみがえらせた。

それは、汽車に乗る良吉が煙草をくわえ窓の方を見ている横顔だ。

石岡は良吉がミヤ子といた男だと気づき、警察へと走る。

<完>

原作はここで完結しています。
良吉が記者会見を開いたり、ミネ子が妊娠していなかったという内容は原作では描かれていません。

【顔・松本清張】原作のまとめ

小説【顔】の舞台は昭和です。まだ乗り物(原作では汽車)の中で煙草が吸える時代なので、それがキーポイントになっています。現代では考えられないことですが、犯人の心理描写が細かく描かれ楽しめる作品です。
主人公の良吉は俳優という華ある『顔』と殺人を犯すことを悪びれない闇の『顔』を持っています。ヨシ子を殺したことに反省の言葉はなく、それが当然のように記されています。同情のできない男です。良吉は、映画にさえ出なければ、有名な俳優にさえならなければ、逃れ生きることができたでしょう。ただ、現代ではこのような安易な殺人はすぐに見つかってしまうのではないかと思います。
2024年には武井咲さんと後藤久美子さんでドラマ化になります。現代に置き換えた【顔】。どう描かれていくのか楽しみです。

記事内画像:【顔】公式サイト、Amazon

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