【ドリームシナリオ】元ネタは“This Man”?アスター×ボルグリの悪夢を考察
映画【ドリーム・シナリオ】が、2024年11月22日(金)に公開されます。
原題は【Dream Scenario】。
自身もネットミームのネタにされてきたニコラス・ケイジが“バズってしまった”主人公、ポール・マシューズを演じます。
監督は、前作【シック・オブ・マイセルフ】でもネット社会の闇を描いた、クリストファー・ボルグリ。
本記事では、【ドリームシナリオ】の元ネタや考察などについて書いていきます。
映画【ドリームシナリオ】の元ネタ?『This Man』とは
This Man(ディス マン)とは、2009年ごろから起こったインターネット・ミームの一つで、2千人を超える世界中の人々の夢の中に繰り返し現れるものの、現実では決して姿を現さないとされる謎の人物を指す。
引用:Wikipedia/This Man
「見たら死ぬ」とうわさされる“この男”。
一度見ると妙に印象にのこり、今夜夢で遭遇してしまいそうな、不思議な引力をもった表情です。
検索は自己責任で!
この都市伝説は世界中で作品化されており、日本でも2024年6月に、その名も【THIS MAN】という映画が公開されています。
映画【ドリーム・シナリオ】は、ボルグリ監督のオリジナル脚本ですが“他人同士の夢に1人の男が登場する”という設定は、ディスマン伝説と無関係ではなさそう。
ボルグリ監督は、他にも脚本執筆に際しユング心理学のなかの集合的無意識という概念もとりいれたのだそうです。
映画【ドリームシナリオ】作り手について
キャスト・スタッフ
脚本・監督 | クリストファー・ボルグリ |
キャスト | ニコラス・ケイジ ジュリアンヌ・ニコルソン リリー・バード ジェシカ・クレメント ほか |
・脚本/監督は、2022年にリリースされた前作【シック・オブ・マイセルフ】が衝撃的だった、ノルウェーの新鋭クリストファー・ボルグリです。
・主人公ポールを演じるのは、1982年の銀幕デビューから常に第一線で活躍し、デヴィッド・リンチ監督【ワイルド・アット・ハート】のようなカルト作からマシュー・ヴォーン監督【キック・アス】のような大作、本作のようなインディーズ作と幅広く出演するニコラス・ケイジ。
プロデューサーのアリ・アスターとは?
本作【ドリーム・シナリオ】のプロデューサーを務めるのは、【ヘレディタリー/継承】での鮮烈な監督デビューから【ミッドサマー】をリリース、大ヒットを勝ち取ったアリ・アスターです。
【ヘレディタリー/継承】【ミッドサマー】ともに、気が遠くなるほど緻密な設定や美術が特徴。
考察しだすと迷宮入り確定な作品群は、数多のリピーターを生み“アリ地獄”を生成しています。
それでいて、べつにテキトーに観ても面白いからすごい!
アスター監督の私情を反映させたこれらの作品では、常に親と子というミニマムな関係がいびつに描かれます。
2023年に公開された最新作【ボーはおそれている】では、過去2作よりも親子関係の闇に切りこみ、「お母さん大嫌い」というアスターの叫びによって至極難解な作品に。
「ひどい」「意味不明」と酷評が目出ち、アスター映画としては興行もふるいませんでしたが、それも強い作家性がゆえでしょう。
「観客を不安な気持ちにさせたい」と語るアスターが、本作、そして次作と続けてバックアップするのが、新鋭クリストファー・ボルグリ監督なのです。
クリストファー・ボルグリ監督とは?
日本では2023年に公開された映画【シック・オブ・マイセルフ】の監督であるクリストファー・ボルグリ。
承認欲求を抑えられず、注目を集めたい一心で自傷行為を繰り返す主人公を、痛々しく切り取った衝撃作です。
グロテスクな題材と、カラフルかつポップな美術・デザイン・衣装の対比が、今回のA24での製作につながったのでしょう。
今さら聞けないA24とは?
アリ・アスター監督作のほとんどを配給している製作・配給会社です。
A24はハーモニー・コリン監督【スプリング・ブレイカーズ】などの配給によって成長をはじめた、アメリカの配給会社です。
エモい・おしゃれ・かわいい、そして独創的な作品を多く有し、独自のセンスで知名度をあげました。
アスター作品のほかにも、ヨルゴス・ランティモス監督【聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア】や、デヴィッド・ロウリー監督【A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー】といった優れたホラー作家の作品を多く配給。
ホラー以外にもマイク・ミルズ監督【20センチュリー・ウーマン】や、ショーン・ベイカー監督【フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法】などのヒューマンドラマも輩出しています。
近年はヴァルディマル・ヨハンソン監督【LAMB/ラム】とか宗教・神話系も多いイメージ
制作費の大小にかかわらず、良作を配給し続けるA24。
年々成長を遂げ、毎年多くのヒット作を送り出している会社です。
A24=おしゃれというイメージがひとり歩きして、最近では会社自体のロゴグッズも目にするようになりました。
アスター×ボルグリに共通する作家性を考察!
この項は【ボーはおそれている】【シック・オブ・マイセルフ】両作の重要なネタバレをふくみます!
ボルグリ監督の前作【シック・オブ・マイセルフ】は、「とにかく注目されたい」という思いに憑りつかれた主人公・シグネ(演/クリスティン・クヤトゥ・ソープ)が、体に重篤な副作用をもたらす薬をオーバードーズする物語。
次第に、薬によって皮膚が剥がれ落ち、髪は抜け落ち、内臓にも問題が起きはじめるシグネですが、当の本人は「皆が私の姿に注目している」と嬉々としているのがおそろしい作品です。
アスター監督の前作【ボーはおそれている】の主人公・ボー(演/ホアキン・フェニックス)も、対人関係に問題を抱えています。
母親の呪縛から逃れられない中年男性・ボーが、ある日突然死した母の葬儀に出席するため故郷をめざす物語。
しかし、ボーの旅路は奇妙な事件の連続で、ボーはなかなか実家にたどり着くことができないのです。
↑この公式キャプションも本編とリンクしてる…アリアスターこだわり爆
両作に共通するのは、制御できない自分というテーマ。
誰かに与えられた恐怖、得られなかったものへの執着、そして激しい怒りと自己批判。
人物の奥深くへともぐり、内臓をえぐり出すような人物描写は、観客の心に傷あとを残します。
トラウマ体験となる映画製作こそが、アスターとボルグリの共通項。
【ドリーム・シナリオ】での新たなトラウマ体験が楽しみです。
【ドリームシナリオ】の映画情報
【ドリームシナリオ】グッズ
Tシャツやキャップ、セットアップなどポップなデザインのキュートなグッズがたくさん!
クリストファー・ボルグリ作品は、グッズのかわいさも魅力のひとつです。
ちなみに筆者はシック・オブ・マイセルフグッズを当時買い占めました
パンフレットもインテリアに映えそうな、まさにA24仕上げ。
映画館でゲットしてください!(館によって取り扱いグッズが変わります)
また、古着屋『ウェーバー(weber)』が期間限定で展開する【ドリーム・シナリオ】コラボアイテムも!
【ドリームシナリオ】年齢制限
G(全年齢の観客)鑑賞可能です。
R指定当たり前のアリ・アスターがプロデュースとなれば、気になるのは年齢制限では。
【ドリーム・シナリオ】はどなたもご覧いただける作品です。
【ドリームシナリオ】上映館
【ドリームシナリオ】元ネタ・考察まとめ
ニコラス・ケイジ本人も手ごたえバッチリな様子の【ドリーム・シナリオ】。
A24印のついたボルグリ作品との出会いが待ち遠しい!
皆さまも、ぜひ劇場へ足をお運びください。