【誰かがこの町で】ネタバレ&あらすじ!犯人と結末を佐野広美原作小説から徹底解明!

原作小説【誰かがこの町で】を江口洋介主演でドラマ化!

江戸川乱歩受賞後作品となる佐野広美による本作は、王様のブランチでも紹介され話題になった同調圧力をテーマにした社会派ミステリー作品です。

主人公の真崎が一家失踪事件を追うことで過去の誘拐事件の真相が浮き彫りに!
あらゆる点と点が繋がる仰天のラストは?

【誰かがこの町で】の原作のあらすじ・ネタバレ・犯人・失踪事件を結末まで紹介します。

目次

【誰かがこの町で】の原作は小説

【誰かがこの町で】(だれかがこのまちで)の原作小説は、2022年に刊行された佐野広美さんの作品です。

「安心安全」をモットーとした鳩羽地区を舞台にした「町ぐるみ」の犯罪を描く物語です。
集団に染まることの恐怖と止められない犯罪心理を赤裸々に描いています。

佐野広美(さのひろみ)

・1961年横浜生まれ。

・佐野広美さんは、過去に島村匠の名で松本清張賞を受賞。2020年に【わたしが消える】で江戸川乱歩賞を受賞し再デビューを飾ります。【誰かがこの町で】は受賞後第一作目で「面白い」と話題になった作品です。

・作品:【シャドウワーク】【戦火のオートクチュール】など。

【誰かがこの町で】のあらすじ

主人公は法律事務所の調査員・真崎雄一。
ある日、養護施設で育った望月麻希が失踪した家族を捜して欲しいと事務所を訪れます。依頼を受けた真崎は、麻希が生まれた町である高級住宅街・鳩羽地区へと足を運びます。だれもが羨むその町は、実は過去犯罪をも揉み消すような同調圧力が渦巻いていました。
真崎と麻希が家族を捜す中、麻希の家族失踪事件が誘拐殺人事件と繋がりを見せていきます。
さらに次なる殺人事件が発生し…。
安心安全な町でいったい何があったのか?
真崎と麻希が旅館主の近藤らの協力を得て犯人にたどり着きます。

注意:ドラマは鳩羽地区が福羽地区となっています。

【誰かがこの町で】の犯人はひとりじゃない!

【誰かがこの町で】の舞台となる鳩羽地区では3つの殺人事件が起こります。

●「少年誘拐殺人事件」
●「一家失踪事件」
●「老女殺人事件」

3つの事件は繋がりがありますが、犯人はひとりではありません。

●「少年誘拐殺人事件」
鳩羽地区にすむ当時5歳の少年が殺された事件です。犯人は、この地区の長である菅原の息子です。
●「一家失踪事件」は「誘拐事件」から数年後、19年前に起きた麻希の両親と兄が失踪した事件。
失踪したと思われていた家族は殺されていました。犯人は延川ら鳩羽地区の住人。
●「老女殺人事件」は現在。
誘拐され殺された少年の母である木本千春が殺されます。犯人は延川善治の指示によるもので鳩羽地区の住人ら。

3つの事件は一見バラバラですが、実は「町全体」の犯罪であるという恐ろしい結末になっています。

以下にて詳しいネタバレを紹介します。

【誰かがこの町で】ネタバレ・第1章

誘拐事件と失踪事件

弁護士・岩田喜久子のもとに望月麻希と名乗る女性がやってきた。

喜久子は麻希の母・良子と大学の同級生。19年前に望月一家(良子、夫、息子の幸太郎、麻希)は突如失踪をし行方不明。
当時、喜久子はアメリカに在住していて、身動きがとれない状態だった。
帰国後、法律事務所を開いたのだ。
麻希は、失踪事件の時、赤ん坊で児童施設に預けられ、施設で育った。世間での名前は松原宏子。当時の施設長がつけた名前。施設長の話から、喜久子のことを知り訪ねてきたのだ。
「失踪事件の真相、家族の行方をしりたい」
それが麻希の依頼。

喜久子のもとで調査員として働く真崎は、喜久子からの指示で麻希のことを調べることに。
真崎は麻希と会い、本人だと確信する。

23年前。
埼玉県の美しが丘ニュータウン・鳩羽地区にて。
木本千春(きもとちはる)の息子・貴之(6歳)が何者かに殺害された。遺体は耳がちぎられていた。
1か月後、樽町団地に住む外国籍(ベトナム人)のグエン・タン・ミンが犯人だと噂され、町民が一丸となって自首を求める。スピーカーで「自首をしろ」と手荒な行動をしたが、結局、グエンは犯人ではなかった。
鳩羽地区は安全安心な町をモットーに防犯係が存在する。防犯係になることは名誉なこと。千春の夫・俊樹が防犯係に任命される。

【誰かがこの町で】ネタバレ・第2章

真崎雄一の過去と家族

真崎雄一(まさきゆういち)
5年前、ひとり娘の絵里が自殺している。
大手自動車メーカーの品質保証部に勤務していた真崎は海外出張フィリピンから戻り、リコール隠しに加担した。
不本意ながらも会社の言いなりになるしかなかった。
家族のことを気にかける余裕もなく 、絵里が悩んでいることにも気付かなかったことを後悔している。

絵里の学校でいじめ問題が勃発。絵里はいじめた側だったのは確かだが、主犯ではなかったのに主犯にされてしまう。それを苦に自殺。
真崎は絵里が首謀者ではないと訴えたが敗訴。
この時、頼ったのが岩田で縁あって事務所で働くように。

安心安全な町の謎

事件当時、望月一家は埼玉県の与久那町の鳩羽地区に住んでいた。
30年以上前に造成された町で「美しが丘ニュータウン」という地域名称の中の一戸建が望月家の住まいだった。
それを知った麻希はひとりで鳩羽に向かった。真崎は後を追う。

真崎は近藤農園と民宿「源泉館」の主・近藤と知り合い、源泉館に宿泊する。
近藤から、鳩羽地区の情報を得る。

昔は代表は菅井で現在は延川が代理代表。
分譲がはじまってすぐに住み着いた人間が町を牛耳っている。
安心安全な町作りが菅井の方針でその頃から夜逃げをする家族が増えていった。
延川は不動産屋で家を売る際に人を選んでいる。

鳩羽入居の条件
住人は夫婦がいて子ども2人が理想。夫はキチンとした職に就き、妻は専業主婦が決まり。
子どもは私立に通う。

近藤のつてで麻希がラブホテルに宿泊していると知った真崎は、麻希と合流する。
町ぐるみで望月一家の失踪事件を隠そうとしていると感じる真崎は考察する。

・菅井が何かを知っている。
・岩田がなぜ望月の家族のことを調べないのか→岩田も秘密がある?

過去
千春の隣に望月一家が越してきた。大学の法学部を出ている良子とは気が合い仲良くなっていく。
そんな中、ワープロ印字で良子が町の安全安心をかき乱しているという手紙がポストに投函される。

【誰かがこの町で】ネタバレ:第3章

●町の発展

近藤と菅井は同じ中学出身。近藤の話から判明。

菅井は町ができる前、議員秘書をしていて、その後、町議に。
地区長とは勝手に決めた役職で町議員と兼務していた。

土建業の松尾が不動産屋の延川と組み、町を発展させていった。
実質、仕切っていたのは延川。
インフルエンザを持ち込んだ家族を追い払うなど異常な行為を平然と行う町と化していくように。

殺人事件

真崎と麻希は延川に会う。

延川の言い分は、望月は家を売りたいと言ってきて承諾。失踪ではない

麻希は自分が望月の娘だと告白する。

その後、ふたりは千春を尾行。
千春は林の中の祠の前で瞑目をしていた。
この時、具合が悪くなった千春を診療所に運ぶ。

千春は望月一家のことを「知らない」と言い張るが、麻希も真崎も「何か知っている」と確信。
その後、千春が誘拐事件被害者の母親だと知る。

真崎と麻希は何者かに監視されていると感じる。
翌日。
千春が首を絞めて殺され麻希が参考人として連行される。

望月良子が犯人を突き止める

過去

千春は梅の木がある家を出て行きたくはない。
ここに住む限り輪から外れたくはない。
良子と関わると自分も誹謗中傷の的になると考え良子と距離を置くようになる。

良子への風当たりは強く、息子の幸太郎はいじめに遭うようになる。
幸太郎は幼稚園からも拒否をされ、それは大人も介したいじめ。

千春はそれを知りつつも何もできなかった。

高梨と倉島が俊樹を訪ねてきた。夜中に何やら話をしていた。
翌日、警察官が訪ねてくる。
望月家に糞がばらまかれていたのだった。
千春は夫を疑うも警察館には「何も知らない」と告げてしまう。

千春は良子と誰にも見つからないようにして会う。
良子は貴之の誘拐事件について調べていた。
事件当日の松尾の証言に嘘があり、犯人は町の人間ではないかと思い始める。真犯人を突き止めるために、類似の事件を調べる。

2年前、宇都宮で同類の事件が連続して発生。
鳩羽地区から宇都宮に引っ越した人間がひとりだけいた。それが菅井の息子だった。現在は交通事故で亡くなっている。

良子はこの事件を調べ上げるからと約束。
この時「もしも私の身に何かあったらこの人に連絡を」と告げていた。
(この人というのが岩田喜久子のこと)

【誰かがこの町で】ネタバレ・第4章

岩田の罪

千春は子宮がんを患っていた。
夫は10年前に亡くなっている。

岩田が鳩羽にやってきた。当時のことを告白する。

良子が失踪する半月前。岩田のもとに誘拐殺人事件に関しての調査資料が送られてきた。
帰国後、調査をしたが決定的な証拠はなかった。それでも何とかしようと思ったが政治家の父から止められた。圧力がかかったのだ。岩田は言いなりになるしかなかった。

事件解明・犯人は町民

麻希は釈放され、真相が明らかに。

誘拐事件

菅井輝夫は、大学受験に失敗して引きこもりに。
息子の犯行に気付いた菅井は延川に相談。

延川は防犯係を集め隠ぺいを指示。
犯人が外部の人間だと証言させる。
犯人をしたてあげ、俊樹を防犯係に引き込み仲間意識を強めていく。

その後、菅井の妻は真相を知り自殺。輝夫は宇都宮に引っ越しをした。
類似事件後、交通事故で死亡。

失踪事件

千春は犯人を知り警察に届けるというも俊樹から猛反対された。
失踪事件当日。
延川、菅井、松尾、俊樹に連れられ望月家に行く。

男たちは良子の首を絞める。
麻希も殺そうとする延川に千春、俊樹、菅井は懇願。
麻希だけが命拾いをした。
千春は麻希を施設に預けた。この時、岩田のことを伝えていた。

良子らの遺体は祠に埋められた。

【誰かがこの町で】の結末ネタバレ(終章)

千春殺人事件

千春は口封じのために殺されることを覚悟していて、当日、麻希を呼び出していた。
自分の死をもって真相が暴かれることを望んでいた。

真崎はこの一連に関して町住人全員を告訴すると決意する。

ラスト。
麻希は真崎のようになると岩田事務所で働くことに…。

【誰かがこの町で】感想・考察

娘を亡くしている真崎は、麻希に絵里の姿を重ねます。後悔の人生を送る真崎は、この1件で前向きになったようです。ラストでは岩田とワインで乾杯するシーンがあり。良子からすべてを託されたにもかかわらず、事件をうやむやにしていた苦い過去を持つ岩田もまた事件が解決してトラウマから解放されたと考察できます。

町ぐるみという異常な集団心理を描いた作品。ある意味、町民は延川に洗脳されていたわけですね。
怖いストーリーでした。

この小説がドラマになります。ドラマの最終回結末は、おそらく同様になると考察しています。
小説もドラマもお楽しみください。

誰かがこの町で

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