【べらぼう】6話の感想!濡れ手に粟餅の意味とは?
横浜流星主演の大河ドラマ【べらぼう】6話「鱗(うろこ)剥がれた『節用集』」が2月9日(日曜)に放送されました。
6話では、蔦重が「濡れ手に粟餅」という利益を得るのですが…どういう意味でしょうか。
本記事は【べらぼう】6話のストーリーと感想について紹介します!
【べらぼう】6話のストーリー
蔦重(横浜流星)は、吉原細見だけでなく挿絵入りの青本を作ろうと、鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)と共にアイデアを考え、ネタ集めに奔走する。そんな中、須原屋(里見浩太朗)から『節用集』の偽板が出回っていると聞き、蔦重の中に、ある疑念が生じる…。一方江戸城内では、松平武元(石坂浩二)が莫大な費用がかかる日光社参を提案する。田沼意次(渡辺謙)は、予算の無駄遣いを理由に、徳川家治(眞島秀和)に中止を訴えるが…。
通(つう)を気取った客たち
蔦重(横浜流星)は、暖簾分けを狙い、鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)お抱えの改(あらため)となった。
当時、吉原では若者たちが「金々(きんきん)」にキメていた。「金々」とは疫病本多(やくびょうほんだ)という細い髷(まげ)を結い、長い着物を引きずって歩いていた。当世風のファッションのことだ。
通(つう)を気取った客たちにとっては、吉原通いもイケてること。吉原は大いに潤う。田舎者が聞きかじりで通(つう)を気取っているため花魁がどの女性かも分からない始末。遊女たちは控室で笑った。
江戸っ子が読んで楽しい「青本」
貸本の行商のため松葉屋に来ていた蔦重(横浜流星)は、花の井(小芝風花)から貸本に読みたいものがないと言われてしまう。蔦重は、「青本」を勧めるが、

青本って、つまんないんだよね〜
と言われてしまう。
青本とは昔からある話に挿絵を入れた、今でいう漫画のようなものだ。
蔦重は、うつせみ(小野花梨)から小田新之助(井之脇海)宛の文を預かって届けに行く。
内容は「花のさわりのなきようにいたす」というもの。
自腹で揚代を払うので会いたいという意味だ。
文を読んだ新之助の心境は複雑だ。
蔦重は、新之助に吉原細見を薄くする細工を思いついたら教えてほしいと頼む。
鱗形屋のかわや紙
見やすい吉原細見を作りたい蔦重だが、
鱗形屋は「派手な入銀もの」「もっとドッカンドッカンと当たるもの」がほしいと要求する。
鱗形屋は長男と出かけていく。
鱗形屋の次男・万次郎が「地本は当たってこそだから」と蔦重に声をかけた。
万次郎は「地本問屋」(じほんどんや)ではなく、単価が何倍も高く効率よく儲かる本を扱う「書物問屋」(しょもつどんや)になると話します。
蔦重は万次郎が練習している漢字のお手本の表紙に目をとめる。
表紙には『新増早引節用集』と書かれていた。
番頭の藤八(徳井優)が刷り損じた紙を切って柔らかくし自前の厠(かわや)紙に再利用している。藤八は、鱗形屋は「明和の大火」で倉まで焼けてしまって暇(いとま)を出して人手がないし、板木、墨、紙まで焼けてしまって苦しいという。
事情を聞いた蔦重は、坊ちゃんが父を助けたいと思っていると感じる。
尾張・熱田にて
尾張・熱田。本屋で、旅姿の柏原屋(川畑泰史)が『新増早引節用集』を手にしていた。柏原屋は、武家に置くべき辞書『新増早引節用集』を武士が売りに来たと聞き、奥付に押された「丸屋源六」という版元印を確認する。
例のアレ
その頃、鱗形屋は、枕絵『風流艶色真似ゑもん』などを小島松平家の家老・斎藤茂右衛門に差し出す。すると、斎藤が「例のアレ=『新増早引節用集』の偽板(海賊版)」を倍持ってくるよう頼んでいる。鱗形屋は「近いうちにお持ちしまう」と告げた。
しかし鱗形屋が帰ったあと、家臣が「例のアレ」についての「ある報告」を斎藤に持ってきます。
面白ければ読む!
蔦屋では行方不明になった唐丸の代わりに留四郎(水沢林太郎)が働いている。いつからか本を読まなくなった次郎兵衛(中村蒼)は、



「青本」は、つまんねえんだよね〜。
面白ければ読む。
と言う。
赤本は子供向け、青本は成人向けで絵があるがつまらないという。それを聞いた蔦重は、「これだ!」とアイディアを思いつき、過去の「青本」について調べ始める。
蔦重が鱗形屋と意気投合
丑三つ時。何かが摺られている様子の鱗形屋。
朝、アイディアが浮かんで張り切って出勤した蔦重は早速「青本」を充実させる案を鱗形屋に伝える。当世風に江戸っ子が楽しめる「いき」のいい本にしようという。この提案に鱗形屋もニヤリとなり、「とびっきり、いきのいい話を考えよう!」と話す。
蔦重は吉原でネタ集めを開始。
松平武元の提案
江戸城御用部屋には老中らが集まり、田沼意次の「重商主義政策」という大胆な策により幕府財政が持ち直したことが報告されていた。松平武元(石坂浩二)は褒めるていで嫌味を言いながら、老中・松平輝高と目配せし、「このあたりで日光社参を執り行いたいのだ」「どうか上様にお取次ぎを」と言い出す。
日光社参とは平たくいえば徳川家の墓参りのこと。莫大な費用がかかるイベントだ。
意次(渡辺謙)は10代将軍徳川家治(眞島秀和)に20万両かかるからお慈悲を…と願い出る。しかし家治は「家基(家治の息子で次期将軍:奥智哉)が社参を望んでおる」と言われてしまう。
田沼屋敷に帰宅した意次は、息子意知(宮沢氷魚)三浦庄司(原田泰造)と話し合う。大奥とつながっている武元と家基の生母・知保の方(高梨臨)にしてやられたと悔しがる意次。そして、意次は嘆願を集めるよう計画する。
蔦重と鱗形屋の青本作り
蔦重は鱗形屋と青本作りで盛り上がっている。話が面白くするには悪者が必要だと、鱗形屋がいう。そこで、「源四郎(店の金をくすねる手代の隠語)」という名の悪者も入れよう!うがち(洒落本や滑稽本、川柳などの文学作品で、人情の機微や特別な事実を指摘する表現)も入れよう!とアイデアが出る
蔦重は楽しげな鱗形屋に「本をつくるのがお好きなんですね」という。鱗形屋は曽祖父など店の歴史や本への情熱を蔦重に語る。
鱗形屋に偽板の疑惑が…
鱗形屋からの帰り道、蔦重は須原屋(里見浩太朗)から、上方の版元・柏原屋が節用集の偽板を作った「丸屋源六」を探していると聞く。
その本を見た蔦重は、鱗形屋の万次郎が手本にしていた本と同じだと気づいた。鱗形屋が丸屋源六ではないか?と疑う蔦重。
蔦儒九郎助稲荷に相談し、悩む前に確かめることにしました。
蔦重は運天にする
蔦重が鱗形屋でトイレを借りると、紙に使われていたのはやはり疑惑の『新増早引節用集』だった。
そこで聞こえてきたのは西村屋(西村まさ彦)と鱗形屋の笑い声。西村屋は『雛形若菜初模様』の評判は鱗形屋の手引のおかげだと話し、鱗形屋へ銭を手渡しています。西村屋が「どうだい?蔦重は」と尋ねると、鱗形屋は「飼い慣らせてきたよ。今やうちのために駆けずり回ってくれてるよ」という。
蔦重は九郎助稲荷へ。
鱗形屋で鱗形屋と西村屋の話を聞いてしまった蔦重は、鱗形屋の悪行を確信した。告げ口をすれば版元の座が1つ空くかもしれないと考える蔦重だが、



あー。ダメだわ。
癪(しゃく)に触るけど、告げ口 っていうのは性に合わねえ。
運天にすらあ。俺は何もしねえ。
鱗形屋がどうなるか、運を天に任せるわ。
と言わないことを決めた。
家治の決定事項
江戸城では家老・斎藤が、勘定奉行の松本秀治(吉沢悠)と密談を交わしていた。
斎藤が持ってきたのは、表向きは意次に依頼された「日光社参の取りやめ嘆願書」だ。
しかし書状の下に賄賂を忍ばせ、「偽板と当家は関わりなしとしてほしい」と懇願する。
意次は「日光社参の取りやめ嘆願書」を持ち、将軍・家治に嘆願する。
それでも家治は日光社参の実施を決定。
家治は「家基は、余はそなたの言いなりで、そなたは幕府を骨抜きにする成り上がりの奸賊(かんぞく)であると考えておる」という。
意次は「成り上がりは否めませぬが…」という。
家治は「このままではいずれあやつが舵を握った時、田沼一派が真っ先に排されるぞ」という。
息を飲む意次。
意次が老中たちに日光社参の実施決定を報告すると松平武元が喜ぶ。
松平武元は、「田沼のご家中は、馬には乗れるのか?武具、馬具は?兜(かぶと)はどこであつらえるか 知っておるか?」と言って、足軽出身である意次を笑う。
「ご指南願えれば」と笑顔で応える意次だが、目は笑っていない。
佐野政言が意知と面会
その頃、田沼屋敷では、意知が旗本の佐野政言(矢本悠馬)と面会していた。佐野は「旗本 佐野政豊が一子、佐野善左衛門政言と申します」と言い、家系図を渡す。
家系図を持参した佐野政言からその願いを聞いた意知は、意次に「佐野という旗本が参りまして、かようなものを。これによると、当家の祖先はかつて佐野家の末端の家臣であったそうで、由緒は好きに改ざんしても良いので、良いお役につけてほしいと」とそのまま伝える。
意次は「由緒などいらぬ!」と言い、佐野家の家系図を池に投げ捨てた。
鱗形屋に家宅捜索が入る
後日、蔦重が鱗形屋と打ち合わせをしていると、突然、長谷川平蔵(中村隼人)が訪ねてきて、偽版の証拠をみつけた。
蔦重が密告したと誤解した鱗形屋は、



おめえが漏らしたのか?
このままで済むと思うな!
必ず後悔させてやるからな!
と捨て台詞を吐きながら連れて行かれた。
長谷川平蔵と顔見知りの蔦重は連行されなかった。
濡れ手に粟餅
その後、蔦重は平蔵と話し込む。
こうなることがわかっていながら鱗形屋に伝えなかったのは、自分が心のどこかでそれを望んでいたからだと話す蔦重。
平蔵は「願ったり叶ったりじゃねえか」という。
だが、蔦重は複雑な心境で、こたえていた。
平蔵は「気にすることじゃねえ。世の中そんなもんだ」と言い、粟餅(あわもち)を蔦重にプレゼント。
「濡れ手に粟」と「棚から牡丹餅」が一緒にしてみた、という平蔵。
蔦重は「ありがたくいたただきます」と感謝した。
(つづく)
【べらぼう】6話の感想&解説
濡れ手に粟餅の意味とは?
「濡れ手に粟」(ぬれてにあわ)とは、苦労せずに多くの利益を得ることを意味する慣用句。
「濡れた手で粟をつかむと粟粒がたくさんくっついてくる」ことから、労力をかけずに利益を得ることを表します。
「棚から牡丹餅」(たなからぼたもち)は、何の努力もせず、労せずして思いがけない幸運に恵まれることを意味する慣用句。
「棚から牡丹餅」は、棚の下で寝ていたら牡丹餅が落ちてくるという様子に由来します。
どちらも苦労しないで利益を得ることですね。
濡れ手に粟餅(ぬれてにあわもち)は、2つを掛け合わせて、長谷川平蔵が作った造語です。
とびきりの利益を得ることができた、と平蔵は言ってました。平蔵なりに蔦重を励ましたのでしょう。
蔦重はやや後悔してるようでした。まあ、蔦重は何もしてないのですけど、何かできなかったのだろうか、という罪悪感ですね。
のちの「江戸のメディア王」にも苦い思いがあった、ということですね。
思いがけない利益を得た蔦重ですが、版元がひとり空いたことで、どう生かしていくのか。それは蔦重しだいです。期待してます!
【べらぼう】6話の出演者&スタッフ
【出演】横浜流星,小芝風花,宮沢氷魚,中村隼人,井之脇海,石坂浩二,原田泰造,片岡愛之助,里見浩太朗,渡辺謙,高梨臨,小野花梨,中村蒼,眞島秀和,吉沢悠,矢本悠馬,西村まさ彦,
【語り】綾瀬はるか【作】森下佳子 音楽 【音楽】ジョン・グラム