世界一難しい恋7話あらすじ『世界一難しい可動式ベッド工作!マジで画期的!』
世界一難しい恋7話あらすじ『世界一難しい可動式ベッド工作!マジで画期的!』
世界一難しい恋7話あらすじ
前回、『いさなみすやお夫妻』のお蔭で仲直りに成功した二人。
今回はなんと美咲と二人で零冶の家にお泊りです。
注目すべきは二人×2の恋の進展ですが、裏注目ポイントとして零冶と石神さんの恋…ではなくベッドの工作です。
クオリティが高すぎてついつい見入ってしまいました。
ただし、使い方は限られそうです。
あらすじ内で詳しくご紹介しますのでお楽しみに。
世界一難しい恋(セカムズ)7話あらすじ
美咲が急遽、家に来ることになった零冶は急いでお酒とおつまみの準備をした。
忘れずにいさなみ先生の絵も飾り付け。
そこに美咲が来て豪華な家に驚く。
美咲『うわー。モデルルームみたい。』
零冶『うん、モデルルームなんだ。』
美咲『え、モデルルームなんですか?』
零冶『いや、賃貸マンションだ。俺なんで今モデルルームって言ってしまったんだろう。』
緊張でぎこちない会話、しかし零冶は幸せそう。
机の上には充実したおつまみ、その中に美咲は以前好きだと伝えた松前漬けを発見。
美咲『あ!松前漬け!』
零冶は『うん。ませてる!』と決めポーズ。
二人は笑った。
お酒を飲んでいるうちに美咲のおじいちゃんの話に。
美咲が日本史や落語が好きな事、ホテル業界に入ったのも男手一つで育ててくれた祖父の影響だという。
零冶『こうやって出会わせてくれたおじいちゃんに感謝しないとな。』
美咲『レイさんはお父さんの影響でホテルの路に?お父さんも旅館を経営されてるんですよね?』
零冶『あ、いや、親父は全く関係ない。むしろホテルを選んだのは親父への反発心だ。あ、すまん。なんか暗い話になっちゃったな。』
零冶が『もう一杯どうだ?』とワインを手に取ると美咲『そろそろ失礼しないと』と席を立つ。
零冶は『じゃ、タクシーを呼ぼう。』と言うが…
零冶『あ、でもアレだぞ。別にうちに泊まったって良いんだ。こんな夜中に帰ることもないし明日は仕事も休みだ。もし同じ部屋に寝るのが不安だったら俺は庭にテントを建てて寝袋で寝たっていいわけだし。』
美咲『そういうわけじゃなくて、突然泊まったらご迷惑じゃないかと思いまして。』
零冶『迷惑なわけないだろう。そんな気を遣うの止めにしないか。』
美咲『じゃ、お言葉に甘えて。』
零冶『そうだ。甘えろ甘えろ。それがお付き合いの醍醐味だ。』
美咲は泊まることになった。
先にお風呂に入って、ベッドで待つ零冶。
美咲の為にベッドの隣に布団を敷いていた。
美咲が部屋に入ると零冶は目を瞑ったまま、『おやすみ』を言った。
美咲『ごめんなさい。起こしちゃいました?』
零冶は首を横に振ると『考え事をしてたんだ』と答えた。
美咲はそこでベッドの横の壁を見て『あ、あんなところにいさなみ先生が。』と笑顔になる。
零冶『ちょっと殺風景だったんでな。』
美咲『いさなみすやお』
零冶『いさなみしほ』
美咲は横になり、目を閉じた。
零冶は美咲の寝顔を見ながら夢の中へ。
週明け、美咲にその夜の事を聞いたまひろは『え?泊まったのに何もなかったんですか?』と驚いた。
美咲『私なりに覚悟はしてたんだけど…』
まひろ『あ、でも美咲さん。大事にされてるのかもしれませんよ。だってだって男の人って普通がっついてくるじゃないですか。それをしてこなかったってことは軽い男に見られたくないっていうメッセージですから。あとは年上男性の余裕ってやつじゃないですかね。白浜さん見ててもやっぱ思いますもん。』
美咲『あ!出張中に良い事あったんだ。顔に太字で幸せって書いてある。』
零冶はその頃、めだかを見ながら幸せそうな顔をしていた。(実際は『幸』の文字はありません)
舞子もお泊りの話を聞いて『え、泊らせておいて何もしなかったんですか?』と驚いた。
お泊りの成功を評価してもいいんじゃないかと言う零冶だが舞子は『何もしないならば泊めない方が良かったと思います。勇気を出して社長の家に泊まった彼女が可哀想ですよ。』と意外に厳しい反応。
零冶『じゃあミサさんはキスされる覚悟はあったというのか?』
舞子『当然です。そうじゃなければ社長の家に泊まりません。』
零冶『キスされる覚悟がある顔には見えなかったけどな。』
舞子『もしかして社長は興味ないんですか?』
零冶『キスに興味がない男がこの世にいると思うか?』
舞子『まさかご経験がないなんてことはありませんよね?』
零冶『バカにするのもいい加減にしろ。キスと言ったら鮫島零冶だ。』
舞子『これまでどうされてたんですか?』
零冶『そんなの女が勝手にしてくるもんだ。』
舞子『それは社長の財産目当ての女性たちですよね?』
零冶は自分からキスしたことが無かった。
舞子に『じゃあ今回は自分からキスしてみましょうよ。せっかく大好きな方とお付き合いされてるんですから。』
零冶は煙たがる。
舞子はパソコンで『20代の女の子が憧れる♡初めて彼氏とキスする場所BEST3』という記事を見せる。
そこには3位彼氏の家、2位夕方の砂浜、1位夜景の見える観覧車、と書かれていた。
零冶はランドマークタワーから見えるみなとみらいの観覧車を双眼鏡で見て『やはり3位の彼氏の家じゃミサさんに失礼だ。私語とも恋愛も目指すは1位だ。ミサさんに歴代1位のキスをプレゼントすることが鮫島零冶の役目だと思わないか?』
まひろは企画室内で白浜に買ってもらった出張のお土産を配る。
白浜が『大した額じゃないから。』と言うと…
音無は嫌味で『ほう、一箱1200円の八橋×2、2400円を大した額じゃないとおっしゃる。』
蛭間も『我々庶民とは金銭感覚が違いますからね。』と拍車を掛ける。
とゲスい話をしているとまひろが『男の人って本当お金の話が好きですよね。』と言った。
それを見ていた家康の心の声が始まった。
『俺はまひろちゃんが好きだ。その気持ちは世界中の誰にも負けない自信がある。が、状況は非常に厳しい。彼女は部長を愛しているし、部長の方も彼女に心を開きつつあるようだ。こういう時、三浦家康ならどうするか。可能性の低い女の子に見切りを付け、より可能性の高い獲物に狙いを付ける。それが三浦の流儀。』
家康は美咲に八橋を持ってきてあげて自分の分もあげた。
家康心の声『ターゲット フルスピード トゥーマンス。狙いをつけ2ヶ月以内に結果を出す。美咲ちゃんレベルの女の子なら2ヶ月も必要ない。二日で充分だ。』
そこから家康の猛アタックがスタートした。
- あれ美咲ちゃん、髪型変えた?
- 一緒にティータイムしようよ。
- あ、今日の服装も可愛い。
- 壁ドン→遊園地行こう
- あ、片付ける?手伝う手伝う。
- 美咲ちゃんホント白似合うね。
- すごいキレイだね。
- 今日、この後どう?飲み行っちゃおうよ。
その様子を零冶はブラインド越しに見ていた。
次の日、零冶が出社するところを見かけた家康が『荷物持ちます』と近づいてきた。
零冶はそれを断り『お前、最近仕事中の私語が多すぎるぞ。特に柴山とだ。』と指摘する。
零冶に注目されていると勘違いし喜ぶ家康は一緒のエレベーターに乗ってきた。
零冶は不機嫌そうにさらに攻める。
『もっと仕事に集中しろと言ってんだ。』
しかし家康はまったくへこたれず、『聞いて下さいよ社長、俺ずっとまひろちゃん狙いだったじゃないすか?社会人になって彼女がいないのも寂しいんで美咲ちゃん狙いに変えたんすよ。』
零冶がギョロっと家康を睨むと…
家康『あ、やっぱ妥協しないほうが良いですかね?』
零冶『妥協だと?馬鹿を言うな。逆だ逆。お前には高根の花過ぎて無理だ。努力でどうにかなるレベルの女じゃない。』
家康『え?美咲ちゃんってそんなにいい女っすか?』
零冶はまた家康を睨みつけ『悪いことは言わない、たった今すぐ諦めろ。』とエレベーターを出た。
家康『じゃあ見ててください。その難しい女を残り1日で落として見せます。不可能を可能にしてきた男、恋の瞬間接着剤、三浦家康が有言実行ってところをお見せします。』
零冶『うるさい!良いって言うまで俺に話しかけんな。』
零冶は会社に入ると一息ついてみんなにこう言った。
『今日から新しく社内規定が変更になるからよく聞いて欲しい。これまでは黙認してきたことだが、業務に支障をきたす事を考慮し、今後一切の社内恋愛を禁止とする。』
家康、美咲、まひろは驚きの表情を見せる。
社長室に行こうとする零冶にまひろが口を開いた。
『自分だけずるい!だって社長美咲さんと付き合ってるんです!』
家康は『えー!?マジっすか??』と驚くがその他の社員は何事もなかったかのように作業を続けた。
零冶『白浜、お前たち知ってたのか?』
白浜『いえ、知りませんでした。ですがもしかしたらそうかなーとは…』
零冶は『そうか。だったらさっきの社内規定を設けるまでもない。撤回する。』と言うと社長室に入って行った。
ロールスロイスで待機していた石神にうな重の差し入れをする音無。
そこには白浜、蛭間、丸田、若松が囲っていた。
全ては零冶のご機嫌を伺うため、そして機嫌を損ねたのではと心配していたから。
零冶とまともに話ができる石神に『我々が柴山さんとのことを気付いていたのに黙っていたのは二人の幸せを願っていたからだ』とさり気なく伝えて欲しいと懇願してきたのだ。
そこをなんとか…とみんなは石神にうな重を薦めた。
美咲はいつものバーでまひろと食事。
まひろは美咲に朝の事を謝りこう言った。
『実はこの前の出張の時、白浜さんが飲みに連れて行ってくれるって約束してくれたんです。だからつい頭に血が上って。』
美咲は全く気せず、むしろまひろの意見に賛成していた。
まひろ『でもさっきの社長の発言、美咲さんの立場で聞いたら嬉しいですよねー。』
美咲『え?全然嬉しくないよ。』
まひろ『え?安に俺の女だから手を出すなってことじゃないですか。やっぱり大事にされてるんですよ。』
美咲『んー。ただただ恥ずかしいだけだけどね。』
会社で家康は一人思った。
『一件落着に見えるこの騒動、まだ問題が一つだけ残っている。そう、俺だ。』
『元々一番気に入られたいのはまひろちゃんでも美咲ちゃんでもなく社長。なのに社長の彼女に手を出そうとしてしまった大ピンチ。このままではクビも十分に考えられる。ピンチをチャンスに変えて抱き寄せる男、それが三浦の流儀。』
家康は社長室にノックをして入る。
観覧車を双眼鏡でチェックしていた零冶は『勝手に入ってくるな。』とご立腹。
しかし家康は引かない。
『ここ最近美咲ちゃんの女っぷり度が急激に上がってきたんでおかしいなと思ってたら社長とお付き合いされてたからなんすね。』
零冶は煙たがり追い出そうとする。
家康は零冶が見ている先が観覧者だと気付き、美咲と行くつもりで用意した遊園地のチケットを譲る。
零冶は家康が美咲をもう狙っていないことを確認しチケットを受け取る。
家康は『元々そこまでタイプじゃないんで…』と余計な一言を言い零冶に『お前クビにして欲しいのか?』と脅される。
家康は『社長、もう一回入るところからやり直してもいいですか?こんなはずじゃなかったんです。』と社長室を出ていこうとすると零冶に『次に入ってくるときは辞表を持参して来い。クビにする手間が省ける。』と言われる。
家康はブレず『ターゲット!フルスピード…』と言いかけるが零冶は『うるせー!!!』と叫んだ。
家康が去って行くと零冶はチケットを笑顔で見つめた。
その夜、美咲と零冶は観覧車のある会社の目の前のコスモワールドへ。
楽しそうにはしゃぐ零冶に美咲は『レイさん、乗りたいんですか?』と聞くと零冶は『いや、社長室からこいつを眺めてた。逆にこいつから見る社長室はどう見えるのか多少の興味がある。』
一緒に観覧車に乗りたいことを必死で隠すどころか美咲の顔に『観覧車に乗りたい』と書いてあるとまで言って二人は乗り場へ。
観覧車に乗り込むと零冶は夜景を見る美咲の横顔を見ていた。
すると美咲の奥に見える隣のワゴンではカップルがキスをしていた。
零冶は一気に意識が高まった。
すると美咲が『レイさん、あれ社長室じゃないですか?』と指をさす。
零冶は大げさに見えないフリをして美咲の隣に座る。
そして社長室ではなく美咲の横顔を見つめながら『こんなにも美しく光るものかね。』と言った。
美咲が振り向くと顔の近さに一瞬ハッとする。
『メダカの美しいうろこが鮮明に見えるじゃないか。』
美咲は笑った。
しかし零冶は目的のキスを出来ないまま、もう観覧車は終点。
『もう一度乗らないか?』と粘ろうとするも既に夜9時、閉園時間で諦めた。
煮え切らない零冶は美咲を必死に説得し、その夜も零冶の家に泊まることになった。
零冶が歯磨きをして部屋に戻ると美咲は既に寝ていた。
その寝顔を覗き込み、顔を近づけていく零冶。
しかし美咲の顔が動き、ビビッて飛びのいた。
零冶は諦めてベッドに行った。
美咲は目を開けた。
何でキスされなかったんだろうと疑問に思いながら。
ステイゴールドホテルのバーで一人酒を飲む舞子を和田が見つけ声を掛ける。
和田『どしたの?誰かと待ち合わせ?』
舞子『いえ、ちょっと飲みたい気分だったので。』
和田『だったら連絡してよ。いつでも付き合うのに。』
和田はパーティで一緒にいた女を友達だと説明し、舞子を困らせたかっただけだと謝った。
和田は『仲直りの乾杯しようよ。君の誤解が解けるまでとことん付き合うから。』と酒を注文した。
舞子は酒が進み、『同じものを』と注文。
和田もそれに合せて『俺もおかわり。』と言う。
和田は『君は普段の欲望に必死に蓋をしている人なんだろう。その蓋が開いた途端、一気に楽しくなるんじゃないの?』と舞子の顔を覗き込み腰に手を回した。
その夜、二人は外でキスをした。
次の日、零冶は荒れていた。
企画会議の案を全て却下し資料を投げ捨てた。
その頃、舞子は石神に和田とのことを打ち明けた。
まだ社長には言っていないと聞いた石神が『私からそれとなく話してみましょうか?』と優しい提案をするが舞子は『私が撒いた種だから。』と自分で打ち明けるという。
舞子が社長室に行くと零冶は『好きの二文字にも苦しめられたが、まさかキスの二文字にもこんなに苦しめられるとはな。』と語る。
舞子は決心した。
舞子『社長、例え話として聞いていただきたいのですが、もし私がホテル業界で競合しているところにお勤めの方を好きになったと言ったら社長は当然反対されますよね?』
零冶『和田だろ?俺が何も気付いてないと思ったか?』
舞子はハッして『お気づきだったんですね。』と返すと零冶は『え?マジか!?』と驚く。
舞子『今気付いてたと仰ったじゃないですか。』
零冶『当てずっぽで言ってみただけだ。それが本当に当たっているとは…』
舞子は『今の話は無かったことにして下さい。』と言い部屋を出て行った。
帰りの車内で零冶が口を開いた。
零冶『さっきの和田の話だが、別にいいんじゃないか?俺は全く気にしない。』
舞子『どうしてですか?』
零冶『お前の相手が和田だろうがニシキヘビだろうが俺の知ったことか。プライベートまで口出しする気はない。それにお前がどんな女かってことは長年の付き合いでわかってるつもりだ。な、石神。』
石神『もちろんです。』
舞子『それはどういう意味でしょうか。』
零冶『鮫島旅館を辞める羽目になったのも妻子ある男に手を出したからだろう。お前は危険な男に燃えてしまう女だ。だから俺が最も敵視している和田に惹かれてしまうのも自然と言えば自然。お前もそろそろ相手を見つけないといけない時期だろ。えり好みしてる時間は無いんだし、残り物同士ちょうどいいじゃないか。』
舞子は複雑ながら『ありがとうございます。』と言った。
その夜、美咲の家にはまひろが遊びに来ていた。
まひろはイメージしていた美咲の部屋と一緒過ぎてはしゃいでいた。
二人はビールを飲みながらガールズトーク、話題は零冶の家に2回も泊まりに行ったのに何もなかった事。
まひろは『美咲さんと付き合ってるのカモフラージュとか?本当は男の人が好きなのに世間の目を気にして…』と言うと美咲にも思い当たる節があった。
その頃、零冶は石神を家に招く事に。
電話で『お前が良いんだ。』と誘った。
石神が来ると『お前も風呂に入ってこい。ビールも冷やしてあるから。』と妙に優しい零冶。
石神は同性愛者的な意味で嫌な予感がしていた。
風呂に入ってきた石神をソファの隣に座らせビールを振る舞う。
零冶『これだけはお前にしか相談できないんだ。わかってるだろう。』
石神『社長、私には妻がおります。』
零冶『は?村沖の事だぞ。』
石神はほっとした。
零冶は『あいつの事を思うと行かせてやるのが本当に良かったのか、無理にでも止めてやった方が良かったのか、正直俺にはわからなくなった。』
石神『迷うところですね。』
零冶『やっぱり俺には責任があるからな。あの旅館から引っ張ってきてここまで付き合わせてる責任が。お前が結婚した今、残ってるのはあいつだけだ。』
石神『いや、社長もです。』
零冶『俺は何の心配もないとこまで来てるだろうが。』
石神『舞子さん心配してましたよ。』
零冶『そうなんだよ。どうもうまくいかない事があってな。』
キスの事だった。
まひろ『美咲さん、自分から行ってみたらどうですか?』
美咲『それは変だよ。だってこういう事って自然とそうなるものだし。』
まひろ『だからって動かずにじっとしてたら損ですよ。今の時代、男が先とか女が先とか全く関係なくなってますから。』
美咲はそうなのかなーと考えていた。
零冶と石神は二人でキスの話をしながら寝ていた。
零冶『俺は本当に好きな人とキスしたらどんだけ幸せかと思ってたよ。でも違うんだな。本当に好きな人とはキスなんかしなくてもいいと思うんだよ。だってミサさんと一緒に居るだけで十分満足なんだもん。隣で寝ててくれるだけで十分幸せなんだよ。』
石神『はい。わかります。』
零冶『でも村沖に説教されたよ。家に泊めておいてキスしないのは可哀想だって。しかも俺は2回続けて何もできなかった。』
石神『社長のお気持ち、痛いほどわかります。好きな相手なら相手であるほど、性的な感情が湧いてこない人間の神秘。』
零冶『男って不思議な生き物だよな。』
石神『ただこのまま何もしないわけにはいきません。人類が誕生して以来、互いの愛を確認する行為として受け継がれてきた儀式ですから。』
零冶『お前だったらこの状況でどうする?俺がここにいてミサさんがお前のいるその布団で寝てるとしたら…』
石神『私もこの手の事に関しては苦手で。私がもし社長の立場なら、いっその事ベッドの足でも折れて転がり落ちてくれればなーなんて思っちゃいますね。』
零冶はピンときた。
零冶『それだ。それしかないぞ!』
石神『いや、社長、落ち着いて下さい。』
零冶『大の男がこんだけ考えてもいい方法が思いつかない。しかも俺に自分から行く勇気はないんだぞ。』
石神『開き直るのが早すぎませんか?』
零冶『じゃこのままキスすらできずに悶々と過ごすのと、事故に見せかけてでも一度キスしてしまうのではどっちが健全だ?』
石神『その二択でしたら…後者でしょうか。』
零冶『だろ?』
石神『いやしかしそんな上手くいくでしょうか。』
零冶『トライしないでガタガタ言ってても何も始まらないぞ。明日の夜から合宿だ。』
こうして二人の【足の折れるベッド工作】が始まった。
次の夜、石神は材木を買って零冶の家へ、零冶はパソコンのツールでギミックを製図した。
石神が材木を庭で切って零冶が組み立て。
零冶は水平器まで使って丁寧な仕事をしている。
枠の部分が完成。
紐を引っ張るとベッドの片側の足2本が折りたたまれる仕組み。
完成したベッドをまず石神で実験。
見事にミサさんの居る予定地に転がり落ちる事に成功した。
石神『あれ?いけますねー!』
零冶『だな?だな?』
石神『思いのほか自然なアクシデントに見えますね。今度は社長です。』
零冶がやってみるとこれまた見事にミサさんの布団に着地。
零冶『いいなー。いいな。いいよな。』
二人は子供の様に喜んだ。
次は微調整。
石神は料理用のボールに赤いテープを貼り、これが唇です、と説明。
実際やってみると結構難しく、頭や肩にぶつかってしまう。(本当に痛そう…)
何度も失敗して諦めかけた時…
見事に赤すぎる唇に不自然なキスをすることに成功。
石神『社長やりましたね!』
零冶『お前のお蔭だ!』
石神『いや社長の努力の賜物です!』
その時、零冶の携帯が鳴った。
『明日の夜、レイさんの家に遊びに行っても良いですか?』と美咲から。
零冶『見ろ石神!いいタイミングでメール来たぞ!』
石神『これは良い流れが来てるってことじゃないでしょうか。』
零冶『今度こそ絶対決めてやる。』
次の日、買い物をして帰宅する零冶に舞子が手伝いを申し出るが『バカを言うな。彼女と一緒に料理をすることも恋愛の醍醐味だ。人の心配をしている暇があったら自分の心配しろ。』と断った。
舞子は和田に連絡した。
そして一人で飲んでいるという和田と合流することにした。
プライベートな事なので…と歩いていこうとする舞子に石神は『送らせて下さい。さぁ、乗って。』と応援した。
零冶が可動式ベッドのチェックをしているとチャイムが鳴った。
零冶は深く呼吸をして満面の笑みで美咲を迎え入れた。
二人で料理をすると零冶は起用に魚を捌き褒められた。
美咲に『これ混ぜてもらっていいですか?』と言われた。
それはあの練習用のボールで妙に優しく扱う。
零冶『混ぜるのは得意中の得意だ。どうする?これは時計回りか?それとも反対か?』
美咲『どちらでも。』
料理が出来上がり食事をする二人。
零冶『どれ食べても美味しい、何口食べても美味しい。君は天才だな。』
美咲『レイさんも半分手伝ってくれたじゃないですか。』
零冶『俺が作ってもこういう味にはならないよ。もし君がお店を開いたら毎日でも食べに行く自信がある。』
朗らかな時間を過ごした。
その頃、舞子も和田とバーで良い時間を過ごしていた。
和田が1本仕事の電話をしてくると席を立つ際、『先に行っててくれないか。』とホテルの部屋の鍵を渡される。
風呂に入った零冶。
リップをこれでもかという量塗り込む。
部屋に戻ると美咲は既に寝ていた。
零冶はもう一度枕の下に隠した仕掛けのヒモをチェックした。
そして布団にくるまった。
その日は満月、二人を祝福しているようだった。
美咲が寝返りを打ち零冶のベッドの方を向く。
それを見た零冶は今がチャンスと入念にイメージトレーニングをして決心した。
すると美咲が起きてしまい急いで寝たふりをする零冶。
美咲は美咲で決心をしていたのだ、自分からしようと。
ベッドに乗り零冶にだんだん顔を近づけていくと…誤って零冶が紐を引っ張ってしまった。
ベッドから転げ落ちる二人。
美咲『痛っ。今のは何事ですか?』
零冶『俺も何が起きたのかわからない。』
美咲『私の事嫌いなんですか?』
零冶『嫌いなわけないだろ。』
美咲『じゃあなんで逃げたんですか?』
零冶『これか?これは逃げる為の装置じゃないぞ。』
美咲『じゃあ何なんですか?』
零冶『いや、俺も何の紐が分らずに引っ張ったらこの有様だ…あ!石神だ!あいつはこういうドッキリを俺に仕掛けては楽しむようなやつなんだよ。』
美咲『嘘つき。どうして嘘をつくんですか?』
零冶『これは、ミサさんに喜んでもらうために作ったサプライズベッドだ。』
美咲『あたしなんか誤解してたかもしれないです。』
零冶『そうだ。これはまさに誤解だ。』
美咲『社長は仕事が出来て大人の余裕があって厳しいけど時におちゃめな人。そういう印象だったんです。』
零冶『そうだ。そんなに間違ってないじゃないか。それよりプライベートで社長と呼ぶのは止めるという約束じゃないか。』
美咲『いい年して何してるんですか?ベッドに細工する前にもっとやるべきことがあるんじゃないんですか?意気地なし!こんなに意気地のない人は初めてです。』
零冶『俺もこんなに気の強い女は初めてだ。そういうところだよ。まさにそういうところに問題があったんじゃないのか?』
美咲『どんな問題でしょうか。はっきり言って下さい。』
零冶『結局、俺がキスしなかったのは、俺にキスしたいと思わせられなかったそちらにも問題の一端はあるんじゃないかと言ってるんだー!俺が一方的に悪いのか。それはどうだか!』
美咲『こんなに器の小さい人だったとは。この期に及んでキスできなかったのをこっちのせいにするんですか?』
零冶『全部君が悪いとは言ってない。悪いのはお互い様だと言ってるんだ。』
美咲『その発言が小さいって言ってるんですよ。あたし今呆れてます。自分がこんなにも人を見る目がなかったとは。社長の事、一瞬でも器の大きい人だと思った自分をぶん殴ってやりたいです。ただ意気地がないだけで何もしてこなかったのを大人の余裕と勘違いした自分をぶん殴ってやりたいです。』
零冶『くぅ…く…クビだ!お前はたった今クビだ!』
零冶は言ってしまったことを後悔した。
美咲『そうですか。短い間でしたがお世話になりました。』
さっさと着替えを済ませて出ていこうとする美咲に零冶は『ちょっと待て。待てと言ってるんだ。聞こえないのか?社長命令だぞ!』と止めようとするが美咲は出て行ってしまった。
ムシャクシャした零冶はいさなみ夫妻の絵を破き捨てた。
その頃、舞子の待つ部屋に和田がやってきた。
和田『先にシャワー浴びてればよかったのに。』
舞子『やっぱり和田さんとはお付き合いできません。』
和田『どうして?今さらそれは無いんじゃないの?』
舞子『私やっぱり、鮫島の事を裏切ることはできません。』
和田『だって彼は良いって言ってくれたんだろう?』
舞子『無理してたと思います、本当は快く行ってこいなんて言える人じゃないんです。申し訳ございません。』
和田『どうして君ほどの女があいつをそこまで気にするんだ?あいつにそんなに価値があるのか?』
舞子『えぇ。もちろんです。』
和田『どこに?言ってみてくれないか?』
舞子『言葉にしても伝わりません。鮫島の良い所は人からは理解されにくいんです。もし私が和田さんの元に行ってしまったら鮫島を、零冶さんを守る味方が誰もいなくなってしまいます。ですから私がそばにいなくてはなりません。それは8年前に拾って頂いた時から心に決めていた事です。』
和田『鮫島君のことそんなに…好きなの?』
舞子『えぇ、好きです。大好きです。』
零冶はいさなみすやおの絵を元に戻そうとしていた。
そして一人泣いた。
7話まとめ
気になったのが舞子が和田に言った『もし私が和田さんの元に行ってしまったら鮫島を、零冶さんを守る味方が誰もいなくなってしまいます』という言葉。
鮫島を零冶さんと呼ぶところを見ると過去に何かがあった話でしょう。
舞子がいなくなっても石神さんも美咲もいるというのに『味方が誰もいなくなる』とは一体??
次回はお父さんも登場しそうなのでその辺で語られるのかもしれません。
次回見どころは…
- 美咲のステイゴールドホテルへの再就職
- 零冶と舞子が急接近?『お前とは簡単にキスできそうだ。』
- 零冶の父が家に来る
- 美咲との喧嘩の行方『神奈川県から出ていけ!』
コメント