【青くて痛くて脆い】原作本のあらすじネタバレと感想!結末までを一気解説、嘘つきは誰?
映画実写化【青くて痛くて脆い】原作本のあらすじネタバレと感想!
【君の膵臓をたべたい】の住野よるが描く青春小説。
大学生の主人公・楓は秋好と秘密結社「モアイ」を結成したが、3年後、秋好はいなくなっていた!?
真実はどこに?思いもよらない結末は?
【青くて痛くて脆い】原作本について、あらすじ、ネタバレ、結末、感想、登場人物を紹介します。
【青くて痛くて脆い】原作本のあらすじ
【青くて痛くて脆い】原作本の作者は「キミスイ」の住野よる
著:住野よる
デビュー作は映画でも大ヒットしたベストセラー「君の膵臓をたべたい」(キミスイ)。
著書はほかに、『また、同じ夢を見ていた』『よるのばけもの』『か「」く「」し「」ご「」と「』。
住野よる氏は「『膵臓』で感動してくれた全ての人たちの心を、 この本で塗り替えたい」とコメント。
2018年3月 単行本発行
2020年6月 文庫本発行
【青くて痛くて脆い】原作本のあらすじ
【青くて痛くて脆い】原作本のあらすじを紹介します。
僕(田端楓)は、人に不用意に近づきすぎないことを信条にしている。
大学1年の春、秋好寿乃に出会った。
空気の読めない発言を連発し、周囲から浮いている秋好だが、誰よりも純粋だと感じる僕は、秋好の理想と情熱に感化され、秘密結社「モアイ」を結成。
それから3年。
僕は大学4年になった。
二人で結成した「モアイ」は巨大化し、僕と秋好が掲げた「理想」とはかけ離れてしまった。
……将来の夢を語りあった、秋好はもういない。
僕は、秋好がついた嘘が心の棘となり突き刺さる。
「僕が、秋好が残した嘘を、本当に変える」
僕は、立ち上がる……。
僕は、親友の董介を誘い、モアイについてを調べ始める……。
【青くて痛くて脆い】原作本の登場人物
【青くて痛くて脆い】原作本の登場人物を紹介します。()内は映画出演者。
主人公・田端楓 たばたかえで(吉沢亮)
商学部の大学1年、高校時代は帰宅部。
秋好寿乃と出会い「モアイ」を立ち上げる。
人と深くかかわるのが苦手。
秋好寿乃 あきよしひさの(杉咲花)
茨城県出身、現役入学、一人暮らし。
高校時代はサッカー部所属。
楓と同じ大学の政治経済学部の1年生。
モアイを楓と立ち上げる
董介 とうすけ(岡山天音)
バイト先で知り合った、同じ大学の友人
社交的。
反モアイ派。
本田朝美・ポンちゃん ほんだあさみ(松本穂香)
愛媛出身だから「ポンちゃん」
董介が密かに想いを寄せる。
モアイの幽霊部員。
天野・テン(清水尋也)
モアイのリーダー「ヒロ」に仕える。
イベントなどで司会などを務めている。
川原里沙 かわはらりさ(茅島みずき)
ドラッグストアで楓とバイトをしている。
ヤンキー女子大生、と楓はあだ名をつけている。
脇坂 わきさか(柄本佑)
モアイ結成時、支援してくれた先輩
尋木ミア たずのきみあ
モアイ3人目のメンバー
【青くて痛くて脆い】原作本のネタバレ
【青くて痛くて脆い】原作本のネタバレを紹介します。
原作本では楓が主人公で【僕】と掲載。ネタバレは【楓】としています。
物語の中、モアイの経緯が所々で入ってきます。
大学1年、楓と秋好の出会い
大学1年、楓に声を掛けてきたのが秋好寿乃。
授業で質問を繰り返し注目を浴びる“イタイ存在”の秋吉だが、楓は興味をそそられる。
秋吉の信念は「四年間になりたい自分になる」
楓のルールは「人に不用意に近づきすぎないこと」
二人は理想を追う秘密結社「モアイ」を結成。
命名の由来は、その時に楓が着ていたTシャツのモアイ像から。意味はない。
写真を撮ったり、モアイのキーホルダーを創ったり、モアイのスタートはそんな感じ。
とりとめなのない毎日。
苦しんでいる人を救いたい、だから、映画を観たりすることは知識を増やすこと。
日々、何かを体験していく。二人はあちこちをめぐりながら、理想を目指して生きていた。
ある時、秋吉は言った。
「もし私に何かあったら、ちゃんとモアイの意思は楓が引き継いでね」
それが秋吉から課せられた“楓の役割”だった。
大学4年 「モアイ」を立ち直す計画
大学4年。
楓は内定が決まる。
忘れようとしていた秋吉の存在をパソコンの画像で確認する。
巨大化した「モアイ」は、目指していたものとは違い過ぎる。
現在、楓は参加していない。
この時、楓は気づく。
「僕は秋吉から受けた役割を果たしていない」
すでに内定が決まっていた友人の董介に、相談する。
秋好のついた嘘を本当にするために……。
董介は楓同様に、現在のモアイの存在を疎ましく思っている。
楓はモアイの経緯を語る。
モアイは秋吉と二人で結成した秘密結社。
知識を得るためにと行動すること(ボランティア活動、講演会出席、など)は、傍目には「遊んでいる」ようにも見え、そこに共感する学生らがひとり、ふたりと増えていった。
メンバーが増え続けた「モアイ」は、今や就職活動を支援する場にもなっている。モアイは理想に生きる唯一無二のリーダーを永遠に失ったのだ。
楓は、そこに居ることはできず、自然とモアイから離れていった。
董介に「一緒にモアイを創った友達は?」と問われた楓は「もういない」と答える。
この時をきっかけにして、楓と董介は、モアイをもう一度立て直そうと決意する。
楓と董介の潜入捜査
情報収集を兼ねて、董介の後輩・ポンちゃんに会う。ポンちゃんはモアイに所属しているが、幽霊部員。董介に言わせると、信頼できる“良い子”。
現在のモアイの活動は、目指す自分になるためという名目でイベントを開くが、実態は、社会人たちに頭を下げるもの。いわゆる就職活動のサポート、コネ作りみたいなもの。
イベントの司会は主に“テン”が仕切り、リーダーは“ヒロ”という人物。
董介と楓は潜入捜査を開始。董介がモアイの講演会に参加。
楓は顔が知られている危険性があるため外で待機。このとき、楓はカフェでモアイのメンバーの話からテンの情報を得る。
テンはモアイの力を借りて、女子を食いものにしているらしい。
カフェにいるとき、楓は脇坂と偶然出会う。
脇坂はモアイ設立時、秋吉に興味をもちモアイの情報を広めていった人物。
**
講演会後、楓と董介はテンに接触。テンはフランクな男で、簡単に接触できた。
ある日「誰でも参加OK」というバーベキュー大会に参加する。
この時、バイト先の川原さんが偶然にも参加していた。
川原さんは、楓の勧めでモアイのメンバーになっている。
楓は、スパイ的な要因人物が欲しくて悪気はないが、川原さんにさりげなくモアイを勧めたところ、メンバーになっていた。
バーベキュー大会でのテンの言動から、テンは女を食い物にしているのではなく、社会人女性と関わる機会はあるものの“相手にされていない”存在。つまり、いつも捨てられているとわかる。
モアイの経緯
3人目のメンバーは、尋木ミア。
そこからモアイはメンバーが増えていき、団体としての申請ができるようになった。
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モアイが成長を遂げていく中、秋好に恋人ができた。
自然と楓と過ごす時間は減っていく。
モアイは、オトナたちも後押しをするようになる。
秋好を後継者のように支援し、金銭面でも助ける人も出てきた。
モアイの成長は加速。
そんな中、秋好を支える人間がいたことは良かったのだろう、と楓は思う。
パスワードは6月21日
バーベキュー大会以後、楓と董介はテンへの攻撃を諦め、次の手段を模索。
すると、就活用の迷惑メールが大量にくるようになる。それは、バーベキュー大会以後のこと。テンが情報を各企業に流しているとわかるのだが、証拠がない。
そこで、楓は罠を仕掛け、迷惑メールを送ってきた企業担当者から、学生名簿のファイルのURLを貰う。
ファイルを開けるのにはパスワードが必要で考えた末にたどり着いたパスワードは
「moai0621」。
6月21日は、楓と秋好が二人でモアイを立ち上げた日だった。
**
モアイの経緯
もうすぐ2年になる頃。
秋好と脇坂が一緒にいることを見かけることが増えていく。
モアイは社会人ゲストを招いた特別授業などを開き、ますます、その威力が大きくなっていた。
この頃、楓は週に1度の集会だけは出席していた。
ある時、秋好がメンバーの提案を拒んだ。理由は「現実的に厳しい」ということ。それは、理想を追うモアイの信念から外れていると感じた楓は、以後、集会に出ることをやめてしまう。
董介の口からヒロの本名が!
学生名簿を手にいれた楓は意気揚々とするが、董介は「もうやめよう」と言い出す。
「テンとリーダーのヒロと話してみたら」とまでアドバイスをしてきた。
楓はショックを隠し切れない。
別れ際、董介が言う。
「リーダーのヒロの名前は秋好」だと……。
**
モアイの経緯
秋好がヒロと呼ばれるようになったのは、尋木が秋好のことを「(RPGゲームの)ヒーローみたい」と言い、モアイのメンバーがヒーローをヒロと聞き間違えたことから。
**
2年になってすぐの頃。
楓は偶然秋好と出会う。
全然モアイに行かない楓に
「今の感じが嫌なら、もう少し変えようか」と秋好は言うが、楓は「別に」とだけ答え
「モアイをやめる」と伝える。
楓の逆襲
董介に裏切られたと思う楓は、ひとりでモアイを立て直すべく行動を起こす。
手に入れた情報をSNSに投稿。手ごたえを感じた楓は、さらに投稿をする。
「理想とは何か、正しさを問う」
「人は不用意に近づき、身勝手に肯定し否定してきた者達の理想とは何か」
と一文をつけて……。
楓の作戦は想像以上に大きな結果に。
SNSの拡散により、モアイは危機に陥る。
この頃になると楓はバイトの川原さんとの距離が縮まってきていた。
さらに、大学側がモアイになんらかの処分をすると発表。
【青くて痛くて脆い】原作本のネタバレ結末
秋好との再会
モアイ幹部からメンバーへの報告会が開催されることになる。
楓は中に入ることはできないが、音漏れを聞こうかと会場に出向く。
そこで秋好と再会する。
**
秋好は言う。
「ここにいるの、偶然じゃない、よね?」
「あれ、君だよね」
楓は認めずにいるが、結論、認める発言となる。
さらに「モアイは加害者となっていること、だから、こんな風になった」と続けていく。
だけど、今回のことはきっかけになる。
「もう一回やり直せるんじゃないかな」と楓。
なんなら手伝うという楓の言葉に秋好は
「ふざけるな」と言い放つ。
就職活動を応援するためにモアイの活動は必要だ、という秋好。
時間経過とともに変わることはあるのだと言うが、楓は理想を捨てたモアイのことを認めれられない。
秋好に言わせれば、理想を捨てたわけではなかったのだが、二人の意見は真っ向から反発し合う。
さらに、秋好は、楓が自分を好きだったのかと思い込み
「気持ち悪っ」
と……。
秋好は楓を利用した、誰でもよかった。
「そうかもしれない」
という秋好に楓は
「お前がいないほうが幸せだった」
と言い、二人はここで別れた。
楓の後悔
楓はバイト先の川原さんから、秋好がリーダーを降りたと聞く。
モアイはなくなるが、3年たちが別の組織を立ち上げるとも。
楓のもとに1通のメッセージが届く。
そこには、秋好のモアイ解散時の声が入っていた。
「モアイは最初二人でした」と始まる秋好の言葉。
謝罪と涙の声を聴きながら、楓は気づく。
秋好を傷つけたくはなかった、と。
楓は脇坂に相談に行く。
そしてここで楓の本心が語られる。
「僕はずっとあそこにいたかった」
**
社会人になった楓は、川原さんの誘いで学生との交流会に出席する。
「人を傷つけたことを後悔し、それが仕事にも日常生活にも影響を与えている。人を傷つけない、大切な居場所のような人間になれたら」
と話す。
そして“彼女”を見つける。
後ろ姿の彼女を追う楓。
無視されてもいい。拒絶されてもいい。
「もう一度、ちゃんと傷つけ」
<完>
【青くて痛くて脆い】原作本の解説
秋好はいない!?
【青くて痛くて脆い】は青春小説でもあり、サスペンス要素もある小説。
モアイを立ち上げた“秋好寿乃”のことを“今はいない”という設定で物語が進んでいきます。
まるで亡くなった秋好のために、正義のために楓がモアイを立て直そうと思える内容です。
途中までは……。
董介のセリフで秋好は生きていて、それが、モアイのリーダー「ヒロ」だと判明。
楓の心の中で「秋好がいない」ということは、理想をふたりで追いかけていた頃の「秋好はいない」ということ。
楓の中での秋好の抹消が言動に現れているということでしょう。
【青くて痛くて脆い】原作本の感想
途中まではまさにサスペンス。
秋好がいないという前提で読み進めていたものですから、何か殺人事件とかそっち方向に進むのかと勝手に想像していました。
董介の言葉で秋好とヒロが同一人物となると、今度は、楓の復讐心というか依存心が怖くなっていきます。
SNSの恐怖が描かれています。拡散するのはあっという間です。
楓の行為は、認められることではないでしょう。そして、秋好の行動もまた不可解なところもあります。モアイと企業との癒着は抗議されるべき問題だとも思います。
若いからこその行動力は時に失敗することもある。
秋好の嘘といういのは、モアイが巨大化していき変化をしていったこと。
楓目線からは、それが秋好の嘘。
その嘘は、大人になるための嘘かもしれないし、秋好からすれば嘘ではなかったということ。
時間ととも変化する心情と環境をどうとらえるかで嘘は真実にもなり、すべては嘘にもなる、ということなのではないでしょうか。
時を経て、楓も秋好もそこに気づいていく。
ラストシーンで楓が声を掛けようとしている“彼女”は、おそらくは秋好でしょう。
「青くて痛くて脆い」のは、楓でもあり秋好でもあると感じています。
記事内画像:角川文庫公式サイト
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